仮面ライダーロワ ~歴史を守護する仮面の王~ 作:名もなきA・弐
何分久しぶりに書いたので展開が急になっています……今回もレジェンドライダーが登場するぞ!!
歓喜に打ち震えるように身体を痙攣させるレプリカビルド……。
ガスマスクのような黒い頭部にある赤と青のレンズが時折開閉し、無機質な歯車の眼球を露にする姿は不気味そのもので彼女の興奮が手に取るように分かってしまう。
しかし、何よりも異質だったのは彼女に刻まれている文字だ。
右胸には「BUILD」と鋭利な刃物で削ったような白い文字、背中にはナンバーを消すように白い線が何重にも削られ、代わりに王冠のマークが刻まれている。
まるで戦争の兵器であることを……『悲しみと破壊こそが絶対的なものである』と主張するその姿は、彼女が望んだ王としての在り方。
やがてレプリカビルドは動揺するレプリカドライブやロワたちへと意識を戻すと、ベルトを模した器官にあるレバーを回し始める。
【TOON LION…!】【NIKUGIRI BOUTHOU…!】
【SUPER BEST MA~CH……!!】
『きゃっふううううううううううううっっ!!!』
『っ!?』
ライオンのぬいぐるみにある口から鈍く光る巨大な刃が突き出た包丁を手に取ると、奇声と共に横薙ぎにそれを振るう。
紫色のオーラを纏ったその斬撃に全員が慌てて回避し、唯一逃げ遅れたピグマリオンだけは横一文字に両断されて消滅する。
「何をっ」と咎めるレプリカドライブに気にすることなく彼女は再びレバーを回転させる。
【TEDDY BEAR…!】【IRON MAIDEN…!】
【SUPER BEST MA~CH……!!】
両腕にファンシーなクマの手にびっしりと並んだ棘付きの鉄のグローブが召喚・武装される。
しかし……。
「……させるかっ!!」
【FINISH TIME!】
一度アーマーを解除したレクスが、取り出したビルドウォッチを召喚したジカンザックス・ノクスのスロットへと装填する。
そのまま弓モードへと変形して後部にあるグリップを引き絞る。
『じゅるるっ!!いいいっ、良いですよっ!!受けて立っちゃいますぅっ!!!』
【OVER FRO~W……!!】
紫色のオーラを両腕に宿し、戦意を漲らせるレプリカビルドに対してレクスは憎悪と闘志を宿した一撃を放つべく後部のグリップを放すと同時に、持ち手にあるトリガーを同時に引いた。
【BUILD!!】
【GI・WA・GI・WA SHOOT!!】
勢いよく放たれた赤と青の二重らせん構造のような高圧エネルギーの矢はレプリカビルドへと真っ直ぐ突き進んでいく。
……はずだった。
赤い残像と共に突如現れた異形がそのエネルギーを叩き落とし、衝撃による土煙が発生する。
詳細は分からなかったが、巨大な角を生やしたような異形は煙が晴れたころには赤いジャケットを羽織った青年へと変わっていた。
新たな敵に武器を構えるレクスとロワに気にすることなく、レプリカビルドは同じワールドハックの一員である青年に首を傾げる。
『……「ナイン」?』
「トゥエム。今の君の仕事は僕たちと並ぶ『王』を見つけ出すこと」
「戦闘は許可していない」と窘める彼に、レプリカビルドは気落ちしたように肩を落とすと変身を解除して元の姿へと戻る。
「……帰ります」
「うん。物分かりが良い子だ」
そう短いやり取りを終えた二人はレプリカドライブに視線を向ける。
実力の差を見せつけられて反抗する気もなくなった彼は二人の元まで歩き高速移動でその場から退散するのだった。
ふと、彼が意識を覚醒させるとそこには見たこともない景色が広がっていた。
……おかしい。
自分は確か人間の『ダチ』に力を託し、もう一度消えたはず。
だからこそ、分からない。
