もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
天界……そこでは、熾天使とサイヤ人が激突していた。
「……」
「ルカ。」
遠方で見てるルカに声をかけたのは、アリスだった。元の姿に戻っており、瑞々しい力が湧き出ていた。
「アリスか……」
「いったい、何が起きてる……?なぜ貴様も戦わん……」
「……ヴィクトリーの提案だよ。ここはあいつ一人で充分だ……」
「……」
そう言ってルカは、エデンとヴィクトリーの戦いを見る。
「だりゃあああっ!!」
「ふんっ……!!」
ものすごい力と力がぶつかり合い、ほぼ互角の状態だ。
「……それにしても、あの姿で天使とはな……あんな化物がにこやかに舞い降りてきたら、子供が泣くぞ。」
「だろうなぁ……」
アリスの言葉に、ルカは苦笑いする。
「だだだだだだだぁ!!」
「はぁあっ!!」
ヴィクトリーが、連続エネルギー波を放つ。しかしエデンはそれを全て弾き飛ばしてから、渾身の魔力を込めてエネルギーボールを投げた。
「くっ!!」
ヴィクトリーが弾き飛ばし、高速飛行して突進する。
「行けっ!!」
エデンは大量の天使達を呼び出し、彼に向かわせた。
「邪魔だぁあああっ!!」
ヴィクトリーはそれらを吹っ飛ばし、彼女に接近する。
「無駄な事を……!!」
「どうかなぁっ!!」
ヴィクトリーは、拳を振りかぶって、彼女の顔面をぶん殴った。
「ぐぅっ!」
エデンは踏ん張り、彼の腹を殴り返す。
「だりゃあっ!」
ヴィクトリーは少し吹っ飛ばされるが、すぐに接近して彼女の顔面を蹴り上げた。
「だぁあっ!!」
エデンはその足を掴み、彼を振り上げ、そのまま地面に向かってぶん投げ、叩き落とした。
「まだまだぁっ!!」
しかし彼はすぐさま起き上がり、瞬間移動で彼女の眼前に迫り、胸を蹴りで連打した。
「ぐ……!!だぁあっ!!」
エデンはダメージによろけながらも、彼の顔面をパンチで打ち抜いた。
「ぐぅうっ!!」
ヴィクトリーは鼻血を出しながらよろめくが、彼女の頬を殴り返した。
「うぉおおっ!!」
「はぁああっ!!」
次の瞬間、二人の怒号が響き──互いの頬に、渾身の一撃が入った。クロスカウンターの衝撃が、ありとあらゆるものを吹っ飛ばした。
「ぐっ……ぐぐぐ……」
「ぬぐぐ……ぐぅ……」
互いは拳を引き……距離をとった。
「……やっぱつえぇな、エデン様は……こんなにもつえぇなんて、思いもしなかったぜ……」
「ええ……あなたも人間の身でありながら、よくも熾天使とここまで張り合えたものです……ですが──」
エデンはヴィクトリーを戦士として認め、そう言うが──
「……おい、俺は熾天使と戦ってるなんて思っちゃいねぇぞ。」
彼が、そんな事を言って、遮ってきた。
「え……?」
「俺は今……エデン様、あんたと戦ってるんだ!」
「何を訳の分からないことを……!」
「熾天使エデン……おめぇ、ミカエラさんやルカの母ちゃんの妹さんなんだろ?」
「……その通りですが……」
「なら、三番目に生まれた天使という事になる訳だな……」
「……!」
エデンは目を怒りの色に染め、歯軋りをしながらヴィクトリーを睨んだ。
「あなたまで……!!あなたまで私を……!!」
「……三番目なんかじゃねぇよ。」
「え……?」
エデンの怒気が止まり、気が静止する。ヴィクトリーは真剣な顔のまんま、続けた。
「エデン様は三番目なんかじゃねぇ。今は天界においてイリアスを除くナンバーワンだ。」
「!!」
そんな事、分かりきっている。分かりきっている筈なのに、彼の言葉は重みが違った。
「だから……自分の立場に縛られんなよ。昔は三番目かも知れねぇけど、今のおめぇはちゃんと一番だ。」
「……私が……一番……?」
部下のキューピッドとも、その他の天使達だって、自分の事を一番と言って褒め讃えるが……それは、自分が三番目に生まれた熾天使だからだった。
しかし、目の前の彼は違う。自分を熾天使という事を抜きで、全力で戦って、そう認めてくれるのだ。
「ああ、だからエデン様……熾天使としてじゃなくて、エデン様として戦ってくれ!!俺も全力を出して、真正面からぶつかってやる!!」
「……」
