仮面ライダーロワ ~歴史を守護する仮面の王~   作:名もなきA・弐

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 すんげー長くなりました。細かい設定は東京ドールズの設定、キャラクターの容姿の描写は後々解説しますが、一先ずwikiや動画を見ていただければ。
 後、読んでくれた方々に石を投げられないか心配です(割と本気で)

※ロワのメイン武器である名前を『ジカンバスター』から『ジカンハカリバー』に変更しました。


TIME1 ショータイム0929

笛真晴子は僅かな意識のまま、覚醒した。

覚えているのは、力を手に入れた自分が謎の戦士に倒されたことだけ……。

そこまで思い出すと、自分の身体が地面へと置かれる。

何者かに運ばれたのだと認識したころには、話すことは難しかったが自分の意識ははっきりとしてきた。

 

「まさかジクウドライバーに選ばれた戦士がこの世界に現れるなんてね」

 

独り言のように呟いたのは、自分に力を与えてくれた赤いジャケットの青年。

しかし、すぐにこちらの方を振り向くと右手に持ったレプリカウィザードウォッチを晴子に見せる。

 

「でも、君との契約は続いている……だからもう一度力を与えてあげる」

【WIZARD…!!】

 

レプリカウォッチを起動した青年はもう一度彼女の身体に埋め込むと、再びレプリカウィザードへと変身させる。

先ほどまでの痛みが嘘のように消え去ったレプリカライダーは立ち上がり憎悪によって自身に宿った魔力を感情と共に昂らせる。

 

「君なら、僕たちのような『王』になれるだろうね」

 

ゆっくりと、しかし確実に己の存在を刻みつつある目の前の少女だった贋作の魔法使いに、青年は嬉しそうに微笑むのだった。

その身を、歪な怪人の姿に変えながら……。

 

 

 

 

 

僅かな情報である映像を何度も観返すも、それ以上の情報を得られなかった『班目セツナ』は深い息を吐いてチェアの背もたれに背中を預ける。

自身の部屋に設けられた空間には、仕事に関するもの以外ほとんどなく、あるとしたら最近の趣味も兼ねたコーヒーメーカーぐらいだ。

 

「やはり、これだけでは無理か」

 

ピグマリオンとも異なる怪物に、突如謎の戦士に変身した一般人……非科学的な現象には自分に置かれた立場や経験上、慣れているとは思っていたが流石に今回は予想の斜め上を言っていた。

事情を聴こうにも、あの一般人は少女を自分に託した後、時計のような機械から変形したバイクで逃走してしまったのだ。

少女の方も緊張が解けたことで疲労がピークに達したのか今もまだ眠っている状態で、ベッドで寝かせている。

感情を取り戻した一般人の素性についても調べる必要がある……。

だが、その姿は異なったが何処となく重なる部分もあったのだ。

かつて世間を騒がせた残虐な殺人事件、それと同時に噂になった戦士の姿と…。

 

「……あの戦士は、人類を守ってくれる存在なのだろうか」

 

柄にもないことを呟いた後、班目は再びデスクに置いてあるパソコンへと向かうのであった。

 

 

 

 

学校での下校中、椋は昨日の少女のことについて考えていた。

あの場にいたスーツの女性に任せてしまったが、直感で「良い人」だと判断した椋はバイクに変形出来るウォッチを使用して逃げてしまったのだ。

あの怪人のことも変身した姿のことも知らなかったし、あの空気では自分の話を信用してくれるかも分からない。

だが、今日になってみてあの時の行動はどう考えても悪手だったと思わざるを得ない……何よりあの時の少女のことは心配で仕方がなかった。

ちなみに血まみれの服については母に「帰り道に血だらけになった人を病院まで運んだ」と言っておいた。

嘘は言っていないが、事情を察した父が上手くフォローしてくれたため何とか丸く収まったのは奇跡だと思う。

そんなことを考えながら帰り道を歩いていた時だった。

ふと、前を立ちはだかるように一人の青年が立っていた。

ややパーマ気味の茶髪に端正な顔立ちでモデルような長身の男性。

服装は黒で統一されており、青いラインが印象的なコートを羽織っている。

 

(……またか)

 

