もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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ドレインラボ

 朝……

 魔王城の訓練所から、爆発のような音が響いた。

「何だ……!?」

「敵が入り込んだのかっ!?」

 アリスとルカは裸だったが、服を着ながら飛び起きて、訓練所に向かう。

「はぁっ!」

「でぇいっ!」

 その訓練所の壁を蹴破り、構えた。そこには……

「…………」

 ヴィクトリーが一人、突っ立っていた。

「なんだ、お前かよ……」

「紛らわしい真似をするな、このドアホめ!」

「……なぁ二人共……」

 ヴィクトリーは振り返り、ルカの所に歩み寄る。

「すげぇよな……何かいっぱしを身につけるってさ……」

「……」

 ルカは、彼からとてつもないエネルギーを感じていた。まるでヴィクトリーじゃないみたいだ。昨日までとは、気迫が段違いだ。

「お前……ここで何をしてた……!?」

「修行して寝て修行してた。」

 僕がアリスと盛りあってる時にも、こいつは修行してたのか……

「なぁ、シャワー浴びようぜ。」

「え……?」

 ヴィクトリーは鼻をつまみ、嫌そうな顔で僕とアリスを見た。

「何かおめぇらくせぇぞ……」

「あ……」

「……ふん。」

 

 シャワーを浴びて、いつもの服に着替え、広間に集まった戦士達。

「夕べは、お楽しみだったようじゃのう!」

「……」

 とりあえず、ぐっすりと休んだ事で肉体的疲労は回復した。

「うむ、元気満タンだぞ!」

 アリスはなんだかツヤツヤしてる。何があったのか、言うまでもないだろう。

 今日のブリーフィングはすぐに終わった。まぁ罪人の封牢の事とか、その他の事だったな。目的地もガルダに刷り込んであるとか。準備がいいんだな。

「ところで、おめぇ以外の四天王はどうしてんだ?」

「アルマエルマとエルベティエは、ウチがちょっと使いに出した。雑魚には務まらん役だからのう……グランベリアは、まだ休息中じゃ。満身創痍なのに戦いに出ようとするから、ウチの魔術で眠らせてやった。」

「全快まで、どれぐらいかかるんだ?」

「五日と踏んでおったが、予想外に治りが早い。明日ぐらいには、自由に動けるようになるはずじゃ。」

「そうか、それは心強いよ。」

「もしかしたら、グランベリアと一緒に戦える時が来るかも知れねぇなぁ〜……」

 そうなれば、心強い。実力を知っている僕だから、尚更だ。

「僕達も、やるべき事をやらないとな。それじゃあ、行ってくる!」

「夜までには戻ってくるから、夕飯の準備を頼むぞ。」

「よし、行くか!」

 こうして戦士達は、魔王城を出たのだった……

 

 まず向かうところはドレインラボ。妖精の島の地下にある、おぞましい搾精施設。そこで、捕虜の救出が目的だ。ラボはぶっ壊しちまっても構わないそうだ。

 

 そして、目的の地点へと到着した。

「ここでいいんだな、ガルダ。」

「くえぇ……!」

 ガルダはルカ達を下ろすなり、ぱたぱたとどこかに飛んでった。

 さて、入り口はどこなのだろうか……

「二人共、このハッチが入口なのではないか?」

「みてぇだな……」

「うん、プロメスティンの研究所と同じようなハッチだね。」

 目立たないように、木陰に隠されてたハッチ……

「クィーンエルフも、よく気づかなかったな……」

「おいヴィクトリー。このハッチ、鍵でもかけられてるのかな。押しても引いても動かないんだけど……」

「どけ。」

 ルカの横から入ったのは、ヴィクトリーじゃなくてアリス。

「ふん!」

 彼女は鉄拳をハッチに叩き込み、無理矢理にこじ開けてしまった。

「おいおい、侵入がバレるだろ……」

「堂々と侵入すれば良い。」

「ああ。俺たちに、こそこそ作戦は似合わねぇ。」

 そんな事を話し合いながら、ハッチの中に入る。内部のリフトに乗り込み、戦士達は地下深くに降りたのである……

 

