もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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激戦!アリスVS黒のアリス

 バーダック:ゼノにプロメスティンを任せ、作戦通りに黒のアリスの方へと向かうアリス。そして、それらしき場所に辿り着いたのだった……

「……ここが、天界の中心か。」

 周囲に満ちた、神聖なオーラ。それが水面に反射し、まさに幻想郷のような光景だ。

「美しい場所だな……この嫌な気配さえ無ければな。」

 この場に立ち込めているのは、異常な程の妖気。胸を圧迫し、悪寒を催すほどの禍々しさが空間を支配していた……

「……出てこい、黒のアリス。」

 アリスがそう言うと、不意に邪悪な気が吹き荒れた。

「うふっ……うふふふっ……」

 その場に響く、おぞましい笑い声。ますます強くなっていく妖気、そして……

「うふふっ……パーティにようこそ、16世……もてなしの準備は、とうに整っておりますわ……」

 黒のアリスが、目の前に降り立ってくる。そして、今までに感じた事の無いような重圧がのしかかってきた。

「ぐっ……!」

 今までの敵とは、次元の違うプレッシャー。胸の奥の不安を、じんわりと掻き立てられるような感覚がアリスの胸に刺さった。

「……貴様がイリアスを吸収したというのは、嘘ではないようだな。」

「ええ……メインディッシュは、ぺろりと平らげてしまいましたわ。とっても美味でした……」

 アリスは拳を握り、黒のアリスを睨む。

「なぜ、そこまで力を求める……!貴様はいったい、何をそこまで欲しがる!?」

「……もちろん、全てを。この世界に生まれた以上、全てをこの手に収めるまで……魔王という血の宿命が、私をそうさせるのです。アリスフィーズ16世……あなたには魔王としての志が欠けていますわ。」

 その言葉を聞き、アリスは目の前の邪悪を真っ直ぐな瞳で睨めつける。

「魔王としての志とは、力による地上支配か?そんなもの、余は持ち合わせてはいない……!共存と協調で全てを統べる、それが余の王道だ!!」

「遍く天上天下、我が力で支配する……それが私の覇道ですわ。教えて差し上げましょう、アリスフィーズ16世。魔王たるべき者が、どういうものなのかを……」

 黒のアリスは気を解放して構え、アリスに向いた。

「……確かに、イリアスを取り込んで凄まじい戦闘力を得たようだが……余だって、修行してきた!」

 アリスはそう言って手を広げ、気を溜めた。凄まじい気が吹き荒れ、ビリビリと辺りを鳴らす。

「ほう……?」

「かぁあああ……!!」

 そして、気を解放した。その黒い気がアリスを包み、光っていく。その光の中から、新たな姿の彼女が顕現したのだった。

「……へぇ!」

「はぁああああ……!!」

 程よい筋肉が張り、その身に黒いスパークが纏われる。新たな力を手にした彼女の新形態は、ヴィクトリーを追い詰めた禁術の短所を除き、更に戦闘向けに(あつら)えたものだった。

「あの禁術のデメリットを、完全に消し去りましたか!なるほど、16世……魔王の名に違わぬ天才ですわ……」

「今すぐ黙らせてやる、覚悟しろ!」

「ふ……」

 黒のアリスは拳を振りかぶり、アリスに正拳突きした。彼女はそれを避け、反撃に尻尾で顎を打ち上げた。

「っ!?だぁあっ!!」

 黒のアリスは踏ん張って、吹っ飛ぶのを防ぐ。そして、すかさず後回し蹴りを放った。アリスは直撃して吹っ飛ぶが、体勢を整え、着地する。そして口から垂れた血を拭い、笑った。

「ここが天界で助かったぞ……思いっきりやれるからな!」

 そう言ってから黒のアリスに手を向け、巨大なエネルギー波を放った。

「!!」

 それは彼女をマトモに飲み込み、大爆発する。確かに地上の大陸で放てば、自然の生態系を脅かすほどの破壊になってしまうであろう威力だった。その証拠に、天界の大地がかなり大規模に削れていた。

