もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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空前絶後!黒のアリスVS超サイヤ人3

 バイオラボから、罪人の封牢に向かう戦士達。ハインリヒを封じてる結界の術式をコピーしに行くのだ。これが終わったら、今日は魔王城に帰る。

「……すげぇ嫌な予感がする……」

 ヴィクトリーはガルダに立って風を受けながら、小さい声でそう呟く。

「行くぞ!ガルダっ!」

「くえぇ!」

 戦士達を乗せたガルダはスピードを上げ、罪人の封牢へと飛んで行った……

 

 罪人の封牢……

「ここは相変わらず、神秘的な雰囲気だね……」

「伝説の勇者であるハインリヒが封じられてっかんな……アリス、早速で悪ぃんだが……」

「ああ……」

 アリスがヴィクトリーに催されるままに、準備をする。

「ねぇねぇ、ハインリヒに会えるのかな?」

 ルカの中のシルフが出てきた。

「術式をデータ化するんだから、結果的に解除する事になるね。会えるかどうかは、分からないけど……」

「……」

 そう言えばハインリヒも四精霊を使ってたそうな。今のルカよりゃ遥かに軽い契約だけど……アリスフィーズ8世をぶっ倒してからは契約を破棄して、世界を救った勇者として生涯を終えた……

「私達でさえ、そう思っていたのだがな。」

 サラマンダーが腕を組み、結界を見上げた。

「あれから、新たな戦いに赴いてたのね。おそらく、天界を敵に回して……」

 ウンディーネが、サラマンダーの隣でそう言う。

「その挙げ句に、このザマとは……あの馬鹿者め、なぜ我々を頼らなかった……!」

「分かっているでしょう、サラマンダー。私達を、天界の戦いに巻き込みたくなかったのよ。」

「分かっているからこそ、腹が立つ!たった一人で、決死の戦いに赴くなど……!」

 精霊たちにも、思う所があるようだ。

「ハインリヒ、戦ったんだ……その後、五百年も……」

「……」

「孤独な戦いに挑み、敗れた伝説の勇者……それが今は、ここで封印の身とはな。」

 ルカとヴィクトリーも色々と思う横で、アリスが準備しながら、そう言う。

「うむ、確かに強力な結界だな……首筋がチリチリするぞ。」

「ああ、僕も感じるよ……」

「俺もだ……」

 これがすげぇ結界って事は分かってたけど……今になると納得出来るな……あの伝説の勇者、ハインリヒが封印されてるという話だからな。

「それでは、用向きを済ませるぞ。」

 アリスは、たまもから渡されたであろうディスクを左手に携え……そして、石碑に右の掌をつけた。

「よし、行くぞ……術式転送開始!」

 アリスが作業を始めると同時に、バチバチと電光が発生する。同時に聖なるオーラのようなものが、石碑からディスクに流れ込んだ。

「ぐっ、なかなかの激務だな……おまけに、時間がかかりそうだぞ……!」

 今のアリスは無防備で、中断させるわけにもいかない。ルカとヴィクトリー、この二人で敵から彼女を守らねば。

「ルカ、用心しとけ……」

「ああ……!」

 二人は構え、警戒する……しかし、一分が経過しても誰も現れなかった。

「っかしいな……絶好のチャンスのはずだぞ。」

「ああ、天使の気配も、モンスターの気配も無い……」

「あら、失礼なこと……私、ずっとここにおりましたわ。」

 突如として響いた、聞き覚えのある声──その次の瞬間、異様な空気が全身を凍えさせた。柔らかな声に含まれた、血も凍るような禍々しさ……この声の主は、レミナでも出会った──

