もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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作戦会議

 罪人の封牢……天使殺しのハインリヒが復活し、ヴィクトリーと共に天使達を薙ぎ払った。しかし、五百年も封印されていた彼の魂は疲弊し切っており、すぐに別れの時が来た。

 ハインリヒは二人に勇者としての義務を教え……そして、天に還った。

 

「……」

「ふぇ〜ん……」

 ルカの中のシルフが泣いていた。

 普段、天真爛漫なこいつが泣くなんて……よっぽど悲しいんだろうな。その後ノームに慰めて貰ったりして、四精霊達もいい面構えになったようだ。

「ハインリヒ……どうか安らかに眠ってくれよ……」

 ヴィクトリーは天を見上げながら、そう呟いた……

「よし、魔王城に戻るぞ!」

「ああ!」

 ルカの声で振り向いて、ガルダに飛び乗る。戦士達は魔王城へと帰還した……

 

 魔王城に帰るなり、戦士たちは会議室に招かれた。その場に居たのは、たまもを除く四天王三人……

「……何だか、俺ら場違いじゃねぇか……?」

「……」

 しかし、作戦の事もあるし席を外す訳にもいかねぇ。

「そう言えばルカ、ゼリーを作ってみたのだけど……」

 エルベティエがルカにゼリーを進めている……あれ、あのゼリー……エルベティエと色同じ……なんだか、怪しい。

 その他に出席者を見ると、グランベリアがいた。

「所でグラン、体はもういいんか?」

「……ああ、もう万全だ。勝負に負けて寝込むなど、初めての経験だがな。しかし縁とは異なもの、その相手と共闘する事になるとはな……」

「本当に、不思議な成り行きだね……でも、とても心強いよ。」

「ああ……お前達も、あの時に見せたような底力を期待しているぞ。」

 そんな事を話してたら、アルマエルマがいきなりクスクス笑い出した。

「ライバルって、いいわよね〜……グランべリアちゃんはめっきり私に戦いを挑まなくなったし、寂しいわぁ……」

「えっ……?」

「おめぇら、よく戦ってたんか?」

「ちょっと前まで、グランべリアちゃんによく戦いを挑まれたんだけど……連戦連勝、いつも私の圧勝でね……力の差を思い知ったのか、挑んでこなくなっちゃったの……」

 グランべリアがアルマエルマの方を向き、睨みつける。

「な、何を言うか……!断じて、勝ちを諦めたわけではない!」

「ひゃ〜っ!!」

 グランべリアが、アルマエルマに連敗!?

「そりゃあすげぇや!今度、俺とも戦ってくんねぇか!?」

「あら、いいわよぉ!ヴィクトリーちゃんも、たぁっぷりと可愛がってあげる!」

 ちょっと嫌な予感がする……

「ど、どういう事なんだ……」

「グランべリアちゃんは、決して私には勝てないって事よ……」

「……勝手な事を言うな、ならばここで証明してやろう!」

 剣を携え、グランべリアが椅子から立ち上がる……

「なんじゃなんじゃ、会議前から内輪もめか……?元気なのはいいが、挑む相手を選ばんか。」

 そこに入ってきたのは、たまもだった。ぴょこぴょこと進み、大きめの椅子にちょこんと座る。

「アルマエルマ……今晩九時、演習場にて待つ。」

「うふふっ……またコテンパンにされたいの?その勝負、受けてあげるわ……」

 グランべリアとアルマエルマが睨み合いながら、座った。

「……それでは、作戦会議を始めるとしよう。反攻計画のあらましは、事前に〜」

 たまもが長々と説明してる中、ヴィクトリーが僕に寄る。

「俺、こんな会議してるヒマあったら修行してぇんだけど……」

「駄目だよ……これからに関わるんだから、真面目に聞かないと……」

「聞いておるのか、二人共っ!」

 たまもが僕達を呼んで、ハッとした。

「要するに、聖素の物理化がなれば、魔王様を封じている装置も破壊できて、天界にも乗り込める。今の戦局を一変させる事になるのじゃ。」

「そりゃあすげぇや……」

「アリスも元通りに出来て、敵の本拠地にも殴り込めるって訳だな……」

「侵攻を受けてる村や町も、かなり戦いやすくなる筈だな……」

「ふむ、ちゃんと聞いておったか……それでは、具体的な作戦のあらましを〜」

 たまもが、また長々と作戦を説明する……何だか、眠くなってきたぞ俺。ルカは真面目に聞いてるみたいだけんど……

「ヴィクトリー、お主はルカについて行け。」

「ぁあん?」

「僕と一緒に、『天国の門』に行くんだ。」

「ああ……」

 ヴィクトリーは頭をボリボリ掻きながら、欠伸をする。

「例の結界が張られたら、すぐさま俺達が天界に殴り込むようにすんのか。」

「そういう事。」

「電光石火の奇襲。敵に反応の間を入れさせないようにな……」

 またたまもが長々と作戦を説明する……

 ……帰りてぇ。いや、帰る場所なんてねぇんだけど。修行してぇ……

 

