もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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熱砂の熱戦

 精霊の森で、天使達を薙ぎ倒した戦士達。その奥に居たのは、シルフではなくノームだった。そして再契約の儀式(意味深)が終わり、戦士達は再び集結する。

「終わったか、ドアホめ……」

「ふぅ〜……長かったなぁ〜……」

 これでノームの力も戻り、戦いがかなり楽になった筈だ。ノームはというと、シルフが居なくて寂しそうだが……

 とにかく、これでノームも揃った。残る精霊は、あと三体……

「次はドコに行くんだ?」

「サファル砂漠だ。反対属性の精霊がいるから……次こそシルフになるのか。」

「ふん、ドアホめ……」

 ……アリスは何でさっきから機嫌が悪ぃんだ?

 とにかく、次の目的地はサバサ地方だ。サバサ城も、天界軍の攻撃を受けてるに違いねぇ。

「まずは、サバサ城に行こう。サバサ王にもしもの事があったら、砂漠地帯の人々の希望は……」

 突然、アリスの尻尾がルカに巻きついてきた。

「……や、やめてくれよ……」

「……」

「何やってんだおめぇら……」

 とにかく、一行はガルダに乗って飛び、進路を北西に取った。

 シルフがいるであろう、熱砂のサバサ地方へと向かったのである……

 

「もう始まってやがるぜ……」

「みたいだな……」

 眼下……サバサ城の周りでは、乱戦状態に陥っていた。キメラビーストから何だか大型のキメラモンスターまで、種々様々なモンスター達がサバサの兵士と戦っているのだ。

「おっしゃあっ!」

「行くぞっ!」

「おぉっ!」

 戦士達は飛び降り、熱砂に着地した。

「うぉおおおおおっ!」

 ヴィクトリーが先陣を切り、キメラビースト達を薙ぎ倒す。

「だりゃあああっ!!」

 そして大型のキメラモンスターを蹴り飛ばし、注目を集めた。

「大丈夫ですか!?」

 ルカは、大型のキメラモンスターに襲われかけていた兵士に話しかける。

「えっと……サバサ王の隣によくいた人!」

「わ、私は騎士団長だ……あなたは……勇者ルカ様!助けに来て下さったのですか!?」

「あぁ、城に向かう途中でおめぇらの姿が見えたからな。」

 キメラビーストを叩き伏せ、ヴィクトリーはそう言った。

「ところで、サバサ王様は無事なんか?」

「そ、それが……王様は、吸血鬼の奇襲を受け、サバサ場内に取り残されたままで……それと同時に、訳の分からないモンスター達も襲撃してきて……!あれから数時間、城に動きは見られません。同盟軍の派遣を要請したのですが、返答はなく……」

「そりゃあそうだ……」

「ここと同じく、世界中が襲撃を受けているのだ。援軍どころではあるまい……」

 騎士団長は頭を抱えた。

「おお、なんという事だ……!援軍が期待出来ない状況では?王を救援することさえままならない……!」

「じゃあ、僕達が行きましょう。サバサ王の救助は、任せてください。」

「生きていれば……だがな。」

 ルカと団長が触れなかった可能性を、アリスは口にした。そんな可能性も、なくもないのだ……

「……安心しろ、必ず助け出す!」

「ああ、どちらにしろ、占拠された城を放置してはおけまい。封印が破られれば、今度は城内からも敵が湧き出るぞ。そうなれば、内と外から挟み撃ち。もはや、勝機はあるまい……」

「おっしゃる通りです。しかし、たった三人では……」

「城の中を大人数でも行ってもしゃあねぇだろ……ここは、俺達が行くぜ。あんたらはここの敵を。」

 団長は頷き、立ち上がる。

「サバサ軍の誇りにかけて、眼前の敵は我々で対処しましょう。勇者一行様のご救援で、皆の士気も高まっています!」

 戦士達も立ち上がり、顔を合わせる。

「それじゃあ、僕達は城に乗り込みます。行くぞ二人とも!」

「おうっ!」

「ああ!」

 こうして野戦はサバサ軍に任せ、戦士達はサバサ城へと向かう。吸血鬼に占拠された城内へと、二人で乗り込んだのである……

 

