もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
「く、くそぅ……!」
「うふふ……」
たまもVSツクヨミ。やはりそこでも、ネクスト・ドールが優勢だった。
「こうなったら、なるしかないみたいじゃな……」
「今更何をしようと無駄ですが、一応邪魔させてもらいましょう。」
たまもが準備するより先に、ツクヨミは猛攻した。
「なにっ!?」
ツクヨミの鋭い爪を、跳び避ける。しかし彼女は追いかけ、噛みつきにかかる。
「のわっ!?」
間一髪、それを避けた。
「ぐ、ぐぬぬ……」
「あははははっ!!」
ツクヨミは目からビームを連射する。
「くっ!」
たまもはそれを次々に避けてから、柱の陰に隠れた。
「そこっ!!」
ツクヨミは柱を打ち砕き、噛みつきにかかる。
「のわーっ!?」
たまもはぴょーんと跳んで、それを避けた。
「くっ……気の察知まで出来るのか……!!」
「すばしっこいですね……」
ツクヨミは土の力を纏って、たまもにタックルする。たまもはそれを避け、フルパワーエネルギー弾を連射した。それは全て直撃し、爆発が連続する。
「ふ……」
しかしツクヨミは無傷のまんま迫り、たまもに爪を振り下ろした。
「ぐっ!!」
たまもは腕をクロスし、ガードした。しかし凄まじい威力で、思わず跪いてしまった。
「ふんっ……!!」
「うぉおおお……!!」
彼女は押されながらも、力を解放してそれを思いっきり弾き飛ばした。
「っ!!?」
「す、少しは空気を読まんか!」
そう言いながら跳び上がり、ツクヨミの顎を蹴り上げる。
「ぐっ!?」
さっきまでとは段違いのパワーに、ツクヨミは揺らぐ。
「……」
ギロリとたまもを睨み、口から垂れた血を舐めとる。
「……どうやら、本当に早く倒す他無いみたいですね……」
「む、怒らせただけか……!」
軽く封印を解いて、ほんの少しのパワーをぶつけてみたが、効果は薄そうだ。しかも、ここから更に猛攻は激しくなるだろう。これでは、たまもの奥の手が使えない。
さて、どうしたものか……ここはある限りの力を使ってツクヨミを揺らがせるしか無いが……今のパワーのままでは、泥勝負になる事は間違いなさそうだ。
「……?」
ツクヨミは、不意に視線を横に向けた。
「……何じゃ?」
たまもは、同じ所に目線をやる。すると、気が近付いてくるのが分かった。
その気の主は壁をぶち破って、登場した。
「良かった、間に合ったみたいですね……!」
現れたのは、サイヤ人だった。それも小柄でスカウターを付けた、戦闘向きとは思えないサイヤ人。
「何者ですか……?いきなり、こんな所にしゃしゃり出てくるとは……」
「うっ……!ぼ、僕はターブル……ヴィクトリーさんの為に、ここに戦いに来た!」
ツクヨミの眼光に怯みながらも、ターブルと名乗ったサイヤ人は構える。
「ヴィクトリー……!?」
たまもが、ターブルの横に来る。
「どういう訳だか知らんが、仲間のようじゃな。信用させてもらうぞ?」
「は、はい……!」
「くっくっく……そうですか、あなたはサイヤ人ですか……ふふふ……」
ツクヨミは気を解放し、二人を睨んだ。
「何はどうあれ、敵が増えたのならば葬るのみ。それに大して強そうでも無さそうですし、一瞬で終わりそうですね……」
「な、なめるなよ……僕だって、サイヤ人なんだ!!」
ターブルはそう言いながら、気を解放し、ツクヨミに飛んだ。
「はぁああーーーっ!!」
そして、渾身のエネルギー波を放った。大爆発が巻き起こり、衝撃が轟く。
「ぶっ潰してやる!!」
更にエネルギー弾を連射する。
「はぁあっ!!」
ツクヨミはそのエネルギー弾に被弾しながら、ターブルにタックルした。
「ぐぅっ!!」
寸前でガードするも、ぶっ飛んでしまう彼。
「ふ……僕を攻撃したな……?」
「ええ、あなたから最初に殺してやろうかと思いましたから。」
ツクヨミがそう言った次の瞬間、たまもの体にパワーが宿った。
「なに……!?」
「ぬぅっ……!?」
「『救援要請』……僕がダメージを受ける度に、僕以外のみんなの力が跳ね上がるアビリティだ。」
ターブルがそう言った次の瞬間、たまものアッパーカットがツクヨミの顎を打ち抜いた。
「ッッ!!?」
ツクヨミは揺らぎ、尻もちをついた。
「き、効いたのか……!?」
「奴の攻撃は僕に任せてください!」
ターブルはそう言いながら、果敢にツクヨミを攻めた。
「ちっ……!」
彼女はすぐに起き上がり、ターブルに爪を振り下ろす。彼はそれを腕で受け止め、笑った。
「はぁあっ!!」
