もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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〜これまでのあらすじ〜
 DBHの世界からやってきた戦士、ヴィクトリーは勇者見習いのルカと、奇妙な妖魔アリスに出会う。
 その道中、アリスは魔王であることが判明。しかしルカとヴィクトリーは、彼女は邪悪な存在では無いと判断する。魔王アリスとは戦わず、そのまま一緒に旅をする道を選んだのだった。
 長い旅路の果てに、とうとう魔王城へと乗り込むルカとヴィクトリー。四天王に打ち勝ち、そして自らの滅びを望む魔王アリスと相対する。
 しかし二人は、魔王を討たない事を決断。人と魔物の共存を拒む真の邪悪は、女神イリアスだと悟る。その時、魔王城に現れた無数の天使や人造モンスターの群れ。
 イリアスの差し向けた滅びの使者達の前に、ヴィクトリーとルカが立ちはだかった……


終章〜超絶☆ダイナミック〜
新たなステージは、神に挑む場所


 あちらこちらで、異変が起こり始める世界……

 ヤマタイ村で、サン・イリア城で、サバサで、グランドノアで、グランゴルドで……

 

 そして、魔王城で……

「……」

「へへへ……」

 目の前には強大な天使の軍団……そして、圧倒的な力を持ったキメラモンスターの群れ……それを率いる、魔導科学に魅入られた天使……その背後にいる、真の黒幕……

「うぉおおお……!!」

「はぁあああ……!!」

 ルカは剣を掲げ、アリスと共にその集団に突っ込んだ。

「俺、わくわくしてきたぜ!」

 少し遅れ、ヴィクトリーはそう言って気を解放し、二人に続いた。

「二人とも、余はキメラモンスターを片っ端から叩き伏せる!ルカはその剣で、天使共をやれ!」

「ああ、こっちは任せろ!」

 天使の体に、地上の者は干渉できない……ルカの持っている、エンジェルハイロウを除いて。

「ちっ……!俺も天使とは戦えねぇか……!」

 現状、天使と戦えるのはルカだけになるのか。だったら、俺もキメラモンスターを……!

