もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
アリスは六祖大縛呪で何処かに飛ばされ、ルカは精霊の力を封じられた。頼みの綱であるヴィクトリーもキメラビーストに囲まれる。
そんな状況の中、プロメスティンはルカに実験体になれと言う。その問にルカは息を大きく吸った……
「……降伏なんてしない!どんな状況でも、僕は最後まで戦い抜く!」
言った。言い放ってやった。余裕でほくそ笑むプロメスティンに、そうキッパリといい放ったのだった。
しかし彼女はイラつくでもなく、ルカを嘲笑った。
「それでは、無理矢理にでも同行願おうか。脳と脊髄、生殖器さえ残っていれば実験は事足りる……アンフィスバエナ、被験者の四肢を切り落とせ。」
「ふふっ、実に素敵なご命令。それでは、この私にお任せを……」
アンフィスバエナは鋭利な鎌を煌めかせ、ルカに歩み寄る……と、次の瞬間だった。
「どりゃああーっ!!」
ヴィクトリーがキメラビースト達をぶっ飛ばし、彼女の前に立った。
「おい……こいつを持ってく前にやる事があんじゃねぇか?」
「へぇ……」
「その野蛮な猿もついでにやっておけ。そいつも研究対象だからな……」
命令を聞いたアンフィスバエナは、ニヤッと笑った。
「そういうわけで、私の前に立った以上は」
「だぁああーっ!!」
ヴィクトリーは界王拳を使い、不意打ちのアッパーカットを決めた。
「……ッッ!!?」
「俺への対策をしなかったのは間違いだったな……」
アンフィスバエナは踏みとどまり、鎌を構え、憎しみを込めた眼光でヴィクトリーを睨めあげる。
「このガキッ!」
「やるか!?」
「くっ……!」
せめてヴィクトリーの援護だけでもしようと、ルカは剣を構える。
次の瞬間、激しい振動が大広間を揺るがした。
「何事なの……?」
アンフィスバエナはそれを感じ、止まる。
「な、なんだ……!?」
「この気は……!」
ヴィクトリーは、壁に目をやった。その壁がブチ破れ、出てきたのはギガントウェポンだった。
「間に合ったのじゃ〜!」
その背中には、たまもも乗っている。
「ほれほれ〜!」
彼女はギガントウェポンを乗りこなし、二人を取り巻いていたキメラビーストの群れに突撃した。乱入してきたギガントウェポンは、尾や爪を振り乱して荒れ狂う。キメラビースト達を千切っては弾き飛ばし、薙ぎ倒す大活躍だ。
「わわわ、大したじゃじゃ馬なのじゃ〜!」
「おいおい……!」
その背から振り落とされそうになりながら、必死でしがみつくたまも。どうやら今まで、僕達の壊したこの巨大魔獣を修理していたようだ。
「ギガントウェポン……聖魔大戦の遺物か。私以外に、これを再起動出来るだけの知識を持った者がいたとはな……」
「のわ〜〜!」
とうとうたまもは背から振り落とされ、地面に転げ落ちてしまった。ギガントウェポンは猛り狂いながら、五体の大型キメラに襲いかかる……
「……なんだかゴツいのが、こっち来たわよ。あたし、ああいうのの相手はパスね。」
「それでは、私が相手をしよう……」
アルカンシエルは、一歩前に進み出ると……
「ふんっ!!」
なんと片手で、ギガントウェポンの突進を止めてしまった。
「なっ……!?」
「お、俺がパワーで押し負ける程のタックルを片手で……!!?」
「ふん……ぬぉおおおっ!!!」
アルカンシエルの咆哮と共に、ギガントウェポンの巨体が床へとめり込む。人智を凌駕した剛力で床へと叩き付け、強引にねじ伏せたのだ。ギガントウェポンが壁を破った時以上の衝撃と、床に広がるクレーターが発生する。彼女の足元で、床がミシミシとひび割れた。
「な……なんちゅうパワーだ……!!」
「そ、そんな……!」
「はぁっ!!」
更にアルカンシエルは、横たわる巨体を踏みつける一撃を食らわせた。クレーターは更に広がり、床ばかりか壁にまで亀裂が走る。まるで爆発のような衝撃に、二人までぶっ飛ばされそうになる。
「……これで終わりか、不甲斐ないな。」
アルカンシエルの眼前には、機能を停止したギガントウェポンが転がった。
「お、俺たちが……俺達があそこまで苦戦した相手を……た、たった二発で……!!」
「く……!!」
床に叩き付け、足で一撃……それだけで、あの怪物をねじ伏せてしまったのだ。
「こんなものが、聖魔大戦で生み出された究極古代兵器……?太古の大戦争とやら、そうまで低次元の争いだったのか?」
「そう言うな、アルカンシエル。聖魔大戦当時は、今とは比べ物にならない力を誇ったのだ。千年の時を経ては、稼働するだけでも精一杯。あの当時の力など、もはや見る影もない……」
「そうか……つくづく残念だ。本格作動した究極古代兵器と手合わせしてみたかったものだが。」
「……」
「と、とんでもねぇ化け物……!」
思わず、背筋がゾクゾクしてしまう。
