もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
遂に、遂に黒のアリスを倒した戦士達。全てが終わったかに思えたが……
「……良くやりましたね、ルカとヴィクトリー。全ては、私の期待した通りです……」
ヤツはそう言って、粘肉中から起き上がった。
「っ……!!」
「い……イリア……ス……!!」
そう、黒のアリスに吸収されて滅んだはずの女神。そしてこの世界の神である、イリアスが戦士達の前に現れたのだった……
「馬鹿な、貴様は黒のアリスに吸収された筈では……!」
「ええ……先程まで、黒のアリスに取り込まれていました。しかし黒のアリスが滅びることで、こうして再臨できたのです。これも全ては、私の立てた筋書き通り。私が黒のアリスに取り込まれるのも、あなた達が黒のアリスを葬るのも……」
「ど、どういう事だ……!?」
「っぐ……!!」
イリアスから感じられるのは、神々しいオーラだけではなかった。全身にまとわりつくような禍々しさと、サイヤ人の神の気もその身に伴っていたのだ。これは明らかに、あの超サイヤ人ゴッドを吸収した黒のアリスと同じような感覚。そして、彼女が覚醒させた邪神の力そのもの……
「あなた達も知っての通り、聖素と魔素の融合は爆発的な力を生み出します。しかし私自身が、邪神の力を直接取り込むことは出来ません……そこで私は、一計を案じたのです。この私がら邪神もしくは近しい存在に取り込まれてしまえば……」
「そうすれば、聖と魔の融合が出来るわけか……」
アリスに頷き、イリアスは続ける。
「もちろん、取り込まれただけでは喰われ損。私を吸収した相手が、滅ぼされる必要がありました。その者の肉体統制が弱まれば、再び私は降臨できます。しかも、聖と魔が完全に融合した究極の状態で……」
「……」
「黒のアリスがヴィクトリーを取り込んだのは、完全に幸運でした……サイヤ人の神の力により、私の力はより強く、完璧なものになったのです。」
「……」
そんなこんなで、今に至ると。
「ここに至るまでは、本当に大変でした……私に反旗を翻すであろう、野心に溢れる駒まで用意したのですよ。一番の懸念は、私の演技力でしたが……黒のアリスは、まんまと騙されてくれたようですね……」
「ふざけるな……!全部、このためだったのか!」
「黒のアリスも、プロメスティンも……エデン様だって、結局はおめぇの捨駒だったんか……!」
「……ええ、その通り。誰も彼も、私の思い通りに動いてくれました。煽った通りに反逆を起こし、無能をあなたに当てがい、『白の兎』を切り札と思い込ませ……全ては、私がそうなるように導いてきたに過ぎません。」
「下衆女神め……化かし合いは、年の功で制したというわけか。そこまでの力を手に入れ、何をするつもりだ?元々、貴様の力は圧倒的だったはずだ……」
「無論、邪神アリスフィーズを超えるため……全ての魔物を粛正した後、復活してくる邪神を返り討ちにしなければ。黒のアリスに魔素の総力を管理させるなど、所詮は計画遂行の方便。この私が、いかなる形でも魔物の共存を許すと思ったのですか……?」
「結局、魔物は全て滅ぼすつもりだったんだな……」
「なっとく……」
イリアスは二人に向き、優しく微笑んだ。
「勇者ルカ……そして勇者ヴィクトリー……もちろんあなた達も、この計画の重要な駒。私を取り込んだ黒のアリスを、討ち滅ぼす役割を担った存在……あなた達は、それを見事に成し遂げてくれました。それゆえに……あなた達には、御褒美を差し上げましょう。」
「……」
ヴィクトリーの気が、爆発した。みなぎる力が嵐のような旋風を巻き起こし、彼の黒髪をなびかせる。
