もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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外伝:早すぎた覚醒3

 超サイヤ人に覚醒したヴィクトリーと、禁術を使ったアリスは激闘を繰り広げていた。

「……結界の魔力が凝縮し始めた……全てが消えるのに、あと五分もないだろう……」

「……だろうな……」

 両者は床に立ち、完全に決着をつける為に対峙した。もうここからは、本気の本気……超本気の決戦だ。遂に、閉ざされた魔王の間で、伝説の戦士と魔王の決着を付ける時が来たのだ……

 

「はぁっ!!」

「ふんっ!!」

 両者は突っ込み、激しい攻防を繰り広げた。アリスの肘打ちがヴィクトリーにヒットし、彼はぶっ飛ばされる。

「もらった!」

 そこへすかさず突っ込み、その顔面にパンチを放った。

「はぁっ!!」

 しかし、そのパンチが届くより先に、彼は頭突きをしてぶっ飛ばした。

「くそっ!」

 鼻血を拭いながら、彼女はヴィクトリーの方を見る。しかし、彼は、そこには居なかった。

「いない……うしろかっ!?」

 後ろを向いても、いなかった。

「上だっ!!」

 次の瞬間、アリスの脳天に踵落としが直撃した。

「ぐっ……!!!」

 彼女は踏ん張り、彼の足を掴んで床に叩きつけた。

「ぐぁあ……!!!」

「はぁっ!!」

 そして、顔面にパンチを打ち下ろしにかかった。

「ちぃっ!」

 ヴィクトリーは、それを避ける。アリスのパンチで、床が粉砕した。

「くらえっ!!」

 アリスは尻尾をしならせ、彼の脳天に振り下ろした。

「っ!!」

 ヴィクトリーは腕をクロスし、それをガードした。

「もらったぁ!!」

 彼の腹に、アリスの拳がめり込んだ。

「っぐぅあ……!!?」

「うぉおおおおっ!!!」

 そのまま、その全身に攻撃を連打した。

「だぁああっ!!!」

 そして、顔面にパンチを連打してぶっ飛ばした。

「ぐぅっ……!!!」

「まだだぁ!!!」

 ぶっ飛ぶ彼に追いつき、強烈な一撃を何度も追撃した。

「ぐぁあっ!ぎゃあっ!うぐぁっ!ぐはぁっ!がはぁっ!ごはぁっ!!」

「ほぉらっ!!」

 更にその体を掴み、思いっきり床に叩きつけた。

「がっはぁあ……!!!」

「終わりだ!!」

 アリスは膨大なエネルギーを右腕に込めて、ヴィクトリーの胸で爆発させた。エネルギーは至近距離で大爆発を起こし、彼に全エネルギーをぶつける形となった。

「はぁ……はぁ……焼き加減はどうだ!?スーパーサイヤ人!!」

「……の……か……」

「……んん?」

 ヴィクトリーはアリスの顔面を掴み、握力を込めた。

「この程度かって聞いてんだよ……!!!」

「ーーーッッ!!!」

 立ち上がり、アリスを突き飛ばして前蹴りをかました。

「がはっ……!!」

「あだだだだだだだだだだだだだだだだ!!!!」

 そしてアリスに突っ込んで、攻撃を乱打した。

「ぐぐぐ……!!ぐぐぐぐ……!!!」

 アリスは何とかそれに対応するが、凄まじい猛攻により確実にダメージは重なる。

「ぐっ……!!がはっ!?ぐぐぅ……!!ぐふっ!ぐ……!ぶっ!?」

「だだだだだだだだだだだだ……!!!」

「ちっ……はあああああぁーーーッッ!!!」

「ッッ!!?」

 突如、彼女は超爆発波を放った。魔王の暴虐で、周囲が消し飛ばされる。

「はぁっ……はぁっ……!!」

「こっちだぁ!!」

「なにっ!?」

 ヴィクトリーは瞬間移動でアリスの背後に回り込んでおり、彼女を蹴っ飛ばした。

「ぐぅっ!!」

 彼女は踏ん張り、振り向きざまに彼に肘打ちした。

「っ!!」

 彼はお返しと言わんばかりに、彼女の顎を膝で蹴り上げた。

「ぐぅっ!!」

 アリスは歯を食いしばって、拳にエネルギーを込めて、渾身の一撃をヴィクトリーの顔面に放った。しかし彼はそれを避け、渾身の拳を彼女の腹に叩きつけた。

「がッッ……はぁッッ……!!!」

 大量に吐血する。しかし、ヴィクトリーの頭に拳骨をして、尻尾でぶっ飛ばした。彼はぶっ飛びながら体制を整え、壁を蹴って彼女に飛び蹴りした。彼女はそれを避けるが、彼がそこで静止した。