自慢ではないが、椋は時々男性にナンパされることがある。

美少女顔で華奢な体躯のため、自然と声をかけられることが多いのだ。

一時はそのことで友人に相談したこともある(その時は笑われたが一緒に下校してくれた)

 

「……えっと。何か御用ですか?」

「……」

 

一先ず目の前の青年に用件を尋ねるも、彼は何も言わず懐から『ある物』を取り出す。

それを見た椋は目を見開く。

 

「それって……!!」

「…やはり、お前がジクウドライバーに選ばれた者か」

 

そう言って、青年はその物体…椋が変身の時に使ったのと同じ型をしたジクウドライバーを取り出して腹部に軽く当てる。

そこからベルトが伸びて彼の腰に装着されると、腰に下げていたホルダーから青いライドウォッチを取り出す。

 

「お前に恨みはないが、奴らと戦う仮面ライダーは俺一人で充分だ」

 

そしてベゼルを回すと白いゴーグル状の複眼を持った仮面の戦士へと変え、上部のスイッチを押して電子音声を響かせる。

 

REX(レクス)!!】

 

ラテン語で「王」を意味するライダーの力を宿した『レクスライドウォッチ』をジクウドライバーの右側へセットすると巨大なデジタル時計と時計塔の内部を彷彿とさせるエフェクトが背後に出現する。

そして時計の音を思わせる大気音声の中で、腕を大きく回転させた彼はドライバーのバックルを包み込むように構え……。

 

「変身っ!!」

 

掛け声と共に勢いよく両腕を回してバックルを回転させた。

 

【RIDER TIME!】

 

電子音声が鳴り響くと同時に背後のエフェクトからローマ字で「RAIDA-」と記された白い文字が浮かび上がり、青と白のエネルギーが全身を覆う。

 

【KAMEN RIDER REX!!♪】

 

颯太の身体に近未来のような青いライダースーツが装備されると、白い文字が目に当たる部分へ収束されることで変身が完了する。

並行世界から現れた戦士『仮面ライダーレクス』である。

「仮面ライダーっ」と驚く椋に気にすることなく、レクスは距離を詰めて拳を振るう。

 

「うわっ!?」

 

慌ててそれを躱し、彼との距離を取る。

一方のレクスは単なる威嚇か挑発行為だったのか、それ以上の追撃はせず目の前の敵を睨む。

 

「生身の人間と戦う気はない。さっさと変身しろ!」

「……ああっ、もう!!」

【LOI!!】

 

勝手に因縁をつけてくる初対面の相手に、椋は半ば諦めたようにジクウドライバーを腰にセットしてロワライドウォッチを起動させてバックルにセット。

変身シークエンスの後にバックルを回転させてロワへと変身して、ジカンハカリバーを召喚して構える。

 

「その気になったか」

【JIKAN ZAX NOX!】

【OH! NO!】

 

対してレクスも黒と青でカラーリングされた片手斧と弓の複合武器『夜時間厳斧ジカンザックス・ノクス』を構えてロワへと再度迫る。

ローマ字で「ONO」と白色で記された武器を振り下ろすも、それを回避してジカンハカリバーの刀身を相手に向けて振るわれる。

 

「はぁっ!」

「…ふっ」

 

距離を取ったロワに対し、動揺することなくレクスは青くなっている刃を展開させて「YUMI」と記された形態…弓モードへと変形させる。

 

【YOU! ME!】

「はっ!」

「ぐっ!このっ!」

 

弓モードから放たれた狙撃は、ロワの右腕を掠るが負けじとショットモードへと変形させてレクスへとエネルギーの銃弾を放ち、仰け反らせる。

互いに距離を取って対峙した両者は自身の得物を構え直す。

だが、突如聞こえた悲鳴に振り返る。

 

「ひっ!ああっ……!!」

『やっと捕まえた…』

 

見ればレプリカウィザードが空間を繋げた魔法陣から女子生徒(二人は知る由もないが晴子をいじめた主犯)の髪を掴んで引っ張り上げていたのだ。

痛みから必死に逃げようと泣きながら叫ぶ女子生徒にレプリカウィザードは火属性の魔法を発動しようとバックルに手をかざそうとする。

 

「……はぁっ!!」

 

