もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
「よし、ハピネス村へ行ってみよう!」
そう言い、僕達は歩を進める。
「サザーランドのおかみさんが言ってた所か……一体何があったんだ?」
「様子を見に行く必要があるだろうな。何にしろ、ハピネス蜜が採れなくなったらあまあまだんごだけじゃなく、各地の名産にまで支障が出るぞ。」
「……」
やはりアリスは食い物の事だけしか頭に無いのか……
「それは困るぜ……流通が滞るんじゃねぇか?」
「ふむ、後はこの世界でおいしいものが食べられなくなってしまうぞ。」
「そりゃ大変だ……」
こいつもか。ともかく、僕達はハピネス村を目指して東に進んだのであった……
「所で貴様ら。なぜハピネス村の名前はハピネス村だと思う?」
歩いていたら、アリスがいきなり質問を問いかけてきた。
「そこに幸せの神様でも居たんじゃねぇの?」
「全く違うぞ。」
むぅ、とヴィクトリーは頬を膨らませる。
「う〜ん……住人達が幸せに暮らしてるから……?」
ほのぼのとした農園で村人達が幸せそうに養蜂にいそしむ……そんな光景をルカは思い描いていた。
「貴様らは本当にドアホだな。近くのハーピーの集落が由来しているのだ。」
「はぁっ!?そんなん分かる訳ねぇだろ!」
無理も無い。ヴィクトリーはこの世界に来たばかりで、この世界に関する知識はまだあまり無いのだ。
「やかましいぞ脳みそ筋肉。」
「ぐぬぬ……」
「なるほど……そうだったのか……」
どうやら由来はハッピーではなく、ハーピーだそうだ。
「……で、ハーピーって何だ?」
僕とアリスはずっこけそうになる。
「ハーピーも知らんのか……!?貴様は生粋のドアホなのか!?」
「マンドラゴラとかスライムとかは知ってるのに何でハーピーを知らないんだよ……」
「しょーがねぇだろ……魔物なんてド〇クエに出てきた奴とかしか知らねぇんだから……」
どうやら、こいつは知っている魔物も居れば知らない魔物もいるらしい。でも、主要な部分が抜けていてマニアックな所が残っている。根掘り葉掘り聞けば、多分僕の知らないような魔物も知ってるだろう。
「上半身は人間の女、腕が羽根になっていて、下半身が鳥の足になっているモンスターだよ。」
「……何だか想像し辛ぇな……」
「まぁ、実物を見なければ分からないだろうな。ふむ、ハーピーか……」
アリスは顎に指を置き、考える。
「ハーピーの習性を考えると、村での問題とやらもおおかた検討がつくのだが……」
「そのハーピーってのは……ひ、人を食っちまうのか!?」
ヴィクトリーの脳内で、鳥女が人肉をついばむ画が展開された。
「大昔の人間か貴様は。食わんわドアホめ……んっ?」
アリスは不意に目を瞬かせると、そのまま姿を消してしまった。アリスが消えたってことは……
「戦闘か……」
指をボキボキ鳴らして、構えるヴィクトリー。僕も剣を抜き、構えた。
それは、やかましい羽音と共に現れた。ミツバチのモンスター……ミツバチ娘だった。
「洗礼を受けていない旅人が二人も……初々しくておいしそう……」
ミツバチ娘は舌なめずりをしてから、ヴィクトリー達を見る。その腹部についている蜂の巣からは蜂蜜がだらだらと垂れている。
「この蜜を、あなた達の体に塗りつけて、じっくり舐めとってあげる……あなた達の汗や精液をふんだんに含んだ蜂蜜をね……ふふふっ……」
「そうかよ……食中毒起こしても知らねぇぞ?」
ヴィクトリーはドスの効いた声でミツバチ娘にそう告げる。
「そいっ!」
いきなりミツバチ娘が甘い蜜を飛ばしてきた。ヴィクトリーは手で弾くが、ルカには直撃してしまった。
「う、うわ……」
「くうぅ〜!」
その蜜は思ったよりドロドロしていて、とろけそうな程甘い匂いがした。ルカは全身が、ヴィクトリーは右腕から顔や胸に蜂蜜が飛び散り、蜂蜜まみれになってしまった。
「手袋か何か持ってくりゃ良かったぞ……不快極まりねぇ……」
「う、うん……」
「あはっ……!」
そう笑うミツバチ娘は既にヴィクトリーの背後にいた。
「うしろっ!」
だが、ヴィクトリーの後ろ廻し蹴りがミツバチ娘のこめかみに炸裂し、よろめく。
「がっ……!?」
「だだだだだ!!!だりゃああああっ!!」
そして、全身に猛烈なラッシュを叩き込み、ルカの方に蹴り飛ばした。
「きゃあっ……!!」
「そこだっ!!」