「なにっ!?」

「ふんっ!!」

 すると、もう一方の足で彼女を蹴っ飛ばし、着地した。

「ぐぅ……!!」

 アリスは起き上がり、顔を上げる。

「……はっ!」

 既にヴィクトリーはアリスの背後にいた。そして彼女に肘鉄し、背中を蹴り上げ、ぶん殴ってぶっ飛ばした。

 アリスは尻尾の力で跳躍し、グルグル回ってから着地して、彼に向かった。

「ハァッ……ハァッ……!!」

「……」

 ヴィクトリーは構えを解き……口を開いた。

「……やめだ。」

「なにっ!?貴様……!」

「自分で気付かねぇのか?貴様はフルパワーを発動した事により、一時は実力で俺を上回った……だが、今はピークを過ぎてパワーが落ちてる……それにフルパワーの影響からか知らねぇけど、精神が蝕まれて、正常な判断が出来なくなっている……これ以上やっていてもキリがねぇ。」

「っ……!っ……!!」

「俺の気はもう済んだ。貴様の身も心も、もう既にズタズタだろう。今の怯え始めた貴様を倒しても、意味はねぇ。」

 そう言ってヴィクトリーは超サイヤ人を解いて、部屋の隅に向いた。

「だから、二人でとっととこっから出る方法を探そうぜ。ルカも命には別状は無さそうだし、今ならギリギリ間に合いそうだ。」

 そう言い、アリスから背を向けて歩いた。

「……っ……まだだぁ!!まだ余は戦えるッッ!!中途半端な真似は、遠慮させてもらうと言った筈だあぁーーーっ!!!」

 そう言ってアリスは、超高密度のエネルギーボールを放った。

「……っ!」

 ヴィクトリーは頬を掠らせながら、それを避けた。掠った所から、血が垂れる。エネルギーボールは静止して、留まった。

「……どうしようもねぇ、馬鹿な奴だ……そこまでして、俺達に殺されたかったのかよ……!!!」

 ヴィクトリーは再び超サイヤ人になる。

「ふんっ!」

 アリスは、静止したエネルギーボールをヴィクトリーに向かわせる。

「……」

 ヴィクトリーは、アリスの所に突っ込んだ。

「ほう、ルカの時のようにギリギリで躱そうというやつか!?無駄だっ!!」

 彼は、アリスと接触する寸前に上空へと飛んだ。

「はぁっ!」

 エネルギーボールも上空へと飛んで、彼に追従した。

「ふんっ!!」

 彼は、そのエネルギーボールにパンチし、弾き返した。

「なっ!?」

 アリスはそれを避け、ヴィクトリーはまた彼女の前に降り立つ。

「……そんな下らねぇ技で望みを繋ぐようなお前は見たくなかった……」

「ならば……これでどうだあああぁーーー!!!」

 アリスは両手を合わせて、巨大なエネルギーボールを生成し、ヴィクトリーに投げつけた。おそらく、これが彼女の全身全霊を込めた一撃なのだろう。

「……か……め……は……め……」

 ヴィクトリーはそう呟きながら直立していた。そして、エネルギーボールが目の前まで迫ってきた時……

「波あああぁーーーッッッ!!!!」

 巨大なエネルギーボールを、更に巨大なかめはめ波で押し返した。

「そ、そんな……!!?うわぁああああ……!!!」

 かめはめ波は直撃し、大爆発を起こした。

「が……かはっ……」

 アリスは倒れ、床に伏せた。どうやら、これで戦闘不能になったらしい。

「……悪あがきが損を成したな……」

「ぐ……ぐふっ……がぁぁぁぁ……」

 アリスの筋肉が萎み、あの禍々しい魔力も消散して、普通の体に戻る。そして、気絶してしまった。

 決して、殺した訳ではない。殺すんならもっと思いっきりやってた……

「……」

 それでも、虚しさしか残らなかった。結局、こうするしか──

「聞こえておるか……?ヴィクトリー……」

「たまも。」

 たまもの声が脳に響く。

「……やったのじゃな。魔王様を……」

「殺しちゃいねぇ筈だ……それより、結界の解除は?」

「……」

 たまもは黙ってしまった。

「……そうか。あと何分ある?」

「……せいぜい、30秒ぐらいじゃ…………すまん……本当に…………」

「……そうか。」

 ヴィクトリーはすぐにルカを抱え、結界を蹴破ろうとした。

「ちっ!壊れろ!壊れろ!!」

 何度も攻撃を加えて破ろうとするが、まるで効果はなかった。

「だったら……かめはめ波ーーーっ!!!」

 片手で、全力のかめはめ波を放ったが……案の定だった。

「………………」

 結界のエネルギーが凝縮し、揺れが激しくなってきた。

 もう……もう助からないだろう。

「……消滅する……」

 この魔王の間と……俺も、アリスも、ルカも……

「……ちくしょおおおお!!!ちくしょおおおおおおおおおーーーっ!!!!」

 そして……全てが光に包まれた。

「ヴィクトリーっ!!魔王様ーっ!!!」

 外にいるたまもが、そう叫ぶのが聞こえた……気がした。

 ………………

 ………………………………

 

 ……?

