もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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イリアスポートへ

「よし、イリアスポートに行くとするか!」

「待ってましたぁ!」

 港町イリアスポートからは、セントラ大陸に向かう船が出ているはず。いよいよ、このイリアス大陸から出る時がやってきたのだ。

「ふむ、港町なら各地の名産が集まっているだろうな。」

 ……やれやれ、相変わらずアリスは食い物の事か。まぁ、各地の名産を食い荒らすだけならマシか。

「この世界の名産か……どんなのがあるんだろうな……」

 おいおい、こいつもか。このままではこの世界の食料がこの二人に食い尽くされてしまうんじゃないか?

「ふむ、ワクワクしてきたな。さぁ、行くぞ!」

「はいはい……」

「何でおめぇが仕切ってんだ……」

 こうして僕達は、イリアスポートに向かって北上する事になった。

 

 イリアス大陸にはイリアス様の加護が満ちてて、そんなに魔物が多くない。しかし、イリアス神殿から北上していくにつれ、出現する魔物も強力になっていくようだ。

「そいつは楽しみだ!俺わくわくすっぞ!」

「ナレーションに突っ込むな。ドアホ。」

「お前ら何二人で話してるんだ……?」

 そして、こんな風に人里から離れ、長い長い道を歩いていると……

「そら来たっ!ルカぁ!剣抜けっ!」

「あぁ……。」

 そこに現れたのは、ヒルの魔物……ヒル娘だった。

「……旅人?洗礼を受けてないのね……美味しそう……私がちゅうちゅう吸ってあげる……あなた達の全身をこの穴に包み込んで……じゅるじゅるに吸い尽くして……干物のようになるまで……」

 ヒル娘の下半身にぽっかりと開いたもう一つの口。

 中では無数の触手がにゅるにゅる蠢き、ヒダがざわめいていた。

「かぁっ……気持ち悪ぃ……やだおめぇ……」

「……ゴクッ……」

「……ルカっ!?」

「はっ!?」

 ルカは思わずヒル娘の穴に劣情を抱いてしまう。

 だが、ヴィクトリーの声ではっとし、その劣情を払うように頭を左右に振る。

「僕はそんな誘惑には乗らないぞ!」

 先制を仕掛けたのはルカだった。

「でやっ!!」

 ルカはヒル娘に突きを放ち、ヴィクトリーもそれに続き、飛び蹴りをする。二人のコンビネーションに揺らいだヒル娘。

「ぐっ……!!」

 だが、持ち直して二人に尻尾でのなぎ払いを放った。

「任せろっ!!」

 ヴィクトリーがその尻尾を掴み、彼女を無理矢理地面に叩き伏せる。

「うぐっ……このっ!!」

 起き上がり、反撃しようとした所にヴィクトリーが腰を落とし、構える。

「ジャン拳!!グーッ!!」

「!!!」

 ヴィクトリーは起き上がり際のヒル娘の額に正拳突きを打ち込んだ。ヒル娘は額から血を噴き出しながらよろめく。

「がっ……」

「今だっ!!」

 そこをルカが剣で切りつけた。

「な……つ、強すぎる……!?こんな事……」

 その一撃がトドメになったらしく、ヒル娘の体が消散し、ただのヒルになってしまう。そして、それもそそくさと逃げてしまった。

「なぁんだ!大した事ないやつ!」

 ヴィクトリーが、腰に手を置く。

「僕達はこれまでの戦いで着実に強くなってる……当然さ。」

 ルカが剣を納め、そう言う。

「やれやれ、ようやく片付いたか……」

 いつの間にかルカの隣にアリスが立っていた。もう近頃は、アリスが消えた事すら意識していなかった。

「あぁ、僕達もなかなかやるようにはなったと思わないか?」

「どこがだ、ドアホめ。何なのだ、あのひょろひょろとした突きは。」

「え……?自分では疾風のような突きだと思ってたんだけど……」

 次にアリスがヴィクトリーの方に向く。

「……ヴィクトリー、お前はルカの戦いを見て、何も思わんのか?」

「俺は武闘家だから、剣士の戦い方はよく分かんねぇ。」

 その答えを聞き、アリスはため息を吐く。

「やれやれ……」

 僕は気になっていた事を質問してみる。

「ところでアリス、僕達と戦っている間、どこで何をしているんだ?」

「ん……?辺りをうろついていたり、おやつを食べたり、虫を捕まえてみたり、色々だな。」

「子供かおめぇは。」

「……」

 要するに、暇を持て余しているということか。そんなに退屈なら、助けてくれてもいだろうに……

 