エデンは暫く考え……顔を上げた。
「……あなたからどうぞ。」
「え……?」
「あなたは本気でやると言いながら、凄まじい奥の手を隠し持っている……そういう事ぐらいは、私にも分かります。」
「……分かったよ。」
ヴィクトリーは両手を広げ、目を瞑る。
「……ヴィクトリーの奴、何を……?」
「ルカ、見ろ!!」
「……」
その体に青白い光が集まり、彼を覆い尽くす。そして、ものすごいパワーが爆発し、辺りが光に包まれた。
「……」
光から降臨したのは、細い体で赤髪を揺らしながら、燃えるような気を放っているヴィクトリー──超サイヤ人ゴッドだった。
「か、髪が……赤く……!」
「それに、ちょっと細くなったか……?」
「……」
ルカとアリスの声を聞き、ヴィクトリーは自分の髪や腕を見る。赤く染まった髪……少し痩せた体格……
「……これが、俺の奥の手……超サイヤ人ゴッドだ!!」
「超サイヤ人……ゴッド……!!」
「はぁああああーーーっ!!!」
体に纏っていた燃えるようなエネルギーが爆発し、辺りに轟く。
「……はぁああっ!!」
それに呼応するかのようにエデンの気も爆発し……神社形態から、人間体に戻った。ただ戻ったわけではなく、その異形のパワーを人間体に圧縮したようだった。
「……ようやく本気出してくれたな……エデン様……」
「……後悔しないで下さいね……私を本気にさせたのは、あなたなので……」
彼女はこんな気持ちになるのは、初めてだった。熾天使としてでは無く、戦士として彼と全力でぶつかり合い──そして、勝つ。自分を熾天使ではなく、エデンとして認めてくれた相手に、真正面からぶつかって、勝ちたい。人はこれを、「意地」と言うのだろう。
既に彼女は、イリアスからの命令など頭の隅だった。
「……行くぜぇっ!!」
ヴィクトリーは地面を蹴って、エデンに殴りかかった。彼女はそれを受け止め、静止する……それだけでとてつもない衝撃が巻き起こり、ルカやアリスの髪が靡いた。
「す、凄い……」
「ああ……超サイヤ人ゴッドとか言ったな……!」
二人は、既に彼らの戦いを見届けるつもりらしい。
ヴィクトリーとエデンは、二人きりでとことんまで戦うつもりだ。
「極まったサイヤ人は神にもなれる……噂は本当でしたか。」
「まぁな……!」
二人は飛び上がり……エデンが蹴りかかった。ヴィクトリーはそれをガードして、彼女の顔面にパンチを放つ。
「はぁっ!」
エデンはその拳を払い落とし、アッパーした。
「ぐぅっ!?」
それに直撃したヴィクトリーは顎を打ち上げられ、よろめく。
「はぁあっ!」
エデンがその場で腰をぎりりっと捻り、回転してから、ヴィクトリーの腹を蹴っ飛ばした。
「ぐぁああっ!」
「ふんっ!」
更に吹っ飛んでる最中のヴィクトリーの顔面を掴み、岩盤に叩きつける。岩盤に巨大なクレーターが発生し、亀裂が走ってミシミシという音を上げる。
「にひひっ!」
「……!?」
ヴィクトリーは笑い、エデンの腕を掴んで顔から離す。そして、その腹に前蹴りした。
「っぐ……!!?」
それで、二人の距離は一旦離れる。
「うりゃああっ!!」
ヴィクトリーは翻って岩盤を蹴り、エデンに突撃した。突撃に使われた岩盤が爆発したかのように砕け散り、ルカたちに無数の瓦礫が飛んでくる。
「くそっ!」
「は、派手だなぁ……」
ルカたちはそれらを弾き飛ばし、戦いに注目する。
「はぁああっ!!」
「だぁああっ!!」
エデンとヴィクトリーは人智を超えたスピードで攻防する。本気の拳が飛び交い、加速していく。
「だぁあっ!!」
ヴィクトリーの足払いが決まり、エデンの体が傾く。
「ふんっ!!」
しかし、エデンの蹴りが彼のこめかみを撃ち抜いた。
「ちぃいっ!!」
しかしヴィクトリーは持ち直し、彼女を見る。
「こっちです。」
「!!」
エデンは既にヴィクトリーの背後に回っており、彼の首を腕で絞め上げた。
「んぐっ……!!?」
「ぐぐぐ……!!」
ヴィクトリーは、エデンの腹に肘打ちした。
「ぐぅっ!!い、意地でも離しませんよ……!!」
しかし、彼女の絞め上げは解けずに、圧迫され続ける。
ちなみに彼女は全裸で、ヴィクトリーを絞めている。そのせいで、彼は首を絞められながら彼女の柔らかさを嫌でも堪能する羽目になっていた。