ルカの剣技が一閃し、大ダメージを与えた。彼女の体が空を舞い、着地する。
「ま、まだ封印されねぇんか!?」
「た、タフだね……」
「いったいわね……こうなったら……」
ミツバチ娘はダンッと地面を踏み込むと、ヴィクトリーに急接近し、拘束し、そのまま抱え込んできた。
「ヴィクトリー!」
この状態で下手に剣を振るうとヴィクトリーが盾にされてしまうんじゃないか。そう思い、その場からは動けなくなってしまった。
「ぎ……おめぇ……意外と力つえぇんだな……!!」
ミツバチ娘はというと、力むヴィクトリーを完全にがっちりとホールドし、絶対に逃げられないように力を込める。
「そうよ……昆虫の力っていうのはね、人間より遥かに強いのよ……」
そう言い、ヴィクトリーの頬についた蜂蜜を長い舌でれろぉ〜っと舐めとる。その感触に思わず背筋がゾクゾクし、体がぴくぴくと震えてしまった。
「ぅぐ……俺は人間じゃねぇけどな!」
「え……?」
「かぁあああ……!!!」
ヴィクトリーはその腕力で腕を払い除け、腹部を蹴ってミツバチ娘から脱出、跳躍し……
「てりゃあああぁっ!!!」
その場で回って、渾身の廻し蹴りをミツバチ娘の顔面に叩き込んだ。
「ぎゃあっ!?」
「いまだっ!!」
吹っ飛んだミツバチ娘の懐にルカが素早く踏み込み……
「魔剣・……」
「ちょ……待っ……」
「首刈りぃ!!!」
うろたえるミツバチ娘の喉に容赦なく渾身の突きを繰り出した。
「ぁ……が……な、何……これ……力が抜けて……きゃああぁっ!」
断末魔を残し、ミツバチ娘の姿は消散し、小さなミツバチの姿になった。そして、ミツバチは何処かに逃げてしまった。
「おっしゃあっ!」
「よし、やったぞ!」
何とかミツバチ娘を倒す事ができた。今回の戦闘でも、非常に学ぶ事が多かったようだ。
「……相変わらず二人がかりであの程度の雑魚に苦戦するのだな。」
いつの間にか帰ってきたアリスが辛辣な言葉を吐く。
「ぐぬぬ……」
「そんな事言わなくても……」
アリスが微笑み、言葉を続ける。
「まぁ、戦いらしきものにはなってきたな。」
「今思うと塩投げてた時が懐かしいな。」
「……」
お前だってノリノリで塩パンチとかやってただろ。まぁ、アリスに褒められただけマシとしよう。
「ハピネス村にはいつ着くんだ?」
「もう目前だよ。」
僕達は何やら異変が起きているという、養蜂の村へと向かったのだった……
「……」
「ここがハピネス村……」
そこは、のどかで平穏な農園。おばさんやお姉さん達が、養蜂やその他の農作業に精を出している。
「ヴィクトリー、気付いたか?」
「あぁ。妙だな……」
「えっ……?見た所、異常は無いけど……」
「お前の目は節穴かドアホめ。教えてやれ。」
アリスに言われたヴィクトリーは、村を見回す。
「……女ばっかで、男がちっとももいねぇじゃねぇか。みんな引きこもってんのか?」
「あっ……」
確かに女の姿が多く、特に男の姿が見えない。ここから眺めた所では、養蜂を手伝っている少年が一人……その少年にヴィクトリーが近づき、声をかけた。
「オッス!働き者だなぁおめぇ!」
「わっ……ど、どうも……」
少年は、いきなり見ず知らずの派手な格好をした人が話しかけてきて、びっくりしてしまった。ルカは、ヴィクトリーの頭をぼかっと殴る。
「あのな……なんで、いきなり初対面の人に馴れ馴れしくできるんだよ……」
「ち、ちげぇーよ!俺はただ聞き込みがしたくて……」
そうこうしている内に少年は、「なんだあいつら……」という目で僕達を見ながら、自分の作業へと戻ってしまった。
「おや、旅の人かい。随分とお若いねぇ……」
そこに近くの蜂箱で働いていたおばさんが近寄り、声をかけてきてくれた。
「せっかくだけど、この村には旅人が喜ぶようなものは何も無いよ。名物のハピネス蜜も人手不足で作る量がめっきり減ったしねぇ……」
「あの……どういう事なんですか?」
ルカが問いかけた、その時だった。
「わあああぁーっ!!」
不意に、先程の少年の悲鳴が響き渡ったのだ。
「!?」
「なんだっ!?」
僕とヴィクトリーは慌てて声の方向に駆けていった。そこには……女の上半身、羽根になっている腕、鳥の下半身をしたモンスターがいたのだ。
「あ、あれがハーピーっちゅう奴か……!?」
「そうだよ……」
見ると何と一体のハーピーが男の子を掴み上げ、今にも連れ去ろうとしている所だった!
