もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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休息

 ミカエラの話により、聖魔大戦やミカエラの素性が明らかになる。更には、ルカがハインリヒの血統と原初の天使のハーフである事も判明した。

「さて……あなたにも話さなければなりませんね。」

「は、はい……」

 この人の前だと、何故か頭が下がるな……

「まず、イリアスが異世界に目を向けたのは今から1000年前でした。イリアスは夢を見ました。」

「夢……?」

「一人の勇者が四人の戦士を連れ、最終的には悪魔を倒す夢……龍球と呼ばれる世界で繰り広げられる、激戦の夢を……」

「……ドラゴンボールヒーローズかっ!」

 ドラゴンボールヒーローズ……彼の世界は、そう呼ばれてる。

「ええ……イリアス様はその夢を見て、すぐさま知恵の天使に異世界に渡れる道具を作らせました。」

「……今はもう無くなっちまってる、アレか……それにしても天使達も、災難な奴だなぁ……いきなり、イリアスにそんな事言われたんだから……」

「知恵の天使も、苦笑うしかないみたいでした。でも、数百年で異世界に行ける装置を完成させ……そして、あなたがここに連れてこられました。」

「ははは……それで、何で俺が連れてこられたのかな……」

 ヴィクトリーは膝に肘を置いて腕を垂らし、言う。

「俺以外にも強いヤツや、サイヤ人もいた筈だ……いったい、何で……」

「……やはり、超サイヤ人の事でしょうね。1000年に一度現れる、残忍な破壊の化身とも伝えられた超サイヤ人の力を我が物に出来ればどれほど頼もしいか……」

「でも、それだけじゃねぇんだろ?」

 実の所、ドラゴンボールヒーローズには彼以外にも超サイヤ人になれる奴なんて無尽蔵に居る。その中でも、なんで俺なのか……

「ええ……ルカとの年齢と誕生日の一致、性格、個人の強さ……それらを複合して、厳選されたのがあなたという訳です。」

「……なるほどね。だから、俺が……」

 謎は全て解けた。もう、聞くことも無いだろう。

「……本当に、こんな事に巻き込ませてしまった事を謝らないといけませんね。」

 ミカエラはそう言い、頭を下げてくる。しかし、ヴィクトリーが申し訳なさそうな顔をして、手を振った。

「いや、いいさ……中々楽しいしさ。こんな状況で不謹慎かも知れねぇけど、俺は強いヤツと戦えて今最高に充実してるぜ!」

「そうですか……連れてこられたのが、あなたで本当に良かったみたいですね……」

 彼女は、優しく微笑んだ。

「……私からの話は、これで終わりです。これからあなた達は、イリアスと戦っていくのでしょう?」

「はい!」

「おう!」

「ああ、もちろんだ。」

「私も地上界での暮らしが長く、満足に戦える身ではありません。地上の空気は、天使にとってあまり良いものでは無いのです。非常に口惜しいですが、あなた達の勝利を願うことしか出来ない身……」

 ここでミカエラが、眉をピクッと動かした。

「……おや?しばらく入るなと命じておいたのに……」

 この部屋に近付いてくる、慌ただしい足音。

 せわしないノックの後、返事も待たずにドアが開けられる。

「ミカエラ様、大変です!巨大なモンスターを従えた妖魔が現れました!」

「そんな……また敵の襲撃か!」

「落ち着け。」

 剣を持って出ようとするルカを、ヴィクトリーは止める。

「それは、どのような妖魔なのですか?」

「大型のモンスターに乗った、小柄の九尾の妖狐ですが……ここに来ている、魔王アリスに会いたいと……」

「たまもか……」

「らしいね……」

「……なるほど、ここに通しなさい。」

「うむ、入るぞ……」

 エルフの伝令を通さず、ひょこひょこと入ってきたのは……やっぱり、たまもだった。

「どうした、たまも。また何か問題か……?」

「例のディスクを調べた結果、精霊の封印について幾つか分かったのじゃ。それについて、早急に伝えておこうと思ってのう……」

 たまもはぴょんと跳ね、椅子に腰を下ろした。そして、ミカエラと視線を交える。

「久々ですね、玉藻……」

「このような状況で再会するとは、皮肉なものじゃのう。」

 目の前にある、生ける伝説が二人も……

 ……

「……悪いな、席を外させてもらうぜ。」

 ヴィクトリーは立ち上がり、そう言った。

「ああっ、待たんかヴィクトリー!お主も聞くのじゃ!」

「俺に精霊の結界うんぬんは関係ねぇだろ。おめぇの話は後でルカに聞くし、詳しい説明を聞いてる暇があったら、俺は修行する。」

 ヴィクトリーはそう言って、ミカエラの家から出ていった……

「あっ……しょうがない奴だなぁ……」

「あの脳みそ筋肉め……」

「むむ……まぁいい、本題に入るぞ……」

 ここで、たまもによる精霊の結界の話が始まった……

 