「うぉおおっ!!」

 更にアリスは飛び上がり、フルパワーでエネルギー弾を連射した。ただでさえ削れた大地に、隕石のようなエネルギーが連射され、大爆発が連続する。

「ぐぬっ……!?」

 それを防御する黒のアリス。しばらくして、エネルギー弾の雨は止んだ。

「しゃあっ!!」

「!!」

 次の瞬間、アリスの尻尾が黒のアリスの顔面を打ち据えた。

「っがっ……っ!!」

 彼女は踏ん張り、反撃にアリスの顔面をぶん殴る。

「っ!?」

「つぁあっ!!」

 そして思いっきり蹴り飛ばし、飛び上がり、攻撃を連打する。

「ぐっ……!」

「はぁあっ!!」

 渾身の一撃でぶっ飛ばそうと、拳を振り上げる。しかしアリスはその一撃を、ガードした。

「っ!?」

「こっちだ!」

 そして背後に高速移動し、黒のアリスの背中に正拳突きした。しかし彼女も消え、アリスの背後からカウンターした。

「ぐぁあっ!?」

 ぶっ飛ぶアリスに追い付き、蹴り上げる黒のアリス。

「ぐっ!」

「逃がしませんわ!」

 そして超スピードで飛んで腹を殴り、アッパーした。

「ぐぬぅうっ……!!」

「はぁっ!」

 更に黒のアリスは高速移動して、アリスに飛び蹴りした。しかし彼女は、その蹴り足を見切り、掴んだ。

「うぉおおっ!!」

「っ!?」

 そのまんまぶん回し、黒のアリスをそこら辺の岩盤にぶつけた。岩盤は粉砕し、ガラガラと崩れる。その瓦礫の中から、彼女が勢いよく飛び出してきた。

「ぬぉっ!?」

「ふんっ!」

 黒のアリスは猛スピードで、アリスに頭突きする。

「ぐっ!!」

 アリスは踏ん張り、蛇体で黒のアリスの顔面にカウンターした。

「あはっ!」

 黒のアリスは身体を廻し、アリスのこめかみに強烈なキックを放つ。彼女はそれを腕でガードし、踏ん張った。

「ぐっ……!!!」

「うふふ……!!」

 しかし、黒のアリスのスカートの中から無数の触手が飛び出す。その触手が、アリスの体中を連打した。

「なにっ……!?」

「それっ!」

 触手の連打の中から出てくる、強烈な蹴り。アリスはそれに直撃し、ぶっ飛んだ。

「あはっ!」

 黒のアリスは追い付き、アリスの腹に強烈なパンチをした。

「ぐぁあっ……!?」

「そぉれっ!やぁあっ!とぉおっ!はぁあっ!」

 一撃、一撃と拳を叩き込み、アリスに確実なダメージを刻む。

「はーっ!」

 そして、思いっきり蹴り飛ばした。

「ぐぁあっ……!」

「くらいなさい……!」

 そしてアリスに手を向け、炎魔法──オメガブレイズを放った。煉獄の炎が巻き起こり、彼女を焼き尽くす。

「はぁあーーーっ!!」

 しかしアリスは、フルパワーの爆発波を放った。魔王の暴虐の名を冠した爆発波が、オメガブレイズを消し飛ばす。

「なにっ……!?」