 そして……

「会議は以上、後は明日の決戦に備えよ。みな、存分に力を振るうが良い!」

「ああ!」

「ふっ、望むところ……!」

「面白くなりそうね……」

「やってやるわ……」

 魔王城に乗り込まれて以来の雪辱、果たす好機。四天王も、相当に猛っているようだ。

「……そういう締めの台詞は、魔王たる余の仕事なのに……おのれ、たまもめ……」

「……」

「さて、少し特訓でもしてくるか……」

「俺も、こんな事してる場合じゃねぇな……」

 会議が終わり、部屋を出ようとする四天王達とヴィクトリー……それを、たまもが呼び止めた。

「……まあ待て。今からもうひとつ、ここで大きな会議を開くのじゃ。魔王様や四天王はもちろん、ルカとヴィクトリーも勇者として……」

「ダ〜メだぁ!俺、修行しなきゃいけねぇんだ!」

「まぁ、そう言うな。後でメシをたらふく食わせてやる。後は座ってるだけで充分じゃから……な?」

「ほんとか!?」

「…………」

 メシには弱いんだなこいつ。そう言えば、ヴィクトリーはメシになるとものすごい食うんだけど……今日、こいつは朝飯以外何も食べてなかったからなぁ……

「世界中に送った使者が、参加者をここに転送してくる筈じゃ。予定の時間は、ちょうど今じゃな。」

「世界中から参加者が……?」

「何の会議すんだ?」

 二人が首を傾げた、次の瞬間……会議室の隅に、転送魔術用の魔法陣が出現した。

 そして……

「ううむ、これが移動魔術か……あまり心臓には良くなさそうじゃのう。」

「サン・イリア王様!」

 サン・イリア王が転送されてきた。全イリアス信者の頂点に君臨する教主……ある意味、この魔王城には似つかわしくない人物だ。

「サン・イリア王、あなたもここに……」

「おお、勇者ルカと武道家ヴィクトリーか。お主達が居てくれて心強いぞ。知った顔がいないと、心細いからのう……」

「……」

 いや、まだ来るらしいな……

「ふむ、ここが魔王城か……」

「さ、サバサ王……!?」

 まだまだ来る……グランドノア女王……グランゴルド王……と、クィーンアントまで。

「各国の要人達が、集められてるみてぇだな……」

「まだ他にも出席者はいるぞ。人間の王だけでは、このサミットは不完全なのじゃ。」

「……」

 って事は……

「おや、既にお集まりですね。エルフ一族の女王、クィーンエルフです。」

「私も、参加させて貰いましょう。世界中のフェアリーの代表として……」

 クィーンエルフとクィーンフェアリーが入ってきた。そうか、この二人はここに滞在してたんだっけ。

 転送魔術から、まだまだ現れる……クィーンハーピーに、プリエステス──今はクィーンアルラウネか。白蛇様に、サキュバス……

「……」

 人間人外問わず、各所のお偉いさんが雁首揃えてここに座っている。そんな状況の中、アリスが口を開いた。

「……皆も知るように、今は紛れもなく世界の危機だ。そこで、各国各地の統治者に集まってもらった。我々は性別も種族もバラバラだが、一つ共通点がある……それは、勇者ルカに何らかの縁があるという事だ。おいルカ、勇者として何か一言頼めないか?」

「えっ、僕が……?」

「軽く挨拶でいいだろ、難しく考えんな。」

「……」

 世界各地の要人の視線が、ルカに集まった。

「えっと……僕は、純粋な人間じゃないです。父さんは人間だけど、母さんは天使でした……でも僕は、自分が純粋な人間じゃない事を誇りに思います。少なくとも、一人の人間と天使が分かり合えたって事だから……そうでなくては、僕はここにはいません。」

 場の一同は静まり返り、僕を注視する。世界を背負っている者達の眼差しを受けながら、ルカは続ける。

「僕達はずっと旅をしてきて、ここにいる人達、魔物達に出会いました。僕がしてきた事は、正しい事なのかどうか〜」

 ……なげぇ。こいつ、こんななげぇ話出来んのか。

「〜そのために、皆で心を一つにしましょう。僕からは、以上です。」

 ルカは一同からの拍手を受けながら、座った。

「ヴィクトリー、お主も頼めるか?」

「お、俺もかよ……」

「僕も喋ったんだからさ……」

 みんなの視線が、今度は俺に殺到する。これが同調圧力とかいう奴か。

「……」

 ヴィクトリーは立ち上がり、頭を掻いてから……口を開いた。

「みんな気付いてるかも知んねぇけど、俺はこの世界の生まれじゃねぇ。いや、世界なんて次元じゃねぇ。生まれた星すら違うんだ。おめぇらからしたらただの人間にしか見れねぇだろうけど、俺はれっきとした宇宙人だ。でも、こいつは受け入れてくれた。」

