もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
ルカがアルマエルマを倒し、続いてヴィクトリーもたまもを倒した。そこに乱入したエルベティエを叩き伏せ、彼はルカに変わり……
ルカは、グランべリアと対峙した。
「……」
グランべリアは静かに歩み寄り、正面にある巨大な扉の前に立ちはだかる。
「この奥は、魔王様の間だが……知っての通り、アリスフィーズ様はそこにはおられない。よって……私を倒せば、お前達は目的を果たした事になるのだ。」
「ああ……これが、最後の勝負だ!」
この戦いに勝てば、僕達の冒険は終わる。四天王全員から理解を得て、人間側に危害を加えることはなくなる。それは、人と魔物の共存に向かう大きな一歩となるはずだ。
「……やるのか、二人とも……」
ヴィクトリーが、二人に声をかける。
「手出しは無用だ……」
「まぁ、見ていろ……」
二人は剣を抜き、構えた。
「最後の勝負だ、グランべリア……!僕が勝ったら、人間を苦しめるような事はやめてもらう!」
「ああ、全力で来い!お前の全てを、私に見せるがいい!」
「言われなくても見せてやる……!ここまでの戦いで身につけた、僕の全てを!」
ルカは、まず風の力を解放する。
「なるほど、それが疾風の動きか……だがっ!!」
グランべリアは雷鳴のように踏み込み、鋭い突きを繰り出した。ルカは回避が遅れ、それに直撃する。
「がはっ……!!」
「確かに、速さは凄まじい……が、所詮は人間が制御している動作。お前の心の流れを掴めば、風の動きとて制することは容易い!」
グランべリアの凄まじい戦いのセンス。風の動きすら、圧倒するなんて……
「他の精霊の力も見せてもらおうか……」
「言われなくても……!!」
ルカの筋肉がボンッと張り、土の力が宿る。
「かぁああ……!」
「ふんっ!!」
グランべリアは剣をルカの頭に振り下ろした。ルカはそれをガードしたが……
「うぐぁあっ!!?」
ガードしても、跪いてしまう程の威力。
「ぐぐぐ……!!」
極まった大地の力でさえ、グランべリアの剣を鈍らせるのが精一杯のようだ。
「じゃあ、こいつはどうだ……!」
ルカはウンディーネを呼び出し、心を水に委ねた。
「ほう、明鏡止水か……この短期間でその領域までたどり着けたのは見事。だがっ!!」
グランべリアの魔剣・首刈りが直撃し、ルカは天井にすっ飛ばされた。
「ぐはっ……!!」
「お前の明鏡止水には、まだ曇りがあるようだな……」
ルカは何とか着地し、遂にサラマンダーの力を解放した。
「懐かしいな、その煉獄の魔技……」
「ぶつけてやる……!!この僕の、最高奥義を!!」
「ふん……来いっ!!」
二人は、気を解放した。
「乱刃・気炎万丈ッ!!」
「死剣・乱れ星ッ!!」
ルカの乱刃・気炎万丈とグランべリアの死剣・乱れ星がぶつかりあい、そして相殺された。
「そ、そんな……!!」
死剣・乱れ星は乱刃・気炎万丈の下位互換の技の筈だ。まさか、完全に相殺されるなんて……
「やはり、所詮は借り物の技のようだな。……しかし、決して未熟とは言うまい。劣化コピーとはいえ、私の最強奥義を模倣したのだ。そこまで出来る人間の剣士は、世界でもお前ぐらいだろう……」
「……」
それでも、本家本元に及ばなければなんの意味もない。グランべリアはあまりにも強く、あまりにも圧倒的だった……
「……精霊の力、全て見せてもらった。妖魔と比べ肉体能力で劣る人間が、その優位を埋めるべく修めた力……いにしえの勇者ハインリヒも、大した技能を編み出したものよ。誇っていいぞ、ルカ。人の身でありながら、そこまで力を極めた自分自身をな。」
