もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
「よし、魔王城に行こう……!」
いよいよ、最後の目的地に向かう決心が着いた。そこは、僕達の旅の終着点なのである。
「いよいよだな……」
「あぁ……」
四天王の待つ場所、そして旅の終着点。長かったこの旅も、これでいよいよ終わるのだ。
「覚悟はいいな二人とも。魔王城での戦いは、熾烈を極めるぞ。」
「安心しろ、ぜってぇ負けねぇ……負けるわけにはいかねぇんだ……!!」
「最初から覚悟はできてるさ。じゃあ、行くぞ……!」
世界中で暴れ回り、人間達に恐怖を与えている四天王達。しかし彼女とて、決して邪悪な存在ではない。真摯に説得し、そして信頼に足る力を示せば、きっと分かってくれるはず。
今まで彼女達と刃を交えた経験から、ルカはそう確信していたのだった。
こうして勇者一行は、最終目的地である魔王城へと向かったのだった……
そして日が暮れ、おそらく最後の野営。
夕食を終え、アリスとルカは最後の修行に入った。
その頃、ヴィクトリーは……
「……」
風を感じていた。これで最後か……最後になってしまうのか……
終わらせなければならない戦いなのに、まだ続いて欲しいという願望が胸にこみ上げる。
平和になったら、何しよう……そんな事を考えていた時だった。
「〜っ!!?」
アリスと一緒にいたルカの気が爆発したと思ったら、周囲に凄まじい衝撃波が巻き起こり、大地が裂け、冷気や熱気が迸り、疾風が吹き荒れた。
「あ、あいつ……どんな大技を習得したんだ……!?」
ま、負けちゃいられねぇ……!!
時は進み、すっかり深夜。アリスは寝てしまった。
そんな中、ルカとヴィクトリーは二人で空を見上げていた。
「……いよいよ、だな。」
「あぁ……」
遂に、遂に旅の終わりは目の前だ。二人は今までの苦労、楽しかったこと、怒ったこと、考えさせられた事を語り合っていた。夜空の下、男達は眠気を忘れ、談笑していた……
そして、男同士で出る話題と言えば──
「それでさ、どっちが強ぇのかな……俺とおめぇは……」
これだ。
「僕にだって、自信とプライドはあるよ。」
「……」
「……」
二人の間を、沈黙が支配した。
言葉交わさずとも、考えている事は同じだった。これで、最後かも知れないのだ。そろそろ、はっきりと白黒つけなければ……
「……あのさ、魔王城へ突撃する前に最後の実戦訓練しねぇか?」
こんなもの、建前だ。本当は、「決着を付けようぜ。」と言いたい。
「……いいよ。」
ルカは、それに応じた。ヴィクトリーの建前など、既に見切っていた。
二人は立ち上がり、距離を置いて構えた。ヴィクトリーは全力の我流格闘の構えを。ルカは木の棒ではなく、鉄の剣を。
葉が擦れる音、風の吹く音が二人の沈黙の間に響く。
「くっくっくっく……」
「……?」
ヴィクトリーが、笑いを堪えるように漏らした。
「同じだな……あの時と……」
「……そうだな……」
初めて会ったとき、こいつと実戦訓練と称してボコボコと殴りあったっけ……風が、葉が沈黙に響いて……開始の合図は、それが止んだ時──それが、
やがて風は止み、葉のざわめきが収まった時だった。二人はゆっくりと距離を詰め、顔を合わせた。
「……行くぜ。」
「おう。」
その一言が開戦の合図となった。
二人は力という力を全て解放し、全力でぶつかりあった。斬撃と打撃が打ち合い、尚も両者は一歩も退かない。
「だぁああああーっ!!」
「てゃああああーっ!!」
一進一退の超乱打戦。
だが、先に優位になったのはルカだった。ヴィクトリーの顔面を掴み、土の力を込めた膝蹴りで腹を蹴り上げのだ。
「ご、ごふっ……!!」
「うぁああーっ!!」
そして、剣を右へ左へ振り、追撃する。
「ぐ、ぐぐ……!!」
彼はそれをガードし、ルカの懐に入ってから思いっきりアッパーカットをかました。
「っぐ……!!?」
「がぁああっ!!」
足払いをして、すっ転ばせる。
「ふんっ!」
だが彼は一瞬で体制を立て直し、ヴィクトリーに雷鳴突きを放った。
「おっと!」
ヴィクトリーは腕をクロスしてガード、雷鳴突きを受け止めた。そしてルカを突っぱね、至近距離で連続エネルギー弾を放った。
「ぐっ!?」
ルカはそれを剣でガードしながら距離をとる。その隙にヴィクトリーは彼の背後に回り、後ろ回し蹴りを放った。
しかしそれを疾風の動きで躱し、反撃に足払いをかけてすっ転ばせた。
「わっ!?」
「はぁっ!」
転んだヴィクトリーに、剣を振り下ろす。
彼はそれをギリギリで避け、起き上がってから突っ込み、思いっきり足刀を放った。
「くっ!」
ルカはそれを腕で防ぎ、反撃に剣を振る。
「うわっと!」
ヴィクトリーはそれを避け、バク転して距離をとった。そして着地と同時に、手を合わせる。
「かめはめ波っ!!」
そして、かめはめ波を放った。
「うああぁっ!!」
ルカはそれを、剣で弾き飛ばした。
「なにっ!?」
「はぁあああーっ!!」
そして猛ダッシュして、顔面に両足蹴りを打ち込んだ。
ヴィクトリーに両足蹴りを打ち込んだルカは、宙返りする……途中で、彼に足を掴まれた!
