もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
「世界各地の町や村が、天使やキメラモンスターに襲われておる!」
「な、なんだって……!?」
「い、イリアスの奴、マジで人類絶滅させる気かよ……しかも、よりによってこんな早くに!」
たまもから聞かされた情報に、ルカとヴィクトリーは驚愕した。
イリアスが最初に目を付けるところは、ルカの故郷であり、彼女が直接降臨するイリアス神殿があるイリアスヴィルだと目星がついた。
ルカはそれを聞いて、いても立ってもいられなくなる。
「そんなの、絶対に許さない……!」
ルカはすぐさま地上に戻り、ガルダに乗っかった。
「おい馬鹿!一人で行くなっての!」
「ドアホめ、余も忘れるな!」
ヴィクトリーとアリスもルカに続いて、ガルダに乗った。そして、イリアスヴィルへと全速力で飛んだのだった……
「イリアスヴィルは無事なのか……?ガルダ、もっと急いでくれ!」
「……落ち着け、ルカ。ここで焦ったところで、どうにもならんぞ。」
「おめぇは今精神的に動揺してる。今戦って下手に負けたらこれまでの戦いはパァになっちまうぞ。」
「そ、そうだよね……落ち着かないと……」
ルカは深呼吸して、頭を冷やす。
「落ち着くんだ……落ち着こう……」
「……」
ルカが頭を冷やしてる横で、ヴィクトリーは新品の服に着替える。上半身裸のまんまだと、様にならない。
「……ありがとう二人とも、だいぶ落ち着いたよ。」
「……それはそうとさ……」
ヴィクトリーは、ガルダの背に座り込む。
「アリス、おめぇ何でそんな姿になった?」
「あ、ああ……僕も気になってたんだ……自分でそうなったとか言ってたけど……」
「余が掛けられた六祖大縛呪は、余自身の魔力で作動する強力な封印だ。通常、封印というのは術者より力の劣る者にしか通じないものだが……」
「そいつは敵が強ければ強いほど強力になる封印だったっけな……」
「それはプロメスティンに聞いたよ。初代魔王とか、六祖っていう伝説の妖魔達が封じ込められているとか……」
アリスはそれを聞いて、驚いた。
「しょ、初代様が……!?それに、伝説の六祖が実在しているだと……!?」
「あれ、知らなかったのか……?」
アリスが知らねぇってことは、相当な機密だったんだな……
「……話の腰を折ってしまったが、それは後で聞くとしよう。」
「そんで、その相手が強ければ強いほど強力になる封印をどうやって抜け出したんだ?」
「相手が強ければ強いほど……ならば、もし対象が弱かったならば?」
「そうか、効力は弱まる……」
「……」
ヴィクトリーは目を瞑りながら、ルカとアリスの会話を聞く。
まぁ要約すると、アリスはかりそめの体作って封印から脱出、転送されたのはあの地下研究所だった。という訳らしい。そんでもって、彼女が転送される時に感じた気は黒のアリスのものだった。
そう言えば俺達をあそこへと引き込んだのも黒のアリスだったか……あいつら、仲悪いんかな。
まぁ、これで相手もイリアス、プロメスティン、黒のアリスと分かれているのが分かった。
まともにぶつかってしまえば、返り討ちにされんのがオチだろう。何とかならねぇか……
「なんなんだ、あの空の色……」
そうこう考えていたら、ルカのその言葉でハッとする。
ルカの目線の先には……嫌に濁った空の色が見えた。あれは、確かにイリアスヴィルの方向だ。
「いったい、どうなってるんだ?アリス、村の様子が見えるか……?」
「……」
アリスの視力なら、イリアスヴィルが展望できるはずだ。だが彼女は、険しい顔で一言も発しない。
「おい……まさか……」
「……いや、違う!きっと何かの間違いだ!ガルダ、スピードを上げてくれ!」
「くえぇっ!」
ガルダはスピードを上げ、一気にイリアスヴィル上空へと差し掛かる。
ルカはすぐさまそこから飛び降りて、ヴィクトリーとアリスも続いた。
「……う……嘘だ……こんな……」
「……こりゃあひでぇ……!」
建物は根こそぎ破壊され、残骸をさらしている。炎に巻かれ、朽ち果てていく家々……
「そん……な……」
「……」
生き残っている人間の気はしない。燃え盛る家から逃げようとしたまま、力及ばず焼け焦げた死体。道に転がっている兵士の屍……などなどが転がっている。
「……」
「……おい、ルカ……?」
ルカは、怒りや悲しみという感情を忘れて立ちすくんでいるみたいだ。おそらくは目の前の光景を、理性が受け入れようとしてくれないのだろう。
「こんな……こんなの……」