ルカは拳を握って、グランべリアを睨んだ。
「戦いに負けて、誇る事なんてない!僕は、勝つためにここへ来たんだ!」
「ふ……もっともな事だ。しかし、今のお前では私に勝てはしない!」
「ぐっ……!」
それでも、まだグランべリアには届かない。もう、ここまでか……
「バッキャロー!諦めるなーっ!!」
そこで、ヴィクトリーが声をかけてくれた。
「ルカーっ!!おめぇの水の力とやらはまだ極まってねぇ!まだ望みはある筈だーっ!!」
「水の力……そうか……僕の明鏡止水には、まだ曇りがあるんだ……」
「その通り。同じ明鏡止水でも、私とお前では大きな差がある。その心、更に研ぎ澄まさなければ私には勝てまい!」
「……」
僕の中のウンディーネも、飛び出してきた。
「……ここで負ければ、あなたの望みは露と消える。今まで戦ってきた意味も、全て消え去る。」
「ああ……だから、僕は勝つ。絶対に勝たなきゃいけないんだ……!!」
「ならば、もう一度私を呼びなさい。その信念の強さが、心を研ぎ澄ませる。あなたが強く念じれば念じるほど、その心から曇りは消え失せる。その時こそ、明鏡止水の極みに到達するわ……」
「……あぁ!」
ルカはウンディーネの力を解放し、心を鎮めた……
「……」
様々な思いが、力となり……その力が研ぎ澄まされていって……そして、遂にたどり着いた。明鏡止水の極みへ……
「……おおっ!」
ルカからは、一切の気が感じられなくなった。遂に、極まったようだ……
「これが、明鏡止水の極み……」
僕は、驚くほど静かな水の流れにいた。まるで、じんわりと閉じていく時間の中にいるようだ。おそらく、グランべリアもこの領域にいる。同じステージに立てたのだと、確かに実感できる……
「ふふ……ここからが、本番というわけか……いいだろう!その手並み、見せてみろ!」
「ああ……言われなくても、見せてやる……!」
二人は走り寄り、剣をぶつけ合った。
「やぁっ!」
「がぁっ!」
剣が激しくぶつかり合い、火花を散らす。互いの剣が頬に掠り、距離をとった。
「がぁあっ!!」
グランべリアの疾風血裂雷鳴突きが、ルカに迫る。彼はそれを凌ぎ、身を回して彼女を切り上げた。
「ぐっ!?」
彼女のガードが崩れ、ボディが空いた。
「そこだぁっ!!」
がら空きのボディに、ルカの瞬剣・疾風迅雷が叩き込まれ、彼女はぶっ飛んだ。
「がはぁっ……!!」
彼女は剣を床に突き立て、着地する。
「だがっ……!!」
そして剣で床を削りながら迫った。その摩擦か、あるいはグランベリアの魔力か、剣が発火し、その剣でルカを切り上げた。
「ぐあぁっ!!」
「そこだぁっ!!」
浮かぶ身体を見据え、気を解放してから、その体を十文字切りした。
「ぐっはぁ……!!」
ルカは大ダメージを負って、ダウンしてしまう……が、すぐさま立ち上がった。
「そうでなくては……面白くないっ!!」
グランべリアは剣を腰に携え、魔刀・明鏡止水を放った。
「はぁっ!!」
ルカはそれを刃で受け止め、力を込めて突っぱねた。
「なにっ!?」
「てゃあっ!!」
そして、その手を切り上げた。彼女の手から剣が離れ、巨剣が後方に突き刺さる。
「……ふふ……考えたな……!」
「はぁっ!」
ルカは、そのグランべリアに突きを放った。
「はぁっ!」
彼女は合気で彼の体を持ち上げ、後方へと投げ飛ばした。
「ぐぁあっ!?」
「……私が、剣を振ることしか出来んと思ったか?」