「行かせませんよ。」

「なにっ!?」

 一体の天使、ヴァルキリーがヴィクトリーの前に立ち塞がる。

「ヴィクトリーっ!」

 ルカはそこに走り出そうとしたが、その目の前をキューピッドが遮った。

「あははっ……行かせる訳ないじゃん!たっぷり犯してあげる……」

「ぐっ……!」

「な、なんてこった……!」

 目の前には触れぬ敵、唯一の支援も触れぬ敵に阻まれた。

「あなたは、以前からイリアス様には不敬を働いたと聞いています……よって、四万年の凌辱刑にかけます……」

「て、てめぇみてぇなのがホントに天使かよ……」

 神聖にして清楚、そんなイメージはない。目の前にいるのは、俺の思い描いていた天使とは程遠い痴女だ。

「ふんっ!」

 ヴァルキリーは剣を構え、薙ぎ払ってきた。

「うおぉっ!!?」

 ヴィクトリーは髪の毛を掠らせ、かろうじてそれを避ける。次の瞬間、壁が横一文字に断裂した。

「ひ、ひえぇ……!ど、どんな切れ味だよ……!」

「野蛮な猿でも、猿は猿……運動神経と動体視力はいいみたいですね……」

 そう言いながら彼女はスカウターを起動させ、ヴィクトリーを見る。

「へぇ、戦闘力は1200万ですか。さすが、アリスフィーズを倒しただけの事はありますね……」

「ふ、ふん……瞬間的に出せるパワーはそんなもんじゃねぇよ……スカウターの数値はもうアテにならねぇんだよ!」

 彼はそう言いながら隙を見て、彼女の顔面に石を蹴っ飛ばした。銃弾のように飛ばされたそれも、煙のようにすり抜けてしまった。

「あっ……無機物もダメか?」

「そうです。聖素を宿さない限りは、私の体に触ることは出来ません……私は、あなたに触ることができますが。」

 そう言って彼女は、斬りかかってくる。

「ちっ!」

 彼はそれを、バク転して回避し、タァンッと踏ん張る。

「消えなさいっ!!」

 そこに、彼女が強襲する。体をぎりりっと廻し、凄まじい斬撃を放ってきた。

「わぁああっ!!?」

 飛び退き、それを何とか回避する。しかし、背中に壁が当たった。

「しまっ……!!」

「終わりです……」

 彼女は一気に迫り、その脳天へ剣を振り下ろしてきた。

「ち、ちくしょおぉっ!!」

 ヴィクトリーは、ダメ元で顔面に拳を放った。

「あはっ!あの武闘家、さっそくやられちゃうみたいだよ〜!」

「そ、そんな……!!ヴィクトリーっ!!」

 ルカは風の力を解放して走るが、どう見ても間に合う距離ではない。

 ──と、次の瞬間だった。

「!!!?」

 彼女の顔面にヴィクトリーの拳が命中し、剣が止まった。

「……なっ!!?」

「えぇっ!!?」

「なにっ!?」

「馬鹿なっ……!?」

「なんだと……!!?」

 ヴィクトリー、キューピッド、ヴァルキリー、アリス、プロメスティン……その場に居た全員が、驚愕の表情を浮かべた。

「あ……有り得ない……!?どうなっている……!?」

「知るかぁっ!!」

 ヴィクトリーは、困惑する彼女の顔面をぶん殴った。やはりそれも命中し、後退させた。

「……はっ!」

 プロメスティンはそれを見ながら、一つ思い当たる節がある事を思い出した。確か、極まったサイヤ人は神もなれると聞いたことがある。ならば……ならば有り得る!このサイヤ人が、潜在的に神の力を宿しているのならば!

 ……だが、表には出ていないようだ。それならば、もっと強い筈……やはり、こいつは早めに始末する必要があるか……?

「そ、それでも……私の戦闘力は1500万です!あなたに(かな)うわけが──」

「言ってんだろ……スカウターの数値はアテになんねぇって……そいつで、俺の戦闘力をよ〜く見とけよ……」

「くっ……!」

 彼女は再度スカウターを起動し、戦闘力を測る。

「かぁあああ……!!」

 彼は界王拳を使い、戦闘力を上昇してみせた。

「に……2400万……!!?い、いや……2500万……2600万……2700万……まだまだ上がる……!!?」

 その時だった。スカウターが狂い、警告音と赤いランプを発しながら、爆発した。

「っ!!」

「だぁああああっ!!!」

 次の瞬間、ヴィクトリーの拳がヴァルキリーの鎧を砕き、その腹に埋まった。

「ゴパァッ……」

 ヴァルキリーはそれで、勢いよくぶっ飛び、壁に叩きつけられた。

「終わりだっ!!」

 ヴィクトリーは、そこにバーニングアタックを放った。直撃し、大爆発が巻き起こった。

「そ……なんな……戦天使である私が、こんな猿ごときに不覚をとるなんて……!」

 そう言って、彼女は倒れた……

「そんな、ヴァルキリーっ!!」

「よそ見をするなっ!」

 ルカはキューピッドの背中を切りつけ、真っ二つにした,

「あうっ……!?な、なに……これぇ!?」

 彼女は、粒子となって消える。

「なっ……これは、死んだのか!?」

「安心しろ!そいつらは聖素に戻っただけだ!」

 アリスはキメラビーストの顔面を砕きながら、そう言う。

「天使は高位生命体、その程度では完全消滅せん!」

「そ、そうか……!」

 何はともあれ、天使は両方とも倒した。キメラモンスター達は、アリスが相手をしている。グランべリアとアルマエルマは、アルカンシエルとハイヌウェレに押される一方。残る三体は静観し、プロメスティンも動きを見せない……

「……やれやれ、キューピッドやヴァルキリー程度では相手にならんか。下界の者の討伐は、九位の天使の仕事だが……」

 プロメスティンがそう言った次の瞬間、広間へと神々しい光が差し込んだ。神聖なオーラが周囲に満ち、柔らかな気配が広がっていく。

「……エデン様より下界降臨の許可が下りました。汚れし勇者も、野蛮な猿も、私が相手をしましょう……」

「だ、誰だ……!?」

 光の中から降臨したのは、白翼の天使。神々しいオーラを纏いながら、二人の前へと降り立った……

「私は大天使アリエル……あなた達を裁きます。」

「馬鹿な……大天使だと!?」

 アリスはキメラビーストを蹴散らしながら、アリエルを見ながらそう言う。

「知ってんのか、アリスっ!」

「人間界には本来降臨しないクラスの天使だ!決して油断するな二人とも!そいつはかなり強力だぞ!」

「……ああ、肌で感じてるよ……」

 相対しているだけでも、神々しいオーラで息が苦しい程だ。その重圧感からして、尋常な存在ではない。

「あなた達が汚れし勇者ルカと、野蛮な猿ヴィクトリーですか……」

 そう言ってアリエルはスカウターを起動し、二人を見る。

「戦闘力1200万と1300万……表に出ているエナジーだけでも、この戦闘力数値とは……なるほど、理を超えた力を持っているようですね。あなた達のような人間、転生の輪廻に戻すことさえ危険。屈服させてから、この私の体で犯し、精を吸い尽くしてしまわねば……」

