もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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女王、激震!

 妖精の島……

 攫われたサラを助け出すために立ち上がった戦士達の前に、クィーンフェアリーが立ちはだかった。

「だぁっ!!」

 ヴィクトリーが先陣を切り、クィーンフェアリーに突っかかった。腕を振り上げ、彼女をぶん殴る。

「ぐっ……!」

 クィーンフェアリーはぶっ飛びながら、彼に指を差した。すると、周囲から何本ものツタが伸びてきた。

「ルカっ!!」

「おおっ!!」

 ルカはエンジェルハイロウと鉄の剣を抜き、二刀流でツタをズバズバ切ってから、鉄の剣を納めた。

「へぇ……!だったら、これはどう!?」

 次にクィーンフェアリーは岩石を浮かせ、それを木のツタで打ち据える。

 岩石は粉砕し、その破片が二人に降り掛かった。

「ぐぉっ!?」

「わぁっ!?」

 降り注ぐ石、石、石。

 ヴィクトリーはルカの前に立ち、腕をクロスしながら気を解放した。

「魔閃烈障壁!!」

 すると彼の眼前に、バリヤーが展開された。

「はああぁっ!!」

 ヴィクトリーはそのバリヤーで石の雨を弾きながら、クィーンフェアリーにタックルをした。

「うっ……!?」

「行くぞっ!!」

 クィーンフェアリーは引き下がり、ヴィクトリーを見据える。

「はぁっ!!」

 手をパンッと叩いて念じると、彼の居た地面が本のように盛り上がり、バァンッと閉じた。

「ヴィクトリーっ!!」

 サラは魔素を受けながら、叫んだ。

「あら……武道家の方はあっけなかったわね……」

「……ふふふ……」

 クィーンエルフとクィーンフェアリーも、卑しい笑いを浮かべる。そして、次のターゲットであるルカを探そうとした時だった。

「がああっ!!」

 なんと、ヴィクトリーを押しつぶした筈の地盤がバラバラになり、二人が飛び出してきた。

「なにっ!?」

「ふう……あぶねぇあぶねぇ……もう少しでタコ煎餅になる所だったぜ……」

「た、タコ煎餅って……」

 押し潰される寸前で、ルカが地盤をバラバラにしたのだろう。

「……どうやら、一筋縄ではいかないようですね……」

「まぁな。」

 クィーンフェアリーは、二人を見つめる……

「……なるほど、アタッカーとして武道家、そのサポーターとして勇者を……ふふふふ……」

「……バレた?」

「……」

 クィーンフェアリーは、ビッとルカを指差すと、ツタがたちまち彼を拘束しにかかった。

「シルフッ!!」

 ルカはシルフの力でそれらを避けながらクィーンフェアリーに突っ込み、抜き胴で一閃した。

「っ!?」

「悪いね、植物は対策済みだ!」

「じゃあ、これはどう!?」

 クィーンフェアリーは岩を浮かせ、今度はそのまま投げつけてきた。

「ヴィクトリーっ!」

「あいよっ!!」

 ヴィクトリーはその岩に飛び蹴りをし、粉々に粉砕した。

「やるじゃない……」

「へへへ……」

 ヴィクトリーはゆらぁ……っと揺れてから構える。

「ここが絶海の孤島なのは、俺にとってすげぇ有利なんだぜ……」

「へぇ……?」

「思いっきりやれるからさ!」

 そう言って彼は、片手でかめはめ波を放った。

「!!」

 クィーンフェアリーはそのかめはめ波をギリギリで避け、その行方を追う。かめはめ波は木に激突し、この場一帯を揺るがす大爆発を起こした。

「な、なんて威力の気功波……!」

「ボヤボヤすんなっ!!」

 ヴィクトリーは、呆気にとられてるクィーンフェアリーに膝蹴りを叩き込んだ。

