もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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サン・イリア城下町防衛戦前半

「よし、セントラ大陸に行こう!」

 イリアスヴィル、エンリカ、イリアスベルク、ハピネス村の連中はぶっ倒した。これで、イリアス大陸で俺達にやれる事は無くなった筈だ。

「ああ、セントラ大陸を強襲してる奴もぶっ飛ばさねぇとな……」

 進路は北、セントラ大陸。その南部には、シルフが居るかもしれないという精霊の森がある。

「でも、まずは聖都サン・イリアに行こう。きっとあそこも、イリアスの軍勢に襲われてる筈だ……」

「イリアス信徒共の巣窟だけに、混乱も激しいだろうな。いかに気に入らん都市とは言え、見捨ててはおけんか……」

「ああ、あそこにはフェアリーだって居る。急がねぇと!」

 そして、戦士達は聖都サン・イリアへと飛んだ……

 

 サン・イリア上空……

 城下町内にはすでにキメラモンスターが侵入し、大混乱に陥っているようだ。

「まずい……もう城壁は突破されたのか!行くぞ二人とも!」

「ああ!」

「おっしゃあ!」

 三人は飛び降り、城下町へと降り立つ。そこで目にしたのは、聖都には似つかわない混乱だった……

「な、何だあいつ……き、キモッ……」

 ヴィクトリーの視線の先……そこには虫のようなキメラモンスターが城下町で荒れ狂い、男を貪っていた。

「ひぃいい……!イリアス様、お助け下さいぃ……!」

 男は組み伏せられ、絶体絶命のピンチに陥る。

 こんな状況なのに、イリアスに祈ってんのか……

「おらぁっ!!」

 ヴィクトリーはその虫のようなキメラモンスターの顔面に、両足蹴りをかました。彼女はぶっ飛び、石壁に叩きつけられる。

「きゃっ……何なんです!?」

「俺はヴィクトリー、よろしく!」

 キメラモンスターは起き上がり、彼に視線を向ける。その口が淫猥に歪み、艶めかしい笑みを見せた。

「私はキメラバグと呼ばれています……それで、あなたが交尾の相手をしてくれるんですかぁ……?うん、生殖相手として」

「はぁあああっ!!かめはめ波ーーっ!!!」

 ヴィクトリーは超サイヤ人となり、かめはめ波でキメラバグを倒した。

「おおっ!」

 いや……

「あらあらぁ?やられちゃったみたいですねぇ……」

「うふふっ……これがウワサの超サイヤ人って奴ですか……」

「わぁ、美味しそう……」

 他のキメラバグ達が、ヴィクトリーの周囲を取り巻いた。

「ルカっ!俺はこいつらを叩き伏せる!おめぇは急げっ!」

「あ、ああ……」

 ヴィクトリーはキメラバグと乱闘する。かかってくる彼女らを、一撃で三体は倒す大活躍だ。だが、倒しては次、倒しては次と、次々にかかってきた。こんなジリ貧の戦いじゃ、体力が切れるのが先だろう。

「で、でも……この数ではキリがないぞ……やはり親玉を……」

 アリスはそう言いながら、ルカを見る……

「……どうした、ルカ?」

「あの女の人、もしかして……」

 ルカの視線の先……そこには、大混乱の中を悠々と歩くシスターラミアがいた。どうやら、サン・イリア城へと向かっているようだが……しかも、あの顔には確かに見覚えがある。

「ま、待ってくれ!君は……!」

「あら……あの時の勇者ですね……」

 ラミアは振り返り、柔らかな笑みを見せる──やはり、彼女は以前にグランドノア近くで出会ったシスターだった。

「なぜ、あなたがこんな所に……」

「もちろん、救済のためです。サン・イリアの神官達は天使から攻撃を受け、苦しんでいるのでしょう……」

「あなたも、彼らを助けに来たんですね……!?」

「ええ……イリアス様から、天啓が下ったのです。迷える神官達を昇天させ、苦しみから解き放てと……」

「な、何だって……!?」

 シスターラミアの発言に、ルカは驚愕する。

「……そして今、イリアス様からお告げがありました。大いなる罪人であるあなたに、天罰を与えよと……神に仕える身である以上、残酷な行いは好みません。しかし……邪魔する者は始末せよ、とイリアス様は仰せなのです。」

「なんでそこまでして、イリアスに従うんだ……!」

 その問いは、意味を成さないことを知っていた。ならば……!

「おらぁああーーっ!!」

 ルカは踏み込み、魔剣・首刈りを放った。

「……ッッ!!?」

 盲信の前に、説得など意味はない。ここは一旦封印させてもらう!

