もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
ヴィクトリーとの修行を終えたルカ。超パワーを手にしたルカは、過去の時空に帰ったのだった……
「……」
いつの間にか、あの孤島に立っていた。ここでは、破壊の跡はない。ヤツの気配も……無い。
「……」
時刻は、すっかり夜。まずい、はやく戻らないと……
「魔王城は……あっちか。」
ルカはそう言って浮かび、超スピードで飛んだ。そして、あっという間に魔王城に着いてしまった。修行の賜物だろうか……ガルダを使う必要もなくなっていた。
「……」
玄関を抜け、つかつかと広場に来た。
「ルカ……!」
呼び止めたのは、ヴァンパイアだった。
「どこに行っていたのですか……!?いや、今はそれよりこの事を知らせねば……!」
ヴァンパイアの指示で、魔王城にルカが帰還した事が瞬く間に伝わった。
「ルカ、何処に行っていたのだ……!」
「ずいぶんと探したのじゃぞ!」
アリスや四天王達が集まってきて、ルカを迎えた。
「ごめん、みんな……だけど、もう大丈夫。」
ルカはそう言ってから、思い出したようにたまもの方へ向く。
「ところでたまも、ドレインラボや罪人の封牢はどうなった?」
「魔王様とウチらで何とかした。」
「そうか……」
「ルカ。」
次に、グランべリアが出てきた。
「グランべリア……傷はもういいのか?」
「心配するな。それより、聞いてほしいんだが……」
グランべリアは、アリスと共に罪人の封牢に行ったらしい。そこでは黒のアリスと激突した他、天使達にも囲まれたらしい。
グランべリアは、天使には触れない。ならば、誰がそんな大ピンチからアリス達を救った……?
答えは、あの封牢で封印されていたハインリヒだ。それからは、ハインリヒの活躍や彼からの伝言が伝えられた。新しい技の『エレメント・スピカ』、本物のカドラプル・ギガの威力……そして、何より勇者としての意志を託すという趣のメッセージ……
「……未来は、お前に託されたのだ。」
「そうか……ありがとう、グランべリア。」
ルカは頷き、次の瞬間にはキッとした目付きになった。
「僕がいない間に頑張ってくれたみんなの為にも、ハインリヒの勇者の意志の為にも……そして、倒れていった友の為にも、頑張るよ!」
「……!」
「まぁ……!」
戦士型のグランべリアとアルマエルマだけが、ルカの潜在能力に気づいた。
「……アルマエルマ、気付いたか?」
「うん……ルカちゃん、今までどんなトレーニングをしてたの……!?」
「……」
アリスはと言うと、少し心配そうな顔をしていた……
その後……作戦のあらましを確認したり、各地の用心が集まって会議を開いたりした。
それが終わった後、僕は魔王城の特訓場に行くことにした。明日には、世界規模でのぶつかり合いが巻き起こる。修行しなければ。
そう思いながら、歩いた……
「……」
気を感じて、サッと隠れる。居るのは、アルマエルマとグランべリアだ。特訓場に向かう最中に演習場の前を通ったら、異様な気を感じたのだ。
「グランべリアちゃんも懲りないわねぇ。どうせ、私には勝てっこないのに……」
「ほざくな……いくぞっ!!」
巨剣を振り上げ、グランべリアは一気に間合いを詰める。アルマエルマは瞬時に顔を引き締め、その攻撃を紙一重で躱した。
「安易に間合いを詰めちゃったわね。初撃でカタを付けないと、勝ち目が無いと思った……?でも、その作戦も予想済みよ……!」
「ぐっ!」
すかさず飛び退こうとするも、アルマエルマは完全に間合いに入っていた。
「……」
確かに今の一撃は、安易に見える。グランべリアは明らかに勝負を焦り、速攻でカタをつけようとしたのだ……
「はい、つかまえた……!」
決して迅速ではなく、むしろ優しく組み付いた。あれだけ殺気のない攻撃ならば、明鏡止水でも反応は遅れるはず。
「離せっ……!」
当然、グランべリアは激しくもがこうとする。その体が、ぴくんと跳ね上がった。
「はぅっ……あうぅ……」
「はい、もう勝負は決まっちゃったわね……」
アルマエルマがそう言いながら、グランべリアの体を愛撫する。
「……何やってんだよ、あいつら……!!」
そこから始まったのは、アルマエルマによるグランべリアの蹂躙。本来のルカならば、何も言わずにそれを見続けている事だろう。だけど、今のルカには死んでいったヴィクトリーの意志と勇者の意志が受け継がれている。色欲に惑わされている暇は、ない。
「……っ!!」
ルカは青筋を浮かべながら、バッとその身を表した。アルマエルマのグランべリアの視線が、そこに集まる。
「あらぁ、ルカちゃん!見ていたのねぇ……」
「うぐっ……み、見るなぁ……はうぅ……」
「マジメにやれッッッ!!」
ルカがそう怒鳴った瞬間、凄まじい気の爆発が巻き起こって魔王城を揺るがした。
「!!!」
「きゃあっ!!?」
グランべリアとアルマエルマは裸のまんま演習場の壁に叩きつけられ、壁もミシミシと悲鳴を上げる。
「そんないいかげんな事で、僕達が天界軍に勝てるわけ……!!!」
