もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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地下水道での戦い

 アリスの封印装置を壊しに、バイオラボに来た戦士達。ひょんな事からそこでクロムと出会い、同行することになった。

 

 洋館風のラボ……バイオラボの中を捜索している時だった。戦士達は食堂に辿り着いた。

「ここは……食堂か。地下への入口は、どこにあるんだ……?」

 しかも、食卓の上には、美味しそうな料理がこれ見よがしに並んでいた。どう見ても罠、こんなものに釣られる奴など……

「美味しそう……!」

 アリスが目を輝かせながら、よだれを垂らしていた。

「居たぜ、ルカ。」

「えぇ……」

「……まあ待て。流石の余でも、これは見え見えの罠だと思う。しかし逆に考えれば、こんなわざとらしい罠など無いのではないか?わざとらしいからこそ、逆に安心……余はそう考えるのだ。だから、大丈夫なはずだ……」

 訳の分からないことをほざきながら、食卓に駆け寄るアリス……不意に、足下の床がかぱっと開いた。

「まさか、罠だとは……!うわぁぁぁぁ……」

 アリスは、床の穴に落ちてしまった……

「……あいつ、魔王だよな?」

「おい、こんな罠に引っかかる奴があるか!」

 ヴィクトリーは歩きで、ルカは駆け出そうとして、床に足をつける……

 すると、その床もかぱっと開いた。

「えっ、こっちも……!?うわぁぁぁぁ……」

「くそっ!!」

 ルカは落ちた。

 ヴィクトリーは床の縁を掴んで、何とか踏ん張った。

「あぁっ!ルカのアホーっ!!」

 クロムはわたわたしながら、穴を覗き込む。

「クロム、俺はルカの様子を見に行く。ひとりで行けるか?」

「ぐ、ぐぬぬ……し、仕方あるまい……!」

「悪ぃな、じゃあまた後で!」

 ヴィクトリーは手を離し、そのまま落ちていった……

 

