もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
「迷惑をかけてごめんなさい……」
「もうしません……」
「すみません……」
「ごめんなのだ……」
イリアスベルクの中央広場で素直に謝る盗賊団の魔物少女達。
「やれやれ、こんな少女達だったとは……」
「何度か見てたけど、ただの下っ端かと思ってたよ……この子達が中心だったんだな……」
「誰だよボスはおっそろしいドラゴンとか言い出したやつは……」
僕とヴィクトリーが、住人達に言う。
「そういう訳で、もう悪さをしないと言ってますが……」
「許してやってやれよ〜。子供なんて、出来心の塊みたいなモンだしさ〜!」
何だか僕達はすっかり保護者になった気分だった。そこにサザーランドのおかみさんが言ってくる。
「反省しているみたいだし、許してやってもいいんじゃないかい?この子達も生きていくために大変だったんだろうしね。」
住人達の一人の老人も続いた。
「二十年ほど前に切り開いたこと森林も、多くの魔物が住んでいたと聞く。そんな風に魔物のすみかを奪ったのは、我々の方かもしれんな……」
道具屋の店主も老人に続き、発言する。
「実際の所、この盗賊団による被害はそう大きくありません。ドラゴンやヴァンパイアの恐怖に怯えていただけだったようですね。」
ヴィクトリーがニッと笑い、ルカを見る。
「良かったなぁ。何とかなりそうだぜ。」
「ほっ……」
僕は胸をなでおろした。
「まっ、そう言うコトだ!これからは心入れ替えて、マジメに働くんだぞ〜!」
「う、うん……」
「ありがとうございます……ぐすっ……」
武器屋のおやじが前に出て、ドラゴンパピーの方に向かう。
「ドラゴンっ娘、火は吐けるのか?熱いのが吐けるならうちで雇ってやるぞ!」
運送ギルドの老人はゴブリン娘に話しかける。
「そこのちっこいの、けっこう力がありそうじゃな。倉庫整理からやってみるか?」
その様子を三人で見ながら、ヴィクトリーは、にひひと笑った。
「結構早く馴染めそうだな……本当に良かったぜ……」
「うんうん、これでめでたしめでたし……だね。」
「……ふむ、意外だったな。人間の心にも、まだまだ魔物を受け入れる余裕があったということか。」
何やらアリスも少し感心している様子だった。
「イリアスヴィルじゃこうはいかなかっただろうな……」
「うん……」
ルカの故郷、イリアスヴィルはイリアス神殿が建っていて、魔物排斥の思想が激しいから、こんな事にはならないのだろう。このイリアスベルクは大きな都会だ。人々のイリアス様への信仰は薄れているのだろう。
「……ん?」
ドラゴンパピーがくいくいとルカの服を引っ張る。
「お前らにはとってもお世話になったのだ。だから、これをあげるのだ。」
ドラゴンパピーは、赤く綺麗な宝玉を僕達に手渡した。とても美しく、高い価値のありそうなアイテムである。
「何だこれ……?」
「いや、そもそも何処でこんなもん手に入れたんだ……?」
多分、盗品という事は想像できるが……
「数ヶ月前、アジトの前に大富豪の馬車がとおりかかったのだ。そいつら、あたしの姿を見るだけで逃げ出してしまったのだ。その時に放り出された荷物の中にそれがあったのだ。きっとすごいお宝なのだ!」
「同じのを七つ揃えたら願いが叶うとかそういう類のものか?」
「……それは分からないのだ。」
「なるほど……でも、こんなの貰っちゃっていいのかな……?」
真の勇者なら盗品なんて受け取らないはずだ。それはヴィクトリーも察していた。でも、感謝の証にくれるものを無下にするわけにもいかない。
「じゃあさ、旅の途中でそいつの持ち主探して見つかれば返せばいいんじゃねぇか?」
「そうだ、そうしよう。」
それなら、勇者として問題ない行為だ。そういう訳で、僕達はその宝玉を受け取った。
「……このようなものがこんな所にあるとはな。」
急にアリスが口を出してきた。
「……悪用の危険性がある以上、人間の手には渡したくないが……まぁ、青と銀は魔族が押さえてるから問題は無いか。」
「え……?」
「これが何なのか知ってんのか?アリス。」
「当然だ。余を誰だと思っている……まぁ、ヴィクトリーの言ったこととだいたいは合ってる。願い事は叶わんがな。」
「……やっぱり集めると不思議な事が起こるのか……」
「具体的には話さないんだね……」
そこまで言うんだったら、ただの宝石では無いのだろう。
「持ち主の大富豪さん……見つかるといいな。」
「あぁ、そうだな。」
まぁともかく、これで盗賊団の件は終わりだ。しかし、僕達はまだまだ旅を続けなければならない。
「じゃあ、もう僕達は行くからね!」
「もう悪さすんなよ〜!」
四人は笑顔で、ルカ達の方に向く。
「うん!分かった!」
「今日限りで盗賊団は解散にするね!」
「もう、悪い事はしないぞ!」
「立派な魔物になって、世の中の役に立つのだ!」
ヴィクトリーは親指をグッと上げ、四人に微笑んだ。
