もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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植物族の乱心

「プランセクト村は、無事なのかな……?」

「あぁ、植物と昆虫がいたあそこか……」

「イリアスが魔物を憎む以上、放置という事は無かろう。攻撃を受けていると見ていいようだな……」

 戦士達は深い森を抜け、プランセクト村へと歩を進める。そして、村の目前……

「……敵か!」

 ルカが、何かを察知した。

「いや……」

 この気に敵意はない。確か、この気は……

「あっ、あんた、あの時の勇者と武道家じゃない!お、お願い……助けて……!」

「もう、追っ手がそこまで……」

 モスキート娘と、アルムだった。なにやら二人とも尋常ではない様子だ。どうやら、何者かに追われてるみたいだが……

「どうしたんだ、一体……」

「おめぇら、一体何が……」

 二人がそう聞こうとした時、悪意のある気が近づいてきた。今度は間違いなく、敵のようだ。

「見つけたわよ……」

 青肌のアルラウネだ。おまけに触手までついてる。

「……って、なんで人間までいるの?人間の始末なんか、命令されてないのに……」

「ひゃ〜……何だこいつは……」

「ワルラウネよ。」

「ネーミングセンスねぇな。」

「うるさいっ!」

 ワルラウネは触手でヴィクトリーを叩く。

「いてぇっ!」

「おいおい……」

「さぁ、ふざけてないでその二人を渡しなさい。素直に従えば、今なら見逃してあげるわよ?」

「それで、二人をどうするつもりなんだ……?」

「虫の方は、餌として養分を吸い付くしてやるわ。じっくり時間をかけて、じゅるじゅる搾り取ってあげる。アルムは、昆虫と馴れ合う裏切り者。こっちもみせしめに処分……ね。」

「そんな事、絶対にさせるもんか!」

「行くぞっ!」

 二人は構え、臨戦態勢をとった。

「じゃあ、まずあなた達の養分を吸い尽くしてから、二人はもらっていくわ!」

 ワルラウネは二人に触手を伸ばし、攻撃してきた。

「シルフっ!!」

「はぁっ!」

 ルカはシルフの力を解放して、避ける。ヴィクトリーは超サイヤ人2となり、受け止めた。

「だああぁーっ!!」

 そして触手を引っ張り、ワルラウネを手繰り寄せた。

「なにっ!?」

「どらぁっ!!」

 ワルラウネの顔面をストレートで一閃、思いっきりぶっ飛ばした。

「閃殺ッッ!!」

 ルカは剣を構え、ぶっ飛んだワルラウネに抜き胴して一閃した。彼女は真っ二つになり、下半身と上半身で宙に舞った。

「おかしいじゃない……なんで、人間がここまでの力を……」

 ワルラウネの姿が消散し、花になる。戦士達も臨戦態勢を解いた。

「なぁルカ、アルラウネってのは、穏やかな種族じゃねぇんか?」

「……例外はいるから一概には言えないけど……」

 だけど、今のやつは様子がおかしかった……

「あ、ありがとう……」

 そう声をかけたのは、モスキート娘だった。その隣には、アルムもいる。

「でも、捕まった仲間も多いのよ……」

「どうか助けて下さい。あの連中に捕らえられ、多くの仲間が責めを受けているのです……」

 アリスが出てきて、二人に向いた。

「いったい、何があったというのだ……?」

「……今から少し前、村にクィーンアルラウネ様の御一行がお見えになったのです。大切な話があるということで、プリエステスが出迎えたのですが……」

 要約すると、なんとクィーンアルラウネが、『女王にしてやるからこの地に住む昆虫を皆殺しにしろ』という趣の命令を出したという。当然プリエステスはこれを拒否、クィーンアルラウネはブチ切れ……