しかし、それを止めたのはレクスだ。

レプリカウィザードの元まで一気に跳躍し、斧モードに変形したジカンザックス・ノクスを振り下ろして攻撃を阻止する。

着地と同時に武器を一閃させ、怯ませてからロワの方へと向き直る。

 

「勘違いするな。お前よりも奴を倒す優先度の方が高い」

 

「それだけだ」と言い捨てると、逃げた女子生徒を追跡しようとするレプリカウィザードの首根っこを掴んでからもう一度斬撃を浴びせる。

煙を上げる彼女を蹴り飛ばし、左腕にマウントされているライドウォッチを手に取る。

 

「そっちが魔法なら、こっちは科学の力だ」

 

レクスはそう呟くと赤と青のライドウォッチのベゼルを回転させ、上部のスイッチを押して起動させる。

 

【BUILD!!】

 

そして今度は反対側のスロットの方へ装填し、ロックを解除したバックルを回転させる。

すると、異なる電子音声が追加されるように響いた。

 

【ARMOR TIME!】

 

音声と共に召喚されたのは黄色いドリルが付属された赤と青の装飾がある白いアーマー……それがすぐにパーツ状に分解されるとレクスの身体へと装備される。

 

【BEST MACH! BUILD~!!♪】

 

複眼が「BIRUDO」と記された白いローマ字へと変わると、右腕に黄色い大型ドリル『ドリルクラッシャークラッシャー』を装着し、変身が完了した。

 

「はぁっ!」

『がぁっ!?』

 

生物(ラビット)無機物(タンク)、そして科学の力を宿した『仮面ライダーレクス ビルドアーマー』へと変身しドリルCCによる刺突攻撃を行う。

当然レプリカウィザードは『ディフェンド』の魔法で召喚した土の壁でガードするも、呆気なく破壊されただけでなく、続けて放たれた二撃目に火花を散らして仰け反る。

苦手な距離へと追い詰められたレプリカウィザードは慌てて逃げようとするも、後頭部のリングをレクスに掴まれ、無理矢理正面の向きに変えられたところに渾身の一撃を受けてしまう。

 

「止めだ」

【FINISH TIME!】

【BUILD!】

 

ジクウドライバーにセットされたレクスとビルドの二つのライドウォッチのスイッチを押し、バックルを勢いよく回転させる。

すると、複雑な白い方程式や数式がレクスの背後から実体化する。

右脚で地面を踏み抜くと曲線状に実体化したフラグがレプリカウィザードを拘束する。

それと同時に現れたレクスがフラグを滑車のように勢いよく滑りながらドリルCCを標的に向かって勢いよく突き出した。

 

【VOLTEC! TIME CRUSH!!】

「はあああああああああああああっっ!!!」

『あああああああああああっ!!』

 

貫いたレクスの背後で『ボルテックタイムクラッシュ』の一撃を受けたレプリカウィザードは爆散。

「すごい」と声を漏らすロワに、鼻を鳴らした彼はレプリカウィザードのいた爆心地に歩こうとするが……。

 

『ふーっ、ふーっ!!』

「何っ!?」

 

レプリカウィザードが肩で息をするように立ち上がっていたのだ。

動揺するレクスに、ハリケーンとフレイムの魔法を組み合わせた発破する火炎弾を放つ。

だがその間にロワが割って入り、その魔法をジカンハカリバーで両断する。

 

「大丈夫っ!?」

「……すまない」

 

素直に礼を言ったレクスは改めてレプリカウィザードを見る。

 

「おかしい」

「えっ?」

「レプリカライダーは人間がウォッチを埋め込まれて変身した姿だ。倒せば間違いなく排出されるはず…」

「人間!?それって…」

 

ロワが続きを言おうとするも、レプリカウィザードは『リキッド』の魔法で自身の身体を液体へと変えるとそのまま逃走してしまう。

後を追おうとするが、倒す敵を完全に見失った二人のライダーは変身を解除する。

レクスだった青年はそのまま立ち去ろうとするが、慌てて椋は彼を呼び止める。

 

「ねぇ教えて。あの怪人は何なの?人間が変身したってどういうことなのっ」

 

青年はしばらくの間、口を閉じていたが真剣なその瞳に観念したのか息を吐き、ゆっくりと口を開いた。

 

