もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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エルベティエのかめはめ波

「さぁ、ウンディーネの泉での続きよ。」

 エルベティエの前には、アンフィスバエナが立ちはだかっており、鎌を煌めかせ、そこにエネルギーのようなものを纏った。

「この超震動ブレードで、バラバラに解体してあげるわ……」

 目の前の人造妖魔の兵器が起動して、全身にスパークが纏う。

「……そう簡単にいくかしら……」

「ふふっ、簡単な仕事よ……以前にあれだけ追い詰められながら、まだ気付かないの?」

「今度は、あの時とは違う……」

 エルベティエは気を解放して、構えた。

「この私にも、守るべきものがあるのだから……!!」

「自分自身も守れない弱者に、言えた台詞じゃないわねぇ!」

 アンフィスバエナも気を解放して、エルベティエに切りかかった。

「はぁあっ!」

 彼女はそれを避けてから、拳に力を込め、その胸を抉るように龍翔拳を放った。確かに、それは直撃したが……

「はぁっ!!」

 アンフィスバエナの装甲が、超振動を起こし、エルベティエをぶっ飛ばした。

「っ……!」

「あははっ、なんてザマなの……接触すると、振動装甲でダメージを受けるのを忘れていたの?」

「……」

 エルベティエはアンフィスバエナを睨み、エネルギー弾を連射した。しかし、彼女の鎌が、それらを全て切り弾く。

「無駄よ!その程度の技、私には通用しない!」

「……」

 エルベティエは高速移動して、アンフィスバエナの顔面をぶん殴った。

「……分かっていないようね。」

 しかし、振動装甲によって彼女は再びぶっ飛ばされてしまった。

「……っ」

「自暴自棄なのか、本当に馬鹿なのか……」

 アンフィスバエナは鎌を煌めかせ、エルベティエに猛攻した。

「ぐっ……ぐぐぐ……!!」

 何とか躱し続け、スキを伺う……

「……そこねっ!」

 エルベティエは、アンフィスバエナの顎を蹴り上げた。

「っ!?」

 ダメージが入り、よろける。そのせいで、振動装甲の起動が遅れた。

「はぁああっ!!」

 そんな彼女の顔面をぶん殴り、胸を蹴りで連打して、鳩尾に思いっきり拳を叩きつけた。

「ぐぅうううっ!!?」

「はぁっ!!」

 更に顔面に頭突きをしてから、両足蹴りで蹴り飛ばした。しかしアンフィスバエナは踏ん張り、ゆっくりとエルベティエを見た……

「……」

 口から垂れた血を、レロリと舐め上げる。そして、笑った。

「なるほど、ウンディーネの泉の最中……あの野蛮な猿の動きを自分の中に吸収したのね。先の龍翔拳といい、その体技といい、妙に格闘のセンスがある訳ね……」

「……それが、どうしたの?」

「ふっふっふっふ……あんたは、とことん馬鹿だって事よ……」

 アンフィスバエナは一瞬で眼前に迫り、鎌を振り下ろしてきた。

「くっ!」

 エルベティエはその鎌を、白刃取りする。

「あまいっ!」

 しかし鎌や装甲から高周波が迸り、彼女の手を焼き切った。

「っ!」

 彼女は手を再生させながら後退するが、軽く胸を斬られてしまう。しかし怯まずに、突進した。

「無駄だと、何度も……」

「ふっ!」

 エルベティエはアンフィスバエナの目の前で、その背後に高速移動した。

「にっ!?」

「はっ!!」

 そして、こめかみに渾身の廻し蹴りを放った。

「ぎ……!!がぁあっ!!」

 しかし、振動装甲によって彼女は再びぶっ飛ばされ、壁に叩きつけられた。

「ぐ……!!この技ならどうっ!?」

 彼女は起き上がりざまに手を向け、凄まじい海流の波動──メルトシュトロームを放った。

「がぁああっ!!」

 アンフィスバエナはその場で思いっきり鎌を振り下ろした。鋭い斬撃が飛び、メルトシュトロームを真っ二つにした。