「ぐっ……!」

 ルカは空中で身を翻し、何とか着地した。

 ここは地下、膝の下辺りまで水が溜まっているようだ。

「大丈夫か?」

 ヴィクトリーが僕の隣に着地した。

「ヴィクトリー……僕より、アリスの様子を見に行って欲しかったんだけど……」

「アリスなら多分大丈夫だ。」

 天井を見上げ、穴を見る。その穴がマンホールみたいなもので閉められ、ロックされたのが確認できた。

「……逃げ場はねぇって事か……」

「おーい、アリス!どこに居るんだ!」

 そう言えば、落とし穴によって行き先が違うのか?アリスも、近くにいる筈なんだけどよ……

「あはっ……誰を呼んでいるの……?」

 ルカの声に応じた主は……アリスではなくて、モンスターだった。

「美味しそうな……獲物……たっぷりと、精を搾ってあげる……」

 身体中に刺青が入った、翼が生えた青い肌の全裸の女……目隠しをされていて、身体中に鎖も巻かれてる。

「こいつ……天使か!」

「いや、天使……のアンデッドだ。」

「じゃあエンジェルグールって所か。」

 フレデリカが倒したアイツとは違う。妖気と聖なるオーラが、完全に融合しているようだ……さっきのが試作だとすると、こいつは完成品か。

「油断はできねぇな……」

 ヴィクトリーは超サイヤ人2になり、構えた。

「ああ……!」

 ルカも天使の力を解放し、構えた。

「犯してあげる……搾ってあげる……ぐちゃぐちゃに汚し抜いてあげるわ……」

「丁重にお断りする。」

 ヴィクトリーはそう告げて、エンジェルグールの腹に一撃した。

「だだだだだっ!!」

 間髪入れずに猛烈なパンチを連打して、蹴り飛ばした。

「あははぁ……犯してあげるわ……」

 彼女は痛みを感じていないかのように起き上がり、ヴィクトリーに掴みかかってきた。

「うわっ!?」

 彼は押し倒されるが、その勢いを利用し、巴投げでぶん投げた。

「はぁあっ!!」

 ルカはそこに瞬剣・疾風迅雷を決めて、彼女をぶっ飛ばした。吹っ飛んだ彼女は、そのままべちゃりと床に倒れ伏す。

「うふ、うふふ……」

 しかし再び起き上がり、戦士達ににじり寄ってきた。

「くそ……!」

「おめぇ、不死身なんか……?」

「なんで、吸わせてくれないの……犯す、犯す、犯す、犯す……」

 エンジェルグールはブツブツ言いながら、突っ込んできた。

「ちっ……!バーニングアタック!!」

 ヴィクトリーは手を高速で動かしてから、その両手を合わせ、彼女に突き出す。そこから、凄まじいエネルギー弾を放った。

「あはっ……!」

 エンジェルグールの身体中の刺青が光る。すると腕が光り、バーニングアタックを素手で弾き返した。

「わぁっ!!?」

 ヴィクトリーはそれを壁の方に蹴っ飛ばす。そうしている隙に、既にエンジェルグールは彼の懐に潜っていた……

「はぁあんっ……」

 そして、鎖を飛ばし、その体を拘束した。

「んぎっ!?」

「あはは……」

「ちっ!」

 ルカはエンジェルグールを蹴り飛ばし、ヴィクトリーの鎖を切る。

「平気か!?」

「なんとかな……」

「うふ……」

 エンジェルグールは右手に闇を、左手に光を圧縮させ、エネルギー波を放った。闇と光が混ざり合い、凄まじいエネルギーが二人に迫る。

「かめはめ波っ!!」

 ヴィクトリーは、超かめはめ波でそれを相殺する。

「な……」

 その光景に驚いた彼女は、口を開けて硬直してしまう。

「……」

 その隙に、ルカが突撃し、彼女に迫る。そうして、ここ一番の踏み込みの瞬間に鉄の剣を抜き、刃に聖素を込めた。

「はぁああっ!!」

 そしてエンジェルハイロウと二刀流で、エンジェルグールの胸に斬撃をクロスした。爆発的な威力で切り裂かれ、彼女は大ダメージを負う。

「がっ……!?」

 切り裂かれた胸の中心が、キラキラと光る。

「うぉおっ!!リベリオントリガーっ!!」

 ヴィクトリーがそこに貫通力のあるエネルギー波を放ち、彼女の胸を貫いた。

「……これで、天に還れる……」

 貫かれた彼女はそう呟き、消散した……

「……ふう。」

 ヴィクトリーは超サイヤ人を解いて、一息つく。ルカも天使の力を引っ込め、息を吐いた。

「しっかしプロメスティンと言い、連中も嫌な奴だな……天使と魔物を混ぜた実験体を作るなんてよ。」

「ああ……単に研究者によって興味があるのか、それとも特別な目的でもあるのか……いや、それよりも早くアリスとクロムに合流しないと。」

「そうだな……」

 ここで、ルカはある事に気付く。

「ヴィクトリー、瞬間移動は?」

 言われた彼は、額に指を当てて、気を探る……

「……ダメだ、二人共気を消してる上に……なんだかここの嫌な空気が気の察知を邪魔してる。あんまり遠いところにある気は捉えられそうにねぇぞ……それに、下手に瞬間移動したらどこに行くか分かんねぇ。」

「それって……」

「いしのなかにいる、みてぇな事も起こりうるんだ。」

「……」

 なんだかよく分からないが、そういう訳で瞬間移動も使えないらしい。

「仕方ない、先に進むか……」

「ああ、こうなりゃ真っ先にラ・クロワの所に言ってあいつをぶっ飛ばしてやろうぜ。」

 そんな事を話しながら、戦士達は水路を進んだのだった……

 

「アリスー!クロムー!僕はここだよー!」

 出口に向かってるのか、奥に向かってるのか……それすらも分からないまま、水路を進んでいた。

「なんだか、明るくなってきたな……もうすぐ地上か?」

「……」

 ヴィクトリーは嫌そうな顔で、光の方を向く。

「……どうしたんだ?」

「いや、ひでぇ臭いだな……って思ってよ。」

「臭い……?」

 ルカは鼻を鳴らす。確かに、黴や汚れた水の臭いが鼻につくが……いやっ!