「ち……!!ぐぎぎ……!!」
ヴィクトリーは、自分の首を絞めてる彼女の腕を見て……
「くらえっ!!」
思いっきり、噛み付いた。
「ーっ!!?」
彼女は突然の激痛に、思わず腕を離してしまう。
「だりゃああっ!!」
「!!」
そしてヴィクトリーの後蹴りが、彼女の顔面を蹴り飛ばした。
「ぐぅうっ!!」
「まだまだぁっ!!」
更に彼は猛烈なラッシュを叩き込み、渾身の一撃を放った。
「ふふん……」
しかしエデンはそれを見切り、その腕を掴む。
「なにっ!?」
「はぁあっ!!」
そして、地面に向けて思いっきり背負い投げた。
「うわぁあっ!!」
「まだまだ……!!」
彼女はぶん投げた彼にそれに追いつき、何度その腹を蹴りで連打した。
「うああああっ!!」
「落ちろっ!!」
そして回転し、彼を踵落としで地面に叩き落とした。
「ぎゃあああーっ!!」
ヴィクトリーは思いっきり地面に墜落し、天界の大地をも砕いて瓦礫に埋まる。
「ふん……」
エデンは地面に降り立ち、彼の所にダッシュする。
「はぁああーーーっ!!」
ヴィクトリーも気を解放して瓦礫を吹っ飛ばし、ダッシュした。
「はぁあああーーーっ!!!」
「うらぁああーーーっ!!!」
そして拳がぶつかり合い、天界全土に轟くような衝撃が波動した。
「へへへ……」
「ふふ……」
拳が離れ、互いに一撃が迫る。当たったのは、ヴィクトリーだった。
「ぐぁあっ……!!」
「はぁああーっ!!」
エデンはよろめいた彼に、拳を連打した。
「はぁああああああっ!!!」
「ぐあああっ!!」
更に足払いをかけ、体を半回転させる。
「わっ!?」
「ふんっ!」
その体を掴み、思いっきり飛び上がり──
「はぁああああっ!!!」
そして、勢いよく落ちながら、天界の地面にヴィクトリーの上半身を埋めた。
「くらいなさいっ!!」
更に間髪入れずに飛び上がって手を向け、巨大なエネルギーボール──エンジェリックプロミネンスを撃ち放った。それは直撃し、ものすごい大爆発が巻き起こり、一帯を消し飛ばした。
「ヴィクトリーっ!!」
「……」
アリスは声を上げたが、ルカは冷静を保っていた。こんな程度じゃない。ヴィクトリーの神の力は、こんな程度じゃない……!
「まだ……だぁあっ!!」
ヴィクトリーは気を解放して立ち上がり、矢のような飛び蹴りをエデンに放った。
「ぐぅうう……!!?」
それは彼女の腹に直撃し、悶絶させる。
「だりゃああっ!!」
更に思いっきり殴り飛ばし、手を合わせてエネルギーを込める。
「かめはめ波ーーーっ!!」
そして、渾身のかめはめ波を放った。それはエデンに当たり、大爆発した。
「く……!!」
エデンは、腕をクロスしながら浮かんでいた。どうやら、すんでの所で防御したらしい。
「はぁああっ!!」
ヴィクトリーはエデンに突進し、ぶつかり合った。
「だだだだだぁっ!!」
「はぁああっ!!」
疾風のように拳がぶつかり合い、一撃が一閃する……
「……がはぁっ……!!」
吹っ飛んだのは……ヴィクトリーだった。
「くたばりなさい……!!」
エデンはそのヴィクトリーの顔面に拳を放つが……彼は両手でそれを受け止め、踏ん張った。
「なに……!?」
「まだだ……ゴッドのパワーは、こんなもんじゃ……ねぇええぞぉおおおおおおっ!!!」
ヴィクトリーの炎のような気が爆発して、エデンを吹っ飛ばした。
「ぐぅううっ!!?」
「行くぞぉおおっ!!」
ヴィクトリーはエデンを蹴り飛ばし、姿を消す。次の瞬間、彼女に何度も攻撃が連打された。
「がはぁあ……っ!?」
「だりゃあーーーっ!!!」
そして彼女の顎にアッパーカットを叩き込み、ぶっ飛ばした。
「ぐぅあああっ!!」
「決まったぁ!」
エデンは空中で止まり、口から垂れた血を拭う。
「……!!」
「なぁにボサッとしてんだ!」
ヴィクトリーは既に顔前に迫っており、エデンを地面に叩き落とした。
「ぐぅああぁっ!!」
「……」
ヴィクトリーも地上に降り立ち、エデンに歩き寄る。
「はぁ……はぁ……」
「……」
彼は、彼女の前に、拳を突き出した。
「……?」
「今から小細工無しでぶつかり合う……それで、立ってた方の勝ちだ!」