「だりゃああーっ!!」
「〜っ!!?」
そして、地面へと思いっきり叩きつけた。
「がはっ……!!」
「だぁあっ!!」
倒れるルカの顔を、踏もうとする。しかし、それは転がって避けられ、反撃の突きで顎を打ち抜かれた。
「ぐっ……!!」
「はぁっ……はぁっ……!!」
この、女が力を持つ世界でぶつかり合う男同士。その戦いが、既に人の領域を超えている事は言うまでもない。
「ようやく……体が温まってきたぜ……」
「うん……僕もだ……ようやく、ウォーミングアップが終わった……」
そしてここからは、人間を超えた領域の限界すら超えた戦いが幕を開けようとしていた。そう、彼らは今、ようやくベストコンディションになったのだ。
「言わなきゃならねぇか……」
「うん……」
「「ここからが、本番だ。」」
ここからが出し惜しみ無し、待った無しの超決戦なのだ。
「10倍界王拳ーっ!!!」
「サラマンダーっ!!!」
二人の気合い闘志が、空まで届く。
「行くぞぉっ!」
「おぉっ!!」
そして灼熱と熱血が今、ぶつかりあった。
「だぁらぁああああーっ!!」
「うぉおおおおおおーっ!!」
疾風のように飛び交う斬撃、拳、突き、足、切返し、払い落としは、もはや常人の眼には見えぬスピードでぶつかり合った。両者は消え、不気味に戦闘音が響く。
「はぁっ!!」
「ふんっ!!」
ルカの刃を、ヴィクトリーが白刃取りした所で戦いは止まった。
「だぁっ!!」
「ぐっ!?」
そしてルカの腹に、重い後蹴りが叩き込まれた。
「がっは……!!」
「どりゃあっ!!」
よろめくルカの顔面を狙い澄まし、思いっきりぶん殴った。
「はぁぁっ!!」
ルカは剣を地面に突き立て、ヴィクトリーを見る。彼は、既にすぐそこまで来ていた。
「ふっ……!!」
ルカはその懐に入り、ヴィクトリーに魔剣・首刈りを放とうとした──
「その技は、既に見切っ……!?」
かと思えば、ルカは足払いをかけてヴィクトリーを宙に浮かせた。
「フェイントっ……!?」
「はぁああーっ!!」
そしてズバズバと切り裂きながら走り、その顔面に両足蹴りを打ち込んだ。
「ぐっはぁ……!!」
「よしっ!」
ヴィクトリーは倒れそうになるが踏みとどまり、宙に浮いてる最中のルカにパンチを放った。
「……ウンディーネ。」
ルカの灼熱が消え、流水の動きが宿る。彼はその拳をゆらりと避け、構えた。
「なっ……!?」
「……」
ルカは流水のような足運びでヴィクトリーの元まで近寄り、斬撃を放った。
「ぐぁあっ!?」
それを完璧なタイミングで防いだが、思いっきりぶっ飛ばされてしまった。
「……っなるほどっ!」
ルカの流水の動きには、理想的なまでの体の弛緩……脱力があった。攻撃に強調されるのはインパクト。威力の要を握るのは脱力だ。
「……」
ルカの突きを、ヴィクトリーは腕をクロスして防御する。だがまたぶっ飛ばされてしまい、全身に響く衝撃で膝をつきそうになる。
「くっそ……!!」
間違いない。この理想的なまでに脱力の成された動きならば、この威力だって頷ける。
「行くぞ……」
ルカは剣を腰に携え、居合い切りの構えに入った。
「おうっ!」
ヴィクトリーはそこに真っ直ぐに突っ込んだ。
「……魔刀・明鏡止水……!!」
ルカは、神速の居合い切りを放った。その居合い切りが当たる寸前にヴィクトリーは消えた。
「えっ……!?」
「だりゃあっ!!」
背後からヴィクトリーがルカの延髄に足刀し、ぶっ飛ばした。
「ぐっ……!!」
なるほど、瞬間移動か。気の察知能力を持っているヴィクトリーならば、この程度を避けるのは造作も無いだろう。
「はぁっ!」
ヴィクトリーは、自分の靴をルカの顔面に飛ばした。
「ふんっ!」
今度はノームの力を解放し、腕で靴をぶっ飛ばした。
「はぁっ!!」
そこに、ヴィクトリーはルカの顔面に後蹴りを放った。
ルカはそれを避ける……だが、ヴィクトリーの足は彼の髪の毛を掴んでいた。
「え……!?」
「ふんっ!」
その足でルカを引っ張り、顔面に膝蹴りを叩き込んだ。
「ぐぁっ……!?」
「はあぁーっ!!」
次にヴィクトリーは足を離し、ルカの腹に前蹴りをかました。
「ぐっ……!!」
もっとだ……もっともっと、気合いを、闘志を、自分の中に確かにある『それ』を燃え滾らせなければ!