飛び出してきたたまものパンチが、ツクヨミの顔面を打ち抜いた。
「ッッ……!!?」
さっきまでとは、段違いの威力。彼女はそれでぶっ飛んで、壁に叩きつけられた。
「ぐぅう……!!妙な能力を……!!」
「行くぞぉおっ!!」
「ああっ!!」
ターブルとたまもは並び、ツクヨミに猛攻する。
「ちっ!!」
彼女は猛攻に対応しながら、隙を見て腕で二人を薙ぎ払った。
「ぬわっ!」
「うぐっ!」
たまもは吹っ飛んでしまうが、ターブルはガードする。
「よし!!」
彼のアビリティで、たまものパワーが更に跳ね上がった。
「くっ!!」
ツクヨミは前傾姿勢になり、後輪からエネルギー波を放った。
「ちゃあっ!!」
たまもはそれを天井に蹴り上げる。そして、エネルギー波を撃ち返した。
「!!」
エネルギー波は直撃し、大爆発を起こす。
「やったか……!?」
「いいえ、まだです……!」
爆煙が晴れ、ツクヨミの姿が覗いた。ボロボロの姿のまんま、額に青筋を浮かべている。
「……はぁあっ!!」
ツクヨミは、気を解放した。しかも、さっきとは次元の違う強さになっているようだ。
「な、なに……!?」
「やはり、サイヤ人の細胞をその身に宿していましたか……」
ターブルは冷静に、そう呟いた。
「サイヤ人の……細胞!?」
「はい……僕の他にあと三人の戦士が居るのですが、その中の一人によると敵はサイヤ人の力を持っていると言っていたんです。おそらくは、ヴィクトリーさんの……」
ここで、ツクヨミがクスクスと笑い始めた。
「正解です……しかし、そんな事を今更知っても手遅れですよ。あなた達がパワーアップすればするほど、私はその更に上を行くパワーアップをする……つまり、あなた達は永遠に私に勝つことは不可能。大人しく降伏すれば、楽に殺してあげますよ……」
「……」
ターブルは、ゆっくりと深呼吸する。そして、構えた。
「何があろうと、僕達は絶対に諦めない!!この世界を守ろうとしたヴィクトリーさんの命を、無駄にするわけにはいかないっ!!」
「いい言葉ですね……しかし、あなたのそれは勇気ではありません。ただの無謀です。」
ツクヨミがそう言った次の瞬間、彼女はとんでもない速度で接近し、ターブルの顔面を拳で打ち下ろした。彼は床に叩きつけられ、バウンドして宙を舞う。
「ッッ!!?」
ガード出来なかった。防御力の高いターブルでさえ、痛いダメージの一撃だった。
「うっぐ……!!負けるかぁあーっ!!」
「あはっ!!」
彼は持ち直し、ツクヨミの攻撃を防御し続けた。苛烈な彼女の猛攻を何とか凌ぎながら、たまもの方を見る。まるで、何かを催促するように……
「……!わ、分かった!」
たまもは気を溜める体制になり、気を解放した。
「たまも……!!はぁあっ!!」
ツクヨミは、たまもにエネルギー波を放った。
「ギャリック砲ーっ!!」
しかしターブルのギャリック砲が、エネルギー波の軌道をずらす。
「くっ……!!小賢しいっ!!」
「うぉおおっ!!」
ツクヨミはターブルに猛攻し、彼はそれを必死に防御し続ける。それを横目に、たまもは奥の手を解放する……
「いざ問わん、我が悠久の時……この身を縛りし万物の枷、戒めをもって振り払わん……」
ツクヨミはそれを聞いた瞬間、青ざめた。
「それは、解呪の詞……!?何故そんなものを……!!?」
「うぐっ……や、やった……!!」
ターブルは倒れ伏しながら、そう言って笑った。
「我が真身よ、ここに在れ……」
次の瞬間、周囲に眩い光が立ち込め……そこには、異常なほどの魔力を宿していた妖狐が降臨していた。
「な……な……!!」
「……六祖が一人、玉藻。全ての妖狐の六祖たる、白面金毛九尾の狐……」
「六……祖……!?」
ツクヨミは、驚愕の表情をした。心臓を鷲掴みにされたような、圧倒的な力に後ずさる。玉藻はその前で、ターブルをお姫様のように抱えた。
「よく頑張った、小さき戦士……後は、妾に任せよ。」
「は、はい……!」
そう言いながらターブルを部屋の隅に置き、ツクヨミを睨みつけた。
「……なるほど、六祖の一人でしたか……通りで、魔物最強の噂が通る訳ですね……」
「お主を消去する。覚悟しろ……」
「……今の私ならば、勝てる……!!」
ツクヨミと玉藻は突進し、一撃をぶつけ合った。
「はぁああああああ!!」
「ほぁああああああ!!」
ほぼ互角の攻防が繰り広げられ、加速する。獣のような咆哮を轟かせながら、攻防は加速していく。
「ふんっ!」
ツクヨミは爪を煌めかせ、玉藻に猛攻する。
「甘いっ!!」
次の瞬間、玉藻の拳の連撃が、ツクヨミの爪を破壊した。
「っあ……!!?」