「……ルカ、しっかりするんだ……!」
そう言った瞬間、嫌な気がヴィクトリーの背中をなぞった。
「あら、ずいぶん遅すぎた帰省ねぇ……汚れし勇者。こんなに遅刻しちゃあ、もう迎えてくれる人がいないじゃない……」
そしてそいつは、眼前に降臨した……
「……おめぇが、村を滅ぼしたんだな……!」
「ええ……全部、私の仕事よ。私は大天使ラナエル、罪人に誅を下すのが役目なのだから……」
立派にスカウターまで付けた、いかにもな感じの天使。なかなかに、強そうだ……
「……ぜってぇ、許さねぇ……!!」
ヴィクトリーは気を解放し、構えた。
「よくも……よくもルカの故郷を……!!」
ラナエルのスカウターが反応し、ヴィクトリーの戦闘力数値を出す。
「へぇ……なかなか、やるようですね……」
彼女は、人間体のまま構える。
「……」
ルカは膝をつき、放心状態になってしまった。今戦えるのは、俺しかいねぇ。
「だぁっ!」
「ふっ!」
ヴィクトリーの肘打ちを、ラナエルは止める。そのエネルギーで、周囲に凄まじいエネルギーが波動した。
「だだだだだだだだ!!」
「はぁああーーー!!」
そしてぶつかり合い、攻防が始まる。拳と拳が超高速でぶつかり合い、格闘戦になった。
「ぐっ!」
ラナエルの手刀を避け、アッパーを放つ。
「ふっ……」
彼女はそれをスウェイバックで避け、彼の顎に直突きをした。
「ぐぁっ!」
それが直撃し、彼は倒れかける。
「ほぉら……!」
ラナエルは追い討ちをかけようと、腕を振り上げた。
「ふんっ!!」
ヴィクトリーは地面に手をつき、彼女の顔面に両足蹴りした。それは直撃し、彼女は揺らいだ。
「ぐぁ……!」
「……」
ヴィクトリーはそのまま両腕の力だけで跳び、体を起こして突進し、パンチを放った。
「ぐっ!!」
彼女はそれを両手でガードする。だがあまりの衝撃に体がぶっ飛んで、かなり後退してしまう。
「かめはめ波っ!」
ヴィクトリーはそこへ、かめはめ波を放った。
「ちっ……!」
ラナエルはそれを弾き飛ばし、彼に手を向けてエネルギー波を放った。
「ちっ……!」
それを瞬間移動で避け、彼女の背後に回り、背中を蹴っ飛ばした
「きゃっ!」
ラナエルはぶっ飛んで、崩れた民家に激突して瓦礫に埋まった。
「……はぁっ!!」
だが気を解放し、瓦礫を吹っ飛ばして出てきた。そして、服の汚れを払う。
「……なかなかやりますね……」
「なめるなよ……プロメスティンを追い詰めたのは俺なんだからよ……」
ラナエルはクスクスと笑い、下衆い笑みを見せた。
「ですが……これならばどうでしょう?」
そう言って、指を鳴らす。すると、部下の天使達が誰かを連れて現れた。
「……はっ!」
「なっ……!!」
その様子を見ていたルカは、はっとする。
天使に囚われていたのは……なんと、道具屋のロニーさんだった。実戦訓練の時に、ヴィクトリーにも薬草をくれたあのロニーさん……
「ぐっ……!」
「ふふ……」
ラナエルは天使から剣を貰い、それで彼の首に押し当て、そしてゆっくりと引く……
「ぐっ……ぁっ……!」
すると彼の苦悶の表情と共に、首から血が出た。
「ロニーさんっ!」
「わ、私に構わず……こいつらを……!」
ラナエルはイラッとした表情を浮かべ、ロニーの顔面を掴んだ。
「死にたいのですか……?」
「そんな……そんな風に……人間達を殺してきたのか……!!」
ルカがヴィクトリーの横に来て、剣を構える。
「うぉおおおおおっ!!!」
そして気を解放し、剣を構えてラナエルに突っ込んだ。だが、天使兵の一人にそれは阻止される。
「私達を無視して、通れるとでも……?」
「邪魔だぁっ!!」
ルカは本気で天使の頭に剣を振り下ろしたが、それはガードされてしまう。そして、剣技で弾き飛ばされた。
「あうっ……!」
「ルカーっ!!」
ヴィクトリーは、そのルカに走ろうとしたが……
「待ちなさい、猿……あなたが動けば、この男の命はありませんよ……」
ラナエルがそれを阻止し、卑しい笑みを浮かべた。
「く……下衆が……!!」
「あなた達の弱点はそこなのです……肝心な所で非情になり切れない……」
「くそぉ……っ!」
ルカは遂に天使兵に叩きのめされ、床に伏せられた。
「終わりね……汚れし勇者も、野蛮な猿も……」
「く、くそぉおおお……!!ちっくしょぉおおお……!!」
「ぐっ……ぐぐぐ……!!!」
「……」
ロニーは震えながら、ルカを見た。
「……ルカ……正しい世界のために、犠牲を出すのは罪ではない……自身の持論など、通用しない時だってあるんだ……」
「……」
ラナエルは青筋を浮かべ、ロニーのうなじを掴んで持ち上げた。