なんという、凄まじい強さなのだろう。他の五体も、アルカンシエルと同格だと言うのだから絶望的だ。
「この五体は、我が技術を惜しみなく投入した最強の人造妖魔。ネクスト・ドール……まさに、究極のキメラモンスターだ。おそらく、地上にこの五体の敵はいまい……魔王や四天王であろうとも、その例外ではないのだ。」
圧倒される二人を見据え、プロメスティンは言い放った。
「まさに、新世代の人造妖魔って訳か……」
ヴィクトリーは、その五体のネクスト・ドールとやらを見る。
今の俺と精霊の力を失ったルカとじゃ、とうてい太刀打ち出来そうにない……
「……さて、いよいよ万策尽きたようだな。汚れし勇者と野蛮な猿はサンプルとして捕獲する。だが魔物は一体も残さんぞ。この魔王城で、皆仲良く滅びるといい……」
じりじりと迫ってくるキメラビーストの集団……
「……三十体までなら余裕でいける。」
「……そうかよ……!」
二人は背中を合わせ、構える……と、その前にたまもが立ちはだかった。
「この人工魔獣、獣系モンスターの脳を使っておるようじゃのう。」
「その通り。大量生産にあたっては、費用効率的にそれが一番だったのでな……」
「ふむ、獣の脳を使っているならば……」
たまもは扇子で口元を隠し、ニヤリと笑う。
「……決して、ウチには逆らえはすまいのう?」
「……!」
キメラビースト達は、途端に逃げ腰になった。たまも一人を前にして、じりじりと包囲の輪を緩ませる……
「……」
プロメスティンは、それを黙って見る。
「どうした、来ぬのか?」
「ほう……貴様相手の方が面白そうだ。ここは、私と手合わせ願おうか。」
「いや……アルカンシエル、ここは退く。」
プロメスティンの言葉に、アルカンシエルは表情を歪めた。
「……まさか、本気か!?」
「魔王の封印と、汚れし勇者の無力化……所定の目的はすでに達成している。」
ネクスト・ドール達とプロメスティンは色々と話し合う……
「……この隙に、仕掛けられないか?」
「一瞬で返り討ちに遭うのがオチだ……」
ヴィクトリーは、表情を険しくしていた。
「す、すまねぇルカ……おめぇとアリスがそんな状態だから、何もされてない俺がしっかりしなきゃいけねぇのに……」
柄にも無く、責任を感じるヴィクトリー。その拳は震えていた。
「……まぁ、そういう事だ。命拾いしたな。」
そう言ってプロメスティンは、背を向けた。配下のキメラモンスター達も、その後ろに続く……
「待てっ!アリスはどうなったんだ!」
ルカが、プロメスティンの背中にそう叫ぶ。彼女は止まり、こちらを見て笑った。
「ふふっ……知りたければ、追ってくるがいい。せいぜい急がねば、二度と愛しの魔王には会えんかもな……」
そう言い残し、悠々と魔王城を後にする。その背に、キメラモンスターの集団を引き連れて……
「ぐっ、待て……!」
その後を追って、ルカは大広間から駆け出る。
「あっ!待てよっ!」
ヴィクトリーもそれに続き、彼を追うように大広間から走り出る。
「挑発じゃ、追うでない!」
「……」
たまもの制止を、ルカは背中で聞き流した。
「俺が何とかする!心配すんなー!」
ヴィクトリーは振り返ってそう言い、彼を追った。
二人はそのままプロメスティン達を追い、魔王城を飛び出したのだった……
「くそっ!どこに行ったんだ!?」
魔王城を出たものの、プロメスティン達の姿はもはや見当たらなかった。
「お〜い!置いていくんじゃねぇ〜!」
「ヴィクトリーっ!」
丁度いい所に、気を探れる奴が来た。
「なぁヴィクトリー、プロメスティン達の気を探れるか!?」
「い、いや……あいつら、完全に気を消してやがる……」
「くっ……そんな……!」
仮に、プロメスティンやあの五体は転送魔術を使ったとしても……あれだけの数のキメラビーストは、そうもいかないだろう。
「ここら辺に、奴の拠点があるに違いねぇ!」
「だとしたら、思い当たる所は一つ……」
「ああ……!」
レミナ──少し前、あそこで大量のキメラモンスターに襲われたんだっけ。
「ガルダ、来てくれ!」
ルカは空に向かってそう叫ぶと、ガルダが飛んできた。
「くえぇ……!」
「乗るか、ヴィクトリー?」
ルカはガルダに乗りながら、ヴィクトリーの方を見る。
「いや、俺には舞空術がある。」
「そうか……ガルダッ!レミナまで乗せてってくれ!」
「くぇ!」
ルカを背に乗せ、ガルダは大空へと飛ぶ。
「よし……!」
彼は舞空術で飛び、ガルダに続いた……
ヴィクトリーとガルダの飛ぶスピードは、ほぼ一緒。目的地もそう遠くはなく、レミナ上空へと差し掛かっていた。
「……」
「何か見えるか、ルカ?」
ヴィクトリーはルカの横に立ち、一緒にレミナ跡を見下ろした。
「……アリスの話では、ここは世界で最も人と魔物の共存が進んでいた町だったんだよね……」
「ああ……それを、イリアスがぶっ壊しやがったんだ……!」
ヴィクトリーは拳を握り、震える。