「はっ!」

 そして、黒のアリスに巨大なエネルギー波が叩きつけられ、大爆発が巻き起こった。そんな爆炎の中から、彼女は飛び上がる。

「ぐっ……!!」

「はぁあっ!!」

 アリスは両手にエネルギーを溜め、エネルギー弾を連射する。

「!?」

 しかしそれは全て、見当違いの方向に放たれていた。黒のアリスは不思議に思い、あたりを見回す……

「………!?」

 無数のエネルギー弾が黒のアリスを囲んで、浮かんでいた。

「貴様にもう逃げ道は無い……くたばれ!!」

 次の瞬間、黒のアリスにエネルギー弾が殺到し、大爆発が連続する。そして最後に大規模な大爆発が巻き起こって、辺りに衝撃が轟いた。

「ふ……」

「ぐっ……!!」

 黒のアリスは顔の左側と、右腕と、下半身が吹っ飛んだ状態で浮かんでいた。アリスはそれを見て、ニヤッと笑った。

「どうやら、修行で差がついたようだな……」

「うっ……ぐ……!!」

 黒のアリスは自分の身体を、完全に再生させた、

「はぁっ……はぁっ……今のは、効きましたわ……この私が、死ぬかと思いましたもの……!!」

 黒のアリスの額に、青筋が浮かぶ。その目に怒気が宿り、下半身が膨張していく……

「許しませんよ……私のプライドを、ここまでコケにするとは……!!はぁあああーーーっ!!」

 黒のアリスは気を爆発させ、変異を完了させていた。

「……ふふっ、これが私の力……邪神と女神が融合した、究極の肉体……」

 黒のアリスの下半身から、肉の器官や触手が飛び出し……それは、黒のアリス本体を見上げるほどになった。

 全身から漲る、禍々しいオーラ。おぞましい器官がじゅるじゅると蠢く、異形の肉体……それを前にしながらも、アリスは笑っていた。

「なるほど、確かに凄まじい戦闘力の飛躍だな……パワーは、凄そうだ……」

「ほざきなさい、16世……格の違いを思い知らせて差し上げますわ。」

 黒のアリスはそう言って手を天に向け、巨大なエネルギーボールを生成する。そして、それをぶん投げてきた。

「ふっ!」

 アリスはそれを飛び避け、黒のアリスに迫る。

「っ!?」

 次の瞬間、黒のアリスの後頭部に鈍痛が走った。

「あがっ……!?残像っ……!?」

 黒のアリスはそう言いながら、振り向く。

「正解!!」

 アリスはそう言い、黒のアリスの顔面に闇の力を纏った正拳突きをした。

「ぐぁあっ……!?」

 黒のアリスの体がぶっ飛んで、天界の大地を打ち砕く。そしてその体が岩に叩きつけられ、衝撃が響いた。

「しゃあっ!!」

「なにっ!?」

 黒のアリスの顎が、アリスの尻尾によって打ち抜かれた。勢いよく顎を打ち抜かれた彼女は、天を向く。しかし頭を振ってすぐに向かい直し、突進してきた。しかしアリスは、その突進を上手く躱し、その後頭部に肘を落とした。