「っ!!」

 エルベティエは咄嗟にそこから離れる。すると、壁に大きな斬撃が走った。

「もらったぁっ!!」

 そこに、アンフィスバエナが迫り、鎌を振り下ろした。

「っ!!」

 彼女の腕が、切り落とされた。切り落とされた腕が床に落ち、ジュウジュウと蒸発していく。もう、再生できない。

「くっ……!!」

「うふふ……いずれこれを全身にやってやるわ……完全にバラバラにしてしまえば、元には戻れないでしょう?」

「……」

 エルベティエの腕が再生して、拳を握る。

「これならどう……!?」

 その腕をアンフィスバエナに向け、ヴィクトリーの貫通力特化の気功波──リベリオントリガーを放った。

「無駄ぁ!!」

 しかし、アンフィスバエナはそれを弾き返し、走る。

「覚悟っ!」

 そしてエルベティエに迫ろうとしたが……そこに彼女の姿は無かった。

「な……!?」

「油断したわね。」

 彼女が背後から現れ、その背中にフルパワー連続エネルギー波を放った。

「ぐぐぅっ!?」

「はぁあああ……!!!」

 エルベティエはこのままゴリ押ししてしまえと言わんばかりに、エネルギー波を連射する。

「はぁあああ……!!」

「ぐ……ぐぐ……ぎ……!!」

 アンフィスバエナは目を見開き、全ての振動装甲にエネルギーを溜めた。

「え……?」

「がぁああああーーーッッ!!!」

 そして、物凄い衝撃波を放ってエネルギー波を吹き飛ばした。

「きゃあっ……!!」

 衝撃が部屋中に轟き、エルベティエをぶっ飛ばす。

「はぁ……はぁ……い、今のは効いたわ……この私に防衛目的でこの技を使わせるなんて、やるじゃない……」

「……」

「ただし、二度も同じ手は通用しないわ……つまらない事をして苦しむ時間を増やしたくないのなら、とっとと降参する」

「スキあり。」

 エルベティエは、喋ってる最中のアンフィスバエナの顎を蹴り上げた。彼女の口内から、ザクッという音が鳴った。

「〜〜〜ッッッ!!!」

 アンフィスバエナは口を開け、血が吹き出てる舌を出しながら転がり回る。

「……昔、同じ事をヴィクトリーにされたわ……戦いの中で、ベラベラ喋ってるとそうなるのよ……貴女、確かに私を相手にするには強いけど、油断しすぎよ……」

「こ……殺す……!!!殺してやるぞ、エルベティエ……!!!」

「なら、とっとと殺してみせなさい……」

 エルベティエは液体となって床に広がり、アンフィスバエナを押し潰すように殺到した。

「無駄……だぁあっ!!」

 しかし、振動装甲でそれを吹っ飛ばす。吹っ飛ばされた水が一点に集中し、エルベティエを形作る。

「く……!」

「はぁああっ!!」

 アンフィスバエナが突進してきて、鎌で猛攻する。

「く……!」

「そこだっ!!」

 アンフィスバエナはエルベティエの腕を突き刺し、壁に叩きつけた。

「きゃ……!!?」

「死ね……!!」

 そしてエネルギーを集中させ、音速の衝撃波をゼロ距離で放った。

「ッッッ!!!」

 ゼロ距離で、全エネルギーがエルベティエに叩きつけられる。しかし、アンフィスバエナは止まらなかった。

「死ねっ死ねっ死ねっ!!死ぃいいいねぇええええ!!!」

 彼女は何度も、何度も何度も振動装甲で衝撃波を放つ。しかし、エルベティエは苦痛の表情を浮かべる所か……

「……タイムリミットのようね。」

 そう言って、笑った。

「え……!?」

「はぁっ!」

 エルベティエはその顔面に、エネルギー波を放つ。

「くっ!?」

 アンフィスバエナはそれを切り弾こうとしたが、鎌が負け、折られてしまった。

「な、なに……!!?」

「ふんっ!」

 エルベティエは腕を突き刺している鎌に肘を落とし、バキンとへし折った。そうして、穴の空いた腕を再生させる。

「そ、そんな……!!ど、どう言う事よ……!?あのショックバーストをゼロ距離で何度も食らって生きてる上に、そのパワーアップ……!!」

