もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
「…………」
たまもの前にも、人造妖魔が居た。ツクヨミだ。
「なるほど……確かに、お主にはウチの細胞が使われているようじゃな。妖気など、そっくりなのじゃ……」
「それならば、あなたに勝ち目が無い事もお分かりのはず。あなたの力を、最先端の生体工学で更に強化しているのですから……」
「しかし、ウチの尻尾の方がもふもふじゃぞ!」
「ふっ……やはり愚かな狐。実際に、痛い目を見るまで分かりませんか。」
ツクヨミはそう言って床に踏ん張り、気を解放した。
「さて……宴の本番は、まだ少し先。それに遅れぬよう、さっさと始末して差し上げましょう……」
「ふ……」
たまもは跳躍してから構え、土の力を解放する。
「……お先にどうぞ。」
「それじゃあ、遠慮なく……」
そう言って高速移動して、ツクヨミの顔面をぶん殴った。
「ふんっ!!」
しかし彼女は踏ん張って耐え、たまもを前足ではたき落とした。
「ぬわっ!?」
「がぁあっ!」
拳を握り、たまもに振り下ろす。彼女はそれわ転がり避けて、立ち上がった。
「……っ!」
ツクヨミの拳が叩きつけられた床が粉砕した。部屋が揺れ、衝撃が響く。流石は、土の剛力を使えるだけはある。
「ち……すばしっこいですね……」
「むふふ〜……これならどうじゃっ!?」
たまもは多重残像拳を使い、ツクヨミの周りを跳び回った。何体ものたまもの残像が、彼女を取り囲む。
「……へぇ、多重残像拳ですか……」
ツクヨミは、特に焦った様子もなくそう言う。次の瞬間、目がカメレオンのようにギョロギョロと動いた。
「な、何じゃ……!?」
その光景に驚いたたまもは、思わずそう漏らしてしまう。
「そこですね。」
そして、ツクヨミはその両目にたまもを捉え、顔面を掴んだ。
「おわぁっ!?」
「はぁあっ!」
思いっきり投げ飛ばし、壁に叩きつける。
「ぐはっ……!」
「吹っ飛びなさい……!!」
ツクヨミの目が光り、ビームが連射された。それは何発も直撃し、爆発が連続する。
「がぁあっ!」
しかしたまもは起き上がり、ビームを弾き飛ばす。そして、エネルギー波を放った。
「がぁあっ!!」
ツクヨミはそれを気合いでかき消し、土の剛力を全身に込め、タックルしてきた。
「ぬぉっ!?」
たまもは跳び避け、ツクヨミは壁に激突してしまう。壁が粉砕し、ものすごい地鳴りが響いた。
「ち……!また……!」
「ひゅう、凄い馬鹿力じゃのう〜!」
ツクヨミはたまもの方を見て、目を光らせた。すると周囲の瓦礫が浮かび上がり、飛んできた。
「ふん、この程度……!」
たまもの九本の尻尾がウネり、瓦礫を次々に砕いていった。そして、ツクヨミを見るが……既に姿が無い。
「こっちです!」
「おぉっ!?」
ツクヨミが天井から迫り、踏み潰しにかかった。たまもは高速移動で離れ、彼女を捉える。
「これでもくらうのじゃ!」
そして両手から、鬼火を放った。
「ふん……」
ツクヨミも鬼火を放って相殺する。
「なに……!?」
「今度は私の番ですよ!」
ツクヨミは後輪にエネルギーを溜め、エネルギー波を放った。
「なんのっ!」
たまもはそれを避けて、ツクヨミに接近する。そして……
「どりゃあっ!!」
渾身の力を込めて、そのこめかみにしっぽアタックした。凄まじい威力のそれは、常人が当たったら頭がスッ飛んでもおかしくない威力。それが、見事にクリーンヒットしたのだった。
「……」
しかしツクヨミは、それを受けながら、ニヤリと笑っていた。
「なに……!?」
「無駄だぁっ!!」
そして、たまもの顔面をぶん殴った。
「ぎゃあっ!」
「まだまだぁっ!!」
更に鋭い爪を出して、その胸に斬り掛かる。それは直撃し、たまもの腕に深い切り傷が入った。
「ぐぅっ!?」
「ふんっ!!」
トドメと言わんばかりに頭突きをかまし、たまもを床に叩きつけた。
「おわぁっ!!」
「ふ……ふふ……たまも……あなたは魔王城の戦いで野蛮な猿に敗れたそうね……」
「……あぁ。」
たまもはそう言いながら立ち上がり、服の汚れをぱんぱんと払う。
「あやつは強かったぞ……それが、どうしたのじゃ?」
「ふっふっふ……残念でしたね……私は、その野蛮な猿すらも半殺しにまで追い込んだのです。」
「……!」
「つまり、あなたは私には勝てない……!!」
「……」
あのヴィクトリーが、こんな奴ごときに半殺しに……?