「……いけるか、ヴィクトリー。」

「……まぁな。」

 二人は呼吸を整え、構えた。

「界王拳っ!!」

「来い、ウンディーネ……!」

 次の瞬間、アリエルのスカウターがスパークし始める。しかし彼女は、動揺を崩さなかった。

「明鏡止水……その技は知っています。明鏡止水は周囲全体の空気の流れと完全同調し、敵の動きを感知する……それが先読みでの回避や、動作の隙を突いた攻撃を可能にするのでしょう。ならば殺気を抑え、気配を極限まで断てば……私の動作を先読みすることは、極めて難しくなるはずです。」

「ぐっ……!明鏡止水の破り方を知ってるのか……!?」

「初見で明鏡止水を破ることなんて、俺でも無理だったんだぞ……さてはおめぇ、明鏡止水を知ってんなぁ?」

 アリエルは余裕の笑みを浮かべながら、嗤う。

「私はかつてハインリヒと戦って生き残った数少ない天使……明鏡止水の弱点も、心得ているのですよ。」

「ハインリヒ……勇者ハインリヒの事か?」

「あなた達に知る権利はありません、倒れなさい。」

 そう言ってアリエルは両手を二人に向け、電撃を放った。

「よっ!」

「ふっ!」

 二人はそれを避け、激しい猛攻を仕掛けた。

「ぐ……!」

「……」

「あだだだだだ……!!」

 水と火が合わさったような猛攻に、押されるアリエル。その一瞬の隙を見て、ヴィクトリーに電撃を込めた発勁を放った。

「……アークボルト。」

「がはぁっ……!!?」

 全身に電流が流れ、バチバチと身を焦がす。

「スキあり……!」

「……はっ!」

 次の瞬間、ルカの魔刀・明鏡止水が彼女にクリーンヒットした。

「……かはっ!」

「おかえしっ!!」

 ヴィクトリーは、よろめいてる最中の顔面を、両足で蹴っ飛ばした。

「行くぞルカっ!」

「おぉっ!」

 ヴィクトリーはヒュバババッと手を動かし、両手を突き出す。ルカは土の力を込め、剣を振り上げる。

「バーニングアターック!!」

「壊斧・大山鳴動ーっ!!」

 ヴィクトリーは手から、高密度のエネルギーを撃ち放つ。ルカは剣を振り下ろし、床を叩く。それで、土のエネルギーが地面を大地を粉砕しながら、彼女に伸びた。

 二人の技は同時に直撃し、大爆発した。

「がっはぁ……!!や、やはり……エデン様の懸念は……正しかった……!」

 そう言って、彼女は粒子になった。

「ふふっ……どうする、エデン?子飼いの大天使も倒されたようだが……」

 視線を宙に向け、プロメスティンは何者かに語りかける。ここにはいない誰かが、様子を伺っているのだろうか。

「……聞こえない振りか、エデンよ。最初に言った通り、汚れし勇者と野蛮な猿は私に任せておけば良かったのだ……」

「いったい、誰と話をしてるんだ……?」

「誰でもいいさ……おめぇを倒すぞ。」

 大天使アリエルを破った二人は、プロメスティンの前に立つ。その横に、キメラビーストの群れをねじ伏せたアリスが並ぶ。

「歯ごたえはないが、この数ではキリがないな。大将を叩き潰し、さっさと終わらせるか……」

 グランべリアの相手をしていたアルカンシエルが、こっちを向いた。

「ほう、あちらでは面白い事になっているようだな。それでは、魔王の相手は私が……」

 猛り逸るアルカンシエルを、プロメスティンは掌で制した。

「いや……勇者も魔王も、すでに対抗策を用意してある。お前が出る必要は無いだろう。」

「……対抗策だと?何だか知らんが、甘く見られたものだな……!」

 右腕を振りかざし、アリスがプロメスティンへと躍りかかった……

「行くな、アリスーっ!!」

 ヴィクトリーは何かを感じたのか、そう叫びながら、手を伸ばす。しかし、それを嘲笑うようにプロメスティンが微笑した。

「ふ……魔王よ、邪神や六祖と同じ運命を辿るがいい。」

「なんだと……!?」

 アリスの一撃が彼女に当たろうとした瞬間──その体を、魔法陣のようなものが封じてしまった。

「な……!なんだ、これは……!?」

「アリス!?」

「言わんこっちゃねぇ……!」

 激しい電光が発生し、魔法陣が明滅する。その余波で周囲の空気が乱れるほどの、凄まじい魔力だ。

「補足終了……よし、転送だ。」

 そして魔法陣もろとも、アリスの姿が消えてしまった。

「おい……どうしたんだ、アリス……!?」

 呼びかけても、全く返事はない。

「あ……アリスの気が消えた……!」

「プロメスティン!アリスをどうした……!?」

「あの結界に、覚えはないか……?お前らは、似たようなものをグランゴルドの地下で見ているはずだ。」

「グランゴルドだと……!?」

「もしかして、クィーンアントを封じていた結界か……!?」

 そう言えば、あの結界のエネルギーはグランゴルドの地下で見たものと同じだ。その黒幕も、目の前のプロメスティンだったハズ……

「これこそが、この世に存在する最も強力な魔導封印結界……六祖大縛呪と呼ばれる太古の結界を、私が研究の末に再現したもの。かつて邪神アリスフィーズと六祖を封じた、究極の封印。これを再現するためだけに、数百年の研究を要したのだ……」

