もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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外伝:早すぎた覚醒2

 アリスとの激闘の最中、ルカは倒れた。そして魔王の間には結界が張られ、外部とは隔絶されてしまったのだ。

 自分の無力を嘆くヴィクトリーは、超サイヤ人へと覚醒した。そして、アリスを圧倒したが……

「この結界内にあるもの全てを消す!!!」

 追い詰められたアリスは、この魔王の間の全てを消し去ろうとした。

「しまったぁ!!!」

「吹っ飛べ……!!!!」

 ヴィクトリーが超サイヤ人になった事により追い詰められたアリスは、全てを消し去った……かに思われた……

 

「く……!!!」

「……!!!」

 ヴィクトリー達は消えていなかった。アリス、ヴィクトリー……そして、ルカも居る。

 床の殆どが吹っ飛ばされただけであった。どうやら威力が全てを消し去るのには不十分だったらしい。

「……失敗したなアリスフィーズ。おめぇは死の恐怖を恐れてパワーを抑えすぎちまったようだ。おかげで俺は命拾いしたがな……」

「……命拾いだと……?ふっ……はははははは!こんな所でも能天気なのだな、武道家……」

「……!?」

 見ると、結界がほんのり赤くなっている。そして、空気が張り詰めてきた。どう考えてもマズイ雰囲気が、結界内に走っているのだ。この結界内に、何か起ころうとしている……絶望的な何かが──

「この結界の禁術式を発動させた……残り五分で、この結界の中は消し飛び、全てがチリになる……」

「なに!?」

 ヴィクトリーは驚いたが……ニヤリと笑った。

「なんだよ、タイムリミットが付いただけかよ……五分もあれば充分だ。おめぇを倒し、ここから脱出する。」

「……脱出は不可能と、何度言わせるつもりだ……?」

 アリスは気を溜める体制になり、ヴィクトリーの方に向いた。

「こうなれば見せてやろう!魔王である余の真のパワーを!!」

 アリスの気が爆発し、おぞましい魔力が全身に纏わりつく。

「がぁあああああ……!!」

 アリスのおぞましい魔力が跳ね上がり、辺りに凄まじいエネルギーが溢れる。

 その時だった。

「やめるのじゃ魔王様!!フルパワーを出してはならん!!」

 たまもの声が響いた。結界が特殊な状態になった事で、とりあえず外界の気が感じられるようになっていた。

「たまも……!?あんた、どうやって話してる!?」

「お主たちの脳内に直接話しかけておる!!他の四天王はこの結界の解除に専念させている!だからヴィクトリー、今すぐそれをやめさせるのじゃ!!取り返しのつかん事になるぞ!!」