「……消えて……ねぇ……?いやっ……」

 ふと、上空から柔らかな光が差してきた。

 そこから……イリアスが拍手をしながら降臨してきた。

「よくぞ魔王を討ちましたね……勇者ヴィクトリー。」

「……」

 イリアスが何か変な魔術でも使ったのか、結界は消散していた。

「さぁ、トドメを刺すのです。この卑しい魔王の命を断つのですよ……」

「……これで……全てが変わるのか……?」

「えぇ……これで、全て私の思い通り……勇者は魔王を討ち、世界が平和になるのです。」

「ルカは……ルカはどうなるんだ?」

「……あれは、もう勇者ではありません。勇者のメンバーの一人は、魔王に籠絡され、邪悪な意志に身を委ねた……あなたを裏切ったのですよ。」

「……ルカは、そんな奴じゃ……」

「早く。」

 ヴィクトリーの言葉を遮り、イリアスは笑いながら冷酷に告げた。

「……」

 ヴィクトリーは拳を握り、そして大きく振りかぶる。

「……だぁあああーーーっ!!!!」

 そして、思いっきりパンチをした──イリアスの顔面に。

「……ッッッ!!!?」

 イリアスは鼻血を出しながらぶっ飛び、壁に叩きつけられた。だが、すぐさま立ち上がって鼻血を拭い、ヴィクトリーに向いた。

「ぅ……ぐ……!!?ヴィクトリーっ!!?手元が滑ったのならば、今すぐにそう言って謝罪するのです!!」

「滑っちゃいねぇよ……」

 そう言いながらヴィクトリーはボキボキを指を鳴らし、イリアスに歩み寄る。

「……元はと言えば、おめぇのせいでこうなったんだ……おめぇをぶっ飛ばす!!!」

「真理に反します……!!」

「おめぇの言う真理なんか、全部ぶっ壊してやる!!!」

「うぐ……!!!」

 このイリアスに、地上の人間が触れた……!!?いや……あの世界には、サイヤ人は極まれば神にもなれるという伝説がありましたね……ならば、有り得る!!この男が、潜在的に神の力を宿しているのならば!!

「……ぐ……!!」

「おやおや、女神様の顔面をぶん殴る人間が居たとはな……空前絶後じゃないか?」

 ヴィクトリーの背後……そこには、例の海藻の匂いがする赤髪女が立ってた。立派に、スカウターをつけて。

「おめぇは……!!」

「私はプロメスティン、智の求道者。かつて、ヒトに火を与えし者……それが超サイヤ人とやらか……興味深いな……」

 プロメスティンはそう言った後、イリアスに目を向けた。

「それで、イリアス様。実行してもいいのか?」

「ええ……」

 イリアスは下衆い笑みを浮かべ、浮かんだ。

「この魔王城を、第二のレミナとしましょう。魔物共と仲良く滅亡の道を歩みなさい……汚れし勇者ルカも、そしてあなたも。」

 そう言い残し、イリアスは消えた。

「ちっ……!!」

 次の瞬間、激しい揺れが魔王城を揺るがした。

「な、なんだ……!!?」

「ここに私の作品と、天使が攻め込んで来たのだ……ほぉら、すぐそこに二体来てるぞ……」

 魔王の間に飛び込んできたのは……二体のでっかい化け物だった。

「なっ……!?」

「ツクヨミとアンフィスバエナか……貴様らで、こいつを何とか出来るのか?」

「ええ……タイマンだったら、難しそうだけど、二対一なら……」

「うふふふ……楽しませて頂戴ね……」

「へっ……!」

 ヴィクトリーは構え、気を解放した。

「うぉおおおお……!!!」

「な、なに……!?」

 プロメスティンのスカウターが爆発する。そして、ヴィクトリーは思いっきり息を吸った。

「ぶっ飛ばされてぇ奴から、かかって来やがれ!!!」

「……な、生意気な……」

「行くわよ……!!」

「うぉおおおおおおおおーーーっ!!!」

 そして咆哮しながら走り、ツクヨミとアンフィスバエナに向かって行った……

 

 結論から言おう。ヴィクトリーは負けた。

 アンフィスバエナとツクヨミの猛攻が激しかったのもあるが、流石に連戦の疲れが出たのだろう。

 魔王城は半壊。そして例の精霊結界も施されてしまった。世界は大混乱に陥ってしまった……

「うぐ……!!ぐ……!!」

 激戦により、片腕を失ってしまったヴィクトリー。懐を探ると、何かあった。

「……仙……豆……?」

 ……そう言えば、腹を満たすために……あるいは何かあった時のため、何粒か持っていったっけ。何個も食ってて……もう残りは二粒しかないのか。

「……ぐ……!!」

 体を引きずりながら、ルカやアリスのもとに向かう。二人は……一応、生きている。激戦の中、こいつらだけは守り切ったのだ。

「ぐ……!!」

 ヴィクトリーは仙豆をそれぞれの口に含ませて、喉の奥に突っ込み……そして、倒れた。

 これで、希望は繋がれた筈だ……これで──

流血表現

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