「……甘いな、ヴィクトリーも……こんなウチの劣化コピーに半殺しにされるとは、情けない奴じゃ……」
「何だと……!?減らず口を……!!」
ツクヨミは牙と爪を煌めかせ、構える。
「ならば、この超サイヤ人をも追い詰めた猛獣の連撃……味わって貰いましょう!!」
「!!」
ツクヨミは爪と牙と打撃で、たまもに猛攻した。圧倒的なスピードの猛攻に、彼女は防戦一方になってしまう。
「ぐ……ぐぐぐ……!!」
「はぁあああっ!!」
遂に、ツクヨミがたまもを壁際に追い詰めた。
「くっ!」
「ふふふ……猛攻を止める気はありませんよ……あなたが倒れ骸と化すまでは……」
「スキありっ!!」
たまもは土の剛力を腕に込め、ツクヨミの顔面をぶん殴った。
「っ!!?」
突然の顔面パンチに、ダメージを許してしまう。そして、尻餅をついてしまった。
「ふぅ〜、危なっかしいのう……」
「ぐ……!!」
たまもが距離を取っている間に、ツクヨミは後輪にエネルギーを溜める。
「だぁっ!!」
そしてそれを天井へ撃ち放ち、目を光らせた。
「何じゃっ!?」
「弾けて、混ざれ……!!」
エネルギーは閃光を放ち、光の玉となる。大気と混ざり合い、弾け、出来上がったその光球は、確かに月光を放っていた。
「ほう!月を作りおったか!」
「ええ……!」
その月の光が、ツクヨミの後輪に集中する……
「ウチも……!!」
月の光が、たまもの尻尾にも集中する……
「ふん……!!その程度、押し返してあげるわ……!!」
「なめるなよ、こっちは本場の……」
二人の目が鋭くなり、互いを見据えた。
「月光キャノンーーーっ!!!」
「月光きゃのんじゃーーーっ!!!」
二人の月光きゃのんがぶつかり合って、押し合う。とてつもないエネルギーの押し合いで、周囲に衝撃が波動し、天も地も揺るがす。
「ぐ……!!ぐぐぐ……!!」
「がぁああああ……!!」
しかし、ツクヨミの月光キャノンがみるみる内にたまもの月光きゃのんを押していく……
「ぐ……!!」
まずい、ここは……!!
「はぁああっ!!」
ツクヨミはたまもの月光きゃのんを押し返した。ものすごいエネルギー波が爆発して、この部屋のあらゆるものを吹っ飛ばした。そこに、たまもの姿はなかった。
「は……ははは……!やった、やりました……!!四天王のたまもは、完全に消え去った……!はははは……!」
ツクヨミは勝利を確信して、そう笑った。そんな彼女の背後の柱……その陰に、たまもは隠れていた。
「な、なんて奴じゃ……あんなのくらったら、ひとたまりもないぞ……」
それにしても……あの巨体に、馬鹿力、スピード……何だか、ヴィクトリーが半殺しにされたというのがなんとなく納得できた気がする。じゃが……
「こっちじゃ!ツクヨミっ!」
「ぬぬぅっ!!?」
ツクヨミは振り向き、驚愕の顔を浮かべる。
「な、なぜ……なぜ生きている……!」
「ふふん、ウチの尻尾の方がもふもふだからじゃよ……」
「く……!」
「それにしても、お主は強いのう。ヴィクトリーが半殺しにされたというのも、嘘では無いな。」
ツクヨミは顔をブンブンと振り、息を吐く……そして、冷静を取り戻した。
「ふ、ふん……後がつかえているのです。さっさと終わらせますね……」
「後につかえている、宴の本番とやら……それは、プロメスティンの反乱計画か?」
「……なぜ、それを?」
「ウチは、プロメスティンの研究記録を解読したのじゃぞ。お前達は極秘裏に、対天使兵装を開発しておったのう……プロメスティンは、最初からイリアスに弓引くつもりだったのじゃろう。ネクスト・ドールもキメラモンスターも、その為に造り出された……」
「まぁ、大体はその通りですね。」
ツクヨミは体をたまもの方に向け、首をゴキゴキと鳴らす。
「……私達ネクスト・ドールは、あくまで四天王の撃破が主目的。しかし、その後の天界戦をも見越して開発されたのです。」
「ふん……開けても暮れても内輪争いか。」
たまもはそう言ってから指をボキボキと鳴らし、扇子を広げて口元を隠す。
「貴様ら天界の連中は、聖魔大戦の頃から全く変わらんな。その挙句に多大な失策を繰り返し、思わぬ大敗北を喫する……イリアスも天使共も、反省という言葉を全く知らんらしい……」
「聖魔大戦……?千年も前の事を、まるで見てきたかのように言うのですね。」
たまもは息を吐き、ツクヨミを見る。
「……さて、最後にこれだけは言っておく。お主は、本当に強かったぞ。イリアスとの決戦まで温存する予定だった力、ここで使う羽目になるとはのう……」
「……この期に応じてハッタリですか。おおかた、大層な事を言いつつ逃げ出す隙を図っているのでしょう。もはやあなたには、いかなる力も残されてはおりません。あなたの細胞から造られた私が、それを一番よく知っているのです……」
「いいや、お主は何も知らん……」
たまもの目が鋭くなり、声にドスが宿る。