「……私がパワーアップしたんじゃない。貴女のパワーが切れたのよ。」

 そう言って、エルベティエは粘液となってアンフィスバエナの体を包み込んだ。

「何のつもり……!?この私の体を包み込むなんて、正気なの……!?」

 彼女の装甲が、振動を起こす。しかし、エルベティエは意に介さず拘束を続ける。

「やけくその自殺……!?いや、これは……!!」

 アンフィスバエナの頭に、ある技が思い浮かんだ。この技は、ヴィクトリーにもやっていた……

「まさか、魔王城の戦いで不発に終わった……」

「ええ、私の最後の技よ。この肉体で核融合反応を起こして、全てを消滅させる……」

 エルベティエの形作る細胞組織が、超高温にまで活性化し始めた。核融合反応が始まったのだ。終焉のカウントダウンが、今始まってしまった。

「ぐっ……は、離しなさい!!離せっ!!離せぇっ!!」

 アンフィスバエナは何度も振動装甲を起動するが、エルベティエは鼻で笑ってしまった。

「まだ気付かないのかしら……?」

「……はっ!」

 アンフィスバエナは、ようやく自分の体の異変に気付いた。

「し、出力が足りない……!無駄に戦いが長引いてしまったから……!!まさか、そのためにわざと……!?」

「その体に備わった、様々な最新兵装……それに、ウンディーネの泉での早すぎる撤退……あなたの戦闘可能時間は、そう長くないと踏んでいたわ……」

 重水素と三重水素が、超高温で凝縮されていく……D-T反応が始まったようだ。

「くっ……離しなさいっ!自分諸共、私を滅ぼすつもりなの!?どうせ勇者との戦いのように、途中で解除するのよね!?フェイクなのは分かっているわ、早く離しなさいよ……!」

「何を言っても無駄よ、貴女はルカやヴィクトリーとは違う……」

 エルベティエの全細胞が、とうとう核融合反応を起こす……

「離せ、離せ、離せぇ……!!や、やめろぉおおおーーーっ!!!」

 エルベティエの顔が、アンフィスバエナの耳元に来る。

「……私の命と共に、消えなさい。」

 そう囁いて……核融合反応が起きて、破滅的な大爆発が巻き起こされた。凄まじい爆発が巻き起こり、全てを吹き飛ばしたかに思われた……

「……本当に……卑怯よね……エルベティエ……」

 爆発の衝撃を一身に受け、爆心地に佇むアンフィスバエナ。その肉体は破壊し尽くされ、ほぼ機能を停止していた……

「自爆と言いながら……お前自身は無傷なんて……」

 エルベティエは、アンフィスバエナの前に立っていた。

「いいえ、無傷じゃないわ……私を内包する命のいくつかが、死んでしまったのだから。」

「ぐ……ぐ……!!!」

 アンフィスバエナはボロボロの鎌を振り上げ、エルベティエを睨む。どうやら、まだ戦う気のようだ。

「しつこいわね……だったら、これで終わらせるわ……」

 彼女はそれを見て両手を合わせ、そこにエネルギーを集中させた。

「か……め……」

「くっそぉおおおおおーーーっ!!!」

 アンフィスバエナが、鎌を振り上げて切りかかってきた。

「は……め……!!」

 エルベティエの目が鋭くなり、彼女を睨みつけ……

「波っ!!!!」

 渾身の、超かめはめ波を放った。

「ぐぎゃああああーーっ!!!」

 見事に、それは命中した。蒼いエネルギー波が放たれ、彼女を飲み込む。

「さ、刺し違える事も……出来ずにぃい…………!!」

 アンフィスバエナはエネルギーに融けて消し飛び、塵となった……

「……装置は無事よね。爆発は内側に集中させたけど……」

 粘液の肉体で相手を覆い包むようにして、自爆した……そのため、結界展開装置にまで破壊は及んでいないようだ。

「これで、準備完了……他のみんなは、無事かしら……」

 エルベティエは準備を終え、たまもからの合図を待つのだった……

流血表現

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