もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
長い旅の果てに、とうとう僕達は辿り着いていた。最後の目的地、そしてこの冒険の終着点──
「あれが、魔王城……」
「……ああ……」
魔王城──その名でイメージしてしまうような、おどろおどろしい雰囲気は全くない。
見たところ、非常に優雅で壮麗な城。ただし、人間の築いた城とは比較するまでもなく巨大だ。
「でけぇな……」
「それ以外は、普通の城なんだな……もっと不気味で、気持ち悪い場所だと思っていたよ。」
「余や配下が居住している城だぞ。なんで、わざわざ気持ち悪くせねばならん?」
……確かに、その通り。魔物の居城と言われて、不気味な場所を想像してしまう……そんな種族的偏見を持っている自分を、あらためて思い知った。
「さぁ、乗り込むぞ。準備はいいか、二人とも……?」
「俺はいつでもOKだ。」
「いや……余が同伴するのは、ここまでだ。余は魔王で、ここは魔王城。立場上、乗り込んできた勇者に同伴するわけにはいかんのだ。」
「確かに、そうだよな。じゃあ、僕達は二人で乗り込んでくるよ。」
「ではな、二人とも……」
アリスは背を向けた。
「勇者としての務めを果たせ、どんなに辛いことがあってもな……」
「え?あ、ああ……」
「……」
そしてアリスは消えた。あらためて僕達は、魔王城へと向き直した。
「……よし、行くぞ!」
「おっしゃあっ!!」
そこで待っているのは、魔王麾下の最高幹部である四天王。たまもやアルマエルマに、人間を害さないよう説得するために……エルベティエに、新たな共存の道を提示するために……そして、グランベリアの挑戦を受けるために……
様々な想いを抱え、二人はいよいよ魔王城に踏み込んだのだった。
「ひゃああ〜……本当に広いなぁ……」
「道はこっちで合ってるのか?」
とりあえず、一番広い道を直進する二人。大して入り組んだ構造ではないので、迷うような心配は無さそうだが……
「ほら、さっそくエンカウントしたみたいだぜ。」
「だな……!」
道を塞ぐように、一体の妖魔が立ち塞がった。
「これ以上は進ませないわよ、美味しそうなボウヤ達……」
道を塞いだ魔物は、妖艶な笑みを浮かべる。
「エルダーサキュバスか……」
「なら、ルカの専門だな。」
「なんで!?」
とりあえず、ここは僕が出る。
「抵抗しないなら、楽にイカせてあげるわ。この私が、気持ちよく天国に導いてあげる……」
「悪いけど、無理にでも押し通る!」
剣を抜き、エルダーサキュバスに向かって構えた。
「あら、抵抗する気なのね……私は、サキュバスの中でも最上位のクラス。その力、存分に思い知りなさい……私に吸わ」
ルカが土の力を解放し、エルダーサキュバスの腹に後蹴りを放った。「ドムッ」と直撃した後蹴りで、彼女はぶっ飛んだ。
「ぐっはぁ……!?」
「戦いは……始まってるんだぞ!」
跳び上がり、兜割りで追撃する。だがエルダーサキュバスは躱し、ルカの股間に手を添えた。
「わっ!?」
飛び退き、何とか快楽攻撃を避ける。
「あはっ!」
エルダーサキュバスはルカの背後に現れ、抱きしめてきた。
「わぁっ……!」
「うふふ……」
豊満な感触が触れ、身悶えする。
「ぺろっ……」
「ひゃっ……!」
更に耳を舐められ、体が震えてしまう。
まずい、このままでは……!
「だっ!」
「いっ!?」
ルカはエルダーサキュバスの顔面に後頭部を叩きつける。続いて肘を腹に叩きつけ、彼女から離れた。
「が、がふっ……!」
「大地の力をこの剣に……壊斧・大山鳴動ッ!!」
壊斧・大山鳴動を放ち、その身体をを真っ二つにした。
「そ、そんな……!!」
彼女の体が消散し、コウモリの姿に封印された。
「ふぅ……」
「最後のダンジョンの敵となると、ちょっと手ごわいらしいな……」
「そうだな……」
二人は気合いを入れ直し、先へと進むのだった……
「こっちでいいのかな……」
「四天王のやつ、気を消してやがる……」
手探りで場内を探索しながら二人は会話する。
「四天王のみんなは何処に居るんだろうな……ひとまとめでかかってくれたらいいけど、バラバラに居るとなると厄介だな……」
「あぁ、そうだな……」
「……それは、いらぬ心配よ。あの方々は、城の最奥でヌシ達を待っておるわ。」
いきなり、背後から声が聞こえた。
「なっ!?」
「誰だっ!」
振り返ると、そこには八本の尾を持った妖狐が居た。
「おめぇ、気を消してやがったな……」
声をかけられるまで、全く気付かなかった。
こいつ、かなりできる……!