「……という訳で私達昆虫族は、たちまち追い散らされたの。多くは捕まって、逃げた者にも追っ手が……」

「クィーン率いる植物妖魔達は、我々植物族にまで攻撃してきました。昆虫族と馴れ合うものたちなど、植物族の恥さらしだと……」

「そんな、酷い……!」

 ヴィクトリーは首を傾げる。

「……おかしくねぇか?アルラウネは基本的に穏やかな種族だとさっき話したのに、なんで女王がそんな事を……」

「疑問に思うのも当然だろうな。」

 ヴィクトリー達の視線が、アリスに殺到する。

「クィーンアルラウネは自然を愛する、穏やかな妖魔だ。黒のアリスにそそのかされるほどの短慮だとは思えんが……」

「今までずっと、野心を隠してきたんじゃないか……?」

「母様……いや、先代魔王からも信頼を受けていた妖魔だ。どう考えても、腑に落ちん話だな……」

「だからって、放置するわけにはいかねぇ。とっとと行こうぜ。」

「うむ……確かめてみる必要があるな。クィーンアルラウネは、今もプランの森にいるのか?」

 アリスは二人の方を向いた。二人は頷き、口を開く。

「ええ……そこで、今も多くの同胞が捕えられているはず……」

「昆虫族の多くも捕まえられて、養分を吸われているの。きっとまだ、助けられるはずだわ……」

「じゃあ、そっちの方は僕達に任せてくれ。クィーンアルラウネと会って、みんなを救出するよ。」

「あたし達は、仲間を保護するわ。奴等に追われて逃げ惑っているから、なんとかしてみる。」

「我々植物族も、保護に協力しましょう。クィーンアルラウネの行いは、我々の本意ではありません。」

 モスキート娘やアルムは、仲間の保護に向かうという。俺達はクィーンアルラウネをぶっ飛ばしに行くのだ。

「よし、行こう!」

「どうか、救出はお任せします……」

「死ぬなよ!二人とも!」

 こうして、それぞれの役目をこなすべく解散する。戦士達の行先は、クィーンアルラウネのいるプランの森だった……

 