 そして夜の野営……

「……こうして、勇者ハインリヒは魔王を打ち倒し、世界に平和が訪れたんだよ……めでたしめでたし。」

 ルカが五百年前の伝説の勇者、ハインリヒの昔話をしてくれた。

「へぇ〜……」

 ヴィクトリーは普通に焼肉をかじりながら聞いてくれた。

「……何処がめでたいのだ。ドアホめ。」

 アリスは焼肉が刺さった串をかじりながら冷たく言い放つ。

「おめぇが面白い話しろっつったんだろ……」

 ヴィクトリーは冷たい目で、アリスを見ながら肉をもむもむと噛む。

「あのな、余は魔族だぞ。魔族に対して、昔の魔王が退治された話を嬉しげに語る馬鹿がいるか。」

「そ、そうか……おめぇからしてみりゃ、先祖が人間に殺されたって話だからな……」

 ルカは、その言葉ではっとする。

「あ、そうか……」

「貴様は人間と魔物が共存する世界を築くなどと抜かすが……そこら辺のデリカシーに欠けているようだな。」

「ご、ごめん……」

 確かに、いくら昔の話とはいえ、魔族のアリスが聞いて愉快な話ではなかったはず。

「まぁ、ハヒンリヒに倒された当時の魔王は、決して褒められるべき者では無かったがな。支配欲のままに力を振るい、多大なる破壊力と混乱をもたらした……人間の勇者に倒されたとて、自業自得かも知れん。」

 アリスは実に意外な感想を述べた。

「フリーザみてぇな奴だったんだな……」

「フリーザ?」

 ゴホンと咳をし、ヴィクトリーはフリーザの事、悟空とフリーザとの戦いの事を話した。

「う、宇宙の帝王……!?超サイヤ人……!?」

 スケールが遥かに大きい話で想像しにくかったが、凄い話だった。

 宇宙の帝王がサイヤ人の中の伝説の戦士、超サイヤ人に倒されたという話だ。

「要するにハインリヒが倒した魔王って奴みたいに悪虐非道を尽くしたクズヤローが超サイヤ人にやられた話だ。今頃俺の世界の地獄で蓑虫にでもなってんだろ。」

「……何で分かるんだ?」

「復活の「F」……いや、今話しても多分想像出来ねぇよ。」

「……???」

 何だかまだ話には続きがあるらしいが、ヴィクトリーは言葉を濁す。

「……こっちの方がなかなか面白い話だったな。なるほど、確かに自業自得だ……」

「魔王といい、フリーザといい、辛辣なんだな……アリスは。」

「力で他者を支配しようとするなど、野蛮な行為だろうが。蛮行には報いがある、当然の話だ。」

「確かにそうだね……今の魔王はどうなんだろうな……」

 現在、魔物達を統率しているという魔王は、謎に包まれた存在である。

 姿を見た人間はおらず、殆どの魔王でさえ会ったことがないという噂だ。

 歴代の魔王の中で最強というらしいが……

「……でも、今の魔王も悪党なのかなぁ……人間に全面戦争を宣言したし……」

 最大は話し合いでの解決だが、話が通じないとなると、退治するしか無い。

「レミナの虐殺の件が、魔王の指示ってのはホントなのか?アリス。」

 ヴィクトリーがアリスに質問する。

「……さぁな。」

 アリスは不思議な表情で空を見上げる。

「……ただ、魔王は迷っているのだ……人間は滅ぼすべき存在なのかどうか……」

「アリス……魔王を知っているのか!?まさか、見た事があるとか……!!」

 魔王に謁見出来るのは、最高クラスの魔物だけとの噂。それこそ、あの四天王ぐらいしか知らないだろう。

「あぁ、魔王なら知っているぞ……」

「意外と近くで俺達を見ていたりしてな……」

「……そうだな。」

 ヴィクトリーの言葉にアリスが便乗する。

「僕達の近く……?そんな訳ないだろ。僕は田舎育ちだし、ヴィクトリーは異世界から来たんだよ。魔物だって、つい最近初めて見たんだから。」

 二人はため息をつき、ルカを見る。

「やれやれ、貴様は本当に鈍いドアホだな……」

「全くだぜ……」

 アリスは不意に腰を上げる。

「さて、修行の時間だ。余はルカに剣技を、ヴィクトリーは一人でトレーニングだな。」

「あぁ、頑張ってくれ!」

 そう言い、ヴィクトリーは僕達から離れる。

「さて、貴様のひょろひょろ突きを見て余は失望したぞ!」

 アリスとルカは突き技の修行をするのだった……

 

「かめはめ波ーっ!!」

 何回目だろうか。両手にエネルギーを込めてから、一気に放つ動作をするのは。近づいてはいる。だが、まだ遠い。

「かめはめ波ぁっ!!」

 ボウッと手から気が爆発する。ダークエルフの時のライターよりはマシになった。だが、これではダメだ。

「か……め……は……め……」

 思い出せ……あの時、当たり前のように撃っていたあの感覚を……この技で、数々の強敵を倒した事を……そして……ハピネス村でのあの負けるか勝つかの極限状態を……

「波ぁああああーーーっ!!!!」

 ……きたっ!!