 ヴィクトリーはルカの頭に、手をポンと置いた。

「俺達はすぐに打ち解けあって、二人でいろんな冒険をした。そんでもって、いろんなピンチを二人で乗り越えて来たんだ。その冒険の中で分かった事は沢山ある。でもそん中で確かな事は、宇宙人と天使のハーフでも仲良くなれるって事が分かったんだ。」

 ヴィクトリーはそう言って……超サイヤ人3になった。

「ぬぅっ!?」

「!!」

「ッッ!?」

「うぉおっ!?」

 一同が、凄まじい気に当てられて吹っ飛ばされそうになる。

「……おかげで、俺はこの世界でここまで強くなれた……だけど、これだけじゃダメなんだ。これだけじゃ、イリアスには勝てねぇ……」

 ヴィクトリーは超サイヤ人3を解いて……一同を見回した。

「みんな……俺達に協力してくれ!この星のみんなの為にも、ルカの理想の為にも……イリアスを、みんなの力を合わせて、ぶっ飛ばすんだ!!……俺からは、以上だ。」

 ヴィクトリーが席につき……一同から拍手が湧き上がった。

「……ガラにもねぇな、俺も……」

「そんな事無いよ。」

 ルカもヴィクトリーに拍手していた。

「二人は、ここにいる者達の誰よりも年下。にも関わらず真摯に人と魔物の共存を訴え〜」

 ……なげぇよこの会議。寝そうだぞ俺……

 各国の要人たちが、思い思いに口を開く。そんでもって、人と魔物の共存の話から目の前にある脅威の話に移る。たまも達は今の作戦を要人達に説明した……ついでに、自衛に尽くしてくれという趣の事も言っていた。そうか、作戦は明日からか……

「天界の連中も、明日から襲撃に来んのか?」

「そうじゃ。」

「明日だって……!?」

「やっぱりな。作戦を急いだのはその為か。」

 ヴィクトリーはテーブルに肘をついて、顎杖する。

「天界の連中が各地で暴れてるスキに、本丸に殴り込み。薄くなった天界をズドン……って訳か。」

「……なるほど、そういう事か。」

 サバサ王が、ヴィクトリーの言葉でそう頷いた。

「我々が各地で侵攻軍を引き付けておけば、天界の防備は薄くなる。よって我々は、敵戦力を各地に釘付けにしておけと……」

「……うむ、話が早くて助かるのう。ルカ達が天界に突入すれば、侵攻軍も天界に戻ろうとするはず。各国軍はそれを許さずに、なんとしても敵軍をとどめるのじゃ。」

「その間に、二人が女神を討つ……という訳か。」

 グランゴルド王も参加してきた。

「それならば、グランゴルド全軍は全面的に協力しよう。」

 それに続いて、各国の要人たちも気合を入れ直したようだ。こうして、要人達は具体的な協議に入っていく。各国の伝令役として、クィーンハーピーがハーピーを各地に派遣するとか……エルフの弓兵隊が、ヤバくなった所に飛んでくるとか……そんな感じで、急ごしらえながら共闘態勢が組み上がった。

 こうして、人と魔物の代表を集めてのサミットは成功に終わった。各地の統治者が一丸となって、明日の決戦に赴くのである……

 

「すげぇ話になってきたな。」

「ああ……」

 ヴィクトリーが大量の料理を平らげ、腹を膨れさせる。

「よっしゃルカ……俺は修行してくる。」

「お前、まだ強くなるつもりなのか……?」

「ああ……おめぇも分かってんだろ。こんな程度じゃ、イリアスには勝てねぇって事ぐらい……」

「……」

 確かに……超サイヤ人3は凄まじいが、イリアスには及ばないだろう。あの力を超えない限りは、イリアスに太刀打ちする事は出来ない筈だ。

「……お前、いつもどんな修行してるんだ……?」

「ん?今ある限りの最高状態になって、休憩を挟みながら基本的なトレーニングかな……俺もあんまりやり方は意識してねぇから……」

「……」

 不思議な奴……ヴィクトリーは指や首をゴキゴキと鳴らしながら、特訓場に向かった……

「……」

 僕も、こんな時間からは流石に眠れない。魔王城を、散歩してみるか……

流血表現

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