「……あれはレプリカライダー。『仮面ライダー』と呼ばれる戦士たちの力を真似た贋作…レプリカウォッチで人間が変身した姿だ」

「ライダーの、贋作…」

「そうだ。破滅を望む集団『ワールドハック』がこの世界の人間と契約することで誕生する」

 

聞き慣れない単語に困惑しながらも話を促す椋に頷いた彼は言葉を続ける。

ワールドハックと契約を結んだレプリカライダーは、自らの存在を刻むために必要な感情エネルギー『フィール』を集めるべく本能的に破壊活動を行い、最後には世界を消滅させるほどの『王』へと覚醒するのだという。

あまりにもスケールの大きい話に混乱するも、ふと尋ねる。

 

「…てことは」

「そうだ。俺はこの世界の人間じゃない」

 

改めて青年は自身の名前を名乗る。

 

「俺は『最矩 颯太(ものり そうた)』……奴らを倒すために別の世界からやってきた、仮面ライダーだ」

 

 

 

 

 

その女子生徒はたまり場になっているビルで身を縮こませていた。

どうしてこんなことになったのか……紛れもなく自分のしたことが原因だ。

けど、こんなことになるなんて思わなかった。

自分の友達も怪物になった晴子に病院送りにされ、更に自分も狙われたことでようやく自分の行いがどれだけ愚かだったのか理解出来たのだ。

出来ることなら謝りたい……そんな考えが起きようとした時だった。

 

「……見つけた」

「ひっ!?」

 

突如聞こえた声に、思わず身体を震わせる。

だが自分のいる場所は二階のはず……。

扉の方へ首を向けるも誰もいない。

「気のせいか」と窓のある方へ振り向くと。

 

「見つけた見つけた見つけたあああああああああああああっっ!!!」

【WIZARD……!!】

 

自分の身体を宙へと浮かばせた晴子が衝動に任せてレプリカウィザードへと変身する。

そのままハリケーンの魔法で窓ガラスを破壊してビルの中に入り込むと、女子生徒の首を締め上げる。

 

『消してやるっ、消してやる消してやるうううううううっ!!』

 

怒りに身を任せた彼女が力を込めようとするも、突然投げつけられた物体…卵パックがレプリカウィザードの右手へ命中する。

痛みこそないが僅かに意識が逸れた瞬間、強烈な衝撃と共に外へと投げ出される。

慌てて起き上がると、そこには青いポニーテールの少女『ミサキ』が偶然見つけた鉄パイプを構えており、自分が先ほどいたビルには薄緑色の髪の少女『シオリ』が女子生徒を保護しているのが見える。

新人の歓迎会(発案者は別のメンバーだが)のために買い出しをしていたのだが、突如聞こえた物音に駆けつけてきたのだ。

 

『また私の邪魔をぉ……!!』

 

苛々するように息を荒くするレプリカウィザードはバックルをかざして『ある魔法』を発動する。

 

【PYGMALION】

 

何の感情のない音声が響いた瞬間、背後から青白い蝶と共に数体の巨大な口を模した怪物『イーター』が出現すると、無作為な破壊活動を開始する。

突然現れたピグマリオンに二人は動揺するも、シオリは取り出した白い鍵を胸元に宛がい自身の心を反映したフィールド『テアトル』を展開して周囲への被害を遮断する。

 

『やれぇっ!!』

 

レプリカウィザードの命令を聞いたイーターはミサキたちへと襲い掛かる。

万全な準備も出来ず、想像以上に速い突進を開始したピグマリオンが大きい口を更に開いた瞬間だった。

 

「危ないっ!」

 

そんなミサキを庇ったのは走らせたバイクから飛び降りた椋。

そして……。

 

【ZAKKURI CUTTING!!】

 

ライドウォッチを装填したジカンザックス・ノクスの必殺技でピグマリオンたちを一掃したレクス。

立ち上がった椋はジクウドライバーを腰に当てると、ロワライドウォッチを取り出して起動する。

 

【LOI!!】

「……これ以上、君にこんなことはさせない。変身っ!!」

【RIDER TIME!】

【KAMEN RIDER! LOI!!♪】

 