どうして外に…しかも都会のど真ん中にいるのか全く身に覚えがなかった。
自身の両手を見る、人間の手ではあったがそれはあくまでも自らがコピーした人間の身体で自身を動かしているものは『機械の身体』……。
そして、彼がもう一度『戦士』として戦うための二つのアイテム。自分が持っているはずのない物だ。
それでもあまり驚いた表情を顔に出さなかったのは、彼自身が表情を表に出さないタイプだからだ。
ガラスに映った自身の姿は紫色のライダースーツという見慣れた自分の姿。
ふと、視界の隅に妙な物が入る。
「……これは?」
足元に転がっていた掌サイズの黒い機械を手に取ってみる。
何処となくストップウォッチを思わせるが、時計の針も数字も入っていない。
しかし、それは赤いボディと黒いベゼルで構成されたウォッチへと変わり、見覚えのあるカラーリングに思わず困惑する。
妙な現象に一瞬だけ怪訝な表情を見せるも、何故か捨てる気にはなれず「どうするべきか」と思考を始めたその時だった。
……人の悲鳴が聞こえたのだ。
「っ!」
デバイスを捻じ込み、早々に思考を切り捨てた彼は悲鳴の聴こえた場所へと向かう。
躊躇いもせず、一分でも一秒でも目的地に到達するために彼は迷うことなく走る。
その現場の周囲にはあちこちで黒煙が上っており、悲鳴と子供の泣き声が混じった光景に思わず顔をしかめる。
すぐさま避難活動をしている四人の少女と一人の青年に混じって倒れている男性に肩を貸して声をかける。
「代わろう、俺が運ぶ」
「ありがとうございます!あなたは……」
紺色の長い髪を靡かせた少女に対して、男性を担ぎながら彼は少しだけ顔を向けた。
「事が終わってから尋ねるのが、人間のルールではないのか?」
警察からの事情聴取が終わり、椋たちは少し離れた喫茶店で避難活動に協力してくれた青年と向かい合う。
ちなみに聴取が早い段階で終わったのは班目のおかげでもあるのだが……まぁ、それは置いといてである。
ウェイトレスから、もらった氷の入った水をストローを使って無表情で飲む青年に対して鋭い視線を向けるのはミサキだ。
「……それで、あなたは?」
「人に名前を尋ねる時は、まず自分から名乗るのが人間のルールのはずだ」
敬語こそ使っているが有無を言わせない雰囲気を出すミサキに対し、青年は淡々と返す。
何処か冷たいその態度にシオリとサクラ、椋の三人は少し焦る表情を見せるもミサキは意外にも「失礼しました」と一言謝罪し、名乗る。
そのまま順番にサクラ、シオリ、椋、颯太と名前を名乗ると改めて青年は紹介する。
「俺は『チェイス』……生けとし生ける人々を守るために造られた死神。『仮面ライダーチェイサー』」
「チェイサー……仮面ライダードライブと同じシステムで作られた仮面ライダーか」
「そうだ」
聞き慣れない名前に首を傾げる一同に、颯太は簡単な説明をする。
百八体の機械生命体から人々を守るために戦った戦士『仮面ライダードライブ』と共に戦ったライダーの一人……それがチェイサーことチェイスだという。
ワールドハックを倒すために得たライダーの知識を口にする彼に、感嘆の声をあげるがミサキは構わず質問を続ける。
「では、何故あなたはここにいるのですか?」
「分からない。俺自身、気が付いたらここにいた……それだけだ」
嘘を言っている様子も、冗談を言っている様には見えなかったため、一先ずはミサキも納得し僅かだが警戒を解く。
その後は、シオリが主導となって先ほどの惨状などについて簡単に説明を行い、チェイス自身も納得はしたのかストローで水を一口飲む。
「事情は理解した。ならば俺も戦おう」
「どうしてですか?」
彼の言葉に反論したのは、他でもないミサキだ。
真っ直ぐと、曇り一つない瞳でチェイスを捉える。
「あれはあなたが戦った怪人じゃない。それなのに何で戦おうとするのですか」