「ちぃっ!」
「やめろっ!その子を離せっ!」
僕は剣を抜き、ヴィクトリーは拳を固め、ハーピーの前に躍り出る。
他の村人達は、みんな屋内へ逃げ込んでしまったようだ。
「あれれ……村では見ない人達だね……見た所、旅人かな……?」
ハーピーは、僕達を舐め回すように眺め、そして口笛を吹いた。かと思ったら、その足で掴んでいた男の子を離してしまう。
「そうねぇ……あんたの言う通り、この子は離したげる……その代わり、あんた達をさらっちゃおうかな〜……」
ルカは少年の方に向き声をあげた。
「おいっ!そこの君っ!早く逃げるんだっ!」
「う、うん……」
男の子がその場から逃げるのを確認しつつ、剣を構える。今の僕、かつてないほど勇者っぽい!
「ニセ勇者だけどな」
「うぐ……」
精神攻撃は基本だが……いや、もう言うまい。
「えへへ……さっきの子より、あんた達の方が素敵……家に連れ帰って、たっぷり子作りしよっと……それとも、今ここで子作りする?イキのいい子種、たっぷり出してくれるよね……?」
「ハッ……おめぇ一人で俺達を相手にする気か……?ちょっと無謀過ぎねぇか……?」
「……くすくす……わざわざ一人で相手すると思った……?」
すると、ハーピーがもう一体現れたのだ。
「あはははっ!あの派手な道着を着た子は私が貰うねっ!」
「えっ!?」
「さ、さっきの口笛……そういう事かよ……!」
僕達は臨戦態勢に入り、ハーピー達も宙に浮きながら僕達を舐め回すように見る。
「来いっ!人に危害を加えるモンスターは退治してやる!」
「それじゃあ、始めっぞ!」
「じゃあ、いっくよ〜!」
「私達を楽しませなさいよ!」
ルカ達の踏み込みが開戦の合図だった。
「こっちだ!付いてこい!!」
「言われなくても逃がさないわよ!」
ヴィクトリーとハーピーが僕達から離れ、この場は僕ともう一方のハーピーの一騎打ちになった。
「だぁっ!!」
まずは普通に剣を振るう。が、ひらりとかわされてしまった。
「えぇっ!?そんなの、ズルイよ……」
「ズルイって言われてもさぁ……自分の力で飛んでいるのよ。何処がずるいのよ。」
「そうだけど……」
剣の届かない高さを飛んでいる彼女を見上げ、ルカは途方に暮れるばかりだった……が、その目が鋭くなる。
「でやぁあっ!!」
思いっきり跳躍し、剣を振るう……が、これもかわされてしまう。
「そんなんじゃあ全然届かないよ〜!」
彼女はそう言い、ルカに急接近し、連続で足技を叩き込む。
「うぐぐっ……ぐっ!」
それを何とか剣でガードし、攻撃から脱出し、再びハーピーを見る。
「ま、まずいぞ……何も持たないヴィクトリーは相当苦戦しているハズ……」
「何ボケボケしてるのよ!」
ハーピーは再び急接近し、今度は羽で包んできた。その羽が全身を愛撫し、心地の良い快感に襲われる。
「くっ!!」
「おっと!」
剣を振るが、ハーピーが回避し、ルカから離れる。
ルカは完全に防戦一方になってしまった。
「く、くそ……当たりさえすれば……!」
「生憎だけど、私は「あててみろよ」って言って相手の攻撃を待つほど優しくは無いのよねぇ……さぁ、諦めて私と交尾しよ……?」
「ちっくしょ〜!ちょこまかちょこまか飛び回りやがって……!」
「あははっ……君からはどんな精子が出るんだろうね……力強くて、活きがよくて……」
ハーピーは舌なめずりをしながらヴィクトリーを見る。そう、ルカと同じく彼も防戦一方になっていたのだ。
「くっそ〜!舞空術さえ使えりゃおめぇなんか今頃ぶっ飛ばしてんのによ……!!」
「そのブクージュツとやらも使えないんでしょ?さっさと諦めて私と子作りしようね……?」
「それはやだ!」
ヴィクトリーは跳躍し、廻し蹴りをハーピーの腹に叩き込もうとする。だが、それは難なく回避され、逆に腹に蹴りを叩き込まれた。
「うがぁっ……!?」
地面に激突したが、何とか体制を立て直す。おそらくここがコンクリートか何かだったら、この一撃で戦闘不能になっていただろう。
「戦闘不能にしてから犯した方が効率的だと思ってるの……さぁ、これ以上痛い思いをしたくないなら……ん?」