 ヴィクトリーの手から、青白いエネルギー波が出る。それは正面の少し遠くにある木に直撃し、爆発を起こす。木はあっけなく倒れた。

「で……出た……!!出たぞ……!!」

 だが、これはまだ未完成だ。気のコントロールが出来ていない。

 もう一度、両手に気を込める。

「完璧にものにするまでやってやる……!!波ぁーっ!!!」

 この修行も長く続いた……

 

 夢の世界、イリアスの間……

「……で、気付いたらここにいるっちゅう訳か。」

 ヴィクトリーは腕を組みながらイリアスを見る。

「す、すみません……ただバカなだけなんです……決してイリアス様を不信している訳では無いんです……」

 ルカが必死に謝り、イリアスの機嫌を取ろうとする。そういうルカを見て、彼女は微笑みながら言う。

「いいのですよ……この者は、まだ私を完全に理解しきれてはいないのですから……時をかけて、貴方が私の事を教えればいいだけです。」

 そして、改めて僕達に向かい直す。

「勇者ルカ……武闘家ヴィクトリー……魔王を討つのです……」

「は、はい……」

「……」

 ルカだけが返事をして、ヴィクトリーは無言を通す。

「いいですね、魔王を討つのですよ……」

 イリアスのその言葉を最後に、僕達の意識はまた暗黒へと誘われた。

 

「い、イリアス様……!?」

 目を覚ますルカを迎えたのは、柔らかな朝の光。飛び起きたまま、周囲をきょろきょろと見回す。

「相変わらず貴様は朝から忙しいな……」

「あぁ、イリアス様……啓示を与えてくださって、ありがとうございます……!」

 そういい、ルカは朝の祈りをする。

「起き抜けに祈るな。ジジくさすぎるぞ貴様は……」

「イリアス様に感謝の念を捧げるのに、老いも若いもないよ。さぁ、アリスも一緒にどうだい?」

「爽やかに祈りに誘うな!」

 そんな二人を横目にヴィクトリーは片腕で腕立て伏せをしている。

「うっせぇな〜……朝は静かに迎えるもんだろうが……」

「む、既に起きていたか……」

 何だか騒がしい朝になってしまった。こうして、僕達は再びイリアスポートへの旅路を進めたのだった。

 

「何か、暑苦しい森だな……」

「熱帯林ってやつか……」

 道中、僕達はムシムシとした森にいた。

「この辺りには、熱帯の魔物が出現するという。せいぜい気をつける事だな。」

「熱帯の魔物……?」

 それを聞いた矢先、いきなりそのモンスター達と出会ってしまった。

「あははっ、丁度受粉の時期だったの……」

 ラフレシアのモンスター……巨大なラフレシアに女性の上半身が二つくっついたような魔物、ラフレシア娘はそう言う。

「久しぶりのご馳走ね……」

 気味の悪い触手をうねらせるモンスターも続いた。

「ルカ……あの気味悪い触手のモンスターは?」

「ローパーだよ……厄介なのが二体も襲ってきたな……」

 ローパー。その触手で人間を絞めあげたりして、弱らせてから捕食するという魔物だ。

「へへへっ、そうか……!!」

 ヴィクトリーはそう言い、構える。僕も構え、臨戦態勢に入る。

「ローパーは俺が貰ったぞ!!」

 ヴィクトリーは咆哮し、目を鋭くする。

「……!?」

 そうするとローパーは吹っ飛び、森の奥に消えてしまう。彼もそれを追って森の奥へと消えた。

「い、今……アイツ、何を……」

 ラフレシア娘が動揺している隙を見て、新たな技をその体に打ち込んだ。

「雷鳴突きっ!!」

「……ぐっ……ぁっ……!!?」

 雷鳴突き……元は血裂雷鳴突きという技だが、僕が使う時は血裂の所を省略してある。

 この技は、その名の通り、雷鳴のように素早い突き技で、初手に使うと敵に大ダメージを与えられる大技だ。そんな技をくらい、ラフレシア娘は揺らいだ。

「うぐぐっ……」

「やぁぁっ!!」

 そのままズバズバと斬撃を放ち、勝負が決まるかと思われた。

「!?」

 触手が腕にしゅるしゅると巻き付き、呆気にとられてる間にもう一本の触手が剣を弾き飛ばす。

「しまっ……!!」

 そして、そのまんま全身を拘束されてしまった。

「うふふ……」

 ラフレシア娘の花口から、甘い匂いが漂ってくる。

「は、はうぅ……」

 それには媚薬効果があり、ルカは惚悦に浸ってしまう。

「それじゃあ、始めるね……たっぷりと子種を放って、私を受粉させてね……」

 ルカを拘束していた触手がルカをラフレシア娘の体に引き寄せる。あともうすぐで体が咥えこまれる……その寸前で歯を食いしばり、彼女を睨んだ。

「ふんっ!!」

「いっ!?」

 そして、ラフレシア娘に頭突きを放ち、怯んだ所で触手を引きはがす。

「えっと……!!」

 ルカはラフレシア娘に背を向け、剣の方に走る。

「あったッ!!」

 剣を手に取った瞬間には、ラフレシア娘はもう背後に迫ってきていた。

「油断したわね!!」

 ルカに無数の触手が迫る。

 だが、ルカは冷静に振り返り、ラフレシア娘の懐に入った。

 そして……

「ぁぁ……ぐっ……ぇっ……!!」

「魔剣・首刈り……」

 触手より早く、鋭い突きがラフレシア娘の喉を貫く。その一撃で彼女は力尽き、体が消散する。それは、大きなラフレシアそのものになった。

流血表現

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