「おめぇは……!!」

「黒のアリス……!!」

 そう、くまのぬいぐるみを抱いた少女の姿をした最悪の魔王──黒のアリスが、現れたのだった。

「うふふっ、少し遊んでくれませんか?」

 彼女は早速、ヴィクトリーの方を向く。その瞳に期待を込め、最高の食事を前にした少女のように、喜んだ様子で。

「あなたの力、ぜひ見せてほしいですわ……」

「お、俺か……!?」

「ええ、バイオラボでの活躍は見ていましたよ。」

「ぐっ!!」

 ヴィクトリーは超サイヤ人2になり、構える。

「何をすっとぼけているんですか?あなたにはもう一段階あるはずですよ……」

 それを見ていた黒のアリスは、もう我慢できそうになかった。今にも、食ってかかりそうな雰囲気だ。

「ぐ……!!」

「……アリス、あとどれだけ掛かるんだ!?」

「死ぬほど急いで、あと五分……!いや、それ以上だ……何とか時間を稼いでくれ!」

「…五分以上だと……!?く、くそ……出来ればなりたくねぇんだが……」

 超サイヤ人3は、凄まじい戦闘力と引き換えに大幅に体力を消耗する。そんな形態を、アリスの時間稼ぎに使えるかどうか──それなら、バランス型の超サイヤ人2の方がまだ戦える。しかし……黒のアリス相手に超サイヤ人2では、時間稼ぎにもならないだろう。

「ヴィクトリー、僕も……」

「いや下がれルカっ!どうせ敵はこれだけじゃねぇんだ!」

 黒のアリスの指名は、こちらだ。今ルカを消耗させては、後の戦いに響くだろう。あのイリアスが黒のアリス単体でここに強襲をかけるとは思えないからな……

「でも……!」

「……ヤバくなったら、頼む。」

「……分かった!」

 ルカは身を引いて、アリスの近くに寄る。ヴィクトリーは黒のアリスの前で、硬直していた。

「……」

 しょうがねぇ、ここはいっちょ時間を稼いでみるか……

「……」

 ヴィクトリーは超サイヤ人を解き、黒髪に戻った。

「あら……?なぜ元の姿に……?怖気付いたのですか?」

「そうじゃねぇよ……おめぇにサイヤ人の事を教えてやろうと思ってな……」

「遠慮しておきます。知りたくも無いですわ……」

「まぁ、そう言うなって……まずはこれが普通の状態だろ?」

 ヴィクトリーはそう言った後、超サイヤ人になった。金髪になり、目が鋭くなり、黄金の気が沸き上がる。

「これが超サイヤ人……」

 更に、超サイヤ人2になる。金髪がさらに逆立ち、体から出たオーラにスパークが纏われ、バチバチと音を立てる。

「これが超サイヤ人の壁を超えた超サイヤ人!超サイヤ人2って所かな……そして……」

 ヴィクトリーの気が爆発して、その場を揺るがした。眉毛が消え、前髪が一束だけになり、金髪が腰辺りまで伸びた、今の最強形態──超サイヤ人3となり、気を解放したのだ。

「こいつが、全力の超サイヤ人3だ!!」

「そうですか……じゃあ、早く始めましょうか……」

 黒のアリスはくまのぬいぐるみを安全な所に置き、気を解放した。

「一緒に踊りましょう。私に恥を掻かせたら……その瞬間が、あなたの最期ですわよ。」

「ヴィクトリー、死ぬなよ……!」

「ああ……!」

 ルカの激励を背に受け、構える。黒のアリスも、それに応じるように構える。二人が向き合うことで、大地がゴゴゴと揺れる。

「……」

「では、行きますよ……!」

 黒のアリスが地面を蹴り、勢いよく飛びかかる。それと同時に、ヴィクトリーはかめはめ波の構えを取る。

「波ッ!!」

 それは、間違いなく彼の本気のかめはめ波。巨大で、とてつもない威力のかめはめ波が放たれ、黒のアリスに迫ってくる。彼女はそれを避けようと上昇したが、間に合わず、結果的に下半身が消し飛んでしまった。