 ドレインラボ……レミナと似たような超過技術が展開されてた。

「ここに、捕虜が捕らわれてるはずだな……」

「クィーンエルフの話では、最低でも百人単位だ。助けたとしても、ぞろぞろ連れ歩くのは難しい。せいぜい派手に暴れて、混乱に乗じて救出せねばな……」

「あ、だから派手に侵入したのか……」

「大規模な救出作戦になる。どうせ隠密行動は無理だ。」

「ああ……」

 そう頷きながら、アリスは懐から地図を取り出した。

「そいつは?」

「ディスクの解析情報をもとに、たまもが作った地図だ。施設内には、大きな収容部屋が二つもあるようだな。」

「両方とも回んねぇとな。出来るだけ多くの人を助けねぇと……」

「それでは、まず近い方の第一収容室に行くとしよう。この通路をしばらく真っ直ぐだな……」

 ここは敵陣、決して油断してはいけない。警戒しながら、戦士達は先へと進んだのだった……

 

 一体の敵とも遭遇しないまま、戦士達は第一収容室へと踏み込んだ。ドーム状の広大な部屋に、壁に沿ってずらりとプラントが並んでいる。

「なんだか、気持ち悪いプラントだな……」

「ああ……俺もそう思う。」

 生物の内臓器官のような形状に、羽根や女体の装飾。その中には、培養液に漬けられた人形のようなものが──

「いやルカ、こいつら人間だ……!それにこのプラント、天使じゃねぇか……!?」

「ほ、本当だ……!」

 多分、こいつは天使を改造して作ったのだろう。その中に閉じ込められてる男は、延々と精を搾られ続けている……

「なんて、ひどい……」

「この部屋だけで五十体以上はあるぜ。」

 ゆるせねぇ……!!罪のねぇ人間に、ここまでするなんて……!!

「片っ端からブチ破り、中の人間を救出するぞ!」

「ああ!」

「オーケーッ!!」

 戦士達がドレインプラントを破壊しようとした時、周囲から大量に、中に人がいないドレインプラントが出てきた。

「な……!?」

「なんだ……!?」

「凄い数だ……」

 ドレインプラントは三人を囲みながら、じりじり近づく。

「なぜ、出歩いているヒトがいるのです……」

「どのプラントから逃げたサンプルなのでしょう……?」

「あなた達は、一般人より優れた遺伝子を持つ一級品。」

「搾るだけ搾って、廃棄される二級品の捕虜とは異なるのですよ。」

「……さぁ、この中に戻りなさい。私達の供給する」

「だりゃあーっ!!」

 ヴィクトリーは飛び上がり、ドレインプラントの顔面を叩き潰した。

「僕達は逃げた人じゃない、ここの捕虜を助けに来たんだ!」

 ルカも剣を構え、ドレインプラントに切りかかった。だが……

「っ!?」

 なんと、剣が弾かれてしまった。

「ふっふっふ……」

「な、なに……!?」

 ヴィクトリーに叩き潰された筈のドレインプラントが立ち上がり、元通りになる。

「な、なんだこいつら……!?」

「くっ……!」

「こっちもか……!」

 アリスと戦ってたドレインプラントも、復活した。

 三人は再び背中を合わせ、構える。

「侵入者が現れるとは……では、あなた達をこの中に取り込んで処遇を決めます……!」

 ドレインプラント達は、一斉に襲いかかってきた。

「来るぞっ!!」

「ああっ!」

「うおぉっ!」

 ヴィクトリーとアリスは気を解放し、ルカは土の力を解放する。その三人とも、腕を振り上げてから、地面へと叩きつけた。すると、衝撃が波動し、ドレインプラント達をぶっ飛ばした。

「だだだだだだだだだっ!!!」

「がぁっ!!」

「でぇいっ!てやぁっ!!」

 ヴィクトリーは彼女らのうちの一体の全身に拳を乱打して、アリスはエネルギー波で周囲を薙ぎ払い、ルカは駆けながらすれ違った奴を片端から切っていく。だが……

「……なるほど、只者では無いという事が分かりました。」

「ふふ……」

 ドレインプラント達はすぐさま復活してしまい、元通りになった。

「そ、そんな……!」

「……」

 おかしい……そこまで気を感じねぇのに、すげぇ防御力だ。だったら……!