「……」
エデンは拳を握り、彼の拳につけた。
「ノリがいいんだな、エデン様……」
「……始めましょうか。」
互いの拳が離れる。次の瞬間、二人は拳だけで互いを打ち合った。
「だだだだだだだ!!!」
「はぁあああああっ!!!」
「……うっそ……」
「…………」
ルカとアリス、言葉を失う。エデンとヴィクトリーは、防御行動をとっていないのだ。それなのに尚も、互いを殴り合っている。
防御をかなぐり捨て、全力で、ただ全力で、その命を燃やしながら殴り合う。弱点が集中する顔面を、ただひたすらに、互いで殴り合う。
その光景は、戦いというより、我慢比べ。どちらが先に折れるかの、小細工無しの殴り合いだった。
しかも……ヴィクトリーが押している。
「うぉおおおおおっ!!!」
「ぐぐぐぐ……!!?」
エデンが押されている。
「み、見ろルカ!ヴィクトリーが……!!」
「ああ……!」
アリスとルカも、思わず盛り上がってしまう。二人の繰り広げる熱い戦いに、すっかり熱中していた。
「だらぁあああああっ!!」
エデンの体に拳を乱打して、徐々に押す。
「ぐぐ……!!ま、負けません……よ……!!」
エデンは拳に思いっきり力を込め、彼の顔面をぶん殴った。およそ人を殴ったとは思えない音が響き、彼の鼻からも血が噴き出る。
「……っ!!」
しかし、彼女の頭が、ヴィクトリーに掴まれる。
「だぁああっ!!」
そして、渾身の頭突きが彼女の額に叩きつけられた。
「っぐあぁあ……!!?」
「ッッ!!」
もう一発頭突きして、彼女の額を割った。それと同時に、彼の額も出血し、命の熱血が噴き出す。
「ぁあ……!!」
エデンの額から血が噴き出して、膝はダメージ過多でガクガクと震える。彼はそんな彼女の頭から手を離し、拳を握ってそこに全てを込め……
「これで……終わりだぁああああッッ!!!!」
彼女の顔面に振り下ろし、その体を地面に叩き下ろした。
「がっ……はぁあ……!!」
エデンは吐血しながら震え、立とうとするが……
「……くっ!!」
地面に倒れ込み、戦闘不能となった。
「はぁ……はぁ……!」
ヴィクトリーはその前に立った。
「私の……敗北……ですか。」
「だな……」
エデンは息を吐き、ヴィクトリーの方を見る。
「こんな敗北、初めてです……」
蛭蟲と戦った時だって、こんな気持ちにはならなかった。初めて、イリアス様の命令以外で──自分の意地のために、戦えたような気がした。それで、お互いが全力を出し尽くし、お互いが受け止めたのだった。それで立っていたのが、彼だったというだけの話。悔しくはあったが、決して屈辱的ではなく、寧ろ満足感に満ち溢れていた……
「へへへっ……」
ヴィクトリーは超サイヤ人を解き、笑う。その横に、ルカやアリスも居た。
「アリス、いつの間にか戻ってたのか。」
「まぁな……」
「……あなた達は、これからイリアス様の所に行くのですか?」
倒れているエデンが、三人に聞いてくる。
「ああ……悪いけど、僕達はイリアスを倒さないといけないんだ……先に進ませてもらうよ……」
エデンはルカの方に向き、目を鋭くする。
「プロメスティンと黒のアリス……あの二人が、何かを企んでいる筈……とだけ言っておきましょう……」
「プロメスティンと、黒のアリスが……?」
「エデン様、どういう事なんだ?」
「……分かりません、しかし……あの二人は…………」
エデンはそう言って……ガクッと倒れた。
「お、おい!エデンっ!」
「心配すんなルカ、気絶してるだけだ……殺すんならもっと思いっきりやってる。それにしても……」
ルカ、ヴィクトリー、そしてアリスがフルパワーを取り戻した。これでようやく、存分に暴れることが出来るはずだ。今の戦士達なら、何が出てきても負ける事はないだろう。
「……それじゃあ、先に進もう。イリアスのいる方向は、雰囲気で分かるからね……」
「ああ、余にも分かるぞ……じっとりと淀んだオーラが、向こうから漂ってくるからな。」
「ああ、ついでに例の二人にも警戒しとこうぜ。」
もはや、躊躇してる理由は何も無い。戦士達は、イリアスのいる方向に向かって歩き出したのだった……
流血表現
-
もっとする
-
このままでいい
-
しなくていい