「あぐっ……!?」

「……」

 肘打ちを落としたアリスは、得意げな顔で、黒のアリスを見下していた。それを見た黒のアリスは、額に青筋を浮かべ、歯軋りをする。

「ぐっ!!」

 そのまま拳を握り、アリスに猛攻した。

「はぁあああーーーっ!!」

「そらそらそらそらっ!!」

 そして、激しいぶつかり合いが始まった。拳と拳、触手と蛇体が超スピードでぶつかり合う、凄まじい打ち合いだ。それはどんどん加速し、激しさを増していく。

「くっ!」

 アリスは一旦離れ、距離をとる。

「はぁあっ!!」

 黒のアリスはそんな彼女に迫り、拳を振り上げた。そして、渾身の一撃を放つ。しかし彼女は、高速移動でそれを避けた。

「にっ!?」

 次の瞬間、黒のアリスはぶっ飛ばされた。アリスが高速移動で攻撃を避け、背後から一撃したのだった。

「っ……!?」

「うぉおっ!!」

 更にアリスは追いかけ、ダメ押しにパンチを叩き込む。そして両腕にエネルギーを込め、黒のアリスにぶん投げた。

「っ!!」

 それは直撃し、大爆発を起こす。

「いくぞっ!!」

 アリスは猛スピードで飛んで、黒のアリスの正面に来た。先の攻撃で怯んでる黒のアリスは、驚きながら彼女を凝視するしかなかった。

「な……!?」

「おぉっ!!」

 そして、アリスが黒のアリスの顎を打ち抜いた。

「かっ……!!」

 脳震盪が起きて、彼女の視界がぐらりと揺れる。

「うぉりゃーっ!!」

 アリスはそんな彼女にアッパーし、打ち上げた。

「ぐぅううっ!!」

「がぁあっ!!」

 そして拳を握り込んでから飛び、凄まじい威力のパンチで顔面を打ち下ろした。その拳はビリビリと黒い稲妻が電光し、とてつもない威力を込めていることが分かる。

「あぐあぁあっ……!!」

 黒のアリスは地面に叩きつけられ、ダウンする。

「うぉおおお……っ!!」

 アリスは全身に闇の力を纏い、その状態で突っ込んだ。

「なに……!?」

 それが黒のアリスに着弾した瞬間、大規模な爆発が巻き起こり、天界を揺るがすほどの衝撃が轟いた。巨大な隕石でも落ちてきたかのようなクレーターが、天界の大地に刻まれた。

「うぐぅう……!!な、何故だ……!?」

「ふん……」

 黒のアリスが伏せながら、アリスを見上げる。彼女は、ニヤリと笑った。

「簡単な話だ……貴様はその変異で、凄まじいパワーを手に入れたつもりになっていた……」

「……」

「だけど……そんなパワー任せの変身では、余のスピードとパワーには追いつけまい……おまけに、そんな頭に血が上った状態ならば、尚更の事だ……」

「っ……!!」

 アリスは黒のアリスの前で、構え直した。

「さぁ、このまま終わりにしてやる……!!」

「く……く……!!」

 アリスは再び黒のアリスに猛攻しようとした、次の瞬間だった。

「はぁあっ!!」

 一筋の影が、アリスを蹴り飛ばした。

「っ!!?」

 それに直撃し、ぶっ飛んでしまうアリス。その影の主は、黒のアリスの隣に立った……

「あ、あなたは……!」

「くっ……!」

 プロメスティンだった。サイヤの力を宿したその姿に、黒のアリスも驚いている。

「あ、あなた……いったい、その姿は……!」

 不意に、黒のアリスの肩がちょいちょいと叩かれた。

「?」

「だぁあっ!!」

 次の瞬間、黒のアリスはバーダック:ゼノに殴り飛ばされた。

「っ!!?」

「黒のアリスっ!!」

 プロメスティンは高速移動で黒のアリスの方に回り込み、その身体を抱える。

「おい魔王、生きてるか?」

「ぐぬぬ……そこまでヤワではないわ……!」

 バーダック:ゼノもアリスを起こした。どうやら、大したダメージでも無さそうだ。

「プロメスティン……いったい、どういう風の吹き回しですか?それに、その姿は……」

「ああ、これはな……」

 プロメスティンは軽く自分の体について説明した後、真剣な顔で黒のアリスに向いた。

「黒のアリス、私達はとんでもない思い違いをしていたようだ……油断すれば、貴様の望みは露と消えるぞ……!」

「ええ……その通りですわ……」

「へっ、どうやらてめぇらも大した事は無さそうだ……」

「このまんま、終わらせてもらうぞ……!!」

 プロメスティンと黒のアリスが、バーダック:ゼノとアリスが並び、対峙する。

「プロメスティン。」

「?」

 黒のアリスがプロメスティンを呼んだ、次の瞬間だった。彼女の、異形の口が伸びてプロメスティンの右半身を喰らった。

「っ!!?」

「なんだっ!?」

「仲間割れか……!?」

 いや、違う。イリアスとの件を見る限り、アリスは喰らったものの力を利用出来る性質を持つという。ならば……

「これが、サイヤの細胞……はぁああっ!!」

 黒のアリスは、気を解放した。そして更なる変異を完了させ、息を吐く。そして、笑った。

「……はぁ……」

 異形の器官がその身に収縮し、完全な人間体になった。筋肉も張っており、より戦闘向けになっている。

「なるほど、そういう事かい……」

「ちっ……黒のアリスまで、サイヤ人の細胞を……!」

「……」

 プロメスティンは起き上がり、自身を再生させた。

「不本意ではあるが、仕方あるまい……やるぞ、黒のアリス。」

「ええ……足を引っ張らないで下さいね。」

 黒のアリスとプロメスティンの二人は構え直し、対峙した……

 サイヤの力を宿した二人。しかも邪神の生命力まで宿している完全存在に、どう立ち向かうのか……

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