「っ……!!?」
「ヴィクトリー……っ!!?」
「……おめぇだけは、ぜってぇ許せねぇ……!!」
「……へぇ……」
ヴィクトリーは二人に向き、真剣な顔になる。
「なぁ二人共……せめてここだけは俺にやらせてくれ……サイヤのパワーの扱いなら、俺が一番慣れてるし……それに……」
「そ、それに……?」
「……こうなっちまったのも、俺の責任だ……!」
ヴィクトリーはそう言い、イリアスの前に出る。
「……アリス、離れるぞ。」
「ああ……死ぬなよ、ヴィクトリーっ!!」
ルカとアリスは離れ、彼を見る。
「……あら、御褒美を独り占めしたいのですか?」
「違う。てめぇをぶっ飛ばしてやるんだ……この手でな。」
イリアスはそれを聞いて、笑った。
「ふふふ……あははははっ!そんなユニークな言葉、生まれて初めて聞きましたよ……」
「……」
「まさか、一対一で私に勝てると思ってるんじゃ無いでしょうね……」
「勝てるさ。今ならな……」
「……大きく出ましたね……はぁあっ!!」
イリアスの気が爆発し、天界にエナジーが轟いた。この世界の誰よりも強大な気が、衝撃を巻き起こし辺りのものを吹っ飛ばした。それに当たるヴィクトリーはというと、そのエナジーを肌でビリビリ感じながら、決して彼女を睨めつける表情を崩さなかった。
「人間でありながら神の力を得てしまったサイヤ人、ヴィクトリー……その思い上がりを粛正するために、少しキツいお仕置きが必要なようですね……御褒美はその後です。」
「……」
ヴィクトリーの黒髪が、波動する気によってゆらゆらとなびく。それを見たイリアスは、疑問に思った。
「……所で、超サイヤ人にはならないのですか……?」
「おめぇ相手なら、なる必要もねぇな……」
その言葉で彼女の額に青筋が浮かび、眉が吊り上がった。
「いいでしょう。あなたを屈服させた後は、勇者と共に快楽に堕とし……魔王は無間地獄に堕とし、この私に抗った事を後悔させ続ける事にしましょうか……」
イリアスは構え、ヴィクトリーに向いた。彼も超サイヤ人にはならず、構える。
「……」
「……」
風によって、小石が微かな音を鳴らした時だった。二人は激突し、辺りが光に包まれた。
「はぁあっ!」
「ふんっ、だりゃあっ!」
イリアスは蹴りを放つが、ヴィクトリーがそれを受け止め、反撃に顔面をぶん殴った。彼女はそれで、ぶっ飛ばされてしまう。
「くっ!?」
彼女はぶっ飛んでる途中で立て直し、再び激突する。
「ふんっ!だだだぁっ!どりゃあっ!!」
しかし、ヴィクトリーのボディブローが直撃し、顔面にパンチが連打され、両足蹴りで蹴り飛ばされた。
「っちぃっ!!」
彼女は飛び上がり、エネルギー弾を連射した。
「だぁあっ!」
しかし彼はそれら全てを、彼女の方へ弾き返した。
「ふんっ!」
イリアスはその隙にヴィクトリーの背後に瞬間移動し、蹴りを放つ。しかし、彼は見ずにそれをガードし、後蹴りで彼女を蹴り飛ばした。
「ぐっ!?」
彼女は吹っ飛んでいる最中に一回転してから、着地し、ピースサインをしてから、目潰しにかかった。しかし、それは止められ、腹を蹴っ飛ばされ、吹っ飛んだ。
「ぐぅ……!?」
「……いきなり目ぇ狙ってくるとはな……」
ヴィクトリーは余裕の表情だが、イリアスにだんだん余裕が見えなくなってきた。彼女は青筋を浮かべ、拳を固く握る。
「っ……」
二人は睨み合ってから姿を消し、猛スピードでぶつかり合った。鋭い一撃が空中で、何度も超スピードでぶつかり合い、衝撃が連続した。
しかし、こんな状況にも関わらず、彼は相手から一撃も許す事は無かった。それに気付いたアリスとルカは、驚くしかなかった。
