もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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サン・イリア城下町防衛戦後半

 戦士達はサン・イリアに飛び、城下町で戦っていた。そして戦闘が落ち着いた時……

「アリスは、城下のキメラバグ達を頼む!僕とヴィクトリーは……」

「いや待ってくれ。大聖堂の方から沢山の気を感じる……俺はそっちに行くから、おめぇは王様を頼む。」

 戦士達は解散し、三手に分かれた。

 ヴィクトリーが大聖堂に来た時、そこは聖職者達で溢れていた。そして、その間に天使が降臨する……

「私は能天使ムズキエル……忠実なイリアス信徒であるあなた達に、永遠の安息を与えましょう……」

 信徒達の想像とかけ離れていた、異形の天使が舞い降りた。そして信徒達を殺そうとしたが、ヴィクトリーによって阻止される。更にルカがこの場に来て、ヴィクトリーと並んだ……

「さぁ来いキモ天使!」

「僕達が相手だ!!」

 戦士達は構え、ムズキエルと対峙した……

 

「がぁあっ!!」

 ムズキエルはまず最初に、牽制のエネルギーボールを二人に放った。

「ふんっ!」

「だぁっ!」

 二人はそれを弾き飛ばし、突進した。

「あだだだだだだだだだだ!!」

「はぁあああああああああ!!」

 そして疾風怒涛の猛攻を繰り出し、ムズキエルと攻防した。

「あはっ……!」

 ズドドドドド……と続く二人の猛攻を、涼しい顔で対応するムズキエル。そして、二人に強烈な一撃を叩き込んだ。

「ぐっはぁっ!!」

「ぐぁあっ!」

 二人はぶっ飛び、ズサササッと引き下がる。

「こっちよ。」

「なにっ!?」

「っ!?」

 その背後にムズキエルは高速移動して回り込み、二人を肘で打ち下ろした。

「ぐぁあっ!」

「ちっ!」

 ルカはそれに直撃するが、ヴィクトリーはなんとかそれを避けてから、彼女の顎にアッパーカットをキメた。

「ぐっ!?」

「だりゃあああっ!!」

 アッパーカットによって浮かび上がったその体に、飛び後ろ回し蹴りを叩き込んだ。

「ぐぶぁあっ!!?」

 彼女はぶっ飛び、壁に叩きつけられる。

「はぁあああっ!!魔天回帰っ!!」

 ルカはそこへ、魔天回帰を追い討ちした。

「ぐっはぁっ!!」

 直撃し、大ダメージを受ける彼女。しかしすぐさま飛び上がり、二人の前に立った。

「……ふふふ……」

 彼女が不敵に笑うと、傷が再生していった。とんでもない速度で粘土のような肉が傷口から溢れ、元の器官に成っていくのだ。これも、豊穣と多産の力の賜物なのだろうか。

「な、なんだと……!?」

「どうせそんなこったろうと思ったぜ……」

 彼女の傷が完治し、消し飛んだ組織も再生した。

「うふふ……やはり、噂に通りの戦士達……これは、私も本気を出さねばなりませんね……」

 そう言って彼女は、気を解放した。

「っ!」

「うぉお……すげぇ……!」

 二人は構え直し、向かう。

「はぁっ!」

 まずムズキエルのムカデ状の腕の一撃が、二人に放たれた。

「ふんっ!」

 ヴィクトリーが前に出て、その腕を掴み、合気で体を床に叩き伏せた。

「ぐぉっ!?」

「はぁあああーっ!!」

 ルカはその顔面に、剣を振り下ろした。

「ぐっ!」

 彼女はなんとかそれを避け、起き上がってルカに一撃を放った。

「ふっ!」

 ルカはそれを堕天舞踏で避け、消えた。

「なにっ!?」

「……」

 ルカがムズキエルの背後に現れたその時、彼女の腕がバラバラに切り刻まれた。

「!!」

「何処見てんだ!!」

 次にヴィクトリーが、彼女の懐に入り込んだ。

「ファイナルヒートファランクス!」

 そして、顔面に気合いとエネルギーを込めたパンチをかました。

「ぐぁあっ……!!」

 彼女は鼻血を出しながら、ルカの方へぶっ飛んだ。

「九重の羅刹……!!」

 ルカは、踊るように無数の斬撃を放つ。九つの剣閃が、天使の異形の器官を切り裂く。

「きゃあああっ!!」

「おっしゃあーっ!!」

 間髪入れずに、ヴィクトリーがその額に正拳突きを放った。

「ぐぁっ……!!」

「はぁああっ!!究極龍翔拳ーーーっ!!」

 そしてその胸を切り裂くように、渾身のアッパーカットを放って、上空へと打ち上げた。

「終わりだ……!!」

 そこにルカが飛んできて、その顔面を両足蹴りで打ち抜いた。

「ぐぁあっ……!!」

 ムズキエルは、イリアスが描かれているステンドグラスに叩きつけられた。

「行くぞヴィクトリーっ!!」

「おおっ!!」

 ルカは明けの明星を、ヴィクトリーは超かめはめ波を放った。二人のエネルギーがクロスし、凄まじいエネルギーとなって彼女に迫った。

「う、うわぁあああ……!!」

 エネルギーは彼女を貫通し、その背後にもあったイリアスのステンドグラスをも吹っ飛ばした。

「わ、私は能天使ムズキエル……豊穣と……多産……を……!!」

 ガラス片と共にエネルギーに融ける彼女はそう断末魔を残し、粒子となって消えていった……

「ふぅ、なんとか勝てたか……」