「ぐあっ……!!」

 ぶっ飛ぶクィーンフェアリーを掴み、地面にたたき落とす。

「だあぁーーーっ!!」

 そしてバウンドした所に蹴りを放ち、ぶっ飛ばした。

「ぐはぁ……!!」

 クィーンフェアリーは木に叩きつけられ、白眼を剥きかける──が、歯を食いしばって耐え、今度はヴィクトリーの腹に超スピードで突進した。

 彼女の体当たりが、胴を打ち抜く。

「うぐぁあ……!!?」

 メキメキと体が軋み、内臓が圧迫される。

「ぐっ!!」

 ヴィクトリーは、両手でクィーンフェアリーを捕らえようとした。

 だが彼女はエネルギーを纏い、顎に飛び蹴りした。

「がはっ!?」

 顎を上方向に打ち抜かれたヴィクトリー。だが、踏ん張って見せた。

「この……!」

 クィーンフェアリーはそれでもなお、ヴィクトリーに追撃しにかかった。

「はぁっ!」

 だが、それはルカの乱入によって妨げられる。

「っ!?」

「やぁっ!」

 ルカは、剣をなぎ払った。クィーンフェアリーは、バックして避ける。

「ふふふ……」

 笑いながら指を軽く鳴らすと、また木々からツタが伸びてきて、ルカを打ち据えにかかった。

「がああっ!!」

 迫り来るツタを切りながら、なおもクィーンフェアリーに迫る。

「へぇ……!じゃあ……!」

 クィーンフェアリーは両手にエネルギーを溜め、投げつけた。

「っ!」

 ルカは、間一髪そのエネルギー玉を避けた。それは、彼の後方へ消え、遠くで爆発を起こした。

「くっ!」

「そこ……!」

 クィーンフェアリーはまた体にエネルギーを纏い、ルカの腹に激突した。

「ぐぁっ!」

「あははははっ!」

 そして、彼の体を飛び回りながら何度も攻撃を連打した。

「うぐっ……ぐぐぐ……!!」

 ルカは防御しながら気を高め……そして、消えた。

「はっ!?」

 一撃がすり抜け、驚愕するクィーンフェアリー。そして、その背後にルカが現れた。

「……死剣・乱れ星。」

 そう言って剣を納めると──クィーンフェアリーの体中に無数の斬撃が走った。

「きゃああぁっ!?」

「クィーンフェアリーーーっ!!!」

 ヴィクトリーは、そのクィーンフェアリーを狙うように手をヒュバババッと動かし、突き出した。

「バーニングアタック!!」

 その手から、燃えるようなエネルギーが飛び、クィーンフェアリーに見事直撃した。

「が……がはっ……!」

「はぁっ!」

 ルカはそこにすかさず切り込み、クィーンフェアリーを一閃した。

「そ、そんな……この私が負けるなんて……!!」

 彼女の体が真っ二つになり、その体が消散して蝶の姿に封印された。

「よし、何とか倒したぞ……!」

「まさか、クィーンフェアリーが人間に遅れを取るとは……」

 クィーンエルフはこっちを向き、指をボキボキと鳴らす。

「王女の魔物化はまだ途中ですが、仕方ありませんね。」

 そしてサラから離れ、二人の前に立ちはだかった。

「それでは、私が相手になりましょう。暴力は好みませんが……仕方ありません。」

「まだやんのかよ……飽きねぇ奴……」

「もう、やめないか?あんただって、こんなやり方は間違ってるって分かってる筈だ……」

 ルカが、彼らしくない口調で言う。

「えぇ……おそらく、間違っているでしょうね。過ちを犯しているのは、我々もあなたも同じ事です。しかし……私は魔物で、あなた達は人間。だからこそ、争いは宿命付られているのです。」

「……違う、それだけは絶対に違うよ。僕達人間が不配慮だったのは否定しない……あんた達の苦しみを否定する気もない……だけど、それだけは認めない!人間と魔物が争う宿命なんて、僕は認めない!」