 サバサ城内……

「城内に、変わった様子はないなぁ……」

「みてぇだな……」

 特に荒らされた様子はないが、照明は全て消されている。そのせいか、城内はかなり薄暗かった。

「それにしても、吸血鬼の一族が牙を剥くとはな……間違いなく、クィーンヴァンパイアも城内にいるはずだ。」

「吸血鬼の女王か……」

「どーゆー妖魔だ?」

「極めてプライドが高く、高慢で野心家。他者を支配する事に無上の喜びを感じる類の妖魔だ。」

 ルカは頷き、ヴィクトリーが口笛を吹く。

「そいつは面白そうだ……」

「……タチも悪そうだな……」

「……とは言え、妖魔貴族としての誇りも併せ持ってはいる。逆らう者には容赦ないが、従う者には慶陽だという。」

「つまり、根っからの悪党じゃないって事か?」

 ルカの言葉に頷き、アリスは続ける。

「悪党というか……古臭い封建貴族主義の権化だな。横暴で支配的だが、弱者の保護も強者の義務と定めている節はある。」

 アリスはそう言い、ヴィクトリーの方を見た。

「貴様と同じだ……単純な善悪では計ることの出来ん、面倒な奴だ。」

「それじゃあ俺がめんどくせぇ奴みてぇじゃねぇか……」

「事実お前は、めんどくさいだろ。」

「とはいえ……」

 アリスが二人の会話を遮る。

「サバサの民は決して奴の支配を望んでいるわけではあるまい?」

「そうだな……」

「ああ……それにしてもさ……」

 ずいぶんと進んだハズだけど、敵が襲いかかってくる気配はない。王の間も、すぐそこだというのに……

「なんで仕掛けてこねぇんだ?」

「もしかして……罠か……?」

「多分、我々と同じだ。」

 アリスは腕を組みながら言い、二人の方を向いた。

「なぜ、サバサの兵士を連れてこなかった?」

「それは、無駄な犠牲を避けるため……そうか、そういう事か……」

「吸血鬼も馬鹿じゃねぇって事か……」

 相手は、こっちの力量も把握しているらしい。だったら、来るのはとびきり強い奴か……?

「余や貴様らに正面切って挑めるのは……女王と、あと二人ぐらいだな。」

 アリスがそう言った、その時だった。

「ええ、その通りですよ。女王様はお優しいから、部下が無駄に傷つくのを望まれません。」

 不意にそんな声が響く。そして嫌な気が感じ取れた。

「出たな、吸血鬼……!」

「ちっ……早速かよ……」

 王の間も目前の所で、一人の吸血鬼が立ちはだかった。ピンク色の髪をした、長身の吸血鬼……

「私は女王様の側近、カーミラ。このお城は、私達が頂いちゃいました。侵入者は始末しろ、って女王様から命令を受けていますので……血をちゅーちゅー吸い取って、処分しちゃいますからね。」

「ぐ……!」

「……」

 どこか間抜けな雰囲気の吸血鬼だが、潜在能力は凄まじい。女王の側近というのも、伊達じゃなさそうだ……

「ルカ、おめぇは女王をぶっ飛ばしに行け。こいつは俺がやる……」

「あ、ああ……!」

 ルカが走り出そうとした時、不意にその目の前に吸血鬼が立ちはだかった。

「なにっ!?」

「くくっ……二人とも、ここで始末してやろう……」

 白い髪の、小柄な吸血鬼だ。

「我が名はエリザベート、女王様に忠誠を誓う最上位のヴァンパイアだ……」

「くっ……三対二か……」

「アリスはマトモに戦えねぇし、実質二対二だぞ。」

「女王の右手を左手が揃うとはな……油断するなよ、ルカ!ヴィクトリー!」

「ああ!」

「分かってらぁ!」

 天使の力を解放したルカと、超サイヤ人のヴィクトリーが並ぶ。

「ならば……いでよ、ノーマレンッ!」

「私も……ジルフィ、来てくださーい!」

 エリザベートは土の力を、カーミラは風の力を解放し、並んだ。

「勇者は我がやろう。お前はあの武道家を抑えろ。」

「かしこまり〜!」

「久しぶりのタッグバトルじゃない?」

「このSSの更新速度がおせぇからだろ。」

 カーミラとヴィクトリー、エリザベートとルカは互いに向かい合った。そして、その場は静寂が支配する……

「こいよ。」

「ええ。」

 ヴィクトリーとカーミラのやり取りが終わった次の瞬間、彼女の拳が彼の顔面にヒットした。

「……あはっ!」

「……にひっ!」

 それなりの威力のパンチを受けながらも、踏みとどまる。そうして頭を振り、彼女に頭突きをしてぶっ飛ばした。

「っ!?」

「カーミラっ!?」

「はぁっ!!」

 ルカの前蹴りが、エリザベートの腹に埋まる。

「ぐぶっ……!?」

「ふっ……!」

 そして彼女の背後に回り、その背に抱きつき、バックドロップを決めた。

「ぐ……!」

 彼女は後転し、立ち上がろうとする。

「だぁっ!」

 次の瞬間、起き上がりの瞬間の彼女の顔面に、両足蹴りが叩き込まれた。

「ぐぁあっ!」

 彼女はぶっ飛んで、壁に叩きつけられた。

「よし、いいぞルカ……!」

「あらぁ?油断しているんですかぁ〜?」

 ヴィクトリーの背後に、カーミラが迫る。

 もう持ち直したのか……!?