「……そんな事より、プロメスティンは見えたか?」
彼の言葉に、ルカは首を振った。
「いいや……」
「だよな……」
プロメスティン達の拠点は、この辺にあるはずだ。しかし周囲に広がっているのは、廃墟や残骸のみ。空から目を凝らして探しても、建物らしきものなど見当たらなかった。
「……ん?」
「……!!!」
ふと、二人の目に廃墟の光景に似つかわしくない少女の姿が視界に入った。ゴスロリ風の格好の、クマのぬいぐるみを抱いた少女だ。
「ヴィクトリー、あいつ……っ!?」
僕がヴィクトリーに呼びかけようとした瞬間、少女はこちらを見て笑った。目が合った……
ガルダに乗っている僕達を見上げ、少女は笑う。そして彼女は、廃墟の壁脇に立った。その足元には、何かハッチのようなものが……
「ふふふっ……」
少女が笑うと同時に、目に見えない力でハッチがこじ開けられる。間違いない、あれは地下への入り口だ……
「まさか、アレがプロメスティン達の拠点……?」
そして次の瞬間、少女の姿は消えていた。ほんの一瞬ハッチに気を取られ、見失ってしまったのだ。
「おい、ヴィクトリー……さっきの少女……」
「……ッハァッ……ハァッ……!!」
ヴィクトリーは冷や汗をかきながら、ガタガタと震え、息を切らしていた。
「……どうしたんだ!?」
「あ……あいつ……やべぇ……!!ヤバすぎる……!!ネクスト・ドールより凄まじい化け物だ……!!」
本能が叫ぶ。心臓が、氷の刃にでも貫かれたかのような感覚を受ける。奴の術か?いいや、純粋な恐怖で、そうなってしまっているのだ。
「な、何だって……!?」
「今のおめぇじゃ分からないかも知れねぇけど……俺はあいつと目が合った瞬間、金縛りみてぇなものにあったんだ……!」
「……でも、さっきの少女は敵の基地を教えてくれたよ。」
ヴィクトリーは空からレミナを見て、ハッチに目をつけた。
「……らしいな……御丁寧に開いてくれちゃって……」
そう言ってヴィクトリーは、ガルダから飛び降りた。
「あっ……ガルダ、ここで降りてくれ。」
「くえぇ……!」
そのままガルダは高度を下げ、廃墟へと降り立つ。二人は並んで、こじ開けられたハッチの前へと立った。
やはりそれは、地下施設への入り口。プロメスティンの拠点とみて、間違い無いだろう……
「さっきの少女はいったい……」
「味方じゃねぇ事は確かだけど……何で、ここを教えてくれたんだ?」
ヴィクトリーの言う通り、どう控えめに見ても味方では無いのが分かった。僕も背筋が震えたし、ヴィクトリーが見た事もないぐらい怯えていたのだ。あれが敵だとすると、罠だろうか。
さて、どうするべきか……
「どう思う、ガルダ?」
「くえぇ……!」
「何でそいつに聞くんだよ。」
ヴィクトリーはそう言いながら、指をボキボキ鳴らす。
「まぁ、悩んでても仕方ねぇ。乗り込むぞ。」
「じゃあガルダ、僕達は中に入ってみるよ。もしかしたら、アリスが中に囚われているかも知れないからな……」
「くえぇ……!」
ガルダは激励するように鳴き、ばさばさと飛び去っていった。
ヴィクトリーは大胆に、ルカは大いに警戒しながら、ハッチの中へと降りていった……
少し前の天界……
「イリアス様……プロメスティンはご命令を完遂しないまま撤退したようです。」
天使のナンバーワン、熾天使エデンがイリアスにそう報告した。
「勇者一行や魔王に対し、イリアス様は魔王城を壊滅させるとお告げになりました。しかしそれを遂行せず、プロメスティンは独断で逃げ帰ったのです。これは、イリアス様のご尊顔に泥を塗るかのような大罪……」
エデンは、何処からか舞ってきた楽園の桜の花びらを掌で受け、それを握り潰した。
「あの者には、咎の報いを与えねば……」
「……まぁ、あれの好きにやらせるとしましょう。」
イリアスはそんなエデンに微笑み、そう言う。
「イリアス様、しかし……!」
エデンがそう言いかけた時、イリアスは少し威圧的なオーラを放つ。
「私が許すと言ってるものを、あなたは許さないと?それは、独断で私の意向を覆すという事ですか……?」
「いえ、決してそのような事は……!無論、イリアス様の仰せの通りに致します。」
イリアスはそれを聞き、エデンに微笑んだ。
「では行きなさい、熾天使エデン。神を敬わぬ愚衆の群れに、天の裁きを下すのです。」
「はっ、お任せを……!その命、必ずや成してみせましょう!」
エデンはそう返事し、天使の統括に向かった……
流血表現
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もっとする
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このままでいい
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しなくていい