「……気付いたか……?これ、死肉の臭いだぜ……」

「ああ……」

「ふっふっふっふ……」

 不意に、笑い声が響いた。二人はすかさず臨戦態勢になり、構える。そして、声がした方……天井を見ると……

「……!!」

「これは……!!」

 天井に、ドラゴンのゾンビが、ヤモリのように張りついていた。悪臭の原因は、どうやらコイツらしい。

「ドラゴンゾンビ……!!」

「避けるぞっ!!」

「ギャオオオッ!!」

 ドラゴンゾンビが、天井からボディプレスしてきた。巨体が勢いよく落下してきて、二人を押し潰そうとする。

「くっ!」

「っ!」

 二人は飛び退き、構えて気を解放する。いつも通りヴィクトリーは超サイヤ人2になり、ルカは天使の力を解放した。

「ギャアォオオオオオッ!!!」

 ドラゴンゾンビは巨体を揺らしながら踏ん張って咆哮し、二人の前に立ちはだかった。

「く……」

「……こいつ……!」

 ゴルド火山に居た、あいつに似てる……って事は……

「驚いたか……?」

 ドラゴンゾンビの口が開き、女体部分が出てきた。

「やっぱりな……」

「このまま進めばラボ内に戻れるが……そうはいかんぞ。ここから逃げようとする愚か者を、貪り喰らうのが私の役目よ。しかし、人間が私の前に立つのは初めてだぞ……ここまで逃げ切れる奴は、サンプルの妖魔くらいだからな。」

「ドラゴンの……アンデッド……!」

 モンスターの中でも、最強格の竜……ドラゴン。それをラ・クロワがアンデッド化させたものか……ここを守ってるとなると、相当に手強いことが予想される。

「人間のオスを喰らうなど、生きていた時以来だ……たっぷり精を抜き取りながら、その肉体を捕食してやろう……」

 ドラゴンゾンビの喉が膨らみ、口から紫色のブレスを吐いた。

「はっ!」

「魔閃烈衝壁ッ!!」

 ルカは飛び避け、ヴィクトリーはバリヤーを纏いながらドラゴンゾンビの女体部分にタックルした。

「うぐっ……!?」

「はぁあっ!!」

 ルカは空中でグルグル回ってから、ドラゴンゾンビに兜割りを叩き込んだ。重い兜割りが、彼女の脳天に叩きつけられる。

「ぐぁあっ!!」

「龍翔拳っ!!」

 ヴィクトリーは拳を握り、女体部分の胸を抉るようにアッパーした。

「やるな……!」

 女体部分は踏ん張って、お返しと言わんばかりに彼の横っ腹に拳を叩き込んだ。

「ぐうっ!!」

「ヴィクトリーっ!」

「ふんっ!」

 近寄ってくるルカを、ドラゴンゾンビの爪でぶっ飛ばす。

「はぁあっ!!」

 更にヴィクトリーの体に掌底を叩き込み、彼の方に吹っ飛ばした。

「ぐぁあっ!」

「い、いって……!」

 二人は重なるように倒れるが、何とか立ち上がろうとする。

「ふんぬっ!!」

 その二人に、思いっきり尻尾を叩きつけた。体重を乗せた本気の叩き潰しが、二人に襲いかかってくる。

「……っ!?」

「ふっ……」

 ヴィクトリーが尻尾を受け止めながら笑う。

「だぁっ!!」

 そして尻尾を抱え込み、ドラゴンゾンビを背負い投げた。巨体が、彼の手によって投げられ、そして床に叩きつけられた。その衝撃で、地響きが轟く。

「ぐぅあぁっ……!!」

 ドラゴンゾンビは仰向けになって倒れ、腹を晒してしまう。

「よし……!」

「はぁあっ!」

 ヴィクトリーとルカは一緒になって跳んで、その腹に飛び蹴りした。

「ごぉおうぅっ!!?」

 ドラゴンゾンビは悶絶しながらジタバタして、何とか起き上がった。その際に、口から何かを吐き出した。

「はぁ……はぁ……!」

「……何だ、あれは……!」

「キモッ……!」

 二人の視線の先……竜の口内から、女の姿をした消化器官が吐き出されていた。しかも二つ。まさか、今の飛び蹴りで胃袋が飛び出したのか?

