もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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大逆転

 黒のアリスを追い詰めた戦士達。しかし彼女の狡猾な罠により、ヴィクトリーが吸収されてしまった。

「……どうですか?勇者ルカに16世……無事、作戦は成功です。見てください、素晴らしいでしょう……?」

 黒のアリスは手を広げ、二人を見下ろした。

「ぐ……!!」

「ち、ちく……!!」

 邪神の細胞にイリアスの聖素が取り込まれ、凄まじい力を得た黒のアリス。しかしそこにサイヤ人の神を吸収し、更に上を行った……

「この瞬間こそ、未来においても二度と現れぬであろう最強の魔王の誕生ですよ……」

 黒のアリスはそう言ってルカ達の前に降り立った…-

 

「……きたないぞ、お前……!!」

「ヴィクトリーを取り込むなど……!」

 わなわなと震える二人に対して、黒のアリスは悪びれもせずにニヤけていた。

「きたない……?いいえ、これも戦略の一つですわ……」

「戦略だと……!?」

「ええ、あなた達がここまで強いとは計算違いでした……そこで、このサイヤ人の力を取り込んだのです。先程も申したように、この男は愚直なものですからね……千里眼で見てましたが、あの駄天使を強敵と認め、ライバルにする程度には愚直でしたもの。こんな安っぽい罠なら、幾らでも引っかかってくれると思ってましたよ。」

 ルカの方を見て、嫌な笑顔を向ける。

「別にあなたを吸収しても良かったのですが、聖素はもう充分でした……イリアスの力さえ吸収してしまえば、私の狙いは果たされたようなものですから。」

「……」

「そして最大の目的は……この力で貴方を嫐り、弄び、喰らう事ですよ……うふふふ、うふふふふふ……」

 黒のアリスは不敵に笑いながら、二人をじっと見つめていた……

「ぐ……!!」

「やるしか無いぞ……!!」

 ルカとアリスは気を解放し、黒のアリスに突っ込んだ。

「ふ……」

「だぁあっ!!」

「がぁあっ!!」

 アリスの拳と、ルカの剣が迫る。しかし黒のアリスは、指一本でそれを止めた。

「な、なに……!?」

「そ、そんな……!?」

「はぁあっ!!」

 そして二人の髪を掴んで、顔面同士をぶつける。

「ぐぅうっ!」

「いっ……!!」

「……ふんっ!!」

 そして手を離し、二人を纏めて蹴り飛ばした。

「ぐぅああっ!!」

「がはぁああっ!!」

 ルカは耐えるが、アリスがぶっ飛んでしまう。

「ちっ……だぁあっ!」

「ほいっ!」

 切りかかろうとしたルカの腕を蹴り上げ、エンジェルハイロウを打ち上げた。

「な……!」

「あはっ!」

 そして、猛スピードで拳を放った。

「っ!」

 しかしルカは流水の動きで避け、黒のアリスの顔面に蹴り上げを放った!