「はぁああーっ!!」
サラマンダーの力が引っ込み、土の力が前に出てきた。
「……!!」
ルカの中にいたノームもびっくりしているようだ。
「!?」
「だぁああああああーーーっ!!!」
ヴィクトリーの右ストレートが放たれる。タイミング、スピード、呼吸を全駆動させた完璧な拳が、ルカの胸に叩きつけられた。
しかしルカは一歩も退くことなく、踏ん張った。
「……なんだとっ!?」
「これは……!?」
土の力が極まり、防御力が極大になったらしい。
「なるほど……戦いの中で、強くなっちまったのか……」
「そういう事だ……なぁっ!」
ルカはヴィクトリーの頬をぶん殴った。彼はぶっ飛び、ゴロゴロと転がってから木に激突した。
「ぐっはぁ……!!」
どうやら、その力に土を宿すことにすらも成功しているらしい。
「……だけどよ……戦いの中で強くなれるのは、おめぇだけじゃねぇ……!!」
ヴィクトリーの気がメラメラと燃え上がる。
そう、俺はサイヤ人……紛れもなく……!!
「おりゃあああーーーっ!!!」
「……ッッッ!!?」
ヴィクトリーの拳がルカの腹に埋まる。今度は、ちゃんとダメージが入った。
「がっはぁ……!!」
土の力で受けても、腹筋を貫かれる程の威力。おそらく、ノームの力が無ければ僕は死んでいただろう。
「どりゃああっ!!」
顔面をぶん殴り、ルカをぶっ飛ばす。
「ぐぅっ!!」
ぶっ飛ばされたルカは一回転し、ヴィクトリーに瞬剣・疾風迅雷を放った。
「はぁああーっ!!」
「うぉおおーっ!!」
剣先と拳がぶつかり合い、エネルギーが大地を揺るがした。
「ぐぁあっ!!」
「ぐはぁっ!!」
二人はぶっ飛び、離れる。そして、互いを見つめた。
「……これで、決着だ……!!」
ヴィクトリーは両手を合わせ、フルパワーのエネルギーをその手の中に込めた。
「じゃあ、僕も全力で行かせてもらうぞ……!!」
ルカの中でノームが引っ込み、サラマンダーが出てきた。
「ぐ、ぐ……これは……!?」
サラマンダーもノーム同様、ルカの中の異変に驚く。
「はぁあああ……!!」
ルカの剣に灼熱が宿り、豪炎の熱波が周囲に迸った。
今なら使える。死剣・乱れ星ではなく、あの技を……!かつて、こいつを昏睡状態にまで陥らせたあの超奥義を……!!
「か……め……は……め……!!!」
ヴィクトリーのエネルギーが大地を揺らし、気の嵐が巻き起こる。灼熱と気の嵐がぶつかり合い、凄まじいエネルギーがそこに生み出される。そして、そのエネルギーはこの島全体をも揺るがした。
「波ぁあああああーーーーーッッッ!!!!」
「乱刃・気炎万丈ーーーーーッッッ!!!!!」
二人の技がぶつかり合い、一閃した。気の大爆発が巻き起こり、その一帯はルカとヴィクトリーを残して消し飛んだ。
「……」
「……」
かめはめ波と乱刃・気炎万丈は相殺された。全く同じ
全ての力を使い果たした二人は倒れた。
「……三戦、一敗二分けか……」
先に口を開いたのはヴィクトリーだった。
「それでも、一歩違えば僕が負けてたと思うよ。」
「俺だってそうだよ。」
二人は笑い、夜空を見上げていた。
「……俺達は、この戦いで遥かに強くなった……」
「僕に至っては、新たな力まで発掘した……」
「不安は残るけどな。」
「不安……?」
「おめぇが発掘した精霊の新たな力は、気合と根性さえありゃできる炎と土の力だ……俺の界王拳に一番近い力なんだ。だけど、水と風の力となると気合と根性で何とかなるもんじゃあるめぇ。」
「あ……」
そう言えばそうだ。まだ水と風の力は使いこなせていないのだ。
「だけど……行かなきゃならねぇか。」
「そうだな……」
二人は魔王城を見る。あそこに、四天王が待ち構えているのだ。
「世界で苦しんでいる人間のためにも、魔物のためにも……僕達がやらないといけないんだ……!」
「あぁ……この戦いを無駄にもしないためにも、俺達はぜってぇ負けらんねぇ!」
ヴィクトリーとルカは手を握り、お互いの目を見た。
「……協力してくれるかい?」
「勿論。」
そしてハイタッチを交わし、気合いを入れ直した。戦士達はそれを最後に、決戦に備えた……
流血表現
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もっとする
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このままでいい
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しなくていい