そこまで言いかけた時、自分の状態に気付いた。無意識に、めちゃくちゃな気を放っていたらしい。
「か、勝てる……わけ………」
改めて、自分の体を見る。どうやら、我を忘れて気の調整を誤ってしまったらしい。いや、それでも最低限は抑えたつもりなのだ。なのに、この気の嵐……
「あ、あの……その……ごめん……」
ルカはそう言って、逃げるように去っていった……
「……ルカちゃん、本当にただ消えただけじゃなかったのね……」
「る、ルカの奴……どれ程の力を持ったというんだ……」
アルマエルマとグランべリアは、顔を見合わせる。そうして、アルマエルマの方がニヤッと笑った。
「……え。」
「……どえらいものを見てしまった。」
今になって、そんな言葉が出てきた。
僕は今、上半身ハダカで特訓場に居る。そして、基本的な所をやり直しているのだ。
「こんな所に居たのか……」
不意に、そんな声が聞こえた。見てみると……
「アリス。」
アリスが、そこに居た。
「先の凄まじいエネルギーを感じて、やって来たが……貴様、本当に何があったのだ……!?」
「そうか、アリスに話さなきゃダメか……」
ルカは、今までの事を話した……
「何だと……時空を……!?」
「ぶっ飛んだ話だとは思うけど……本当なんだ。」
ルカはそう言って、修行を続けた。
「別に、信じてもらおうなんて思ってない。僕だって未だに信じられないんだから……」
「いや、余は信じよう……こんな時に嘘をついても、意味が無いからな。」
アリスは腕を組んで、息を吐いた。
「未来は平和になっていたのだろう?ならば、我々も努力するまでだ。」
「……出来るのかな。ヴィクトリーが居なくても……」
「……」
アリスは少し黙り……微笑んで、ルカの肩を叩いた。
「出来るはずだ。余と貴様なら、どんな事も乗り越えていけるはずだ。」
「……」
「あいつに助けられた命、無駄にするわけにはいかん。絶対に、我々が勝利するぞ。」
「ああ……そうだ、そうだよな!」
ヴィクトリーが、片腕を失ってまで守った僕達の命。そして、命を失ってまで守り抜いた僕達の明日への希望。絶対に無駄にするわけにはいかない!
「……はぁあああーーーっ!!」
ルカは張り切り、素振りを速めた。その振る剣から、衝撃波が出てくる。
「うぉおっ!素振りの圧がっ!!」
アリスはそれに吹っ飛ばされそうになる。
「ぐぬぬ……余も、修行するぞ!」
「ああ!」
激突の時まで、まだ時間はある。戦士達は、修行に勤しんだのだった……
天界……
「遂に完成したぞ……」
プロメスティンが、サイヤの丸薬を完成させた所だった。
「……」
極秘裏に開発したこの薬……細胞レベルで変異を起こし、サイヤ人の特性をその身に宿すという凄まじい薬だ。これさえあればルカなど取り込まなくとも、イリアスを吸収した黒のアリスと張り合える。
今は、黒のアリスは居ないようだ。
「……」
改めて、過去の事や同胞たちの事を思い出す。あのイリアス信者の無知蒙昧極まる振る舞いに腹が立ち、ヒトに火を与えた。人を救うのはあのような信じる心ではなく、技術だと証明して見せたかった……
しかしそれは罪となって、地上のある所に幽閉された。やがてイリアスは私の頭脳を必要とし、こうして傘下に入ることになった。
そこで私はルシアに出会い、ラ・クロワに出会い、ラプラスを造った。
四人で、道を極めようとした。しかしルシアには裏切られ、ラ・クロワとラプラスは死んだ……
「……語り合いたいな、それぞれの答えに辿り着いたお前達と……」
しかし、今となっては出来ぬ事だ。
……不意に、スカウターが反応した。
「黒のアリスか。」
「ご名答……あら、そのサングラス、お似合いですわ。」
「……」
プロメスティンは、タゴマが着けてるようなスカウターを着けている。黒のアリスは、それを見てクスクス笑っていた。
「所で、出来たのですか?白の兎とやらは……」
「ああ……とっくに出来ている。」
「うふふっ……例の作戦とやらも、バッチリですわね?」
「ああ……」
プロメスティンもニヤリと笑い、コキコキと指を鳴らす。
「現魔王で実験できなかったのは予想外だったが、完璧の筈だ。」
「うふふ、楽しみですわぁ……全ては、明日からですね……」
笑いながら、会話をする二人……その二人を、キューピッドが覗いていた。
「……なんだか、悪そうな感じ……エデン様に、報告〜っと……」
そろーりと、キューピッドがその場を離れようとした時だった。
「ああ、ついでにあの邪魔なのも始末しておいてくれ。そろそろ、泳がせておく意味も無いのでな……」
「かしこまり……」
「……え!?」
次の瞬間、キューピッドの眼前に黒のアリスが高速移動してきた。
「きゃあっ!?な、なに……!?天使には、どんな攻撃も効かないんだから……!」
「ふふっ……いただきますわ……」
黒のアリスはそう言って笑い、スカートをめくる。すると、そこから触手が出てきた。
「っ!!」
触手に、キューピッドは捕縛されてしまう。そして、黒のアリスの下の口が大きく開き……
「きゃああああああーーーっ!!」
本格的に胎動する、それぞれの思惑。
運命の決戦まで、あと9時間……さて、どうなる……!?