「ほう!」

 しかしその足を掴み、蹴りを止めた。

「く……!」

 ルカは、もう一方の足でも蹴りかかる。

「あはっ!」

 しかしその蹴りも受け止められ、完全に両足が彼女に封じられた。

「この……!!」

 彼はエネルギーを腕に溜めて、彼女の顔面に魔天回帰を放った。

「おっと!」

 しかし彼女は身を逸らして避ける。

「うふふっ!」

 そしてルカを振り回してから、思いっきり地面に叩きつけた。

「ぐっあああ……!!」

 凄まじい叩きつけで、体がバウンドする。

「そこっ!」

 黒のアリスはそのルカの顔面をぶん殴り、ぶっ飛ばした。彼はぶっ飛んでる最中で何とか体制を整え、着地した。

「あうう……!!」

 殴られた所を押さえ、悶絶する……

「ふ……」

 黒のアリスはそのルカに、エネルギー波を放った。

「ルカ、うしろっ!!」

「!!」

 アリスの声で、ハッとした。エネルギー波に直撃する寸前に、疾風の動きで躱す。次の瞬間、物凄い大爆発が巻き起こり、気の嵐があらゆるものを吹っ飛ばし、地形すら変えた。

「くっ……」

「黒のアリスめ……!!」

 二人は瓦礫に身を隠し、体制を整えようとしていた。

「呼びましたか?」

 しかし、黒のアリスが上から覗き込んでいた。

「!!」

「うふふ、この体は便利ですね……あなた達の居場所が手に取るように分かりますわ。」

「ぐ……ぐぐ……!!」

「化け物め……!!」

「それにしても、勇者と魔王が仲良くこんな所で隠れるとは珍しい光景ですわ。時間稼ぎのつもりでしょうか?」

 黒のアリスは首をゴキゴキと鳴らしながら、続けた。

「ということは、たったあれだけで悟ったようですね……このままだと、とても敵わないと……」

「……アリス、エンジェルハイロウを探してくれ!」

「わ、分かった!」

 アリスはエンジェルハイロウを探しに飛ぶ。ルカは瞑想してから傷を癒し、黒のアリスに飛んだ。

「ほう、自分で回復する術を持っているのですね!」

「だまれっ!!」

 そう言いながらその顔を蹴り上げようとするが、彼女は身を反らして避け、反撃のサマーソルトキックで彼を上空に打ち上げた。

「ぐぁあっ!!」

「あはっ!」

 更に手をヒュバババッと動かしてから、彼に向ける。

「ふふ……」

 次の瞬間、彼女の胸にエンジェルハイロウが突き刺さった。

「!!」

「はぁあっ!!」

 アリスがエンジェルハイロウを投げたのだった。彼女はそのまま突っ込み、その剣の持ち手を取り、黒のアリスの脇腹から抜けるように斬る。

「っ……!!」

「うぉおっ!死剣・乱れ星っ!!」

 そして、無数の斬撃を黒のアリスに叩きつけた。

「小癪なっ!!」

 しかし黒のアリスはアリスに手を向け、気合いで吹っ飛ばした。

「ぐぁあっ!!」

 エンジェルハイロウが、アリスの手を離れて、また吹っ飛ぶ。

「はぁあっ!」

 ルカがそれを掴み、黒のアリスに一閃する。

「九重の羅刹・破軍!!」

 次の瞬間、紅蓮の斬撃が彼女の身体中に走った。

「きゃああっ!!」

「決めるぞ、ルカ!!」

「ああ、ここしかない!!」

 アリスは絶対零度の魔力を撃ち放ち、黒のアリスに命中させた。

「きゃあっ!?」

 見事に直撃し、彼女の体が凍り付く。

「我が母は明けの明星、曙の子……地に投げ堕ちた星、勝利を得る者……!!」

「!!」

「明けの明星・無謬!!!」

 水の力で強化された明けの明星が撃ち放たれ、黒のアリスに迫った。

「し、しまっ……」

 そして見事に直撃して、凄まじい大爆発が巻き起こった。

「はぁ……はぁ……!」

「……ハァーッ……ハァーッ……!!」

 黒のアリスは上半身の右側が吹っ飛んでおり、呼吸も荒くなっていた。

「そ、そんな……!!か、神の力まで得たのに……!」

「よし、行ける……!!」

「か、勝てるぞ……勝てるぞ、ルカ!!」

 戦士達がそう言って、気を解放した時だった。黒のアリスの表情が、笑顔に変わった。