「ちっ!」

 一旦、その場から高速移動で離れようとする。

「スピード、アーップ!」

「なにっ!?」

 しかし彼女はスピードを上げ、ヴィクトリーに追いついてみせた。

「えーいっ!」

 そしてサマーソルトキックで、彼を蹴り飛ばした。

「っがはっ……!!」

「あは〜!」

 吹っ飛ぶ彼に追いつき、その体を抱きしめ、マントで完全にホールドする。

「捕まえましたよ〜!それでは……!」

 そのまま猛回転し、彼の脳天を勢いよく床に叩きつけた。

「がっ……ぐぁあああ……!!!」

 頭から噴水のように血が噴き出すヴィクトリー。そんな彼の姿を見たカーミラは、ぺろりと舌なめずりする。

「あははっ、その血、吸っちゃいますね……」

 そう言ってそこに口を付け、血をちゅうちゅうと吸った。

「くそっ!」

 ルカはというと、エリザベートの猛攻に対応していた。

「ほれほれ!どうした!貴様のパートナーはもう死にかけだぞ!」

「くっ……!」

 助けられるものなら、助けに行きたいが……こいつ、強い。

「邪魔だぁっ!」

「ふはははっ!」

 死剣・乱れ星とエリザベートの連撃がぶつかり合い、相殺された。

「なっ……!」

「ふんっ!」

 彼女は、うろたえる彼の顔面を掴み、そして壁に叩きつける。

「終わったな、勇者一行……!」

「うふふ……」

 絶対的な優位を確信し、嗤う吸血鬼二人。しかし、戦士達にまだ諦めはついていなかった。むしろ、ここまでされて逆に昂っていた。

「ぐ……!」

「……まだだ……!!」

 ヴィクトリーが覚醒し、超サイヤ人2になる。その時の衝撃がドッと押し寄せ、カーミラの全身を叩いた。

「っ!?」

「うぁらぁあああーっ!!」

 彼は彼女のマントを引き裂き、顔面を蹴っ飛ばす。

「ぎゃあっ!」

 彼女の拘束から抜け出した彼は、体勢を整え、構え直した。

 それを横目で見ていたエリザベートが、動揺する。

「なにっ!?」

「来い、ノーム……!」

 ルカは土の力を使い、彼女の手を掴み、無理やり引きはがす。

「ぐっ……!?」

「たぁっ!」

 そして胸を切り上げ、前蹴りでぶっ飛ばした。

「くっ……!」

「うぅ……何処にそんな力が……」

「悪いなぁ、俺はスロースターターでさぁ……でももう大丈夫!こっからは本気だ!」

「ああ、僕も本気だ……!」

 出せる限りの本気の状態になり、構えるヴィクトリーとルカ。

「くそっ!やるぞカーミラ!」

「ええ!」

 カーミラとエリザベートは二人に突っ込み、激しい猛攻を繰り広げた。

「だあっ!」

「てやぁっ!」

 ヴィクトリーがカーミラの顎を蹴り上げ、ルカがエリザベートの顔面を切り、猛攻が止まる。

「行くぞ……!!」

 ルカは天使の力を全解放し、消えた。

「うぉおおおおっ!!」

 ヴィクトリーは吸血鬼達にダブルサンデーを放った。一応言っておくと、ラディッツの技である。

「きゃあっ!?」

「ぐあぁっ……!!」

 吸血鬼達はぶっ飛び、宙を舞う……

 ここでようやくルカが現れ、剣を納めた。

「……九重の羅刹。」

 そう言った瞬間、二人の吸血鬼の全身に無数の斬撃が走り、細切れになった。

「そ、そんな……!」

「我らが……人間ごときに……!?」

 そう言い残し、吸血鬼達は蝙蝠の姿に封印された。

「はぁっ……はぁっ……!」

 ヴィクトリーは超サイヤ人を解き、床に倒れた。

「ヴィクトリー。」

 そこにアリスが駆け寄り、快癒の魔眼を発動する。するとヴィクトリーは全快し、元気を取り戻した。

「あ、ありがとう……」

「何はともあれ、これで側近は倒したな……」

「うむ、後は女王のみだ。」

「王の間にいるぞ、覚悟はいいな……?」

「もちろんだ……」

「ああ、行こう!」

 王の間は、今歩いている廊下を進んですぐ。こうして、吸血鬼の女王が待ち構える部屋に向かったのだった……

流血表現

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