「あはっ!」

 しかし、すぐに服ごと再生したのだった。そんな彼女の背後に、ヴィクトリーが高速移動する。

「ふんっ!」

 そして、拳を固く握り締め、パンチした。渾身の一撃が確かに黒のアリスを打ち抜き、ぶっ飛ばした。彼女は猛スピードで地面に叩きつけられ、それで大地が砕け散る。

「はああああーーーっ!!!」

 ヴィクトリーはそこに、フルパワーのエネルギー弾を連射した。一発一発に容赦のない、本気のエネルギー弾が、何度も彼女に直撃し、大爆発が連続した。

「うわっ、わわわ……!!」

「く、くそ……た、戦うならもっと静かに戦ってほしいのだが……!」

 ルカは、二人の戦いで起きる爆風や、飛んでくる瓦礫からアリスを守っていた。

「だだだだだ……!!」

 尚も連射し続けるヴィクトリー。

「あはっ!」

 黒のアリスは彼の背後に突然現れ、思いっきり力を込めたスレッジハンマーで、彼を叩き落とした。

「ぐあぁっ!」

「あはっ!」

 更に接近し、殴りかかる。

「ぐっ!」

「うふふっ……」

 猛スピードで攻防が繰り広げられ、ヴィクトリーがぶっ飛ばされてしまった。

「そんなものですか……?」

 追い打ちをかけようとした時に、彼が頭突きで反撃する。

「っ!?」

「だらぁっ!!」

 そして、その腹をぶん殴った。腹から叩き込まれた拳が、彼女の背中を盛り上げ、ぶっ飛ばした。

「うぐ……!!」

 彼女は靴を地面に擦らせながら、大きく後退する。その表情は苦悶のものではなく──ただ、純粋に楽しくて、(わら)っているように見えた。

「はぁあっ!」

 ヴィクトリーがそこに走り出そうとした時、彼女のスカートの中から、「ズボッ」という音が聞こえた。次の瞬間、地面から得体の知れない触手が出てきて、彼の顎を上方向に打ち抜いた。

「ぐっ!!!」

 何とか身を翻し、着地する。しかし、気の察知で、再び先程の触手が迫ってくるのが感じられた。そうして次々と出てくる触手を、バク転しながら避け続ける。

「うふ……」

 黒のアリスは触手攻撃を避け続ける彼に手を向け、フルパワーのエネルギー波を放った。

「くっ!」

 ヴィクトリーがそれに気付いた時には、既に避けられない様な距離まで迫っていた。なので瞬間移動で黒のアリスの背後に回り、回し蹴りで蹴っ飛ばした。しかし彼女も踏ん張り、肘打ちで反撃する。

「ちぃっ!」

 それに直撃しながら、手刀を薙ぎ払う。が、黒のアリスはバク転して距離をとった。そして、周囲の瓦礫を浮かび上がらせた。

「超能力か……!?」

「はっ!」

 浮かんだ瓦礫が、ヴィクトリーを押し包むように殺到した。だが、彼は気を解放しながらのアッパーで、瓦礫を吹っ飛ばしながら飛び上がった。

「かかりましたわ。」

「なにっ!?」

 振り向いた瞬間、既に黒のアリスが背後に迫っていた。彼女はヴィクトリーの体を、魔力で覆い包んだ。

「こ、これは……!!」

 高度な拘束魔法のようだ。超サイヤ人3の状態で体を動かそうとしても、ピクリとも動かない。

「今度は死ぬかも知れませんね。」

 黒のアリスはそう言って、彼を地平線の彼方にぶっ飛ばした。

「うわあああああああああ……!!!」

 そして、ここからでも確認出来るほどのドーム状の大爆発が、地平線の彼方で巻き起こった。爆発の後、衝撃波が伝わり、爆心地にはきのこ雲が巻き上がる。

「あ、あそこは確か海だ……だから、死人は出るとしても一人……!!」

「ヴィクトリーーーっ!!!」

 アリスが声を上ずらせながら言い、ルカもそこを凝視して叫んでしまう。

「……あはっ!」

 黒のアリスが、嬉しそうに笑う。すると、応じるようにヴィクトリーが飛んできた。しかも、無傷で。

「おい、あんま自分達の星を壊すんじゃねぇよ。」

「いずれ、私一人のものになります。私がどうしようと私の勝手ですわ……」

 睨み合う二人の横で、観戦するルカとアリス。

「ど、どうやったんだ……?」

「爆発の瞬間に超スピードで抜け出したのだ……同じ事をやられたから、余には分かるぞ。」

 疑問を漏らすルカに、アリスが答える。

 しかしながら、依然として拮抗した戦況には変わりなかった。ヴィクトリーは本気でやりながらも、若干押されているように見えた。黒のアリスが、少しだけ優勢、と言ったところか。

「……」

 くっそ……今のはアリスの技でもあったな……この技、相伝されてんのか?