「はぁあああ……!!!」

 見ると、アリスのパワーが凄まじく高まっている事が感じられた。

「ちっ!!」

 ヴィクトリーは突進しようと、踏み込んだ時だった。

「がぁっ!!!」

 アリスは両手を突き出し、彼を気合でぶっ飛ばした。

「ち……!!」

 ぶっ飛びながら体制を整え、何とか彼女の方に向く。

「驚いたか……!?今のでざっと余の70%の力だ!そして……次に見せるのがお待ちかねの100%だ!!!」

「……」

 ヴィクトリーは鼻血を拭いながら、全力になろうとする魔王を見る。

「なぜ今になって、フルパワーを……?分かっているぞ。それを使うとお前の体がもたないからだ……」

「そ、その通りじゃ!!だからやめさせるのじゃ!!魔王様を止めるのじゃ!!」

 たまもの訴えに対し、ヴィクトリーは止まったまんまだった。

「……気が膨れ上がって充実していく……遂に、フルパワーのお出ましか……」

 そう呟きながら、ただアリスの術を見つめるだけだった。

「な、何をしておる!?早くやめさせるのじゃ!!聞こえんのか!?」

「……」

「ヴィクトリーっ!!ウチの声が聞こえない筈が無かろう!!早く……」

「聞こえてるよ、たまも……」

 脳内に響くたまもの声に、ようやく反応するヴィクトリー。しかし、次の言葉は意外なものだった。

「こんなチャンスは二度とねぇんだ……魔物の中の頂点のフルパワーを拝見するチャンスはな……」

「な、なに……!?ヴィクトリー、お主は自分の言っている事が分かっているのか!?」

「アリスフィーズ16世との本気の戦い……そして、勝つ!」

 たまもの横から、アルマエルマが割り込んでくる。

「ヴィクトリーちゃん!!これは試合なんかじゃないのよ!!ヴィクトリーちゃん!!ヴィクトリーッッ!!!」

「ルカのカタキを討つんだ!!!!」

 ヴィクトリーはアルマエルマの声を遮り、そう叫んだ。

「ルカはいいヤツだった……俺がこの世界に来てから、一番初めに出来た友達だったんだ……こんな所に閉じ込めて、失神するまで凌辱しやがって……!!!!」

「……だったら、わざわざ魔王様がフルパワーになるのを、待つ必要なんて無いのに……なんで……」

 ヴィクトリーはアルマエルマの声を聞き流し、アリスの方を見た。

「がぁあああああ……!!!」

 彼女はもう、九割近くパワーを解放しているようだ。フルパワーになるのも、もうすぐだろう。

「……アリスフィーズ……貴様がフルパワーになるのを待っているのは……最高の貴様を叩きのめしたいからだ……戦士として悔いのないようにな……貴様だって、俺にやられるんだったら本望な筈だろう?じゃなかったら例のアレを自分に撃って終わりにしてるはずだ……」