グランべリアはそう言いながら、軽快なフットワークでステップを踏み、突進してくる。
「くっ!?」
グランべリアの接近が速く、あっさりと僕の眼前まで来てしまった。
「はぁっ!」
彼女はルカの髪を掴み、そして顔面を床に叩きつけた。
「ぐぶぁっ!?」
「終わったな……」
立ち上がろうとするルカの横っ腹を、蹴り飛ばした。
「ぐぁあっ!!」
ルカはまたダウンしてしまうが、すぐさま立ち上がった。
「くっ!」
「はぁっ!」
グランべリアは既に眼前に迫り、顔面を掴みにかかってくる。
「ぐっ!!」
ルカはその手を弾いて、彼女の顎を蹴り上げた。
「っ!?」
「はぁああっ!!」
そして、上を向いた顔面に向かって剣を振り下ろした。
「ぐっ!!」
グランべリアはその剣を白刃取りし、弾き返そうと力を込めた。
「がぁああ……!!」
「はぁああ……!!」
二人の力が押し合い、剣からは火花が散る。
「がぁっ!!」
ここで、ルカが一気に力を込める。それによって刃は彼女の手をすり抜けて、その体をぶった斬った。
「ぐぁあっ!!」
グランべリアはよろめいてから、笑いながらルカを見た。
「いいぞ、ルカ……!」
そう言いながら巨剣を取り、構えた。
「す、すげぇ……!!あのグランべリアと渡ってやがる!!」
「おったのか……あのグランべリアと、剣技でぶつかり合える人間が……」
「ルカちゃん、本当に強くなっちゃったわね……」
ヴィクトリーや四天王達も、ルカの成長に驚嘆する。
「か、勝っちまうぜ、ルカのやつ……!!」
「がぁああっ!!」
「はぁああっ!!」
ルカとグランべリアはまたぶつかり合い、凄まじい猛攻が繰り広げられた。
「はぁっ!」
グランべリアのなぎ払いが、胴を斬る。
「がぁっ!!」
ルカの切り上げが、顔を斬る。
「そこだっ!!」
グランべリアは剣を振り上げ、逆袈裟切りにした。
「どりゃあっ!!」
ルカはグランべリアに足払いをかけて、その体を半回転させた。
「なっ!?」
「はぁあああーっ!!」
そしてその足を掴んでぶん投げ、走りながら何度も彼女を切った。
「ぐぁあああ……っ!!」
「だぁああーーーっ!!」
そして、トドメといわんばかりに顔面に両足蹴りを放ち、蹴り飛ばした。
「が、がはっ……!!」
グランべリアはルカの猛攻に耐えかね、遂にダウンした。
「や、やった……!!」
遂に、遂にグランべリアが僕の前に倒れ伏した!
身の丈を超える達成感を抑えきれず、思わずガッツポーズを取ってしまった。
「……はぁああーっ!!」
グランべリアは、気を解放しながら立ち上がった。
「……そろそろ、小競り合いにも飽きた。ここは、大技で決着をつけるとしよう。」
「……」
小競り合いといっても、僕の方は必死だった訳だが。
「互いに最強の奥義を繰り出し、立っていた方の勝利……それこそ、この戦いの決着にふさわしいと思わんか?」
「ああ……望むところだ!」
僕は、乱刃・気炎万丈の構えをとった。決着は、同じ技をぶつけ合うのだ……
「……いや、それは違うな。私が見たところ、お前はなんらかの奥義を隠している。」
「ああ……でも、あれは……」
カドラプル・ギガは、あまりにも隙が大きすぎる。どう控えめに見ても、実戦で使える技ではないのだ。
「……あれは、今の僕じゃ使いこなせない。準備を整えるのに、時間がかかるから……」
「構わん、それでいい。」
グランべリアは剣を構え直した。
「互いに、これが最後の一撃だ。さぁ、お前の奥義を見せてみろ!」
「だったら、見せてやる……!!僕の中の全てを込めた一撃を……!!!」
ルカは剣を掲げ、まず風の力を込めた!