ロワへと変身し、ショットモードにしたジカンハカリバーの銃口から銃弾を放つ。

銃撃を受けたレプリカウィザードは火花を散らして怯むも、すぐさまグラビティの魔法を使って周囲の物体を浮かび上がらせるが、以前よりも魔法の範囲が上がっているのか浮かび上がらせた物体は大きめのガラスの破片やゴミ捨て場にあった古いテレビなど鋭利な物から廃棄物など様々になっている。

それだけではない。

 

【THUNDER】

【BIG】

 

二つの魔法を連続で使用し、浮かび上がった物体は巨大化し雷を纏った物へと変化する。

あまりにも桁の違う行動に一瞬だけ怯むもロワとレクスは後ろにいるミサキたちを守るように武器を構えた。

瞬間…。

 

【FRAME! SHOOTING STRIKE!!】

『あああああああああああああっっ!!?』

『っ!?』

 

突如聞こえた音声と同時に放たれた何発もの火球がレプリカウィザードへと直撃し、地面へと転がる。

魔法が解除された物体はそのまま法則に従って地面へと乱雑に落ちる。

こちらに落ちてきた物はロワとレクスの二人が武器を振るって防いだが、改めて先ほどの攻撃があった方向を振り向く。

そこにいたのは銀色の銃を構え、赤い裏地がある黒いローブとスーツに身を纏った一人の戦士……。

魔法使いのような身なりからレプリカウィザードを彷彿とさせるが、違った。

粉々になった宝石を思わせる前者と違い、彼らを救った魔法使いはルビーの宝石のように赤く輝き、スタイリッシュな佇まいも相まって見る者を安心させる。

 

「……魔法使い?」

「一体何なの…」

 

その姿にシオリは、かつて小説に登場する正義の魔法使いを連想させる。

次から次へと起こる出来事にミサキは思わず声を出してしまうが、それに気にすることなく本物の指輪の魔法使い『仮面ライダーウィザード』はロワの方へと歩み寄る。

突然現れたウィザードにどう言葉をかければ良いか考えていたが、ロワの左腕にマウントされていたブランクウォッチを手に取る。

 

「お前はどうして戦う?」

 

シンプルな、だけども重いその問い掛けにロワは少しだけ逡巡する。

しかしはっきりと顔を上げて答える。

 

「まだ分からない。でも、これ以上誰かの涙は見たくない」

「…そっか。なら、見つかると良いな。お前の戦うための希望」

 

納得したようにウィザードは改めてブランクウォッチを投げ渡す。

それは白いベゼルと黒いボディで構成されたライドウォッチへと変化しており、ベゼルを回すと赤い宝石のマスクを持った魔法使いの顔へと変わる。

「これって」と振り向いた時にはウィザードは既にミサキたちの方へ背を向けており、銀色のオーロラと共にこの場から去っていた。

託された……。

あの魔法使いは何も言わなかったが、その意味を受け取ったロワはライドウォッチのスイッチを押して起動する。

 

【WIZARD!!】

 

そしてジクウドライバーにある反対側のスロットへと装填する。

そのまま一瞬だけ、顔の横に出した左手に右手を重ねるようにしてからバックルを回転させた。

 

【ARMOR TIME!】

【PREASE! WI・ZARD!!♪】

 

ロワの変身音声と続くように、異なる電子音声が響くと同時に上空から赤い魔法陣が出現する。

それは、一つのアーマーのように変形しロワの周囲に装着された。

両肩には赤い宝石と胸部にあるドラゴンのような装飾、下半身の黒いロングコートと魔法陣を模した赤い布『エングレイブドカタリスター』を身に纏っている。

複眼も「ウィザード」と緑色の鏡文字がゴーグルに重なることで変身が完了する。

これこそ、人々の希望を守る指輪の魔法使い『仮面ライダーウィザード』の力を宿した新たな形態……『仮面ライダーロワ ウィザードアーマー』である。

 

「さぁ。ショータイムを始めるよ」

『舐めるなぁっ!!』

 

レプリカウィザードは叫びと共に火属性の魔法を火球として放つが、ジカンハカリバーを召喚したロワはそれを切り裂き、距離を詰めるべく歩く。

動揺した彼女は、慌ててウォーターとハリケーンの魔法を組み合わせた高水圧の渦巻を発動するが、そんな禍々しい憤怒の感情を宿した魔法を両断する。

やがてロワのキックがレプリカウィザードの鳩尾へと直撃した。

 