「……理屈じゃないんじゃないかな?」
答えたのは、先ほどまで黙っていた椋だ。
突然口を開いた彼にミサキはおろか、サクラやシオリ、颯太までもが彼に視線を向ける。
「チェイスさんは、ううん。きっと、仮面ライダーは力を手に入れたから戦ったんじゃないと思う」
力を与えられる機会があるなら、その力を受け取らなくても良い機会だってある。
それどころか捨てることだって出来たはずだ。
それでもなお、彼らはその力を捨てることなく巨悪と戦い続けた。
「目の前の人や愛する人を守る……それが俺に戦う理由をくれた。それが俺の持つ正義であり理由だ」
彼の言葉に肯定するようにチェイスが告げる。
そして同時に理解した……自分がこの世界に呼ばれた理由を。
不意にシオリのスマホに着信が入る……発信者はカナからだ。
「もしもし?カナさん」
『シオリさんっ、皆さんもいますか!ピグマリオンの反応です、恐らくはあの怪人も……!!』
ピグマリオンの討伐要請に全員が表情を引き締めると、料金を出して全員が一斉に出現ポイントへと向かう。
椋や颯太も急いで彼女たちの後を追って店から出ようとするが。
「椋」
彼を呼び止めたチェイスはある物を投げ渡す。
投げ渡されたそれは彼が先ほど拾ったデバイス……赤いボディと黒いボディで構成されたライドウォッチだ。
「これ…!」
「俺の近くに落ちていた物だ。きっと、お前が持つべき物だ」
渡されたウォッチをしばらく見つめると、椋は再び彼女たちの後を追うべく店を後にする。
そしてチェイスも、ゆっくりと彼らの後を追った。
シオリがカナからの連絡をもらうより少し前の時間。
「うっ、あ、あぁ……!!」
【DRIVE……!!】
自身の職場である出版社の近くで、紫色のエネルギーと風のエフェクトと共に変身したレプリカドライブは小型タイヤ状のエネルギー弾を撒き散らして周囲を破壊していた。
しばらくワールドハックと共に行動していたが、内側から湧き上がる不快感に胸を押さえて苦しみだすと覚束ない足取りでここまで歩いてきたのだ。
真実を追求することことが自らの課せられた正義と信じた彼は獣のような雄叫びをあげる。
すると、周囲の物体を破壊しながら現れたのは、銀色の無機質なロケットブースターを大量に搭載した禍々しい赤色の改造車『レプリカトライドロン』と車輪型のピグマリオンのウィーラー。
怪人と怪物たちの起こす惨状に人々が悲鳴をあげて逃げる中、元凶であるレプリカドライブはそれに目もくれずただ破壊活動を行う。
「真相、暴くっ。壊しテ、スベテのアクをホロぼシテヤル……!!」
レプリカウォッチの副作用により、本能がマイナスフィールを集めることによる破壊活動に支配されてしまった彼は、自身の正義を潰した出版社に復讐するべくやみくもに暴れ回る。
その行動は、彼が心から憎んだ悪そのもの……レプリカドライブはそのことにすら気づけなくなってしまっている。
このままでは、レプリカドライブを王とした歪んだ歴史が誕生してしまう。
しかしそれを許さない存在がいる。
『ッ?』
展開されるテアトルに、集まったのは先ほどの連中…椋たちとチェイスだ。
シオリは後衛、サクラとミサキはマスケット銃と長剣を構えると椋と颯太はジクウドライバーを腰にセットする。
そしてチェイスも銀色のバイクマフラーを模した青いバックル『マッハドライバー炎』を腹部に当てて装着、斜め上にスロットを露出させて待機音声を鳴らす。
そして紫と黒を模したミニカーサイズのバイク型アイテム『シグナルチェイサー』を構え、告げる。
「変身」
【SIGNAL BIKE!】
その言葉を共に拳でバックルを閉じた。
【RIDER! CHASER!!】
レプリカライダーの発するものとは違う、鮮やかな紫色のエフェクトと黒いタイヤ型のパーツが展開しチェイスの身体へと装着される。