「ぐっあ……!」
「やめろっ!ロニーさんに何を……!」
「ルカっ!」
ロニーの大きな声に、ルカの言葉が掻き消された。
「わ、私に構わずに……お前達の力で、こんな奴らを倒してしまえ……気持ちは分かるが……もう無理をする事はない……!」
「……い〜いアドバイスね……だけど、私は、私のやり方でやっているのよ!」
ラナエルはそう言って、ロニーの背中から心臓に向かって剣を突き刺した。
「がはぁっ!!!」
血飛沫が、ルカの方に飛んでくる。
「ろ……ロニーさーんっ!!」
「そ、そんな……!!」
「あが……が……私の……好きだった……自然や……動物を……守っ……て……く……れ……」
そう言って、ロニーは力尽きた。心臓を剣で貫かれ、死んだのだ。
「……ロニー……さん……」
「余計なお世話よ……下等な人間……」
ラナエルはそのロニーを燃え盛る民家へとぶん投げる。そしてロニーの死体は火に当てられ、焼き焦げていく……
「そん……な……こんなの……こんなの……」
修行と称して野山に分け入り、しょっちゅう生傷をこしらえていた僕。そんな時に格安で、時にはタダで薬草をくれた道具屋の店主……
親しい人の亡骸を目にしたことで、いよいよ現実感が迫ってくる。ペティおばさんも、友人達も、みんな同じように……!
「……そこら中にいる死体は、みんな私がそうしたのよ。」
そう言ってラナエルの左手が、触手に変異した。
「この触手で巻きとって、息が出来なくなるまで締め上げて……」
右手がハエトリグサのように変異し、俺達に向けられる。
「この腕でたっぷりと貪って……じっくり悶え苦しんでもらいながら、ドロドロに溶かして……」
「……」
どくどくと心臓が高鳴り、胸が苦しくなっていく。自身の体温が上昇していくのを、はっきりと感じ取っていた。呼吸がみるみる速くなり、喉の乾きが追いつかないほど。剣を握ってる右腕が、焼き付きそうなほどに熱い……
「る、ルカ……?」
ルカの様子がおかしい。こいつ、まさか……
「ここの村人達は、ずいぶん面白かったわねぇ。どいつもみんな、イリアス様の御名を叫びながら逃げ惑って……」
ラナエルを見ると今度は髪が変異し、蛇になった。
「それをじっくりと蛇で嫐り殺し……」
今度は下半身が、筋肉の詰まった触手になる。
「触手でひねり潰し……ふふふっ。」
そして、全てを変異させた状態でラナエルは構えた。
「本当に哀れな連中よねぇ、最後までイリアス様にすがって。この村の処理を命じたのは、そのイリアス様御本人なのに……」
「……」
昂る心臓、早まる呼吸、燃えたぎる肉体……まるで、この体がオーバーヒートを起こしているようだ。
「……ッ!」
そして……異変が起こった。形見の指輪が異常な熱を発し……そして、粉々に砕け散った。
「あははっ、随分と怒っているようねぇ。お得意の明鏡止水、それじゃ出来ないんじゃないかしら……?」
その時……ルカの中で何かがブチ切れた。
──時は満ちて──
「うぁあああああああああーーーーッッッッッ!!!」
ルカの中のオーラが、爆発した。
「うぉおおっ!!?」
ヴィクトリーはぶっ飛ばされそうになりながら、踏ん張る。
「きゃっ!?」
「っ!?」
「な、なにっ!?」
天使達のスカウターが次々に爆発し、遂にラナエルのも壊れる。
ルカの気が収まり、充実していった。その全身を焦がしていた熱が、柔らかなエネルギーに変化し、全身に流れていく。そしてそのオーラが、一つの形を成した。彼の背に、巨大な羽のような光翼が浮かび上がる……
「何よ、それ……!?なんで人間が、天使の力を……!?」
ラナエルの言う通り、溢れ出るエネルギーはまんま天使のそれだ。
「る、ルカの奴……!」
遂に……遂にルカの怒りが、限界を超えたのか……!?
「……」
その目からは、涙が溢れる。
負けられない、運命の分かれ目……やるしかない、命を賭けて……この手で……お前を倒さずには居られない!
その薄ら笑いを、僕が止めてやる……!
「……っ……」
ルカの涙が止み、その目にはっきりとラナエルを捉えた。
「……もう許さないぞ、お前達……!!」
流血表現
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もっとする
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このままでいい
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しなくていい