もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
「みんな、倒したみてぇだな。」
悟空:GTが、他三人の心に語りかけた。
「ああ、こっちも終わったぜ。」
「こっちも、終わりました。」
「ふん……」
ゴテンクス:ゼノ、ターブル、バーダックの順で返事を返す。どうやら、みんな無事にネクスト・ドールを倒すことが出来たらしい。流石は、嘗てゴッドボスのブロリーに挑んだカードの戦士達と言った所か。
「もふもふ〜!」
ターブルの後ろから、たまものそんな声が聞こえた。
「……?」
バーダック:ゼノは、困惑気味に眉をひそめる。
「ああ、その……たまもさんは、気の消耗が激しすぎてこんな感じになりました……」
「どんな感じかは知らねぇけど、ターブルが駆けつけた所は無事だったみてぇだな……」
「おいおい!そんな事より、作戦ってのがあるんじゃないの?」
ゴテンクス:ゼノの言葉で、思い出したような顔をする戦士達。
「そう言えば、そうだったな……どうすりゃいい?」
「は、はい……まず四天王ですが、ディスクを持っているはずです。」
「ああ、これか。」
ターブル以外の戦士達は四天王の体を遠慮なくまさぐり、ディスクを取り出した。みんな純粋なサイヤ人の戦士なので、特に劣情は湧かないようだ。
「それを、目の前の装置のディスクと交換するんです。一斉にですよ?」
「めんどくせぇな……」
「じゃあ、俺の合図でせーので取り替えようぜ!」
そう言い出したのは、ゴテンクス:ゼノだった。
「じゃあ、ゴテンクスの合図でディスクを取り替えりゃいいんだろ?」
「はい!では、ゴテンクスさん!」
「よーし、せーのっ!」
戦士達は同時に装置からディスクを外し、自分の持っているディスクと取り替える。それが四つの塔で同時に行われ……
「……」
どこか、周囲の空気が変わった気がした。不思議な波動が、周囲に広がっていくような……
「どうやら、成功したみてぇだぜ。」
「おっしゃー!」
「や、やった!」
「これで、どうにかなるって訳か……」
これで聖素物理化の結界が、この星に張り巡らされた。しかし戦士達には、そんな事は知ったことでは無い。
「失礼します。」
テレパシーのやり取りの中で、八尾が入ってきた。
「四天王達は、どんな状況ですか?」
「ああ……」
ターブル以外の戦士達は、四天王を見る。いずれも戦闘不能に陥っており、戦える状態じゃ無さそうだ。
「残念だけど、エルベティエって奴は伸びちまってる。」
「アルマエルマって奴も、駄目だ。」
「このやたらガチャガチャしたヨロイ着てる奴も駄目だ。」
「グランべリア様です……そうですか、たまも様以外の四天王は、全滅してしまったのですね……」
「そのたまもさんも……」
ターブルは、たまもに向く。
「のじゃ〜!」
「わぁあっ!」
ターブルはたまもに抱きしめられ、尻尾でくるまれた。
「もっふもっふ!もっふもっふ!」
そのまま尻尾でもふもふされて、頭をわしゃわしゃと撫で回される。
「な、何なんですか……」
ターブルは赤面しながら、たまもの顔を見る。
「のじゃ?」
たまもは依然として、ターブルをモフモフし続けた。
「た、たまも様……」
八尾も、困った顔でその光景を見る。
「……」
そういう訳で、四天王は機能しないらしい。さて、どうしたものか……
「とりあえず、こいつらを魔王城に運ぼうぜ。」
「おっ、そうだな!」
「ああ、いつまでもこんな所で話してる訳にはいかねぇ。」
ターブル以外の戦士達は四天王を抱え、魔王城へと飛んで行った……
「ま、待ってくださーい!!」
ターブルはたまもにモフモフされたまんま、そう叫んだ……
一方、ルカ……
「これは……?」
不意に、ルカの体が柔らかな温もりに包まれた。その体の中で、確かな生命力が力強い息吹を上げる……
「……っ!!」
ルカの中の精霊達がフルパワーになり、気が波動した。
「!!」
近くに居たアリスが吹っ飛ばされそうになり、踏ん張る。
「……」
四精霊の心置きをその体に吸収し、精霊の力が更に極まった。その上にヴィクトリーとの修行で得た力が増大し、爆発的な戦闘力の上昇を成したのだった。
「す……すごい……すごいよ、アリス!!」
「ほ、本当に凄まじいな……めちゃくちゃだ……」
ルカは、天使と勇者の血統のハーフだ。修行すればどんどん極まるのだろうが、この力はそんなどころでは無かった。
「ほとんど気が入っていないというのに、なんという気だ……!こんなに、極められるものなのか……!?」
「……」
この力なら、イリアスにも勝てるはずだ。
ルカはそう思いながら、天国への門に向いた……
「……」
「よいしょっと……」
「ほらよ。」
「ぜぇ、ぜぇ……」