「あなた達人間は、我々魔物を省みなかった……それゆえ、我々も人間を省みません。もはや、認める認めないの次元では無いのですよ。」

「でも、こんな戦いは……!」

「……いや、こっからは戦いじゃねぇよ。」

 ヴィクトリーは、腕を回しながら跳躍する。

「こんな水掛け論、やり合っても無駄だ……あいつはもう何も譲歩する気はねぇ……」

「その通り……話が早くて、助かりますね……」

 クィーンエルフも、構える。

「ぐっ……!」

 人間への怒りと、力を行使するという意志。今のクィーンエルフに、説得は通じない事をルカは悟った。

「我々の怒り、あなた達を蹂躙する事で思い知ってもらいましょ──」

「おらぁっ!!」

 ヴィクトリーはいきなりつっかかり、クィーンエルフの足にローキックを決めた。

「!!?」

 クィーンエルフの足から、鈍い音が鳴る。骨折はしていないが、その足が使い物にならなくなったようだった。

「だあぁっ!!」

 狼狽えるクィーンエルフの頬を、思いっきりぶん殴る。

「……ッッ!!」

 クィーンエルフは倒れそうになったが……何とか踏ん張り、立ち上がって見せた。どうやら、足の破壊は問題にならないようだ。

「……だろうな……このぐらいでダウンが取れるはずがねぇって思ってたよ……」

「……」

 クィーンエルフは、口から出た血を親指で拭った。そして、とびきりの憎悪を込めた目でヴィクトリーを睨みつけた。

「……今ここで、あなたから全てを奪ってから殺す。」

「……怒らせただけみてぇだな……」

「そ、そんな……!」

 クィーンエルフは走り、魔力を込めた手でヴィクトリーの胸に発勁を放った。

「おぐぁっ!?」

「……」

 次の瞬間、クィーンエルフの手が、足が、拳が、足刀がヴィクトリーに連打された。

「がっ……!?」

「ヴィクトリーっ!」

 ルカが見かねて、切りかかる。

「ふんっ!」

 クィーンエルフはヴィクトリーの髪を掴み、彼をルカにぶん投げた。

「ぐあぁっ!?」

「ぐっ……!?」

 二人は木に叩きつけられて倒れたが、すぐさま立ち上がって構えた。

「なるほど……やっぱ強ぇな女王クラスは……わくわくするぜ……!」

「……」

 そう言っている暇も無さそうだ。既に、クィーンエルフはこちらに突進して来ている。

「かめはめ波っ!!」

「だっ!」

 ヴィクトリーがかめはめ波を放ち、クィーンエルフはそれを手ではじき飛ばす。

「はぁっ!」

「だぁっ!」

 ヴィクトリーの顎に、ハイキックが放たれる。それを、ルカの剣が押し止めた。

「ふんっ!」

 そこで彼女は、体を回して廻し蹴りを放つ。

「うわっ!?」

「っ!」

 二人はそれを、ギリギリかわした。彼らの背後にあった木の幹がクィーンエルフの廻し蹴りで抉られる。

「はぁっ!」

 そして、ヴィクトリーに向かってハイキックを放った。

「くっ!」

 それを避け、距離をとる。

「はあぁっ!」

 次に彼女は、ルカに向かって踵落としを放った。

「くっ!」

 彼も、何とかそれを避けて構える。

 偶然にも二人は、左右からクィーンエルフを挟む形をとっていた。

「はぁっ!」

「てやぁっ!」

 ルカとヴィクトリーが、同時に攻撃を仕掛けた。

「ふんっ!」

 クィーンエルフはルカの腹に肘打ちし、ヴィクトリーには足払いをかけた。

「ぐぁっ!」

「うわっ!?」

「はあぁっ!!」

 そして、腕をクロスしてから、二人に突き出す。次の瞬間、凄まじい衝撃波が二人にぶつかった。

「ぐはぁっ!!」

「うわぁあっ!!」

 二人は地面に転がるが、何とか体制を整え着地した。

「くそっ!」

 ヴィクトリーは靴を脱ぎ捨て、素足で地面を踏んだ。

「……靴を脱げば、パワーアップするのですか?」

「うっせぇ!今見せてやるぜ!」

「ここから見せるのが、本当の力だ……!」

 二人は気を全解放し、今の自分の最高状態になった。

「行くぞっ!!」

 最初に踏み込んだのは、ルカだった。踏み込み、瞬剣・疾風迅雷をクィーンエルフに叩き込んだ。