「はぁあっ!!」

 ルカは剣を構え、ズバズバとシスターラミアを切り裂いた。

「きゃあっ……!!」

「だぁあっ!!」

 そして、両足蹴りで顔面を打ち抜いた。

「ぐぶっ……!!」

 彼女はぶっ飛ぶが、立ち上がる。

「ノーマレンっ!!」

 そしてなんと、土の精霊を呼び出した。筋肉が張り、土のパワーが溢れ出る。

「そ、そんな……土の精霊だって……!?」

「これこそが、イリアス様より授かった力……この雄々しさ、あなたに分かりますか……?」

「……」

 シスターラミアの体に満ちた大地のパワーは、ひしひしと感じられる。

「くっ、ヴィクトリーっ!!」

「んん!?」

 ヴィクトリーがキメラバグを叩き伏せ、ルカの横に飛んでくる。

「相手は精霊使い……僕じゃあ分が悪い、頼めるか!?」

「おおっ!」

 ルカはキメラバグの軍団に向かい、走った。そしてシスターラミアと対峙するは、ヴィクトリー。二人は、丁度入れ替わりになったのだった。

「土の精霊……確かに、本物みてぇだな……」

「野蛮な猿……あなただけは、ただでは済ませませんよ……」

 シスターラミアはノーマレンの力を爆発させ、更にパワーを上げた。

「はぁあああ……!!」

 筋肉が張り、更なる超パワーを得た彼女……それを見たヴィクトリーは、ニヤリと笑った。

「確かに、すげぇパワーだ……だけど、俺には勝てねぇ。」

「……その減らず口を、今すぐ黙らせます……!」

 彼女は腕を振り上げ、ヴィクトリーに振り下ろした。しかし彼は、それを避ける。

「っ……!!」

 目標を逃した拳が、地面の石畳を粉砕した。

 確かに、これは当たったらただじゃすまねぇな……当たったら……

「はぁあああっ!」

 彼女は次々と、怒涛の猛攻を繰り出した。しかし、彼には当たらず、軽々と避けられるだけだった。

「な、なぜ……なぜ当たらないのです……!?」

「言ってんだろ、俺には勝てねぇって。」

「くうぅぅっ!!」

 彼女は歯軋りをしながらエネルギー手に溜め、ぶん投げた。しかし彼は、案の定それをひょいとかわしてしまう。

「く……ぐぐ……!!当たりさえすれば……!!あなたを遥かに超えるパワーを、当てさえすれば……!!」

「……はぁっ!!!」

 ヴィクトリーは気を解放した。髪の量が増え、筋肉がドンッと張る。そして、バチバチとエネルギーを纏わせながら、シスターラミアを睨めつけた。奇しくもその形態は、今の彼女と酷似していた。

「そんなパワー重視の変身なら、俺にでも出来る……」

「〜……っ!!」

 彼はすぐに普通の超サイヤ人に戻り、先程とは違って冷静な目で彼女を見た。

「そんなパワーアップのためだけの変身じゃあ、俺には勝てねぇ……おめぇはバカだ……」

 その言葉が、シスターラミアの冷静に火をつけた。

「バカ……!!?猿が、私にバカと……!!?ふ……ふざけないで下さい……!!」

 シスターラミアは気を解放し、ヴィクトリーに殴りかかった。しかし、彼はそれをあっさりと避け、彼女の懐に踏み込む。

「はぁあああっ!!」

 そして気を解放し、腹を一撃した。

「がはぁっ……!!?」

 彼女の精霊の効果が消える。そのまま白眼を剥いて、倒れてしまった。

「……完全に使いこなせてたら、とんでもねぇ強敵だったかもな……」

「終わったか?」

 キメラバグを倒し、落ち着いたルカが声をかけた。

「ああ……それよりルカ、サン・イリア城がやべぇんじゃねぇか?」

「少なくとも、パニック状態にはなってるだろうね……アリス、城に急ごう!」

「敬虔な信徒達が、集団自殺などやりかねない……か。だが、余は城内には行かん方が良いだろうな。人々の心は、貴様らほど広くない……特に、神に仕えてきた者達はな。」

「残念だけど、そうかもしれないね……それじゃあアリスは、城下のキメラバグ達を頼む!僕とヴィクトリーは……」

「いや待ってくれ。大聖堂の方から沢山の気を感じる……俺はそっちに行くから、おめぇは王様を頼む。」

「あ、ああ……任せた!それじゃあ、解散!」

 三人は解散し、それぞれの目的に向かった。アリスはキメラバグ退治、ルカはサン・イリア王の安否確認、ヴィクトリーは大聖堂へ……

 

 大聖堂の壁が蹴っ飛ばされる。

「……こりゃあ……!」

 蹴っ飛ばした主はヴィクトリー。そして、彼が目にしたのは……

「ああ、イリアス様……」

「どうか、我々に救いを……例えそれが、死という安寧だとしても……」

「イリアス様のご意思ならば、我々は何をも受け入れます……」

 大聖堂で一心不乱に祈る、何十人もの聖職者達。派手に登場した少年の方には見向きもせず、ただひたすらに祈っている。それほどまでに、追い詰められていたのか。それとも、扉を蹴破る勢いで来た人間が連続したのか。

「お、おいてめぇら!さっさと避難しろよ!殺されてぇのか!?」

「うるさいぞ少年!もう我々はおしまいなんだ!!」

「逃げねぇと、みんなみんな死んじまうんだぞ!!おめぇらそれでもいいんか!!」

「イリアス様に殺されるというのなら、本望だ!!」

 ヴィクトリーはそれを聞いて、固まってしまった。今この瞬間も、城下町から悲鳴がこだまする。なのに、それから耳を塞ぐようにイリアスに祈っていた。

 く、狂ってやがる……!どいつもこいつも……!!