「ふっ、はぁっ!!」

『がっ!げふっ!!』

 

そのまま続けて二段蹴りと回し蹴りを決めると、吹き飛ばして距離を取ったロワはジカンハカリバーをジャグリングのように回転させてキャッチする。

そして左腕をレプリカウィザードに向かって突き出した。

瞬間、「ふぎゃっ」と短い悲鳴と共に彼女の身体は地面へと凄まじい勢いで叩きつけられる。

重力操作で身体を宙へと上げ、再び地面に落とす。

 

「今度はこれだっ!」

 

+になっている重力を解除したロワは、水属性の魔法を発動する。

高圧水流の一撃を受けたレプリカウィザードは悲鳴と共に吹き飛び、続けて放たれた風属性の魔法で身体中を切り裂かれる。

 

『…何でっ』

「えっ」

『何で私ばっかこんな目に合うのよっ!!この力さえあればっ、全部全部解決するはずだったのにぃっ!!!』

 

窪んだ目の先にある瞳にはギラギラとしており、絶望と憤怒が宿っていた。

恐らく彼女はの怒りは正当なものなのかもしれない。

だからこそ…。

 

「その力は、誰かを守るためにあるんだっ!!自分の憎しみのままに使うものじゃない!」

『何ですって?』

「君が本当に必要なのは、魔法の力じゃない!必ず君を元に戻すっ!!」

 

レプリカウィザードを蹴り飛ばしてから叫んだロワはロワウォッチのスイッチを押し、更にウィザードウォッチのスイッチを押してからロックを解除したジクウドライバーのバックルを回転させる。

 

【FINISH TIME!】

【WIZARD!】

 

電子音声を響かせて右脚に炎を、左脚に水を纏ったロワは地面を蹴って走る。

まずは側方倒立をしてから回転跳びをすると、そこから捻りを加えて飛び蹴りの構えを取ると赤い魔法陣を潜る。

 

【STRIKE! TIME STRIKE!!】

「はああああああああああああっっ!!!」

『きゃあああああああああああっっ!!!』

 

赤いドラゴンの魔力を纏いながらレプリカウィザードへと前進した。

『ストライクタイムストライク』の直撃を受けた彼女は三度目の爆発を起こし、変身者となった少女…笛真晴子が気を失った状態で倒れると、身体から排出されたレプリカウィザードウォッチが転がり、小さく爆ぜてこの世から消滅する。

歴史を歪めていた根源が撃破されたことでレプリカウィザードの破壊した物は、全て『なかったこと』として修復され、街はいつも通りの景色を取り戻すのであった。

 

 

 

 

 

「……あのー」

 

数時間後、椋はミサキとシオリに両腕を拘束されながらある場所へと移動させられていた。

女の子を保護して帰ろうと思ったが、二人に肩を掴まれ引きずられている最中なのだ。

ちなみにレクスこと颯太は面倒ごとになると直感で判断したのか、あの場にいた女子生徒に何らかの処置を施し安全な場所へと運んで行ったので上手く逃げれたようである。

さながら捕らわれた宇宙人のような光景だったが、やがて目的であろう建物へと入っていき、扉が開け放たれるとある人物が目に入る。

 

「君……」

「あっ。あの時の人…!」

 

そこにいたのは白いヘッドホンを装着した温和な顔立ちの女性と、DOLLSのライブで話をした桃色の髪の少女。

椋は慌てて彼女の元まで近づく。

 

「良かった…!怪我もない?」

「はい。班目さん……あの時の女性が保護してくれたみたいで」

 

「そっか」と安堵する中で、軽い咳払いと共に隣の女性が口を開く。

 

「急にごめんなさいね。まずは身体を洗ってきてください」

「えっ?」

 

そう言われて改めて自分の身なりを見る。

レクスや先ほどのレプリカウィザードとの戦闘で服が結構汚れており、これなら第三者に指摘されても仕方ないだろう。

 

「ここには浴場もありますし、女の子がいつまでも汚れているのは良くないでしょ?」

「いや、その…」

 

彼女の申し出に椋は断ろうとするも有無を言わさず女性に替えの赤いジャージとバスセットを渡され、そのまま女子寮にある浴場の更衣室へと案内されてしまう。

「上がったら呼んでくださいね」と一言言ってから、出て行った女性を横目に椋はどうするか考える。

少なくとも今の状況で入浴するのは非常に困る……だが、入らなかったら入らなかったで厚意を無下にしてしまうかもしれない。

 

(仕方ない!さっさと入ってさっさと出ようっ!!)