 彼女は揺らぎながらも、踏ん張った。

「くっ!」

「はぁっ!」

 間髪入れずにヴィクトリーの蹴りが、クィーンエルフの顔面に放たれる。だが、それは避けられてしまった。

「へっ……」

「……!?」

 ……いや、足の指でクィーンエルフの耳を掴んだ。そして思いっきり引っ張って、クィーンエルフの顔面に膝蹴りを叩き込んだ。

「ぐぁっ……!!」

「壊斧・大山鳴動ッ!!」

 次にルカは、強烈な一撃をクィーンエルフに放った。

「ふんっ!」

 彼女は間一髪、避けてから、両手にエネルギーを溜めた。

「はあぁーっ!!」

 その手から、フルパワーのエネルギー弾が連射された。

「うっ!」

「くそっ……!」

 キュンキュンと飛び交うエネルギー弾を避けながら、好機を伺う……

「……あったっ!!」

 ヴィクトリーは瞬間移動し、クィーンエルフの背後に回った。

「!?」

「だぁりゃあああーーーっ!!」

 そして、その顔面に強烈な頭突きをくらわせた。

「かはっ……!!」

「はぁああ……!!」

 そこにルカが飛び込み、大きく剣を振り上げた。

「壊斧・大山鳴動ッ!!!」

 揺らいでいるクィーンエルフに、容赦ない強烈な一撃を叩き込んだ。これには流石の彼女も、たまらずダウンした。

「そ、そんな……!!」

 クィーンエルフは何とか立ち上がろうとした。

 だが、ダメージ過多で足はガクガク震え、ついには余力を失って地に膝をついた。

「……決着みてぇだな……」

「……」

 二人の前で、膝をつくクィーンエルフ。もう、これ以上戦えないはずだ……

「あんたは、なぜ人間と話し合おうとしないんだ……?」

「人間ごときと、なぜ話し合いなど……!」

 クィーンエルフはこんな目に合ってもなお、二人を睨みつける。

「……人間ごとき……だってよ。」

「……」

 ……やっぱり、そうか。クィーンエルフが吐露していたのは、紛れもない人間への偏見だった。

「……なんで、人間を理解しようとしないんだ?」

「おめぇら、俺達人間をサルか何かだと思ってんのか?」

「人間風情に、私達の苦しみが分かるとでも言うのですか!?」

「理解を遠ざけているのは、人間を見下すその心だよ。」

「確かに、あんた達も辛かったんだろう……でも、もっと他に解決策があった筈なんだ。こうなった一因は、あんた達が人間を対等に見てなかったからだろう。対等の交渉さえ、あんた達は行おうとしなかった……」

 ヴィクトリーがそう言うが、クィーンエルフは彼を()め上げた。

「その交渉とやらを行ったところで、ヒトは応じたのですか!?あなた達はイリアスの教えに従い、魔物を排斥するのでしょう!」

「違う!僕は、人間と魔物の共存の為に──」

「違いはしません!結局は、他者を力で抑圧する結果に──」

 次の瞬間、互いの言葉はかき消された。突然に現れた異様な妖気により、地面が激しく鳴動したのだ。

「な、なんだ……!?もしかして、あんた達の仲間か……!?」

「なんです、この妖気は……!?まさか、あなたが何を……!?」

「落ち着け二人とも……原因はアレみてぇだ。」

 ヴィクトリーが指した方向……そこには、凄まじい妖気を放っているサラがいた。

「確か、魔物化の儀式の途中だったな……」

「そんな……途中で止めさせた筈なのに、間に合わなかったのか……!?」

「そんな……ありえません!この妖気の凄まじさは、女王クラスに匹敵します……人間が魔物化しても、これほどまでの魔力は……」

 そう呟き、クィーンエルフは眉を潜める。

「まさか、あの王女には強大な妖魔の血が流れていたのでは……それを、私が目覚めさせてしまったとしたら……」

 ここで、ルカは思い出したようにハッとした。

「スフィンクスだ……サラはスフィンクスの血を引いているんだ……!」

「……確か、そうだったっけか……」

 ただ見守る事しか出来ない三人の眼前で、サラの肉体が変貌していく。そして、禍々しい姿となった……

流血表現

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