「自身が、いったい何者の劣化コピーであったか……それすら知らされずに捨て石にされた貴様は、同情に値する。」
たまもはそう言って扇子をパチンと畳み、懐にしまう。そして、気を溜める体制になった。
「そのようなハッタリ、付き合う義理もありませんね……」
たまもの気が大きく膨れ上がり、爆発した。
「……っ!!?」
「いざ問わん、我が悠久の時……」
「それは、解呪の詞……?なぜそんなものを、今……」
「この身を縛りし万物の枷、戒めをもって振り払わん……」
「まさか、そんな……!!貴様、いったい……!?」
「我が真身よ、ここに在れ……」
次の瞬間、周囲に眩い光が立ち込め……そこには、異常なほどの魔力を宿していた妖狐が降臨していた。
「な、なんです……この力は……!?」
心臓を鷲掴みにされたかのような、圧倒的な威圧感。ツクヨミは全身を震わせながら、ふらふらと後ずさる。
「なぜ、あなたに六祖大縛呪が掛けられていたのです……!?まさか、もしかして……!」
圧倒的なプレッシャーを放っている九尾の妖狐は扇子を広げ、笑う。
「……六祖が一人、玉藻。全ての妖狐の六祖たる、白面金毛九尾の狐……」
「り、六祖……!!」
邪神アリスフィーズに仕える、伝説の大妖魔。聖魔大戦のあと、六祖大縛呪で封じられていたはず……
「な、なぜプロメスティン様はこの事を黙っていたのです……!?これでは、私は本当にただの……」
「捨て石……哀れのよう、妾を消耗させるための捨て石じゃ。」
玉藻はそう言って構える。ヴィクトリーと、同じ構えだ。
「さっさと去ね……と言いたい所じゃが、その前に友の屈辱を晴らさせてもらう。覚悟しろ……!!」
「……!!」
玉藻の圧倒的な気が爆発して、ツクヨミの胸に正拳突きが叩き込まれた。
「ッッぐっはぁあッッ……!!」
凄まじい威力のそれは、彼女の胸部装甲を破壊するには十分過ぎた。しかし玉藻は止まらず──
「究極龍翔拳ッッ!!」
顎を思いっきりアッパーして、カチ上げた。
「ぐぅあああっ……!!」
「終わると思うなよ……」
たまもはそう言いながら腕にエネルギーを込めて、振りかぶる。
「リベリオントリガーっ!!」
ツクヨミの腹に、渾身のエネルギー波が叩きつけられた。彼女はぶっ飛ばされ、壁に叩きつけられる。
「ぐぁあああっ!!」
「魔閃烈衝壁……!!」
更にバリヤーを張ってから、ツクヨミに思いっきり突進した。
「うぎゃああああ……!!」
ツクヨミは壁に埋もれ、動けなくなった。
「ふふん、これは妾の技じゃ……」
玉藻の気が爆発して、ツクヨミに手を向ける。
「う、動けな……!!」
「……九尾烈葬。」
そして、とてつもなく巨大な紅蓮の炎を放った。炎がツクヨミを飲み込んで爆発し、全てを灰燼に帰す。
「ぅ……ぐぁあ……!!」
しかしツクヨミは黒焦げのまんま起き上がり、玉藻を見る。
「む、しぶとい奴じゃな……ならば、これでもうあの世に送ってくれる……!」
たまもは手を合わせてエネルギーを込め、ツクヨミを睨んだ。
「か……め……は……め……」
「ひ……!!」
ツクヨミは背中を見せて、逃げようとダッシュするが……
「波ーーーッッッ!!!!」
玉藻は超かめはめ波を撃ち放った。その巨大な超かめはめ波はツクヨミに直撃した。
「うわぁああ……!!!」
かめはめ波はツクヨミを飲み込んだ後に壁をぶち破り、塔から抜けていく。そして、彼女はエネルギーに融け、完全に消し飛んでいた……
「……とんだ計算違いよ。こんな所で、本体を呼び出す羽目になるとは……これで、しばらくは……」
玉藻の体が、徐々に縮んでいく。強大な魔力が潮を引くように消え失せ、そして……
「…………のじゃ!」
ポンと、元の姿に戻ってしまった。そうすると、周りから八尾や七尾が出てくる。
「た、たまも様……!」
「……きつねもふもふ!もっふもふ!」
八尾がたまもを揺すぶるが、たまもは変な歌を歌いながらきゃっきゃと笑う。
「魔力を使い果たし、精神まで退行されたのですね。狐族総出で魔力をお譲りし、すぐに力を取り戻して頂かなければ……」
七尾がたまもを撫でながら、早速狐族達を呼び出す準備にかかった。
「ディスクの交換作業は、妾が代わりに行おう。七尾よ、ただちに狐族を招集せよ。」
「はっ……!たまも様、少しお待ち下さいませ……!」
七尾の念に応じ、その場に集まる妖狐達。一刻も早く、消耗したたまもを元に戻さなければならない……
流血表現
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もっとする
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このままでいい
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しなくていい