 

思い立ったら即行動……。

決断した椋は着替えを全て脱ぎ、勢いよく浴場へと繋がる戸を開ける。

 

「……わぁ」

 

目の前の大き目の湯舟に風情のある浴場に、椋は目を見開いた。

眼前に広がるのはテレビの特集やバラエティなどでよく目にするような大浴場であり、自然と椋の口元をほころばせるが慌てて我に返る。

まずは身体をシャワーで軽く洗い流していると、ふと鏡に映った自分の姿を見る。

華奢な体躯に白い肌、水で軽く肌に張り付いた艶やかな長い髪……そんな鏡の中の自分に椋はふとため息を吐く。

 

「もう少しだけ成長しても、罰は当たらないと思うけどなぁ……」

 

少しだけ、そんな年相応なことを鏡に向かって独り呟く。

思春期を迎えている年ごろだからこそ考えてしまうことだが、そんな小さな悩みも広い湯舟に浸かれば疲れと共に消えていく。

 

「~~~♪」

 

程良い温度の湯は疲れ切った身体や心を癒し、自然と鼻歌を口ずさんでしまう。

もちろん、DOLLSの新曲だ。

……今日も昨日と同じくらい、色々なことがあった。

自分の命の危機に瀕したこともあったが、それでも楽しいことがあったと何処か逃避のように一日を振り返る。

ゆっくりと肩まで浸かり、濃密な一日の疲れを癒す……充分に堪能し、湯舟から上がった椋はもう一度シャワーで身体を洗う。

そして、戸を開けようとした時だった。

 

『えっ?』

「……えっ」

 

そこにいたのはDOLLSのメンバー……彼女たちもバスタオルを身に付けており、そこには桃色の髪の少女もいる。

鉢合わせになることは問題なかっただろう…相手が『小野寺椋』でなかったらの話だ。

 

「ああ、あっ……!!///」

「「「なな、なっ…!!///」」」

「あらあら」

「ほほーう?」

「「……」」

 

椋は彼女たちの姿に顔を赤くし、ツインテールの少女と眼鏡の少女、そしてミサキの三人は顔を赤くし動揺する。

シオリや金髪の少女は幾分か冷静さを保ち、水色のショートヘアの少女に至っては楽しそうに笑う。

銀髪の少女と茶髪の少女は小首を傾げていたが、やがて最初の三人の顔が真っ赤に染まった瞬間…。

 

「「「きゃああああああああああああああああああっっ!!?」」」

「ごご、ごめんなさ…/// ひゃうっ!?」

 

三人への強烈な一撃が、今まで亡き姉の格好をしていた『少年』……小野寺椋に直撃するのであった。




0929……2012年に仮面ライダーウィザードの一話が放送された日(9月29日)

 はい、これが主人公『小野寺椋』の正体です……だって自分、地の文では『女の子』だなんて一言も言ってないですし(震え声)
 だって変わった主人公を書きたかったんですもん!!(涙目)
 補完計画みたいなのも書かないと設定とか出し切れないかもしれません……。
 あくまでもこの作品はお試し版ですので、読んでくれた方々の感想や作者のモチベによって連載するかもしれません。
 ではでは。ノシ

レプリカウィザード ICV能登麻美子
普通の高校生『笛真晴子』が、ワールドハックの青年と契約することで変身したレプリカライダーの一体。
モチーフである『仮面ライダーウィザード』の魔力を模倣したレプリカウォッチで誕生したため様々な魔法を繰り出し、変身者の素質により異なる魔法を組み合わせることが可能となっている。ただし、接近戦はかなり不得手で距離を詰めたロワとレクスに終始押されていた。
幼いころに祖母からもらった玩具の指輪を目の前で壊されそうになったことで、怒りと絶望が爆発し、周囲の被害を顧みずにいじめっ子たちを襲っていた。
なお、怪我や被害などはなかったことになったがこの一件で主犯だった女子生徒は今まで迷惑をかけた人たちにきちんと謝ったそうだ。
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