「……なんてね……」

 次の瞬間、彼女の体が再生し、元通りに戻った。

「な……!?」

「まさか、本気でこの私を追い詰めたと思ったのですか……?邪神の力を得てから、イリアスと超サイヤ人ゴッドを取り込んだこの私を……」

「そ……そん……な……!!」

「あはっ!」

 黒のアリスはルカの懐に瞬間移動して、顎を蹴り上げた。

「っ!!」

「あははっ!」

 更にそこに手を向け、気の拘束輪──ギャラクティカドーナツを放ってルカを拘束した。

「ぐぅうっ!?」

「それも、この人の技ですよ……どんな気分ですか?仲間の技にやられるというのは……」

「くそっ!!」

 アリスが突進してきて、蛇体で一撃を放つ。しかし黒のアリスはそれを避けて尻尾を掴み、ぶん回してからルカに投げ飛ばした。

「ぐぁあっ!」

「ぐはっ……!!」

「あはははっ!」

 更に黒のアリスは飛び上がって両手を掲げ、ホーリーフレアを生成した。

「それっ!」

 そしてそれをぶん投げ、ルカ達に直撃させた。

「うわぁああああ!!!」

「ぐぅあああああ!!!」

 それが地面に着弾した瞬間、大規模な爆発が起こり、天界の三分の一を吹っ飛ばした。

「うふふ……私がイリアスの技もヴィクトリーの技も使える事を忘れて居ましたか……その気になれば、元気玉だって撃てますよ……」

 爆発の中心地……そこには、隕石が落ちたかのような大穴が空いていた。その大穴が、カッと光る……

「んっ!?」

 次の瞬間、眼前にまでエネルギー波が迫っていた。

「はぁっ!」

 それを大穴に弾き返す。すると穴の中で爆発が巻き起こった。

「……あははっ!」

 黒のアリスは穴に飛び込み、ボロボロになったルカを見る。

「う……くく……!!」

「……」

 16世の姿が無い……さっきのエネルギー波に紛れて逃げたのか?

「……いいえ、構いません。さあ、私と踊りましょう。」

「……!!」

 穴の中から、一方的に殴打する音が地上にまで響く。

「く……く……!!」

 穴から逃げていたアリスはただ、震えながらそれを聞くことしか出来なかった。ルカを助けたいのは山々だが、黒のアリスの圧倒的すぎるパワーにどう立ち向かえばいいのか……

 そんな事を考えてると、瓦礫から何か飛び出してきた。

「が、がは……!!」

 ボロボロになった、ルカだった。

「ルカっ!」

 アリスは駆け寄り、ルカに快癒の魔眼を使う。

「ん……ありがとう、アリス。」

 ルカの傷が全快し、持ち直した。しかし……

「へぇ……自前で回復出来なければ、魔王の魔眼で回復できるのですね……しかし、パワーアップしたわけではないようですね。僅かに伸びただけですね……苦しみの時が……」

「ぐ……!!」

「く……くそ……!!」

 圧倒的すぎる黒のアリスに、苦戦する一方の戦士達……戦士達は、まだ諦めていなかった。諦めるわけにはいかなかった。

「行くぞぉ!」

「何度立ち向かおうと、無駄ですわ!」

 

 黒のアリスの体内……

 ヴィクトリーは触手で拘束され、身体中のあらゆる所を吸引されて死にかけていた。

「…………」

 外で、ルカ達が戦ってるのが分かる。

 すまねぇ……俺のせいで……こんな……

 次の瞬間、ヴィクトリーの懐が光った。

「……!」

 心当たりがある。確か、ゴルドポートに着いた辺りの話だったか……オーブ集めを始める時に、アミラから貰った──

「……!」

 懐から、勝利の宝玉が飛び出してヴィクトリーの前で浮かぶ。そして、熱い光が彼を包んだ。

「……あったけぇ……あったけぇな……」

 勝利の宝玉が砕け、破片もまた光となって彼の中に入った。

「ぁ……っ!!?」

 そして、漲るパワーが触手を吹っ飛ばした。

「こ、これは……!?」

 感じた事も無い力が、ヴィクトリーの中に溢れる。超サイヤ人ゴッドなんかじゃない。これは、それの上を行く──

 