「妾は八尾……たまも様の右腕にして、妖狐族最強の戦士じゃ。無論、たまも様を除いての事じゃが……」
「へぇ……」
「八本の尾か……」
妖狐は、尻尾の数が多いほど強い魔力を誇るという。八尾という尻尾の数からして、高い実力が覗える。そして、両手は大きな獣の手……おそらく、パワーも高いだろう。
「おっしゃ、俺の番だな……!」
「ふふ、妾の性技に溺れるがよい。ヌシの子種、存分に搾ってくれようぞ……」
「……ちっ!」
不意打ちが、出来なかった。どう打とうと、返されるのが目に見えていたからだ。
「はぁっ!」
ヴィクトリーは走り、跳んで八尾の顔面に踵落としを放った。
「そりゃっ!」
彼女はそれを、獣族特有の怪力で、はたき落とした。
「ぎゃっ!」
ヴィクトリーは倒れたが、すぐさま体制を整えて立ち上がる。
「ゆくぞっ!」
「くっ!」
二人の格闘が乱打し、打ち合いが始まる。
「だぁっ!」
「そぉいっ!」
「おらぁっ!」
「がぁっ!」
打って、打たれ、打って、打たれ、二人は距離をとった。
「や、やるな……!」
「あんたこそ……!」
「だが、これでどうじゃ!?」
八尾の八つの尾が揺らめき、ヴィクトリーの方を向く。
「八つの月、受けてみよ!」
そして、一直線に迫ってきた。
「くっ!」
その全てを避けきり、八尾を見る。
「はぁっ!」
「くそっ!」
そこに彼女がタックルしてきて、思いっきりぶっ飛ばされた。
「はぁっ!」
直撃を許し、ゴロゴロと転がってしまう。しかし彼は冷静に地面に指を突き立てて体勢を整える。そうして腰を落として踏ん張ってから、両手に気を溜め、エネルギー弾を連射した。
「ふふん……」
八尾は指先から鬼火を出し、エネルギー弾の一発に当てた。するとエネルギー弾が爆ぜ、その他のエネルギー弾も誘爆した。
「くそ……!」
「ほれほれ!ゆくぞゆくぞ!」
八尾は鬼火をお手玉のようにぽんぽんと生み出し、ぶん投げてきた。
「はぁっ!」
彼は、それを手刀で弾き飛ばす。
「踊れ踊れぇいっ!」
八尾は続いて、それを連射した。
「あだだだだだだだだ……!!!」
それを次々に弾き飛ばし、最後の一個も弾いて八尾の方を見る。しかし、彼女はいなかった。
「なにっ!?」
「お見事!」
彼女は彼の背後に現れ、大きく手を広げた。
「そいっ!」
「くっ!」
捕まる寸前に、ヴィクトリーは彼女の背後に瞬間移動した。
「なっ!?」
「どりゃああーっ!」
振り向きざまの顔面を、思いっきりぶん殴った。
「ぐぉおっ……!!」
「はぁあああ……!!」
ぶっ飛ばされる彼女に追いつき、ボディーブローをかました。
「ごっふ……!?」
「あだだだだだだだ!!!」
そして何度もボディにパンチを連打し、腕を掴んでグルグルぶん回してから、ぶん投げた。
「ぬ、ぬぅ……!?」
「トドメだ……!!」
ヴィクトリーは、ヒュバババッと手を動かしてから前に突き出し、バーニングアタックを放った。
「なっ……!?この妾が、不覚をとるなど……!」
そのバーニングアタックに直撃し、大爆発がまきおこる。それで、八尾は倒れた。
「ふぅ……次から次へと、強敵ばっかだな……」
「ここからも、戦いは続くよ。」
そう、この先にはこの戦いとはレベルの違う戦いが待ち構えているのだ。
「そうだな……よぉっし!!」
ヴィクトリーは気合いを入れ直し、進んだ……
魔王城、最奥……
「むむぅ……八尾までも倒されてしまったようじゃの。あの二人、随分とやるようになったわい。」
たまもが、水晶で魔王城に乗り込んできた二人を見ていた。
「あれだけひ弱そうだった二人も、腕を上げたようね……」
アルマエルマはたまもと並んで、水晶を覗き込んでいた。
「どうでもいいわ……挑んでくるなら、潰すのみよ……」
エルベティエは水晶を見ずに、そこら辺に座っていた。
「……」
グランベリアは、立ちながら目を瞑っている。
「……さて、私達はどうするのかしら?多分二人とも、ここまでやって来るわよ。」
「ウチは、それでも構わんぞ。いっぱい遊んでやりたいからのう……」
「勇者をそのまま通すなんて、魔王様の名にドロがつくわ……」
「じゃあ、『アレ』を動かしてみようかのう?」
たまもの言葉に、四天王は『むっ?』という反応を示す。
「アレって……まだ生きてるの?」
「一応、動くはずじゃぞ……たぶん。やってみるか?」
「ふふっ、面白そうじゃない……」
「勇者をすんなり通す必要はない……アレの餌食にしてしまうべきね……」
「じゃあ、いっちょやってみるのじゃ!」
たまもは腰を上げ、走っていった。
そう、アレとやらの起動に向かっていったのだ。
ここでグランベリアが目を開けた。
「……私の元まで挑みに来い、ルカ……!!」
そう言って、待った。
来るであろう戦士達を、そして決着の勝負の時を……
その頃、勇者一行達……
「うわぁ、広い部屋だな……」
「ひゃ〜……見ろよルカ、天井があんな所まであるぜ……」
広い部屋の真ん中を歩きながら、天井を見る。そこは、ルカの家二軒分ほどの高さにあった。
「……そろそろ、再奥が近いのか?」
「かもな……」
二人が目線を周囲に向けた時だった。不意に、背筋にぞわりと悪寒が走った。
「……っ!?」
「な、なんだ……!?」
そう遠くない何処かから、とんでもない気を感じた。凄まじい力を持った魔物が、この魔王城のどこかに居るのだ……
「近づいてくるみたいだな……こいつはいったい……」
「わ、分かんねぇ……ただ、とんでもねぇ奴が来るのは確かだ!」
背中を合わせ、構える。そして周囲に気を張り巡らせ、警戒した時だった。
柱の陰に、人影のようなものが見えた。こいつが、凄まじい気の正体か……!?
「誰だっ!?」
「で、出てこい!」
二人そこに向かい、臨戦態勢をとった。
「わわっ……み、見つかっちゃった……!」
そいつは、柱の陰から姿を現した……
流血表現
-
もっとする
-
このままでいい
-
しなくていい