「ふんっ!」

 そんな事を考えていたら、黒のアリスが迫ってきた。

「ぐっ!」

 彼女の猛攻に合わせ、ヴィクトリーも猛攻する。そうして、激しい攻防が超スピードで繰り広げられたのだった。拳と拳がとてつもない速度で入り乱れ、ぶつかり合う。二人の攻防から溢れ出した気で、天も地も揺らいでいる。

「ふっ!」

 そんな最中、ヴィクトリーは彼女の蹴りを避けて、その足を掴む。そこに、水色と白のしましま模様のタイツが見えた。

「……かわいいタイツ履いてんだな。」

「そうですか?褒めて頂いて嬉しいですわ。」

 そう言いながら微笑む彼女のスカートの中から、触手が伸びてきた。それが、彼の右の手首にきつく巻きつく。

「くっ!」

 それをすぐに手刀で焼き切り、彼女の顔面に拳で一撃した。

「っ……ほう?」

 直撃し、打ち抜かれ、ぶっ飛ぶ黒のアリス。

「波ーーーっ!!!」

 超かめはめ波が、そんな彼女の腹を貫いた。

「……ふんっ!」

 しかしその傷は一瞬にして再生し、今度は彼女がかめはめ波の構えをとった。

「……まさか……!!」

「こうですか……?か……め……は……め……」

 間違いない、かめはめ波を放ってくるつもりだ。それも、とんでもない威力で、巨大な──

「くっ!!」

「波っ!」

 黒のアリスは、超かめはめ波を撃ち出してきた。彼のと遜色ない、蒼いエネルギーの塊が、一直線に飛んでくる。

「ちぃっ!」

 ヴィクトリーは、それを弾き返してみせた。かめはめ波は標的を黒のアリスに変え、飛んでいく。

「まぁ!」

 彼女はその場で一回転し、自分が放ったかめはめ波に踵落としし、今度はルカの方に弾き飛ばした。

「わぁっ!!?」

 ルカは、そのかめはめ波を上空に切り上げた。それは、猛スピードで雲を貫き、そして空を覆い尽くすような大爆発が巻き起こった。

「く……!!」

「うふふっ、便利な技ですわ……」

「驚いたな……おめぇ、相手の技を見てそれをすぐにコピーしちまうのか……」

「私が、魔王アリスフィーズ8世という事をお忘れなく……それなりに出来る自信はありますよ。」

「そうかよ……!」

 二人はまた激突し、攻防する。相も変わらず凄まじい攻防だが、更に加速していく。

「はぁあっ!」

 ヴィクトリーの廻し蹴りが、黒のアリスのこめかみに叩きつけられる。

「ふっ!」

 黒のアリスは反撃に、ヴィクトリーの脇腹に拳を叩き込んだ。

「ぐぅっ!」

 ヴィクトリーは踏ん張り、思いっきり頭突きした。

「ぐっ!」

 黒のアリスの膝が、ヴィクトリーの顔面を打ち抜いた。

「がっはぁ……!」

「うふふっ!」

 スカートの下から触手が出てきて、彼を乱打した。

「ぐぅうぅっ!!」

「スキだらけですわ。」

 身を屈めてガードするも、彼女の右ストレートが顔面を打ち抜いた。

「〜っ!!」

「あはっ!あはははははっ!」

 ぶっ飛ぶヴィクトリーに、彼女は無数のエネルギー弾を放つ。それが全て叩きつけられ、爆発が連続した。

「ぐぅうっ!!」

 ヴィクトリーは飛び上がり、黒のアリスの方を見る。しかし、既に彼女の姿は無かった。

「な……!?」

「トロいですわね……」

 そのまま、拳で彼の顔面を打ち抜こうとする──が、一撃が届く寸前に、彼の手がその拳を受け止めた。

「へぇ……」

「くらえ……!!」

 彼はもう一方の片手で、彼女の顔面に超かめはめ波を放った。その頭が消し飛び、頭部を失った体だけが、ふよふよと浮かぶ。

「や、やった!」

「やったのか!?黒のアリスをっ!?」

 ルカとアリスは声を上げていたが……ヴィクトリーは黙ったまんまだった。

「……」

 やってなんかいない。まだ、相当気を残している……それどころか、まだピンピンしてるはずだ。

「ばぁ〜っ!」

 なんと、黒のアリスの頭部が一瞬にして再生した。律儀に髪に付けているかわいいリボンまで再生している。