「はぁあっ!!」
間髪入れず、怯んでる最中のその腹を正拳突きで打ち抜く。
「おうぅっ……!!」
「はぁーっ!!」
そして九本の尾で、ツクヨミを乱打した。
「ぐ……ぐがぁあーーーっ!!」
ツクヨミは超爆発波を放って、玉藻をぶっ飛ばした。
「ぬぅっ!?」
玉藻は何とか着地し、距離をとる。
「だぁあっ!!」
ツクヨミは腕に土の剛力を込め、玉藻にぶん殴りかかった。
「ふんぬっ!!」
彼女も腕に土の力を込め、その拳に拳をぶつけた。
「はぁあああああーーーっ!!」
「ぬぅうううああああーーーっ!!」
二人の拳がぶつかり合い、衝撃が波動する。土の力同士が押し合い、大地が揺れ、エナジーが波動し、周囲の小石やら瓦礫やらが浮かび上がる。
「はぁああああああああ……!!!」
「ぉおおおおおおおおお……!!!」
エネルギーで周囲が揺らぎ、ビリビリとスパークを散らす。
「くっ……ぼ、僕も……僕も、戦える!!」
ターブルは立ち上がり、気を解放した。
「ツクヨミーーーっ!!」
そう叫び、腕にエネルギーを溜める。
「っ!?ま、まだ立て……」
「だぁあああーーーっ!!」
エネルギーが、ツクヨミの顔に爆撃された。
「ふぅんっ!!」
玉藻はその隙を見て、彼女の腹を思いっきりぶん殴った。
「おごぉおおおっ!!?」
「だぁあーっ!!」
更に、フルパワーのエネルギー波を放って、ぶっ飛ばした。
「ぐっ……ぐぬぅううっ!!」
「だぁあっ!!」
そこにターブルが飛び蹴りを放つ。
「こしゃくなッ!!」
しかしツクヨミはそれを受け止め、彼の顔面にパンチした。
「ふんっ!」
ターブルはそれをガードし、笑う。
「はぁあっ!!」
玉藻はそのターブルの背中を蹴って、跳び上がる。そして、ツクヨミに殴りかかった。
「ちぃっ!!」
ツクヨミはバリヤーを展開する。しかし玉藻の拳はバリヤーを破り、彼女の頬を打ち抜いた。
「ッッ……!!?」
ツクヨミはぶっ飛んで、壁に埋まる。
「よし、一気に決めるぞ……!!兄さんっ!!」
ターブルは天に腕を掲げ、エネルギーを解放する。そのエネルギーは時空を突き破り、一人の戦士が彼の横に着地した。
「サイヤ人に、不可能などないっ!!」
ベジータだ。なんと、ターブルはベジータを時空転送したのだ。
「ほほう、召喚魔法の亜種か。やはりヴィクトリーと同じく、面白い技を使う男よの。ならば妾も、一気に決めてやる!!」
玉藻もそう啖呵を切り、ツクヨミに向き直した。
「ふん……!!」
玉藻はツクヨミに手を向け、気を全開放する。
「行きましょう!」
「足でまといになるなよ!」
ベジータとターブルはそう言葉を交わし、エネルギーを全開放する。
「ギャリック砲ーーーっ!!!」
そして二人は、ギャリック砲を放った。
「九尾烈葬!!」
玉藻は、紅蓮の獄炎を放った。
兄弟の絆で放たれたギャリック砲と、凄まじい獄炎が一つとなり、ツクヨミに迫る。
「な……!!?」
それは見事に直撃し、大爆発を巻き起こした。
「そ、そんな……!!馬鹿なぁああーーーっ!!!」
ツクヨミは、跡形もなく消し飛んだ……
「……ふぅっ……!」
「やったな、小さき戦士よ。」
ターブルと玉藻が並んで、笑顔を交わす。ベジータは、いつの間にか消えているようだ。
「……それにしても、とんだ計算違いよ。こんな所で、本体を呼び出す羽目になるとは……これで、しばらくは……」
「え……!?」
玉藻の体が、徐々に縮んでいく。強大な魔力が潮を引くように消え失せ、そして……元の姿に戻ってしまった。
「……のじゃ!」
「えぇ……」
ターブルが困惑していると、周りから八尾や七尾が出てくる。
「た、たまも様……!」
「……きつねもふもふ!もっふもふ!」
八尾がたまもを揺すぶるが、彼女は変な歌を歌いながらきゃっきゃと笑うだけだった。
「い、いったいどういう事なんですか……?」
「魔力を使い果たし、精神まで退行されたのですね。狐族総出で魔力をお譲りし、すぐに力を取り戻して頂かなければ……」
七尾がたまもを撫でながら、早速狐族達を呼び出す準備にかかった。
「ディスクの交換作業は、妾が代わりに……」
「いや、僕がやります!」
八尾の代わりに、ターブルが名乗り出た。
「そうか……ならば妾もたまも様に魔力をお譲りせねば。七尾よ、ただちに狐族を招集せよ。」
「はっ……!たまも様、少しお待ち下さいませ……!」
七尾の念に応じ、その場に集まる妖狐達。一刻も早く、消耗したたまもを元に戻さなければならない…
「……バーダックさん……後は、あなたの無事を祈るだけだ……」
ターブルはそう呟きながら、時を待った……