白銀のメタリックなスーツとアーマーをベースに紫と黒のラインや装飾があり、ヘルメット型のマスクにある銀色のV字型のアンテナとオレンジに輝く丸い複眼から正統派ヒーローを思わせる。
しかし、所々にある骸骨のデザインは彼が死神であったころの名残がある戦士……名は仮面ライダーチェイサー。
颯太もレクスへと変身すると、タイヤからピグマリオンを射出しながら破壊活動を行っているレプリカトライドロンとウィーラーの元へ突撃する。
そして残った椋もレプリカドライブと対峙すると、両手に持った二つのライドウォッチを起動させた。
【LOI!!】
【DRIVE!!】
ロワライドウォッチとドライブライドウォッチを左右のバックルへと装填、ロックボタンを押して解除すると変身ポーズをとる。
「変身っ!!」
【KAMEN RIDER! LOI!!♪】
まずはロワの姿へと変身し、そして……。
【ARMOER TIME!】
新たな力を継承したことを告げる電子音声が鳴り響く。
眼前に車を模した赤いアーマーが召喚され、パーツとなってロワへと装着されていく。
白いラインの入った赤いスーパーマシンのような装甲に両肩に装備された黒いタイヤ……両手首には赤いミニカーのようなデバイスをセットしたブレスレットが装備されている。
【DRIVE! DR-IVE!!♪】
最後に「ドライブ」と鏡文字で記された複眼が現れると、熱い正義の心とトップギアで走り続けた戦士『仮面ライダードライブ』の力を宿した姿……『仮面ライダーロワ ドライブアーマー』へと変身が完了した。
手袋をはめ直すような動作の後、ゆっくりと腰を落としてからレプリカドライブへと宣言する。
「……一っ走り、行こうかっ!!」
その直後、ロワの姿が消えた。
『ッ!?ガッ!!』
自分の視界から消えたロワに慌ててレプリカドライブは周囲を見渡すが、突如鈍い衝撃が鳩尾から伝わっていく。
目にも止まらぬスピードで放たれたロワのストレートパンチがレプリカドライブを捉えたのだ。
『コ、コノッ!』
僅かによろめいたレプリカドライブも高速移動を開始するが、ドライブアーマーへと変身しているロワは赤い軌跡を描きながら青い残影を残す歪んだ贋作へとぶつかり合った。
その周囲ではレクスとチェイサー、そしてチームAの三人が互いの得物とスキルを使って周囲に群がるピグマリオンたちを殲滅していく。
レクスとミサキがジカンザックス・ノクスと長剣の斬撃を浴びせ、サクラとチェイサーがマスケット銃とメリケンサックと銃の複合武器『ブレイクガンナー』の弾丸で撃ち抜いてく。
シオリも展開したテアトルのスキルを使ってピグマリオンを怯ませることで徐々に数を減らしていく。
「行くぞっ!」
「ああっ!」
マッハドライバー炎に装填されていたシグナルチェイサーを一時外してから、新たに取り出した信号機と斧を組み合わせた銀色の大型武器『シンゴウアックス』にあるスロットにセット、そして柄にある赤いボタンを押した。
【HISSATSU!】【マッテローヨッ!】
珍妙な電子音声に思わず敵味方全員がチェイサーの方を見る。
確かにシンゴウアックスは赤信号、あの音声も納得は出来る。
出来るの、だが……。
「あ、あの…これは待たなきゃ駄目なんですか……?」
「赤信号は待つのがルールだ」
「なら時間は稼げっ!」
【TIME CHARGE! 5・4・3・2・1……】
サクラの言葉にチェイサーは常識的なことを戦闘という非常識なシチュエーションの最中だというのに真面目な様子で返す。
レクスはツッコミと共に、ジカンザックス・ノクスのグリップ上部にあるボタンを押してカウントを鳴らしながら斬撃をピグマリオンたちに浴びせる。