「だあぁっ!!」
ヴィクトリーは手に気合を込め、気合砲を放った。
「ぐっ!?」
直撃はした。が、すぐさまハーピーは姿を消した。
「俺の気合砲から脱出しただと!?」
そして何処からともなく飛んできてヴィクトリーの腹に蹴りを入れ、木に叩きつけた。
「がっ……!?」
「ふふふふ……今のは想定外だったわ……君、タフだねぇ……子作りする時も長く続くのかなぁ……?」
ハーピーが、舌なめずりをしながら、ヴィクトリーの顔を羽根で撫でる。
「ま、まずいぞ……俺負けてっぞ……!!」
「あたらないよ〜だ!」
「くそ……!!」
ルカは剣を振り、ハーピーがそれを避ける。
そんな光景が何度も繰り返されていた。
このままでは勝負にならない。
何とか反撃のタイミングを探らなければ……
「ほらほらほらぁ!」
ハーピーはまた連続で蹴りを繰り出してきた。
「こ、このっ!たぁっ!」
数発防御してから、剣を振る。
これも当然の如く避けられてしまった。
「ふんっ!」
しかも、いきなり突進してきて、腹に頭突きをかまされる。
「うぐっ……!?」
「たぁああーっ!!」
そして顔面に蹴りを入れられ、仰向けになって倒れてしまった。
「く、くそ……!!」
「はーい!チェックメイト〜!」
そう言い、ハーピーはルカにのしかかり、マウントポジションをとった。
「……!!」
ここだ!ここがこいつに反撃する絶好の好機だ!!
「うぁあああっ!!」
「なにっ!?」
ハーピーに会心の一撃が叩き込まれた。
「きゃっ!?」
彼女は羽根をはためかせ、慌てて距離をとった。そして……
「き、今日はこれぐらいにしといてあげる!」
そう言いながら彼女は飛び去ってしまった。
「木……!!そうだ!その手があったか!!」
作戦が思いついた。こいつを確実に仕留める作戦が……
「どうしたの?ついに降参する気になった……?」
「悪ぃな……おめぇを倒す算段が思いついちまったんだ……どうする?逃げるなら今のうちだぜ……?」
ふっとハーピーが失笑し、口を羽根で隠す。
「……人間って、追い詰められたら下らない事を口にするんだね……どうせハッタリなんでしょう?」
「そう言うと思ってた……じゃあ遠慮なく行くぜ!!」
ヴィクトリーはハーピーに突っ込む……かと思いきやそのまま通り過ぎた。
「……!?」
完全に攻撃してくると踏んでいたハーピーの動きが止まる。
しばらく走った後、ヴィクトリーはこっちを向いてニッと、笑う。
「……焦んなよ……作戦はこっからだ……!!」
そう言うと、今度もまたこっちに向かってきて、また通り過ぎたのだ。
「な、何を……!?」
ヴィクトリーの走った先にあるのは……さっきのヴィクトリーが叩きつけられた木だった。そして、それは自分に決して遠くない位置にあった。
「だぁあああああああっ!!!」
「……!?」
ヴィクトリーを視線で追うと、何と忍者のように木に駆け上り、自分と目線が合う高さまで来たところでこっちに跳んできた。
その光景に驚き、動きを止めてしまった……そして、その愚にすぐ気がついた。
「し、しまっ……!!」
「だぁああああっ!!」
ヴィクトリーはハーピーの髪を掴み、そしてその背中に覆い被さるような体制をとった。
「ま、待って……!!これじゃ顔が……!!」
彼女の言葉を無視し、ヴィクトリーはその顔面を地面に叩きつける。
「〜っ!!?」
落下の衝撃をその体でやわらげ、すぐに立ち上がる。彼女は顔面を抑えながら悶絶していた。
「もう戦えねぇハズだ!とっとと自分のすみかに帰れ!」
「ぐっ……くくぅ……!!覚えていなさい!」
そう言い、彼女は飛び去ってしまった……
流血表現
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もっとする
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このままでいい
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しなくていい