「な、なんて奴だ……!!」

「黒のアリス……化け物め……!!」

 アリスとルカはその光景を見て、戦慄するしかなかった。まさに、不死身──あんな相手と、どう戦えばいいのやら……

「おめぇすげぇな〜……再生力だけなら魔人ブウに匹敵するんじゃねぇか?」

「その魔人ブウとやらがどの程度の再生力かは知りませんが……おそらく、そういう事になるでしょうね……」

 めぇったな……超サイヤ人3の俺が、ちょっと負けてっぞ……

「それじゃあ、ダンスの続きをしましょうか……」

 黒のアリスは両手を突き出し、エネルギー波を放ってきた。

「くそっ!」

 そのエネルギー波を避けるが、それは執拗にこちらを追いかけてきていた。それを飛んだり回転したりしながら、俊敏に避け続ける。が、エネルギー波の一発が彼の脇腹で爆発した。

「うわぁあっ!!」

「あはははははっ!」

 黒のアリスは、怯んだ彼にエネルギー波を連射し続ける。それは直撃し、大爆発が連続する。しかし彼はボロボロになりながらも飛び上がり、かめはめ波を撃とうと構えた。しかし、その角度関係は、放ったら大惨事になること間違い無しのものだった。

「か……め……は……」

「いいんですか?そんな角度で撃ったら、この大陸が吹き飛んでしまうかも知れませんよ……?」

 黒のアリスは、余裕の笑みを浮かべながら、言う。遂に考え無しに戦おうとする彼が、滑稽に見えていた。

「め……」

 しかし彼は、撃ち方をやめない。そのまま、真っ直ぐに黒のアリスを睨みつけている。それで彼女の表情が、余裕の笑顔から、ちょっと待てという戸惑いの顔に変わる。

「ふ、フルパワーで撃つつもりだ……!!かめはめ波を……!!」

「冗談じゃないぞ!あの角度では余達にも直撃する!」

 ルカとアリスも異変に気付き、ヴィクトリーに聞こえるように言う。

「ぐ……!!」

 もし、ヴィクトリーがかめはめ波を撃ち放てば、それで大陸が消し飛び、大量に魔物が死ぬ。それで漏れ出た魔素濃度で、六祖の封印が解かれたりなんかしたら──

 黒のアリスはその思考に至った瞬間、フルパワーのかめはめ波を撃ち放つ。しかし、それは彼をすり抜けた。

「え……!?」

 黒のアリスの懐に、ヴィクトリーが瞬間移動してきた。この角度ならば、かめはめ波が上空に飛ぶ。

「し、しまっ……!!」

「波ーーーーーーッッ!!!!!」

 黒のアリスに、フルパワーの超かめはめ波が撃ち上げられた。至近距離で、全エネルギーが惜しみなく彼女に直撃する。

「きゃあああーっ!!」

 そのものすごいかめはめ波はこの星から抜け、宇宙へ出ていく。

「はぁっ……はぁっ……!!」

「はぁ……はぁ……!」

 黒のアリスは原型を留めたまんま、腕をクロスして浮いていた。

「ば……化け物め……!!」

「い、今のは流石の私も死ぬかと思いましたわ……流石はサイヤ人……」

 黒のアリスはそう言って、臨戦態勢を解いた。

「……なんだよ、もうやめちまうのか?」

 ヴィクトリーも超サイヤ人3を解いて、黒のアリスと同じ目線まで来る。

「あなた達の力は、だいたい分かりましたもの。おおかた、ハインリヒの血統の方はあなたと互角のようですからね。」

「おいおい、因縁より俺をとったってのか?」

「勘違いしないで下さい……私は、大好物は最後にとっておく性分ですので……それに……」

「それに……?」

「余計な邪魔は、興醒めですわ……」

 黒のアリスは背後へと視線をやった。

「……覗き見とは無粋ですわね。この私が、何かおかしな事をするとでも……?」

「……!!」

「くっ!」

 ヴィクトリーは再び超サイヤ人3になり、ルカも剣を抜いて構える。

 この激戦の最中、気付きもしなかったが……天使達が、周囲を取り巻いていたのだった……

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