もちろん、チェイサーもただ待っているだけではなくブレイクガンナーで群がるピグマリオンたちを牽制する。
やがてシンゴウアックスの信号が青へと変わった。
【イッテイーヨッ!】【FULL THROTTLE!!】
【ZERO TIME!!】
レクスとチェイサー、互いの得物に蓄積されたエネルギーが最高潮に達したと同時に、武器を振るって群がっていたピグマリオンとレプリカトライドロンを全滅させた。
最後に残ったウィーラーが咆哮をあげながら突進するが、タイミングを見計らったサクラが手にした二丁のマスケット銃で狙撃し、動きを止めると攻撃のタイミングを入れ替えるようにミサキは長剣を下段に構えながら突進する。
そして振り上げるようにレプリカトライドロンに斬撃を浴びせると、そのまま高く跳躍した彼女は……。
「はあああああああああああっっ!!!」
長剣を投げ捨て、代わりに召喚した身の丈以上の巨大な槌を思い切り叩きつけた。
遠心力の恩恵を持った槌による強烈なダメージを受けたレプリカトライドロンは一瞬だけウィーラーの姿へと戻ると、崩れ落ちるように消滅し、巨大な爆発を起こす。
爆風が晴れた後、ピグマリオンとの戦闘が終わったチェイサーは変身を解除するとマイペースに声をかける。
「オツカーレ」
「……ふん」
「えっと、ありがとうございますチェイスさんっ!!」
労いの言葉を贈る彼に、変身を継続しているレクスはそっぽ向くように身体を反対に向ける一方でサクラは頭を下げてお礼の言葉を口にする。
ミサキは表情を崩さないながらも、しっかりと彼と目を合わせてから「ありがとうございます」と深々と頭を下げ、その様子に、シオリも笑顔を見せる。
しかし……。
「……」
「っ!お前…」
チェイスから淡い光と共に、身体が徐々に透けていくのだ。
驚くサクラたちとは反対に彼は淡々と語る。
「何もおかしくはない。俺はこの世界での役目を終えた」
「それだけ」だと言いながらもチェイスの身体は徐々に消えていき、向こう側の景色が見えるほど薄れていく。
何故自分が蘇ったのか、何故自分が別の世界へと来たのか……恐らくはあのライドウォッチが選んだのだろう。
彼がドライブの力を持つのに相応しい存在を見極めるために。
「お前たちも走り続けろ。トップギアで」
最期にその言葉を残し、死神……仮面ライダーチェイサーはこの世界から消えた。
一方、ドライブの力を宿した王の仮面ライダーとレプリカライダーのデッドヒートレースは終わりへと迎えつつあった。
タイヤの軋む音と風の切る音が両者の高揚感を煽り、攻撃を速めていく。
やがてレプリカドライブの放った回し蹴りを屈んで回避したロワの連撃が炸裂する。
ボクシングの構えから拳を連続して放ち、速度の乗った攻撃がレプリカドライブの身体にダメージを次々と蓄積させる。
しかし、その動きを徐々にだが読めるようになってきたレプリカドライブは放たれようとしているロワの右拳を防ごうとする。
『ガッ!!?』
左側頭部からの攻撃に怯んでいた。
フェイントからの左フックが直撃したのだ。
不意を突かれた衝撃に動揺するレプリカドライブの隙を逃すことなく、ボクシングスタイルのロワは続けて顎を殴ってから腹部に向かって思い切り拳を打ち込む。
「でりゃあっ!!」
『グオアアアアアアアアッッ!!』
ローからのハイキックで地面を転がったレプリカドライブは、受け身を取ってから加速能力で再びロワへと直進する。
単純な軌道の一撃を躱したロワはもう一度渾身のカウンターパンチを叩き込んだ。
『ガハッ!!』
強烈なアッパーカットが顎を直撃し、勢いよく吹き飛んだのを確認するとバックルに装着した二つのライドウォッチのスイッチを押してドライバーを回転させる。
【FINISH TIME!】
【DRIVE!】
【HISSATSU! TIME STRIKE!!】