「……その風の力を、直接ぶつけるという技か……?……いや、それだけではないようだな。」
「来い、ノーム……!」
ルカの剣に土の力が宿った。
「土の力まで……?しかも、まだ終わりではないのか……?」
「来い、ウンディーネ……!」
ルカの剣に水の力が宿った。
「なるほど、そういう技か……」
「……」
今の内に、攻撃をすれば間違いなくグランべリアの勝ちだ。だがグランべリアは、自分の最高の技で僕のこの技を破ろうとしている。
やたら時間がかかるこの技……のんびり待ってくれる相手など居るはずが無いと踏んでいたが、本当に待ってくれる奴がいたなんて……
「来い、サラマンダー……!」
ルカの剣に火の力が宿った。
ルカの剣からはおびただしいほどのエネルギーが宿り、この城を震わせていた。
「準備が整ったようだな……」
「ああ……」
思わず礼を言おうとしたが、とどまった。互いの最強技で決着を付けるため、絶大な隙を見逃してくれたグランべリア。その感謝に応えるには、この究極奥義を悔いのない形で見せるしかない……!!
「行くぞ、グランべリア!!」
「来い、ルカっ!!」
二人は一歩踏み出し、自分の最強技を放った。
「乱刃・気炎万丈ォオオオーーーッッッ!!!」
「カドラプル・ギガァアアーーーッッッ!!!!」
二人の技がぶつかり合い、凄まじいエネルギーが膨張して、極大的な大爆発が巻き起こった。
次の瞬間、カドラプル・ギガが乱刃・気炎万丈を消し飛ばし、全てを砕く力がグランべリアに叩きつけられた。
「見事……!」
グランべリアはボロボロになりながら、倒れ伏した。
「……や、やった……!!やった、やったぁああーーっ!!」
「僕が……勝った……?」
勝利の喜びが湧き上がるどころか、呆然としてしまう。
目の前で、あのグランべリアが倒れ伏している……その姿が、夢か幻に見えてしまう。
「ああ……確かに、私の負けだ。実に、見事な技だった……」
そのままグランべリアはフラフラと立ち上がり、息を吐いた。封印にまでは至らなかったものの、もはや戦意は残っていないようだ。
これで、グランべリアを倒した……となると……
「やったぞルカーっ!!とうとう、四天王をぶっ倒しちまった!」
「あぁ……!!」
ヴィクトリーとルカはハイタッチし、居並ぶ四天王の姿を見回した。
アルマエルマは涼しい顔、たまもはにこにこと微笑み、エルベティエは不機嫌そうな顔……これで、僕達は全ての四天王を倒したのだ。
「じゃあ……約束通り、これ以上人間を苦しめないでくれ。その代わり、人間にも魔物を苦しめるようなことはやめさせるから……」
「俺からも頼むぜ。」
「……戦士に二言はない。」
「ええ……分かったわ。でも、コロシアムに出るのは構わないわよねぇ?」
「ウチは、最初から人間と仲良しじゃ!」
「人間から迷惑を掛けてきたら、ひどい目に遭わせるから……」
四天王達も、僕達も握手を交わす。
「よし、じゃあルカっ!」
「ああ!これからは……」
その時だった。
周囲を圧倒するほど強大な魔力が、不意に地面を揺るがした。
「な、なんだ……!?」
「……この気は……っ!!」
ヴィクトリーはそう言いながら、扉を見た。
彼が見た扉の向こう……魔王の間に、とてつもない力の持ち主が現れたのだ。
「この魔力は……魔王様?」
「アリスフィーズ様!?いらっしゃったのか……!?」
突然の事態に、驚愕の表情を浮かべる四天王達。
いったいなぜ、アリスがあらためて魔王城に……!?
その時だった……扉の奥から、仰々しいアリスの声が聞こえてきた。
「よくぞ四天王を倒した、ルカとヴィクトリー……いや、勇者一行よ。さぁ、余のもとに来るがいい!万物の魔王を統べる、魔王のもとへ!」
「アリス……!?どうしちまったんだ……!?」
「な、何を言ってるんだよ……!アリス……!」
四天王達が背にしていた巨大な扉が、ゆっくりと開く。まるで、魔王の間に僕達を迎えるように……
「アリス……!」
先に走り出したのは、ルカだった。
「あっ、待てルカぁっ!」
ヴィクトリーはそのルカを追うように、走り出す。
「ま、待つのじゃ二人とも!」
制止するたまもの声は、二人の耳には入らなかった。
そのまま二人は、魔王の間に駆け込んだのだった……
流血表現
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もっとする
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このままでいい
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しなくていい