「……はぁっ!!」

 ヴィクトリーは力を一点集中させ、ドレインプラントの体を拳で貫いた。

「がはっ……!?」

 彼女は生命活動を停止し、爆発した。

「……おおっ!」

「二人とも……力を一点に集中する感じで、攻撃するんだ。やってみろ。」

 ヴィクトリーのアドバイスを受け、ルカとアリスは見違えるようにドレインプラントを倒していった。

「く……!!」

「ルカ、ヴィクトリー、離れてろっ!!」

 残り十数体になった時点で、アリスは解呪の詞を詠唱し、力を解放した。

「はぁあああああーーーーっ!!!」

 そして、魔王の暴虐の如き爆発波で、全てを消し飛ばした。

「うおぉっ!すげぇっ!」

「く……!」

「ふん……」

 元通りになったアリスが、爆心地に立つ。

「ふぅ、やったか……」

「搾精中のドレインプラントは、自由に動けんらしい。片っ端から破壊し、中の人間を助けるぞ!」

「おう!」

 戦士達は搾精中のドレインプラントも次々に破壊する。恍惚に浸ってた男達も、プラント外に引きずり出されると理性を取り戻す。全てのプラントを破壊し、この部屋の人達は自由の身となった。みんな、意識もしっかりとしているようだ。

「あ、ありがとう……でも、一緒に攫われた弟が見当たらないんだ。」

「私の息子もいない……いったい何処へ……」

「……」

 目を瞑って、気を感じる。別の部屋から、大量の衰弱し切った気を感じた。多分、そこになるだろう。

「アリス、救出された人間を頼めるか?」

「僕達は、もう一方の収容室に急ぐよ。」

「敵陣で単独行動は愚策だが……しかし、救出を急いだ方が良い状況なのも否めんな。決して無理をするなよ、二人共。」

 ヴィクトリーは親指を立てて、先に進む。

「気を付けろよ、アリス!」

「ああ、ルカ達もな。」

 こうして二手に分かれる事になった。アリスは助けた人を地上に運び出す。僕とヴィクトリーは、第二収容室に向かったのだった……

 

「ここは……」

「かぁっ……」

 敵とは遭遇せずに、一気に踏み込んだ第二収容室。そこにいたのはドレインプラントではなく……女の頭部、胴体、何個もある尻、指みたいなアーム、その他搾精器官が分かれてる不気味なロボット……全てが、搾精用に作られたロイドモンスターだった。ドレインロイドと言ったところか。