「ヴィクトリーの奴、あんなバケモノを相手に一発もくらっておらんぞ!」
「あいつはこういう戦いになると一対一の方が強いけど……す、すごいな……」
ヴィクトリーとイリアスのぶつかり合いは、激しさを増す一方だった。次第に戦いは、地上戦から空中戦になった。
「はぁあっ!!」
イリアスは二段蹴りを放つが、ヴィクトリーはそれを避け、足を掴んだ。
「な……!?」
「だりゃあっ!」
そして、思いっきり地面に投げ落とした。
「はぁあっ!!」
しかし彼女はすぐさま持ち直し、地面を蹴って飛び、猛攻してきた。
「ぐ……!」
「はぁあっ!!」
彼女の右ストレートが飛んでくるが、ギリギリで躱す。そして、脇腹に拳を叩きつけた。
「ぐっ!?」
「だぁっ!」
更に胸に正拳突きし、腹にパンチして、顔面をぶっ飛ばした。顔を打ち抜かれた彼女はぶっ飛び、ヴィクトリーがそれを追いかける。
「がはっ……っ!!」
イリアスは上手いこと体を捻り、そのこめかみに蹴りを放った。しかしヴィクトリーはガードし、彼女の顔面を拳で打ち下ろした。
「きゃああっ!?」
イリアスは地面に叩きつけられる寸前で静止し、消えた。ヴィクトリーも消え、彼女と激突した。あまりにも速すぎる攻防で二人の姿は完全に消え、不気味に戦闘音だけが響いていた。
「ふんっ!」
ヴィクトリーはイリアスの拳を掴み、動きを止める。
「ふん……!」
そしてそのまま背負い投げ、岩盤に投げ飛ばした。
「きゃあああーっ!」
岩盤は崩れ、瓦礫と化す。
しかし瓦礫からイリアスが飛び出し、猛攻を仕掛けてきた。
「はぁああああっ!」
「だっ!」
しかしヴィクトリーは全て捌き切り、反撃に顔面に肘打ちした。
「ぐぅう……!!」
「はぁっ!」
すぐさま眼前に高速移動し、叩き落とす。そしてその先に回り込んで、渾身のボディブローを叩き込んだ。
「がっ……はぁあ……っ!?」
「はぁあああっ!!」
更に攻撃を連打して、思いっきり蹴り飛ばした。
「ぐはぁっ……!!」
イリアスは着地し、口から出た血を拭う。
「……」
「くっ!」
そして、指を向け、裁きの雷を落とした。
「かぁっ!!」
しかし、ヴィクトリーは気合いで雷を吹っ飛ばした。
「なっ!?」
「だりゃあっ!!」
そしてイリアスに突っ込み、攻防した。
「はぁあっ!」
イリアスの蹴りが、ヴィクトリーの顔に迫る。彼はそれを避けるが、彼女の足がその耳を掴んだ。
「ふんっ!」
ヴィクトリーはすぐさま、その足に超龍閃撃を放った。
「ぐぁあ……!!?」
イリアスの足が軋み、悲鳴を上げる。しかし、すぐに距離を取り、今度は拳でラッシュしてきた。
「ふっ!」
ヴィクトリーは腕でガードし、払い落とし、顔面を殴る。そしてアッパーカットしてから、廻し蹴りを叩き込んだ。
「ぐぅうっ!」
「ふんっ!」
更に接近して殴りかかるが、拳が当たる寸前に彼女は姿を消した。
「!」
「はぁっ!」
イリアスは上空でホーリーフレアを掲げ、ヴィクトリーに投げつけた。
「波ぁっ!!」
それを、ただのかめはめ波で受け止めた。
「そんな貧弱な気功波で、この技を押し返せると……!?」
「ぐぐ……波ぁーっ!!!」
かめはめ波がホーリーフレアをみるみる押して、イリアスに迫った。
「!!?」
それはイリアスに直撃し、大爆発を起こした。
「……ぐっ……!!」
「……なぁにタヌキこいてんだ。」
ヴィクトリーはそう言いながらイリアスを睨む。
「おめぇが本気の十分の一も出してねぇことは分かってる……とっととかかって来いよ……」
「……なるほど。」
イリアスはそう言いながら血を吐き捨て、ヴィクトリーの前に降りる。
「大した力です……」
「はっきり言ってやる。ルカはこれ以上つえぇぞ。」