 ヴィクトリーは、座りながら瞑想していた。

「……」

 今も世界各地で、キメラモンスターや天使が町を襲っているだろう。

 さぁて、これからどうしたもんか……少なくとも、今の俺じゃあ黒のアリスにもあのザマだ。イリアスに勝つなんて夢のまた夢だろう……とにかく、一刻も早く強くならねぇと。また、あの全盛期の頃……超サイヤ人ゴッドにまで。

「……」

「……ふむ、修行に勤しんでいる所を失礼させてもらうぞ。」

「たまも。」

 ふと、たまもがアリスを連れて彼に声をかけてきた。

「これだけでも、お主には報告しなければならんかのう……世界各地の町や村を、キメラモンスターや天使が襲っているのじゃ。」

「ああ、予想はついてる。」

「ルカは今、ミカエラの家で休んでいる。お主も休んだらどうだ……?」

「……」

「あの……」

 一人のエルフが、たまもに声をかけた。

「あの人、ず〜っとあんな感じですよ……ああやって、座ったまんまで……」

「ふむ……強くなれそうか?ヴィクトリー。」

「……」

 ヴィクトリーは立ち上がり、拳を握った。

「お?」

「……」

 そして、超サイヤ人になった。

「……超サイヤ人に……?」

「これが噂に聞く、超サイヤ人みたいじゃな……」

「やっぱり……凄い……」

「はぁあああ……!!!」

 彼は、更に全身に力を込め、気を解放した。するとドンッと筋肉が膨れ上がり、凄まじいエネルギーが辺りに吹き荒れた。

「おぉ〜!」

「っ!?」

「なっ……!?」

 たまもは唸り、アリスとエルフは驚愕した。

「す、凄いぞヴィクトリー……!」

「す、既に先程の力を超えてる……!」

 そう言う彼女達の賞賛を受けながらも、彼はまだ納得のいってない様子だった。

「……更に、もう一段階の変身が可能だ……」

「なにっ!?」

「はああああ……!!!!」

 ヴィクトリーは更に力を込め、気を解放した。髪の毛の量が増え、逆立つ。ボンッと筋肉が膨れ上がり、凄まじいパワーが宿った。

「……」

 額には青筋を立て、体から漏れたエネルギーがバチバチと電光し、吹き出す。そのエネルギーに、エルフとアリスは圧倒されていた。

「す、凄まじい……!」

「これなら……これなら、黒のアリスに……!」

「これじゃあ勝てねぇ……たぶん。」

「え!?」

 急激な超パワーアップをした後とは思えない程弱気な声に、アリスとエルフは驚いた。その横で、たまもは頷く。

「ふむ……そんなに大きく膨れ上がった筋肉では、(ぱわー)は上がっても、速度(すぴーど)が殺されてしまう。でかい(ぱわー)も、敵に当たらなければ何もならん……」

「ああ……」

 頷いて、ヴィクトリーは元の状態に戻った。

「それに、エネルギーの消費が激しすぎるんだ。バランス的には普通の超サイヤ人でいい。」

「む、むぅ……」

「……じゃあ、どうするの?」

「これから、戦う時は超サイヤ人で居るようにする。戦いながら超サイヤ人でいて、それが当たり前の状態にもっていくんだ。まずは超サイヤ人になった時の、落ち着かない気持ちを消すところから努力してみるよ。その後、基礎的な部分から修行し直す。遠回りかも知れねぇけど、それが一番いい気がしてきた。」

「……そうじゃのう。お主には一歩一歩を踏みしめ、確実に強くなっていく方がお似合いじゃぞ!」

「ああ……ところでたまも、おめぇアリスと何してんだ……?」

「新技の修行じゃよ。少しでもお主たちの役に立つためのな。」

「ふん……」

 アリスは正直乗り気ではない様子だ。確かたまもが教育係だったんで、ガミガミ言われてたんだっけな……

「ああ……頑張れよ、アリス!」

「うむ。一刻も早く、貴様らに追いつけるようにせんとな。」

「お互い、頑張るのじゃ!」

 ヴィクトリーは親指を上げてウィンクしてから、ミカエラの家に戻った。

 