一度腰を落とした彼は、そのまま助走して先ほど以上のスピードで移動を開始する。
両手首に装備されたデバイスから大きめの赤いミニカー『シフトスピードスピード』と、両肩のタイヤから手裏剣のような紫のタイヤとスパイクの付いた黄緑のタイヤなどの様々なエネルギーを乱射しながら縦横無尽に超スピードによる強烈な突進を行う。
そして、車で突撃するような飛び回し蹴りをレプリカドライブに見舞った。
『グアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!』
勢いよく吹き飛ばされたレプリカドライブは爆散。
変身者だった進一が気を失った状態で地面を転がると排出されたレプリカドライブウォッチが破壊される。
「チェッカーフラッグ……」
小さく、レースの終わりを告げるように宣言するのだった。
レプリカドライブの起こした事件から数日後。
彼の起こした破壊活動はなかったこととして修正され、進一は別方面からのアプローチで真実を追求することを決め、自分の正義を貫いている。
レプリカライダーとしての記憶はなくなったが、それでも彼ならば何れペンの力で悪をくじけるだろう。
そしてもう一つ、DOLLSの事務所でも変化は合った。
「マスター、その資料はそのファイルに。借りた道具などはきちんとサインをしてください」
「う、うん」
ミサキが椋をマスターとして認めたことだ。
彼の言った言葉に、何か来るものがあったのだろうか。とにもかくにもミサキはマスターとして認めこうして厳しく合理的な仕事のやり方を教えている。
「次はレッスンがあるのでマスターもちゃんと見ていてください」
「ぼ、僕も行くの?」
「当然です。マネージャーも意見も技術向上に必要なことですから」
「ほら」と急かすように椋の手を握ってレッスン場へと向かうミサキ。
それに引っ張れてきた彼の姿に、サクラとシオリは穏やかな笑みを浮かべるのだった。
とある一室……。
そこは数々の実験器具が置かれており、本棚には数多くの古書が並べられて入りきらなかった書物が乱雑に机に積み上げられている。
その中央に立つのは、赤と青の戦士。
ここにある物が何で、どういったルーツで、何という名前で、どんな使用方法と内容なのか知っている。
だからこそ、この力は『彼』に相応しいのだ。
Next Legend Rider……?
遅くなって申し訳ありませんでした。スランプ中でしたが何とかかけましたけど……展開が早すぎたかなぁと反省しています。
次回のレジェンドは……たった一つの『正解』を信じる知恵の戦士。
ではでは。ノシ
レプリカドライブ ICV木村良平
ペンと紙で悪と戦う新聞記者『比留間進一』がワールドハックのトゥエムと契約することで変身したレプリカライダーの一体。
モチーフである『仮面ライダードライブ タイプフォーミュラ』のスキルを模したレプリカウォッチと融合進化したことで誕生。
白と青のツートンカラーの装甲で胸部はフロントウイングやカウルが突き出すような形になっている。両腕にも小型の黒いタイヤが壊れた手錠のように装着されており、ジャンクパーツを無理矢理アーマーとして身に纏ったような姿をしている。
スポンサーロゴを模したシールが張られており、右脚に「DRIVE」、右側のフロントウイングに「2014」と黒で記された黄色いシールが貼られている。
塗装の禿げた黄色いヘルメットで顔を隠してこそいるが、罅割れた個所からは剥き出しになった歯と正面から見たタイヤのような瞳が存在する。
レーシングカーさながらの加速能力で相手を翻弄する他、ウォッチの力で生成した赤い改造車『レプリカトライドロン』を召喚可能だが、変身者のスペック的にタイプスピード並の加速能力しか出せなかった。