「邪神アリスフィーズ?六祖……?」

「なんだそりゃ……」

「初代魔王として知られる、太古の邪神。そして、全ての魔物の祖とされる六体の大妖魔……そんな伝説級の怪物共さえ封じた、最強最大の結界だ。格で劣る現アリスフィーズに、抗えるはずもない……」

「へぇ……そんな研究のために、百年も……」

「だから、クィーンアントで実験したのか!アリスを封印する、その目的の為に……!」

「ふふっ……そういう事になるな。グランゴルドに提供したのは、出力の非常に低いモンキーモデル。そう長い時間捕獲出来なかったが、今度のは違うぞ。捕縛者自身の供給する動力で、半永久的に動き続ける完成型だ……」

「そんでもって、アリスをどこにやった!?」

 ルカの叫びを、プロメスティンは嘲笑う。

「ふっ……そう簡単に、教えてやると思うか……?」

「なら、強引に聞き出す!」

「あっ馬鹿っ!よせっ!!」

 ヴィクトリーの静止も無視し、剣を構え、一気に踏み込もうとしたその時だった。

「言ったはずだ……お前への対抗策も存在するとな。魔王への六祖大縛呪とは別の結界を、ちゃんと用意しておいたぞ……広域結界、作動……」

「ぐっ……!」

 思わず身構えるルカ……だが、異変は感じられなかった。

「……これはっ!」

 ヴィクトリーが、先に異変に気づいた。

「ルカーっ!!そいつから離れろーっ!!」

「え……な、何で……?」

「気付かないのか?お前の体に起こった異変を……」

「異変……?そんなの何も……っ!!?」

 次の瞬間、二人の言う異変に気づいた。風の音も聞こえないし、水の流れも感じない。僕の中で根付いてた精霊の息吹が、全く感じられないのだ……

「シルフ、どうした……!?」

 風が呼べないどころか、シルフの声さえ聞こえない。

「ノーム、ウンディーネ、サラマンダー……!」

「おめぇっ!ルカに何をした!?」

「この世界全体に、四元素のセフィロトを封じる特殊磁場を展開したのだ。お前達に分かるように言うなら、精霊の力を封じる結界のようなものだな。」

「世界全体に、精霊封印結界を……?」

「精霊は、いわば自然法則の守護者にして大自然そのもの。その力を封じるには、全世界規模の結界が必要となるのだ。なかなかに面倒ではあったが、その甲斐はあったようだな。これでお前は、少しばかり剣技に長けた若造に過ぎん……」

 次の瞬間、キメラビーストの一体が飛び出してきた。

「くっ!瞬剣・疾風迅雷!!」

 シルフの力を借りた、神速の突き……そのはずが、かつてのスピードは欠片も無かった。

 キメラビーストは鈍足の突きを素早く避けて、彼に尻尾の一撃を放った。

「ぐっ……!!」

 それをなんとか剣でガードするが、凄まじい威力でぶっ飛んでしまった。

「く、くそ……!」

「これで、お前の力は完全に封じられた。今のお前では、キメラビースト一体にさえ敵うまい。……しかし、決して価値が無いわけではないぞ。精霊とあそこまで感応できた力は、極めて興味深い……」

 プロメスティンが合図すると同時に、キメラビースト達がルカを囲んだ。完全に包囲され、もはや逃げ道はない……

「くっ……!」

「ルカーっ!」

 ヴィクトリーはルカに駆け寄るが、そのヴィクトリーもキメラビーストに囲まれた。

「ちっ!」

「く……くそ……!」

 精霊の力を失った僕に、これだけの数を相手にするのは不可能。グランべリアもアルマエルマも、強大なキメラモンスターに押されている……頼みの綱であるヴィクトリーもキメラビーストに囲まれて、身動きがとれないときた。まさに、進退窮まるといった状況だ。

「さぁ、観念して降参するがいい。素直に従うならば、百年は生かしてやると約束しよう。モルモットとしての快楽を、たっぷり与えてやるぞ……決して、悪い取引ではない。」

「……」

 いきなり窮地へと追いやられたルカ達。

 プロメスティンの取引に、ルカは──

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