 外で暴れてたキメラモンスター共は、こいつが率いてたようだ。これで、敵の集団も総崩れになるだろう。さて、残るは……

「ああ、なんて事だ……」

「おおお、我々はどうすれば……」

 神官たちは、すっかり絶望してしまっている。放心したり、嗚咽を漏らしていたり……いずれも、心の傷は深そうだ。

「崇拝していた者に裏切られ、その姿さえ信じるものとは異なり……皆の絶望は、想像するに余りある。」

 絶望が支配する大聖堂に、つかつかと歩みでるサン・イリア王。俯いていた神官達は顔を上げ、王の顔を仰ぎ見た。

「猊下……私達は、間違っていたのでしょうか?今まで信じてきたものは、全て……」

「……皆も知っての通り、私は町の技術者の出だ。しがない時計修理工で、極貧の日々を送っていた……清貧と平等を説いたイリアス様の教えに心惹かれたのも、その貧しさゆえだったのだろう。若い頃の私には、難解な教理など理解出来なかったが……それでも、イリアス様の説く深い人間愛に驚嘆したものだ。」

「ですが、猊下……」

「……しかし今、イリアス様は我々を見放された。そんな今だからこそ、信仰の起点に立ち返ってみるべきではないか?なぜ諸君はイリアス様を信仰し、崇拝するに至ったか……その信仰の目覚めは、単なる盲信であった訳ではないであろう?」

「私は、過去に犯した罪を悔やんで……」

「私は妻を失い、その絶望から……」

 神官達は、この道に入るきっかけを思い返している。初心に戻る……って奴らしい。

「イリアス様は、人は平等に生きる権利があると説かれた……私は、それこそが真実であると今も考えている。今のイリアス様がそれを認めて下さらなくても、私はそれを信じ抜く。そして、皆もそうあってほしい。断じて我々は、このまま滅んではならない。たとえ神の意志に逆らってでも、生き抜かなねばなるまい……」

「猊下……」

「諸君の深い苦悩に対して、そう簡単に答えなど出ないだろう。しかし、今は祈りを捧げるよりもここを出るべきなのだ。我々は信仰の中心にして、全信徒の拠り所。この事態を前に、世界中の信徒達が迷っているに違いない。信徒達のためにも、我々は生き抜かねばならんのだから……」

 ……サン・イリア王様の言葉は、まるで自分に言い聞かせているように感じられた。神官達は悩みながらも、次々に重い腰を上げる。

「そうですね、我々にはまだやるべき事がある……」

「殉教は、務めを果たした後で……という事ですね。」

 各自、思い思いの事を掲げ……とうとう、全ての神官達が立ち上がった。そして彼らは、ぞろぞろと大聖堂を出ていく。この場に残るは、俺とルカとサン・イリア王様だけだ。

「これで……彼らには何とか道を示せたか。しかしこれから、色々と大仕事が待っているのだろうな……」

「大丈夫ですよ、王様なら。」

「ああ、俺もそう思う……」

「そうだよ、大丈夫だよ〜!」

 王様の背中に隠れてたフェアリーが、ひょっこりと顔を出す。どうやら、随分と懐かれているようだ。

「ふん、終わったようだな……」

 いつの間にか、アリスがヴィクトリーの横に立っていた。

「アリス、いつの間に!?」

「こ、ここに来て良かったのか……?」

「まぁ、構わんだろう。」

 横目で、サン・イリア王様の様子を伺うと……

「……別に、私は構いはせんよ。」

「構わないよ〜」

「そうか……構わないんだってさ、アリス。」

「ふん……」

「ともかく、これ以上俺達に出来ることはねぇ。そろそろ次の町に行かねぇか?」

「うん、そうだね……」

 確かに、これ以上の長居は無用。今も世界中で、イリアスの軍勢が暴れ回っているのだ。

「勇者達と魔王よ……そなた達は、世界で希望を示してほしい。ならば我々は人々の希望をまとめ、強固なものとしよう。」

「ふん、余に道など示さんでも結構だぞ。進むべき道は、もうすでに決しているからな。……望み通り、世界中で余の絶大な力を示してくれる。それにより生まれた希望とやら、どう導くかは貴様に任せよう。」

 アリスの言葉を聞き、サン・イリア王様は胸に手を置いて頷いた。フェアリーもその真似をして、えっへんと胸を張る。

「……心得た、導く事こそ我が天命。この命に懸けても、人々の希望を束ねようぞ。」

「あたしも、頑張るよ〜!」

「ああ、一緒に頑張ろう!」

 少しずつだけど、人々の心が一つになっていく確かな手応え。そのために必要なのが、神の暴虐に屈服しないという確かな希望。世界中で敵の軍勢を撃退し、人々に希望を示す……そのために、俺たちはまだまだ戦わなくちゃならねぇ!

「……そんな王様に、これを。」

「む……?」

 ヴィクトリーはサン・イリア王に、一枚のカードを渡した。

「これは……?」

「きらきら光ってる……」

「お守りみたいなものです。きっと何かの役に立ちますから、受け取ってください。」

「ああ……大事にする……」

 サン・イリア王様はそのカードを大事に懐にしまう。

「よし、行くぞ!ヴィクトリー!アリス!世界のみんなに、希望を示すために!」

「あぁ、どこまでもやってやるぜ!」

「ふん……魔王の力は健在だと、世に見せつけてくれよう!」

 こうして戦士達は、使命を胸にサン・イリアを後にした……

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