「……僅かにだが、嫌な匂いがするな……」

 不意にアリスが、そう漏らした。

「……本当だ……」

「あんまいい匂いじゃねぇな……アルラウネの魔香っちゅう奴か?」

「いや……この匂いは何処かで嗅いだことがある……何処だったっけな……」

 そう話していると……

「あれっ?なんで人間がいるんですか……?」

 急に、植物モンスターが現れた。

「女王様は、誰も先に通すなって仰ってます。ですので、先には行かせませんよ……」

「ルカっ!こいつは!?」

「ドリアードだ!」

 ドリアード……植物族の魔物で、アルラウネの亜種みたいなもの……って、俺は解釈してる。

「引き返さないと、養分をちゅーちゅー吸っちゃいますよ〜」

「悪いけど、僕達は退けない!」

「邪魔すんならぶっ飛ばしてやる!」

「うむぅ……仕方ないですねぇ……」

 さっきのワルラウネとは違い、邪気はあまり感じない。しかしクィーンアルラウネに会うには、倒すより他にないようだ。

 二人は気を解放し、ドリアードに突っ込む。

「はぁあっ!!」

 ヴィクトリーが、その顎に鋭い膝蹴りを放った。

「よっ!」

 彼女はそれを両手で受け止め、余裕そうに笑う。

「がぁっ!!」

 ルカはドリアードに手を向け、魔天回帰を放つ。彼女はそれを素手で弾き飛ばし、ルカにエネルギー波を放った。

「くっ!」

 ルカは、それを避けて飛び上がる。

「だだだだぁっ!!」

 そこにヴィクトリーが飛び込み、蹴りでドリアードの体を連打した。

「ぐっう……!?」

 これは直撃し、彼女を怯ませることに成功した。

「だぁああーっ!!」

 その怯んだ彼女を思いっきり蹴っ飛ばし、木に叩きつけた。

「行くぞっ!!」

「おぉっ!!」

 ヴィクトリーとルカは、エネルギー弾を連射した。

「うぉおおおお……!!!」

「だだだだだだ……!!!」

 爆発が連続し、二人はエネルギーの連射を止める……次の瞬間、不意に邪悪な気が吹きすさんで爆煙を吹っ飛ばした。

「……ずいぶんと、好きなようにしてくれたわね。散々に嫐られる覚悟は出来ているのかしら……?」

 見ると、ドリアードの体が紫色に変色していた。

「な……なんだありゃ……!?」

「か……変わった……!?」

 変色しているだけではない。口調や雰囲気も、邪悪に満ちていた。

「……何かの術で精神を乱され、邪悪な心に支配されたようだな……」

 アリスが物陰から隠れながら、二人にそう言う。

「何かの術……?」

「いったい、誰がそんな……」

「知るか!今は目の前の相手に集中しろ!」

「はっ!」

 ドリアードは飛び上がり、エネルギー波を放った。

「ちっ!」

「ぐっ!」

 二人は分かれるようにそれを避ける……が、エネルギー波がアリスに当たりそうになってた。

「ち……!!」

 アリスは気を解放して元の姿に戻り、指を振り上げた。次の瞬間、エネルギー波が消し飛んで、森が断裂した。

「ぐぅっ!?」

 ドリアードはなんとかそれを避ける……

「だりゃあっ!!」

 しかし、そこにヴィクトリーが殴りかかってきた。

「がぁっ!」

 両者は殴り合いの攻防を繰り広げ、拳をぶつけ合った。鉄拳と鉄拳がぶつかり合い、それが猛スピードでぶつかり合う、激しい攻防を繰り広げる事となった。

「ふっ……!」

「だあぁっ!!」

 二人の強烈な一撃がぶつかり合い、戦いは制止した。

「ぐ……ぐぐ……!!」

「ふんっ!」

 ドリアードはヴィクトリーの腕を掴み、地面に背負い投げた。

「ぐぅっ……!」

「はぁっ!」

 交代するように、ルカが飛び上がって彼女に突っ込む。

「ふふ……」

「はぁっ!!」

 そうして剣を振り下ろすが、それは受け止められてしまう。

「無駄よ……!」

「そうかな……!」

 ルカは彼女の胸に手を当て、エネルギーを爆発させた。

「ッがはっ……!!?」

 その背後にヴィクトリーが瞬間移動する。

「だりゃあーーっ!!」

 そして、スレッジハンマーで彼女を地面に叩き落とした。

「一気に決めるぞ!」

「おぉっ!」

 ルカとヴィクトリーは地面に降り立ち、気を解放した。

「はぁああああっ!バーニングアターック!!」

「全ての生、母なる天に回帰せよ……!魔天回帰!!」

 二人の渾身の必殺技は、見事にドリアードに直撃した。二つのエネルギーが溶け合い、凝縮し、とてつもない大爆発を巻き起こしたのだった。

「あんた達なんかに……そんな……!」

 ドリアードは消散し、小さな樹木へと封印された……

「いったい、何だったんだ……?」

「変化しただけじゃねぇ……パワーアップもしてた……」

「あれは、強力な洗脳魔術……」

 アリスが物陰から出てきて、言う。

「間違いない、対象に邪悪な心を宿す精神操作術の類だ。周囲に漂っている嫌な香りが、その原因。何者かが、この洗脳魔術を広範囲に展開しているようだ……」

「なんだそりゃ……」

 まるで、バビディの洗脳魔術みてぇだな……

「クィーンアルラウネも、その魔術のせいでおかしくなってるんじゃ……」

「……おそらく、そうだろうな。しかしこの術の使い手は……いや、何かの間違いか?」

「んだよアリス、何か心当たりでもあんのか?」

 アリスは少し黙った後、腕を組んだ。

「……たまもだ。やつの魔術講座で、一度この匂いを嗅いだことがあった。これは確か、上位の狐族が可能とする洗脳術。しかも、これほど強力かつ広範囲のものとなると……」

「まさか……」

「おいおい、そりゃ間違いだぜ……たまもは今、魔王城でプロメスティンの研究日誌を解析してるはずだ……」

「だが、女王級の魔物さえ洗脳できる術師など……そいつは、たまもに匹敵する魔力を誇るはず。クィーンアルラウネよりも手強いかもしれんな……」

「もしかしたら、プロメスティンの発明の類かもしれないな……とにかく、ここから先は警戒しないと……」

 戦士達は警戒を新たに、プランの森に向かった……

 

 プランの森……そこでは、悲惨な光景が展開されていた。

「うぅ……」

 ツタに全身を絡め取られ、精気を吸われる多くの魔物達。その中には、プリエステスの姿もあった。そして、広場の中央に鎮座しているのは……紫色した花の女王──クィーンアルラウネだった。

「おめぇがクィーンアルラウネか……」

「おや……人間が、いったい何の用です?まさか、こんな所まで迷い込んだ訳でもないでしょう?」

「クィーンアルラウネ、あなたは洗脳されているんです!」

「……無駄だ、ルカ。自分が洗脳されている事さえ気付かんから、洗脳と言うのだ。説得するより一旦封印し、術者を探した方が早い。捕えられている魔物達も、そう長くはもたんぞ……」

 アリスはそう言ってから物陰に隠れた。

「仕方ないか……」

「ここはいっちょ、ぶっ飛ばすしかねぇか……」

 二人は構え、最高状態になる。

「突然に現れ、面白い事を言うのですね……人の子よ。」

 クィーンアルラウネは気を解放した。物凄い気で、二人は吹っ飛ばされそうになる。

「ぐ……!!」

「な、なんて気だ……!!」

「アルラウネの女王に挑んだ愚、快楽の中で泣き叫びながら悔やみなさい!」

 ルカはヴィクトリーと背中を合わせるようにして、構える。

「やるしか無いな……行くぞ!!」

「おぉっ!!」

 そして、二人はクィーンアルラウネに突っ込んだ……

流血表現

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