「……ん、ヴィクトリーか。」

 ミカエラの家に戻ると、ルカがリラックスしていた。

「修行はもういいのか?」

「ああ、おかけで今の自分に足りねぇものが分かった。」

 ヴィクトリーはそう言って、ルカの隣に腰を下ろした。

「おめぇと一緒に戦って、確実に強くなるつもりだ。」

「ああ、お互いに頑張ろうな。」

「……ヴィクトリー。」

 ミカエラが、急に俺を呼んだ。

「何ですか?」

「……これ、あなたのでしょう?」

 そう言って出したのは……ホイポイカプセル二個。

「ホイポイカプセルか……多分、俺のかも……中身は?」

「わかりません。どうやって使うのかも分からなかったのですから。」

「……」

 ヴィクトリーはホイポイカプセルのスイッチを押し、机に投げた。

 すると、カードケースが出てきた。

「うわっ……魔法?」

「へぇ……そういう事ですか……」

「……って、これ俺のカードケースじゃねぇか!」

 ヴィクトリーはそれを手に取り、中身を調べた。相当数のカードがあり、それを片端から数える……

「……まぁ、無くなってるカードはねぇみてぇだ。良かった……」

「そのカードは、一体……」

「……俺と苦楽を共にした相棒ですよ。」

「……」

 なぜ、カードが相棒……?

「……まぁ、お守りみたいなものです。ミカエラさん、一枚貸しましょうか?」

「……あなたの事です。きっと、不思議な事が起きるのでしょう?」

「決して無駄にはならない筈です……」

 ミカエラはヴィクトリーから差し出されたカードを受け取り、大切にしまった。

「……もう一個の方は?」

「あ、ああ……そうだった。」

 ルカの言葉ではっとして、カプセルをとる。そしてそのスイッチを入れて、机に投げた。

 すると……

「これは……!!」

 なんと……メタモリングだった。黒く、カプセルコーポレーションの印がある、腕輪であった。

「おいおいおい、これ……フュージョンズの世界に行ってた友達からの、貰いもんじゃねぇか……」

「ふゅーじょんず……?」

「何だその……腕輪?」

「……これは、二人の腕にハメて使うものだ。フュージョンっつって、二人のパワーを融合させることによってめちゃくちゃ強くなれるんだけど……おめぇ、俺とフュージョンしてぇか?」

 ヴィクトリーがそう聞くと、ルカは赤面した。

「誤解を招く言い方はやめろ!」

「そういう事じゃねぇ!!」

「……」

 ミカエラは、何故か満面の笑みを浮かべてた。おい、おめぇもそっち派か。

「……まぁいいや。こいつは多分使わねぇぞ……こんなん荷物の中に入れたっけ……」

 ……実は、イリアスから落ちる時に二つほど荷物が無くなってて焦った時があったのだ。まぁ、こうやって戻ってきたし……よかったよかった。

「……とにかく、俺も休むぜ。今日は疲れた……」

「僕もな……」

 二人は椅子に座りながらリラックスした。すると、ふとヴィクトリーの目に大きい水晶が目に付いた。

「……ん、何だあれ?」

「あぁ……世界を見渡すことが出来る魔導道具ですよ。まだ使う機会を見つけてません……遠く離れた者へ声を届けることも出来ますが……多分、これからも使う機会は無いでしょうね。」

「……へぇ〜……」

 なんか、水晶でこっちの様子とか伺ってる敵キャラって良くいるよね。これも、そういう道具の類なのだろうか……

 

 そしてしばらくする……

「ふぅ、こんなもんかな。」

「ああ、俺もだ。」

 しばらくの休憩で、体がリフレッシュした。

「……どうだ、二人とも?行けそうか?」

 アリスも声をかけてくれた。

「ああ、もうバッチリだよ。でも、今まではこんな事なかったのになぁ……」

「……ルカ、その力は体に負担をかけちまうみてぇだ。乱用は避けた方がいいぜ。」

「その通り……さもなければ……」

「さもなければ……どうなるんだ?」

「……」

 アリスはなぜか、堕剣エンジェルハイロウに目をやった。

「度を超えれば、自らの身を破滅させることになる。天使の技を用いる程度なら問題ないが、それ以上はやめておけ。」

「ああ、分かったよ……」

 アリスの真剣な面持ちに、ルカは頷いた。

「それでは行くぞ、二人とも!何の因果か、再び世界を巡る旅だ!」

「ああ……今度こそ、イリアスから世界を救うために!」

「そして、この世界の人間のためにも!俺達はイリアスをぶっ飛ばす!いいなっ!」

「おぉーっ!!」

 三人は気合いを入れ直し、決意を胸にエンリカを出た。

 ガルダの背に乗り、世界を回る……

 

 後で詳しく聞いてみると、精霊は無くなってはいないらしい。

 聞けば、力を制御された状態で元の場所に戻されたというではないか。だったら、精霊を回収しながら世界各地の町や村に強襲してる天使やキメラモンスターを片付ければいいという算段に至った。

 今まで回ったこの世界を、またもう一周するのだ。相手はモンスターではなく、天使や化け物……見た事の無いような、えげつねぇ化け物が俺達を待ち構えているのだ。

「……俺、ちょっとわくわくしてきたぜ……」

 当然、最初に向かうのはイリアスベルク。さてさて、どうなるのかな……

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