こうして僕達は広場を後にしたのだった。
「いや〜よかったな〜!無事に解決してさ〜!」
「そうだね……今日は実に素晴らしい事をしたなぁ……」
「……ドアホめ。相手が大人のドラゴンだったら、どうするつもりだったのだ?貴様ら、本当に死にたいのか?」
アリスの問いに二人は真っ直ぐな眼差しで応える。
「誰だって、死にたくて戦ってるわけじゃないよ。」
「俺は強くなる為に戦ってるし、ルカは自分の理想を叶える為に戦ってるんだ。まぁ、死んだら俺達はその程度だった……って事でいいんじゃねぇかな……」
「……ふん、ドアホ共め……」
アリスが深々と溜息をついた時だった。
「流石は勇者一行様!私が見込んだお・か・た。」
「お、お前は……!!」
「まさかっ……!!」
そう、あの残念なラミア、もといアミラがまた僕達の前に現れたのである。
「お前、まだ出てくる気か……!?」
「完全な出オチキャラだろおめぇは……」
アミラは僕達をふっと嘲笑う。
「出オチキャラだと思ったら大間違い。実は意外な真ヒロイン、それが私。」
「貴様がヒロインだと……!?ふざけるのも大概にしろ、貴様!」
「そうだそうだ!」
アリスとヴィクトリーが声を荒げる。
「何でお前らが怒るんだ……」
ヴィクトリーが啖呵を切る。
「もんくえのヒロインつったら三番目の熾天使こと、エデン様だろうが!」
「何の話だ!」
「それでもって、それは単に貴様の好みだろうが!」
ルカとアリスが鋭いツッコミを入れた所で話を戻した。
「それで、何しに来たんだ?」
「下らねぇ用事だったら、ぶっ飛ばして火の中に放り込むぞ。」
「それはやりすぎだよ……」
アミラがシリアスな顔になり、その口を開いた。
「実は私、邪な魔導師によって姿を変えられたお姫様……きっと勇者様のキスで元の姿に戻るはずよ……」
「ほ、本当なのか……?」
「ウソこけこのやろー」
「脳みそ筋肉でも見破れる嘘だったな。」
「ちっ……バレたか……」
まるで悪びれもせずに、ぬけぬけと舌打ちをするアミラ。
「おもしれぇ冗談を思いつくやつだな〜。ぶっ飛ばすのは事が終わってからの最後にしてやる。」
「ひえっ……」
流石のヴィクトリーもイライラしてきてるみたいで、額に青筋を浮かべている。浮かび上がった血管とそれに似合わない穏やかな目つきがミスマッチして、なんだか凄まじい威圧感が放たれていた。
「仕方が無いわ、こんな時の為に用意した誘惑魔術を使うしか無いようね!」
「なんだとっ!?」
「!?」
アミラの攻撃宣言により、思わず構えてしまう。
「行くわよ!ハート・スプラッシュ!」
「くそっ!」
「っ!」
防御行動をとり、攻撃に備えた……が、何も起こらなかった。
「あ、あれ……?」
僕はとりあえず、防御を解いた。その時だった。アリスや僕を含め、不意に背筋がゾワッとする。
見るとヴィクトリーの青筋が一本増えていて、穏やかな目をしているのに何だか充血している。
どうやら完全にキレてしまったようだ。
突然ヴィクトリーが、アミラの足を掴み、このイリアスベルクで一番高い建物を見つけ、忍者のように壁を走って、その屋根の上に立ち、アミラの足を左手に持ち、吊るした。
「今支えてんのは左手だ。利き手じゃねぇんだぜ。」
「ひ、ひぃいいい……!!お助け〜!ヘルプ〜!!」
流石にやりすぎだ。そう思い、止めようとしたが、アリスが静止する。
「安心しろ。多分奴はこれしきの事では死なない……多分な。」
アリスは愉快そうな顔でそう言った。どうやら楽しんでいるようだ。
「ええぇ……」
アミラは悲鳴を上げ、助けを求める。
「ひいぃいい!!こんな高さから落ちたら流石に死んじゃうわ!助けて!!ヘルプミー!!何でもしますから!!」
「おめぇは最後にぶっ飛ばすって言ったな。」
「そ、そ、そうでしょ!?だから……」
「ありゃウソだ。」
ヴィクトリーはそう言い、アミラを吊るしていた左手をパッと離してしまった。
「ああああああああああああ!!!!!」
そしてアミラは、地面に激突した。
「が、がふっ……」
アミラは頭に星を浮かべて気絶してしまった。
「ふぅ……」
建物から降り、ヴィクトリーが何食わぬ顔で一息つく。サイヤ人は怒らせたら何をするか分からないな……そして何で、この町の住人達はこれらの事に目を向けもしないのか。
「……行くぞ二人とも、のんびりしていては、何時まで経っても魔王城に到着せんぞ。」
「あ、あぁ。」
「そうだね……」
こうして僕達は、イリアスベルクの町を後にしたのだった
流血表現
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もっとする
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このままでいい
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しなくていい