戦士達は魔王城の医療室に四天王達を運び込んで、広間に集まった。その中で一人、ターブルだけは顔色が悪い。
「ターブル、気分悪いんか?」
悟空:GTがターブルにそんな事を言い、ターブルは赤面しながら首を横に振る。
「あ、いやっ!大丈夫です!!」
「それならいいんだけどよ……」
「……よっしゃ、ここからは俺達の作戦を立てようと思う。」
バーダック:ゼノがそう言って、戦士達を振り向かせた。作戦の指揮権は、彼が握った。
「まずゴテンクスとターブルだが、ここで待機してくれ。」
「待機……ですか。」
「ターブルは分かるけど、なんで俺まで?」
「見りゃ分かんだろ。おめぇらはダメージを受けすぎてる。どうやら、あの連中に苦戦したみてぇだな。」
「……」
ゴテンクス:ゼノは自分の体を見る。体には、アンフィスバエナにやられた傷が刻まれていた。それを確認した途端、思い出したようにダメージが痛んだ。
「っ……!」
「それに、ここの防衛を任せてぇってのもある。パワーの無ぇターブルだけじゃ、不安でな……」
「……しょうがねぇな。そういう訳で、ここの防衛をするぜ!」
「ぼ、僕もやります!」
ゴテンクス:ゼノとターブルはそう言って、気合を入れ直した。
「次にカカロットだが、各地に飛び回ってヤバそうな所の増援に回れ。」
バーダック:ゼノは、悟空:GTにそう言う。
「分かった……おめぇは、どうすんだ?」
「決まってんだろ……ヴィクトリーをぶっ殺したアイツ……アルカンシエルを造った奴を、ぶっ飛ばしに行くんだ!」
「そうか……」
とりあえずは、これで作戦は固まったようだ。
ターブルとゴテンクス:ゼノは魔王城の防衛、悟空:GTは各地に飛び回りながら人々を援護。
そしてバーダック:ゼノは悪の根源を断つために、世界のへそへと向かった……
「この門、破らせるわけには……」
ヘブンズゲートが、消散する。今のルカの圧倒的なパワーで、呆気なく元の門の姿に封印されたのだ。
「ふぅ、なんとか門番を倒したな……」
ヘブンズゲートを倒し、後に残ったのは大きな門。この中は、天界へと繋がっているのだ……
「それじゃあ、行くか……待ってろ、女神イリアス!」
「よし、行くぞっ!」
不退転の決意を胸に、門の中に踏み込もうとするルカとアリス。その背後から、強大な気が降り立った。
「……なにっ!?」
「また敵か……!?」
思わず振り返り、構えてしまう二人。
「待てよ。俺は敵じゃねぇ。」
そう言って出てきたのは、バーダック:ゼノだった。
「……サイヤ人……?」
「お前は……?」
「俺はバーダック……ヴィクトリーの代理みてぇなモンだと思ってくれりゃいい。」
「バーダック……!」
確かその名は、序盤のイリアスポートからナタリアポートに行く最中の船……アルマエルマが強襲してくる前に、聞いた名だ。
「俺の事を知ってんのか……?まぁいい、ここからは俺も同行してやる。ぶっ飛ばしてぇ奴がいるんだ。」
「そうか……」
「そう言っておきながら、実はイリアスの差し金ではないか?」
アリスが、疑う。当然か、いきなりこんな男が来て、味方面して着いてくるなんて、まず有り得ないものだ。
バーダック:ゼノはと言うと、少し悩んでから、向き直した。
「……こんな状況だから、信じてくれなんて簡単には言えねぇ……けど、俺の目的は一つ。アルカンシエルを造った奴を、ぶっ飛ばしに行くんだ。」
「なに……!?」
「アルカンシエルって……ネクスト・ドールの?」
だとしたら、彼の狙いはプロメスティンか。
「そいつは、この星の戦士たちの誇りを踏みにじりやがった……許す訳にはいかねぇんだ!!死んじまったヴィクトリーの為にも、利用されたアルカンシエルの為にも、俺はそいつをぶっ飛ばしに行かなきゃならねぇ!!」
バーダック:ゼノは、まっすぐな目でそう言い放った。その言葉に嘘がないのは、明白だった。
「……疑ってすまなかった。」
アリスは、まずそう言う。そして、彼と同じく真っ直ぐな目をした。
「そうだ……ヴィクトリーの想いを背負っているのは、余達も同じなのだ。協力するぞ!」
「ああ……それじゃあ、行こう!」
天界へと踏み込もうとした時に、突然現れたバーダック。二人はその戦士と共に、天界へと突入したのである……
天界……
プロメスティンと黒のアリスとエデンが、話し合っていたが……
「覚えていなさい、あなた達……汚れし勇者の次は、あなた達の不正を正します……!!」
煽られるところまで煽られたエデンが、そう言いながら飛んでいく。
「ふっ、まさに手玉だな……まんまとイリアスの元を離れてしまうとは……」
「ついでに汚れし勇者を倒してもらえれば、好都合なのですけど。あの三番目に、そこまで期待するのも酷ですか。」
プロメスティンはそれを聞き、笑った。