「これは、偽女胃……低級ながら、独自の意志を持った消化器官だ。獲物を包んで溶かしてしまう……無論、相当の快感を与えながらな。貴様らも、この偽女胃の餌食となるのだ!」

「嫌だ!!」

 ヴィクトリーは偽女胃に向けて両手を向け、二発のエネルギー波を放った。

「よしっ!」

 ルカが飛び上がって、ドラゴンゾンビに閃殺をお見舞いする。

「ぐっ……!偽女胃っ!こいつを捕らえろっ!」

 女体部分が言うと、偽女胃が目を光らせ、(うね)りながらルカの所へ迫ってくる。

「させるかっ!!」

 しかし、ヴィクトリーが彼女らにヘッドロックを決め、拘束する。

「胃は、体内に帰れ……!!」

 そして気を解放して床を蹴り、勢いよくドラゴンゾンビの口内に突っ込み、そのまま体内に入ってしまった。

「っ!?」

「え、ヴィクトリーっ!?」

 心配は、すぐに消えた。ドラゴンゾンビの背中が突き破れ、ヴィクトリーが出てきた。

「ぐぅああああっ!!」

「やれ、ルカーっ!!」

「ああ!!」

 ルカはドラゴンゾンビに一閃して、着地した。

「……九重の羅刹。」

 そう言って、剣を納める。次の瞬間、彼女の体に無数の斬撃が走り、バラバラになった。

「ありえない……!この私が、人間に屈するなど……!」

 ドラゴンゾンビは、竜の屍に戻った……

「よし……」

「この先は、ラボって言ってたな……」

 二人は臨戦態勢を解いて、先の道を見る。とりあえず、これで地下とはおさらばだ。他の人間達は……事が終わってからの方がいいだろう。

 こうして二人は水路を進み、研究所へ戻る階段を上がったのだった……

 

「……ここは……?」

 階段を上がると、いかにも静謐(せいひつ)な雰囲気の部屋だった。しかしこのラボで行われてる事を考えると、タチの悪い冗談だ。

「ようこそ、汚れし勇者と野蛮な猿……ここに辿り着くのは、お前達が一番早いと思っていたぞ。」

「ラ・クロワ……よくもあんな卑劣な罠を!」

「……引っかかる方も引っかかる方だとは思うけどなぁ……そんな事より、この嫌な空気は何だ……瞬間移動が使えなくて、不便極まりねぇぞ。」

「ふん、これの事か……」

 ラ・クロワは懐から端末を取り出し、ヴィクトリーに見せる。

「これは、特殊なフィールドを展開する機械魔法でな。これを使えば貴様らの気の察知とやらも」

 ヴィクトリーは彼女が話してる最中に、その端末に気弾を命中させた。端末は爆発し、嫌な空気も晴れてく。

「……」

 ラ・クロワは苛立ちを込めた目で、ヴィクトリーを睨んだ。

「ヴィクトリー、二人は?」

「あいつらは地下をさまよってる。心配は要らなさそうだ。」

「そうか……」

「……あの罠は、お前達を分散させるためのものに過ぎん……四人同時では、どうしても見世物が煩雑になってしまい興醒めだ。お前達一人一人に、独自の演出を楽しんもらうとしよう……」

 二人はなれる限りの最高状態になり、構えた。

「悪いけど、魔芸なんて楽しんでる暇はないよ。」

「おめぇをぶっ飛ばして、アリスの封印装置をぶっ壊してここの人間達も助ける……覚悟しろっ!」

「つれない事を言うな、汚れし勇者達よ……お前達のための舞台、存分に楽しんでいくがいい。」

 こうして、激戦の火蓋が切られた……

流血表現

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