「おやおや……黒のアリスを倒しただけはありますね……」
イリアスの表情が、笑顔から真顔に変わった。
「そうまで抵抗するなら、もはや褒美は却下します。真の力を持って、あなた達を昇天させましょう……」
「やっと本気出してくれるんか……?」
「ええ……ですから、そちらから先にどうぞ……」
「いいんか?やる気無くなっても知らねぇぞ……」
ヴィクトリーはそう言いながら気を全開放し……
「はぁあっ!!」
そして、超サイヤ人ブルーになった。蒼き神の波動が轟き、天地を僅かに揺るがす。
「出たぞ、ヴィクトリーの最高状態……!」
「アリス、僕達も!」
ルカとアリスもなれる限りの最高状態になり、ヴィクトリーの横に並んだ。
「ふふ……仲間を呼びましたか……ですが、無駄ですよ……!!」
イリアスは微笑み、そしていよいよ真の力を解放する。女神の形は崩れ、その肉体から異形の器官が無数に這い出した……
「……いよいよ全力のお出ましか……」
「ああ……」
覚悟はしていた。しかし、いざ目の前にすると……
「怯むなよ、二人共。こいつを倒せば、今度こそ……!」
アリスがルカとヴィクトリーに言い、構えた。
「ああ……正真正銘、最後の決戦だ!」
「ふふふ……決戦も決戦、超最終決戦と行こうじゃねぇか……!」
ルカもヴィクトリーも気合を入れ直し、構えた。
覚悟を決めた戦士達の前にそびえ立つ、最後にして最強の敵。聖と魔が混じり合った、異形の姿があった……
「見なさい、この神聖な姿を……これこそが、絶対にして唯一なる神の姿です……!」
全身に備わった、異形にして醜悪な器官。天界から地上までの全てを圧するほどの、強大なオーラ。戦士達三人は、真の力を解放したイリアスと対峙していた。
「ひゃ〜……気持ち悪ぃ〜……」
「神聖な姿……?どこからどう見ても、女神には見えないぞ……」
「ふん、まさにモンスターだな……貴様の大嫌いな魔物そのものだ。」
今更、恐れるものは何も無い。圧倒的な力を前にしても、三人は微塵も怯まなかった。
「……」
全く怖くないと言えば、それは嘘になる。しかし、背負っているものの重さを考えれば……
「みんな……僕に力を貸してくれ……」
地上では、みんなが戦っている。僕に希望を託し、必死でそれぞれの戦いに身を委ねているのだ。だから、僕はここで負けるわけにはいかない。この身に代えても、ここでイリアスを討ち滅ぼしてみせる……
「母様、私に力を……全ての魔物と、そして人間の未来のために……!」
アリスだって同じだ……
「ふっふっふ……こうまですげぇと、ワクワクするどころかドキドキするな……だけど……俺達が負けるわけにはいかねぇ!!」
俺達は今、世界を背負っている。俺は別世界の人間かもしれねぇけど、ここまで付き合ってきたんだ……一緒に旅してきたこいつらと戦い、こいつらと一緒にイリアスをぶっ飛ばしてやる。
「さあ、絶望しなさい!そして全世界に、女神に楯突いたものの末路を晒すのです!」
ルカとアリスとヴィクトリーは並び、気を解放した。
「最初から全力で行くぞ、皆!」
「ああ……遅れを取るな、ルカとヴィクトリー!」
「分かってるってぇ!」
皆の思い、そして勇者の魂をこの胸に……ここに、この世界の命運を決定する最終決戦が始まった。
流血表現
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もっとする
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このままでいい
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しなくていい