「いや……馬鹿で短慮で愚か者だが、奴はあれでも熾天使だ。その力、現在の天界ではイリアスを除いて最大最強。だからこそ今、奴にこの場を離れてもらう必要があった。」
「ふふっ……これでイリアスの周辺は無警戒になりましたね。しかし……」
「黒のアリス。」
話し続けようとする黒のアリスを、静止するプロメスティン。嫌な予感を感じたのか、黒のアリスに催促の視線を送った。
「意外と、時間が無いかも知れん。始めるのなら、早急に始めよう。」
「そうですね。『白の兎』も完成、例の三号機も準備完了……パーティの準備は、全て整いましたわね。」
「では行くか、
「そして、新たな神の夜明けのために……ふふふっ。」
二人は笑いながら、イリアスの下に向かった……
「……」
天界の中心……イリアスが、戦士達を見ていた。
「誰ですか?この者は……」
バーダック:ゼノに、注目しているようだ。イリアスの記憶にはこの世界に居る人間と天使の老若男女、その全てが記憶してある。しかし、あんな人間はいない……おそらく、ヴィクトリー関連なのだろう。
「……っ!!?」
不意に、その体が魔法陣で封じられた。
「なっ……!?なにっ……!?」
「……嫌にあっさりと引っかかるのだな……」
そう言いながらイリアスの前に現れたのは、プロメスティンだった。
「まさか、これは……六祖大縛呪!?」
「あはっ……!」
遠くから、黒のアリスの笑い声が聞こえた。見ると、『白の兎』を自身に注入しているようだった……
「そ、そんな……!!」
次の瞬間、黒のアリスのスカートから巨大な口が伸びて、イリアスを喰らった。そのまんま、ゴクリと彼女を飲み込んだ……
「……っ!!」
黒のアリスは目を見開き、気を解放した。エナジーが天界全土に響き渡り、凄まじい戦闘力がその身に宿ったようだ。
「……どうだ?」
「ふふっ……体の奥底から、力が湧き上がってきますわ。まるで、本当に神にでもなった気分……」
「なれるはずだ、神にでも何にでもな……」
二人はそんな事を話し合いながら、笑っていた……
ルカ達……天界の大地を踏みながら、話し合っていた。
「なるほど、ここも一枚岩じゃねぇのか。」
「ああ……見た所プロメスティンと黒のアリスとイリアスで戦力派閥みたいのが出来ている。そこに、付け入るスキがないか、アリスと考えていたんだけど……」
「……」
バーダック:ゼノは少し考え、手を叩いた。
「いいか、こうなっちまうと幹部級の奴が一体一体出てくる筈だ。」
「一体一体……?」
首を傾げるアリスに、バーダック:ゼノの視線が向く。
「分かんねぇのか、魔王?そういう奴はな、チームで戦うという事が苦手なんだ。他と共同するよりは、自分一人の方が力を発揮できる……どうやら、ここもそういうタイプみたいだな……」
「……」
「だったら、こっちも戦い抜いてやろうじゃねぇか。幹部級と、
突然のバーダック:ゼノの対一作戦宣言に、ルカとアリスは固まる。
「何でだ?余はわざわざ一対一で戦うより、協力して戦った方がいいと思うが?」
「まさか、この後に及んで勝負は正々堂々とか言い出すんじゃ……」
「そういう問題じゃねぇ。話を最後まで聞けクソガキ共。」
「ご、ごめんなさい……」
何故か知らないが、怒られてしまった……
「この星の各地で、皆が戦っているのは分かるな?魔物と人間の共同戦線が展開されてから、天界軍とはほぼ互角の状況にある。だけど、事態は拮抗してる事に変わりはねぇ。このまんま泥試合続けてても、負けるのは目に見えてんだろ。だったら単純な話、幹部をせーのでぶちのめせば決着までの時間が短縮されるはずだ。」
「なるほど、決着を早くつけようと言うのだな……」
アリスの言葉に、バーダック:ゼノは頷いた。
「ああ……今のてめぇらには、この作戦を成功させられる力もある筈だ。」
「……分かった!」
「ふん、やってやろうではないか!」
新たな作戦を賜り、気合いを入れ直す二人だった……
「とうとう、ここまで来ましたか……」
不意に、そんな声が聞こえた。
「っ!」
一人の天使が、ルカ達の前に立ちはだかったのだった……
「私は、熾天使エデン……イリアス様第一の下僕にして、天使長の座にある者……」
「……エデンっ!?」
ルカは、驚愕の表情でそう言っていた。
味方になったんじゃないのか……!?いったい、なぜ敵に……!?
「……私を知っているのですか?」
「いや、知らないな……」
「魔王、作戦だ!!」
「ああっ!!」
バーダック:ゼノとアリスは気を解放し、エデンの遥か後方に飛んで行った。
「っ!!?逃がしませ……」
「だぁあっ!!」
ルカは追わんとするエデンの足を掴んで、思いっきり地面に叩き落とした。
「っぐぁ……!?」
エデンはすぐさま立ち上がり、ルカに向く。
「お前の相手は、この僕だ……!!」
そして、戦いが始まった……