「……くっくっくっく……!!!」

 外界では、四天王が結界解除を頑張っているらしい。

「……ヴィクトリーちゃん……」

 アルマエルマの肩を、たまもがぽんと叩く。

「……奴はもうヴィクトリーではない。怒りの戦士、スーパーサイヤ人じゃ……」

 ……何だか、そんな会話が聞こえた気がした。

「はぁああああーーーッッ!!!」

 アリスの気と魔力が、爆発した。

「……これが余のフルパワーだ……!!!」

 アリスの全身の筋肉が盛り上がり、凄まじいパワーが宿ったと思える。放たれている気も今までとは段違いで、凶悪で邪悪な、凄まじい気だった。

「待ってたぜ……」

 二人は構え、対峙した。

「時間がねぇんだ……とっととカタをつけようぜ……」

「余のフルパワーで決着をつけてやる……一分、いや三十秒でな……!!」

 二人はぶつかり合い……最初にヒットさせたのはアリスだった。

「ぐっう……!!?」

 腹へのパンチが埋まり、ヴィクトリーは悶絶する。

「がぁっ!!」

 そして尻尾で全身を巻き付け、彼を拘束した。

「うわ……!!?」

「だだだだだだだぁ!!!」

 そこに拳を乱打させ、最後に顔面をぶん殴った。

「ぐっはぁ……!!?」

「ふんっ!!」

 尻尾から彼を解放し、また尻尾でぶっ飛ばす。こうして彼は、壁に叩きつけられた。

「はぁあああああああ!!!」

 アリスはそこに高速移動し、尻尾と拳で乱打した。

「はぁ……はぁ……どうだ武道家!!今のは、ほんの準備運動だぞ!!」

 彼それを聞き、壁から抜け出しながら、ニヤリと笑う。

「……だろうな……そんな程度だったらガッカリしてたぜ……」

「……!!」

 ヴィクトリーは、アリスの胸に正拳突きをした。

「ごっ……!!?」

 彼女の胸がメキメキと音を立て、ダメージが刻まれる。

「究極龍翔拳ーっ!!!」

 更に思いっきりアッパーカットして、天井近くにまでぶっ飛ばした。

「がっ……はぁあ……!!!」

 胸が拳で抉られ、顎には脳天を貫通するような衝撃が駆け巡る。

「うぉおおっ!!!」

 そんな彼女の正面に高速移動し、拳にエネルギーを込めて思いっきりぶん殴った。彼女はぶん殴られ、思いっきり柱に叩きつけられ、瓦礫に埋もれてしまった。

「がぁあーっ!!!」

 しかし気を爆発させて瓦礫を吹っ飛ばし、腕をクロスさせてから、手を向けた。

「凍てつけ!!この世界と共にな!!」

 そして、大気をも凍らせるような冷気が圧縮したエネルギー弾を放った。

「だったら俺もっ!!バーニングアターック!!」

 ヴィクトリーはそれに、熱量を込めた気弾をぶつけた。

 冷気と熱気がぶつかり合い、相殺された。

「なにっ!?」

「うぉあぁーっ!!」

 ヴィクトリーがアリスの所に飛び、その顔面をぶん殴った。

「ぐぅっ!!」

 彼女は踏みとどまり、殴り返す。

「おらぁっ!!」

 彼は反撃に、脇腹に思いっきりパンチした。

「がぁっ!!」

 彼女は彼の頭を掴み、頭突きした。

「だぁああっ!!!」

「がぁああっ!!!」

 互いの拳がぶつかり合い、衝撃が魔王の間に波動した。

「なるほどな……!!確かに強いな……スーパーサイヤ人……!!!」

「ぐっ……!!!」

 二人は拳を離し、距離をとった。

「……この部屋の寿命も、残りは三分弱といった所だ……焦るだろう?スーパーサイヤ人……」

「……」

 アリスは思いついたような顔をして、また口を開く。

「……このまま、四天王が結界を解除するまで耐久するつもりか?」

「耐久だと……?そんな事をする必要はない。きさまを倒す。これからここで……」

 アリスは、苦笑いするしかなかった。こんな時まで、余を倒す事に拘るのか……

「……貴様らしいな、武道家……!!」

「……」

 アリスは飛び上がって、ヴィクトリーにエネルギー波を放った。

「こっちだ。」

 直撃の寸前に彼女の背後に高速移動し、パンチを放つ。

「かかったな!」

「なにっ!?」

 アリスはそのパンチを避け、彼の腕を掴み、思いっきり床を目がけてぶん投げた。

「くっ!」

 ヴィクトリーは、何とか空中で留まった。

「……」

 そして、かめはめ波の構えをとった。

「ふ……!!」

 アリスは闇のエネルギーを全身に纏い、両の拳を突き出してそのまま突進してきた。

「くたばれアリスフィーズーーーッッ!!!!」

 ヴィクトリーはそのアリスに超かめはめ波を放った。アリスと超かめはめ波はぶつかり合い、押し合う。

「うぉおおおお……!!!!」

「ぐっぐぐぐ……!!!」

 アリスはその押し合いの最中、ニヤリと笑い、かめはめ波から脱出した。

「なっ……!!?」

「はぁあーっ!!!」

 アリスの突進が、ヴィクトリーの脇腹に命中する。それで、彼はぶっ飛ばされた。そうして思いっきり床に叩きつけられ、床が粉砕して瓦礫に埋まった。

「はぁっ……はぁっ……!!どうだスーパーサイヤ人!!余の力を思い知ったか!!」

「……ハァ……ハァ……」

 ヴィクトリーは瓦礫を押し退けて床に立ち、アリスと同じ目線にまで浮かんだ。

「……ふん、なかなかにタフではないか……いいだろう、早く決着をつけて、最期は余の中で果てさせてやろう……あの偽勇者のようにな……」

「……あの偽勇者のように……?ルカの事か……」

 ヴィクトリーの怒りがふつふつと沸騰する。そして……

「ルカの事かぁああああーーーッッ!!!!」

 怒りが爆発し、凄まじい気が魔王の間に吹き荒れた。

「!!!!」

 ヴィクトリーは彼女の頬をぶん殴り、胸に蹴りを乱打し、思いっきり廻し蹴りをかました。

「ぐっあ……!!」

「だぁっ!!どりゃあっ!!あだだだだだだだだだぁ!!!」

 更に顔面を蹴り上げ、思いっきりパンチし、腹に拳を連打した。

「だりゃああっ!!!」

 そしてトドメに顔面に両足蹴りをして、ぶっ飛ばした。

「ぐぅあぁっ!!」

「行くぞぉ!!」

 ぶっ飛ぶアリスを追いかけ、高速移動でぶっ飛んだ先に回り込んで腹に肘打ちする。

「ぐっ!?」

「だだだだだだだ!!どりゃあっ!!だぁっ!!」

 更に攻撃を連打し、腹に膝蹴りして、パンチを放った。しかし、そのパンチが当たる寸前にアリスは消えた。

「なにっ!?」

「ふんっ!!」

 そして背後から、尻尾で彼の首を絞めた。

「ぐぅっ!?」

「がぁあっ!!」

 そして、背中を殴りつけた。

「がっ……はぁ……!!?」

 彼は、目を見開いて吐血する。

「うぉおおおおおっ!!!」

 彼女は、容赦なく背中に拳を連打した。

「ぐ……ぐぐ……!!」

 彼は、背に拳を連打されながら……なんと、尻尾を噛んだ。

「ッッ!!?」

 突然の痛みに彼女は尻尾を解き、掌底で彼をぶっ飛ばす。

「くっ……!!」

 尻尾の噛まれたところを舐め、フーッと息を吹く。彼は、したり顔でそれを眺めていた。

「……貴様っ!!」

 アリスはそのヴィクトリーの顔面に気弾を放った。彼はそれを弾き飛ばし、突撃する。

「うぉおっ!!」

「だぁあっ!!」

 互いの拳が互いの頬を打ち抜き、見事なクロスカウンターが決まった。

「う……ぐ……!!!」

「ぐっ……!!!」

 二人は離れ、距離をとった。

「……」

「……結界の魔力が凝縮し始めた……全てが消えるのに、あと二分もないだろう……」

「……だろうな……」

 ヴィクトリーはそう言い、床に降り立った。

「来いよ、地上戦だ……一気にケリをつけてやる!!」

「どうやら……本気で余と決着がつけたいようだな……!!」

 アリスも床に立ち、構えた。

 もうここからは、本気の本気……超本気のバトルだ。

 遂に、閉ざされた魔王の間で、伝説の戦士と魔王の決着を付ける時が来たのだ。果たして──

流血表現

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