「っ!!?」

 不意に黒のアリスの髪の色が戻り、パワーがグンと下がった。

「お……!?」

「な、何だ……!?」

「な、な……どういう事です……!?ゴッドの力の供給が、無くなって……」

「……ははははっ!」

 アリスは彼女を指して、高笑いする。

「失敗したな黒のアリス!その超サイヤ人ゴッドとやらは時間切れのようだ!」

「っ!」

「赤く燃える神の力は消え、遥か彼方に……」

 アリスがそう言いかけた時だった。黒のアリスの腹が、巨大に膨れた。

「おぉおおうっ!!?く、苦し……!!」

「な、なに……」

「いや、これは……!!」

 そして、彼女の腹の中から巨大なエネルギー波が飛び出してきた。

「ぎゃあああーーーっ!!!」

「……おまたせ!」

 ルカ達の前に降りたのは……超サイヤ人のヴィクトリーだった。ゴッドではなく、ただの金髪の姿だ。

「ヴィクトリーっ!!」

「生きていたのか……!!」

「ああ、一時はどうなるかと思ってたけど、もう大丈夫!黒のアリスを倒すぞ!」

「ぅぐ……うぉおおっ!!」

 黒のアリスは何とか腹部を再生し、構えた。

「く……そ、それでもサイヤ人の力は奪った!戦況が逆転するとでも……」

 黒のアリスの胸に、ヴィクトリーの蹴りが乱打された。

「がはっ……!!」

「ギャラクティカドーナツっ!!」

 そしてギャラクティカドーナツで、拘束した。

「うぐ……!!?」

「はぁあっ!!」

 アリスは指をクンッと上げ、彼女が居たところに煉獄の火炎を巻き起こした。

「きゃあああっ!!」

「決めちまえ、ルカーっ!!」

「おうっ!!」

 ルカはその腕に土の剛力を、心に水を、動きに風を、爪の先に炎を込めて、黒のアリスに突っ込んだ。

「や、やめ……!!」

「エレメント・スピカーーーッッッ!!!!!」

 四属性を込めたルカの腕が彼女の胸を引き裂き、貫いた。

「がっはぁああああーーーっ!!」

「おっしゃーっ!!」

「や、やった……!!」

「か……勝った……!!」

 黒のアリスは震えながら後ずさり、倒れた。三人はそんな彼女を見下ろす。

「こ、こんな……馬鹿な……あ、ありえません……この私が負けるなど……!!」

 黒のアリスは、三人を睨み……歯ぎしりをする。

「……私は、決して負けたりはしません……この手に、全てを掴むまでは……!!」

 次の瞬間……消えかけていた体と気が、大きく膨れ上がった。得体の知れない肉器が身体中からじゅぷじゅぷと溢れ出し、気も膨大に溢れていく……

「お、おい……ウッソだろお前……!」

「まさか……まだ強くなるのか……!?」

 しかし、これは今までのような強化ではない。際限なく膨張する肉体に、制御が追い付いていないのだ……

「これは、力の暴走か……!」

「この身に眠る全ての力を解放しましょう……たとえ、私が私じゃなくなろうと……掴むべき世界、愛でる事が出来なくなったとしても……!!」

 周囲の空間自体が、黒のアリスの肉に覆い包まれていく。際限なく広がる肉体は、もはや一個の生命というレベルを超えていた……

「私はアリスフィーズ……全てを喰らい、全てを我が物とする魔王……手始めにあなた達を喰らい、そして世界を喰らい尽くしましょう……」

「ぐ……!」

 やはりその力は、制御され切ってはいない。ほとんど暴走のように、周囲の空間を取り込んでいるのだ。しかもこの侵食は、今この瞬間も続いている……

「……つくづく、とんでもない化け物だな……」

「このまんまだと、この星はこいつに食われちまう……そんな事、させる訳にはいかねぇっ!!」

 何としても、黒のアリスをここで倒さねばならない。さもなければ、この星そのものがこいつに喰われてしまう……

「ここまで私を追い込んだこと、後悔するのですね……もはやあなた達は、楽には死ねません……この世に生まれてきた事を後悔するほど弄んで……嫐りながらに喰らい、生きながらに消化して差し上げましょう……」

流血表現

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