「あうぅ……気持ちいい……でも死にたくない……」

「もう、出ないよぉ……」

 たった一体のモンスターが、複数の男から精を搾りたてていた。

「よ、よぉ。」

「やめろ!彼等から手を離せ!」

 ドレインロイドはゆっくりと二人の方に向き、男達を解放する。

「侵入者を確認……集団搾精モード、オフ。迎撃搾精モードに移行……これより、対象を排除します。」

「迎撃搾精って何だよ……」

 ドレインロイドを汚していた精液が全て穴という穴に吸い込まれ、綺麗になった。

「みんな部屋の隅に行け、巻き添えを食らうぞ!」

「ここは、僕達に任せてくれ!」

 まずは、少年達を部屋の隅に避難させる。

「た、頼んだぞ……このままじゃ俺達搾り殺されちまう……!」

「勇者様、頑張って!」

 その声援を背中で受けながら、二人は構えた。

「はあぁっ!」

 ヴィクトリーは気を解放し、ドレインロイドの顔面に殴りかかる。しかし胴体が前に出てきて、拳を防いだ。

「ちっ……!」

 その胴体に拳を連打するが、どうも効いてなさそうだ。

「アーム……」

 ドレインロイドのアーム部分が迫り、ヴィクトリーを掴みにかかった。

「だぁっ!!」

 そこにルカが乱入、そのアームを切り上げた。

「ちっ……これしかねぇか……!!」

 ヴィクトリーはリベリオントリガーを放ち、胴体を貫通させた。

「……!」

 貫通したリベリオントリガーはドレインロイドの顔面に直撃する。

「行くぞぉっ!!」

 ダメ押しに、ルカが九重の羅刹を叩き込んだ。ドレインロイドの全身に斬撃が走り、バラバラになった。

「機能……停止……」

 そして、歯車の姿に封印された。

「よし、倒したか……!」

 なんとか、ドレインロイドに打ち勝つことはできた。後は、ここの男達を外に逃がすだけだ。

「ありがとう、もう少しで搾り殺される所だったよ……」

「ありがとう、勇者様……!」

「まだ、気を抜いちゃ駄目だ。」

「ルカ、そいつらを地上に……」

 ルカがヴィクトリーに従って、第二収容室から男達を出そうとした、その時だった。

「あまり勝手な事をされては困ります。彼等の精は、貴重な戦略物資なのですよ……」

 スピーカーか何かを通じて、こちらに語りかけてくる声。おそらく、この場にはいないようだが……

「私は、ドレインラボの責任者であるラプラス。あなた達を、このまま逃がすわけにはいきません……」

 ラプラスとやらがそう言うと、不意に眼前の扉が開く。そこから、異形の生物が現れた。白く、顔面や頭に青い器官があって、顔らしい顔はない。腕もイカの刺身みたいになってて、足も触手状だ。

「な、なんだ……!?」

「こ、こいつは……!?」

 少なくとも、キメラモンスターではない。かと言って普通のモンスターでも、天使でもない……こいつは、いったい何だ……!?

「ルカっ!何ボサッとしてんだ!男達を!」

「だ、だけど……!」

「大丈夫か、ルカっ!」

 抜群のタイミングで乗り込んできたのは、アリスだった。

「アリス、いい所に……!」

「アリス、ルカと一緒に男達を地上に逃がすんだ。」

「了解した、が……」

 アリスは異形のモンスターに目を向けた。

「……あいつはいったい、何者だ……?」

「プロメスティンの新作じゃねぇのか……?」

「いや……あいつは、人間の女だ。」

「なんだって……!?人間の女性を、あんな風に……!」

「いや違う、そういうのではない。あの姿でも、あいつは完全に人間なのだ。」

「あんなイカの刺身みてぇな奴のどこが人間に見えるんだよ……!」

「余も、自分の目が信じられんぐらいだが……奴のゲノムは、99%以上が人間のものと一致している。間違いない、奴は人間だ!」

「な……なんだと……!?」

 魔物以上に異形の見た目をしてるくせに、人間。しかし、今は一刻を争う時だ。

「ルカ、アリス!俺はこいつを食い止める!おめぇらは男達を外に!」

「へ、平気なのか……お前一人で……!」

「こいつもさっきのロイドも、散在してねぇとは言い切れねぇんだ!アリスだけじゃキツいぞ!」

「……ああ、分かった!後で来る!」

「よし……貴様ら余達についてこい!」

 アリスとルカは男達を引き連れ、地上へ出た。ヴィクトリーは異形の生物と対峙し、構えた。

「……所で、おめぇの名前は?」

「……名前はまだない。レプリカントと呼ばれてはいる。」

 しゃ、喋った……口にあたる部分はない癖に、喋りやがった。知性はあるようだな……

「再創世後の世界に生きる、新型のヒト……それが、このレプリカントなのです。」

 ラプラスの声が響き、ヴィクトリーは頷く。

「なるほど、この星の全ての人類が、こいつになるって訳か……」

「その通りです……レプリカント、その男をやりなさい。」

「了解、した……」

 にじり寄ってくるレプリカントを前に、ヴィクトリーは超サイヤ人となった。

「おめぇに人類の代わりなんてさせる訳にはいかねぇ。とっとと終わらせるぜ!!」

 そして、両者は向かい合った……

流血表現

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