「……なんだっ!?」

 ヴィクトリーの気の察知が、何かを捉える。ドス黒い、聖なる力だ。それも相当の気で、上位天使に匹敵するほどの──

 この気は……!!

「おめぇら逃げろーっ!!天使が来たぞーっ!!」

「はっ……!」

 聖職者達は彼の声には応じず、天を見る。

「このような状況でも、祈りを絶やさぬとは……まさに貴君達は、イリアス信徒の鑑と言えるでしょう。」

 大聖堂に満ちる、荘厳かつ神聖な光。柔らかな光の粒子が集まり、光の輪と麗しい羽が形を成す……

「おお……!て、天使様……!」

「私は能天使ムズキエル……忠実なイリアス信徒であるあなた達に、永遠の安息を与えましょう……」

 その身体は……まるで虫の醜い所を集合したかのような姿だった。

 人間の女の上半身、頭の触覚、ムカデ状の腕、何だか変な割と説明し辛い白子みたいなでっかい下半身、それに生えてるカマキリの鎌……白子の尻尾には、節足昆虫のような甲殻部分が二つとサソリの尻尾が一つと白子の搾精器官とで四股に分かれてる。

 こんな気持ち悪いやつ、どう妥協して見ても天使なんかじゃねぇ……!

「て、天使様……!?そ、そのお姿はいったい……!?」

 神官達は絶句し、ただ息を飲むしかなかった。降臨した天使の姿は、当然の如く彼等が思い描いていた天使とは程遠いようだ。それはむしろ……彼等が嫌っていた、魔物とも言っていいような姿だった……

「ば、化け物……!」

 その言葉が出た瞬間、失言の主にムカデ状の腕が巻き付いた。

「なんたる不遜……イリアス様より授かったこの体を、化け物呼ばわりするとは……」

「あ……!!」

 そのままその男を、凄まじい力で捻り潰そうとした時だった。

「ちぃっ!!」

「!!」

 ヴィクトリーの気円斬が、ムカデ状の腕を切断した。男は落ちる寸前で彼に背負われて、床に下ろされる。

「野蛮な猿……!!そうですか……あなたも、永遠の安息が欲しいのですね……いいでしょう、あなたを捻り潰します!人間達に安息を与えるのは、その後です!」

「みんな逃げろーーーっ!!!」

 ヴィクトリーの一喝により、今度こそ神官達は一目散に逃げる。

「こ、こんなのは違う……!天使様は……イリアス様の使いは、もっと……!」

 出口に殺到する神官達の前に立ちはだかるムズキエル。

「おっと、逃がすつもりはありませんよ……先ほど言った通り、この猿の次はあなた達の番なのですから……」

「ひ、ひいぃ……!」

「く、くそぉ……!」

「……はぁあっ!!」

 ヴィクトリーは気を解放し、超サイヤ人になった。

「おぉ……!」

「ひ、光が……!?」

「そ、それに……髪が金色に……!」

 その超サイヤ人の黄金の光は、神官達に希望を思わせたのだった。彼の方が、余程天使に見えるのだろうか。

「……!それが超サイヤ人……!スカウターを忘れてしまいましたが、それでも強さはビリビリと感じます……!」

「俺だけじゃねぇぜ……」

 ヴィクトリーがそう言った時だった。

 ステンドグラスが突き破れる。舞い散る破片と共に、大聖堂に降り立つ一人の少年。その体からは神聖なオーラが放たれ、まばゆい翼を背に成している……

「本物の天使様……!?いや、勇者様……!」

「おお……我等をお救いに……!」

 絶望していた神官達にとって、彼らこそが天の使いそのものだった……

「ようやく来たのかよ、ルカ。」

「ああ、遅くなってごめんよ……」

 二人は背中を合わせて、ムズキエルに構えた。

「さぁ来いキモ天使!」

「僕達が相手だ!!」

 うぞうぞと動く白子……うねうねとうねってる触手……その姿は、まるで魔物だ……

「なんて姿なんだ……まるで、魔物そのものだね。」

 ルカが絶句しながら、言う。

「現れるなり、天使を侮辱するとは……まさに、汚れし勇者に相応しい振る舞いですね。」

「……別に、侮辱のつもりは無いよ。お前達と違って、僕は魔物を差別していないからね。」

「……あ、俺もだぜ?」

「……」

 ムズキエルは二人を睨みつけ、激しい敵意を露わにする。しかし、その瞳には淫らな色も同時に染まっていた。

「私は、豊穣と多産の天使……地上に生命を撒き、適切に管理するのが使命。しかし……再創世を前に、命の種が不足しております。あなた達の良質な子種で、まかなうとしましょうか……」

「ヴィクトリー、天使の階級は?」

「能天使だ。天使の階級は六位。能の字が表す通り、それなりに力がある。」

「なるほど……じゃあ、それなりに格が高いってことか……」

 だが、こいつを倒せば敵の総統は崩れる筈だ。何としても、ここで倒してしまわねば……

流血表現

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