もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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冥界の一歩手前

 邪神の力とサイヤの細胞を得たプロメスティンと黒のアリス。彼女達のパワーは凄まじく、バーダック:ゼノとアリスとルカを圧倒した。三人はやられてしまい、地に伏せる。

 邪魔者が居なくなった二人は、世界を手にするかと思われていた。しかしここで、プロメスティンが造反し、黒のアリスと対峙する。二人は、世界の全てを手にするための戦いを開始した……

 それを横目に、倒れ伏す戦士達。薄れ行く意識の中で、ルカが見たものとは……

 

 ………

 ……

「……」

 気付いたら、何も無い所に立っていた。地面はあるが、それ以外には何も無いのだ。一面の白が、目の前に広がっていた……

「ここは……?僕は、死んじゃったのか……?」

「ああ。」

 ルカの背後から、そんな声が聞こえた。

「っ!?だ、誰だっ!」

 振り返ると、そこには黒い羽衣を纏った赤髪の女性が居た。

「私は死神……まさか、貴様までここに来てしまうとはな……」

 死神と名乗る女はそう言って、ルカを見つめた。

「……ここは、何処なんだ?」

「ここは、追憶の間……冥府の一つ手前だ。」

「冥府の一つ手前……!?」

「ああ……ここは本来は自身の記憶から戦士を呼び出し、戦うための場所……言わば、修羅道のような所だ。今では、完全にアイツの修行場になってしまったが。」

「……」

 何を言っているのか、分からない。だが確かな事は、僕は冥府の一つ手前に来てしまったという事だ。

「……ここに来たのは、貴様だけではない……」

「なにっ!?」

 死神がそう言って、羽衣を翻す。そこから、グランべリアとアルマエルマとエルベティエとアリスが現れた。

「あ……アリスっ!グランべリア達も!」

「ルカ……貴様も、ここに来たのか……!?」

「魔王様、教えて下さい……一体、何があったのですか……?」

 グランべリアの声に、ルカとアリスの二人か向く。そして四天王の三人に、これまでの事を説明した……

「……そうですか、そんな事が……」

「ルカちゃん、まずはここから出ないと。早く目を覚まして、黒のアリス達を……」

「いや、無理だよ……」

 ルカは弱気な声で、下を向いてそう言った……

「……なにっ!?」

 それを聞いたアリスは、驚いてしまう。どんな逆境でも、困難でも、修羅場でも、頑張って乗り越えてきたルカが、弱音を吐いて戦うのを諦めてしまっている。冒険を始めた時にも、聞いたことがなかったのに……

「僕は……僕は今の力を得て、確実にあいつらを倒せると思っていた……だけど、黒のアリス達はそれを更に上回ってきたんだ……オマケにあの邪神の生命力とサイヤの力で、無限に戦闘力を高めている……勝てるわけ……ないじゃないか……」

「ルカ……!貴様は、ヴィクトリーから意志を継いだのでは無いのか!?」

「ヴィクトリーだけではない!あのハインリヒだって、貴様を信じて居るのだぞ!」

「……」

 アリスとグランべリアの言葉が、ルカの胸に突き刺さる。しかしそれは、単に彼を追い詰めるだけのものになっていた。

「分かってるよ……分かってるんだよ……そんな事……」

 ルカは、震えていた。あの世界を守りたいのは、山々なのだ。しかし、あの黒のアリス達の圧倒的過ぎるパワーに、どう立ち向かえばいいのか……

「ルカちゃん……」

「……」

 エルベティエは、ルカの肩を掴む。

「あなたは、この世界の希望全てを背負うたった一人の戦士……あなたが折れてしまえば、ヴィクトリーの意志も、ハインリヒの意志も……そして、私達の意志も露へと消えてしまう……」

「……」

「戦って。私達を無駄にしないために、そして自分の世界を守るために……」

「……」

 エルベティエの応援……しかし、ルカはまだ下を向いて震えている。

 すると、次の瞬間だった。彼女はいきなり、彼の頬をぶん殴った。

「っ!!?」

「エルベティエっ……!?」

「エルベティエちゃん!何を……!」

 ぶっ飛ばされ、頬を押さえるルカ。驚くグランベリアとアルマエルマ。静観する、アリス。

 エルベティエはルカに歩み寄り、構えた。

「……立ちなさい、ルカ。私が、叩き直してあげる。」

「……」

 そうだ。僕は、ヴィクトリーからこの意志を継いだんだ。ハインリヒだって、僕に未来を託してくれた。未来のみんなは、この世界の僕を信じて、新たな力までくれた。僕の父さんと母さんだって、人と魔物の共存を願い、戦ったんだ。

「……ありがとう、エルベティエ……目が覚めた……!!」

 ルカは立ち上がって、気を解放した。

「いくわよ……」

 そのまんま、エルベティエとルカはぶつかり合う。

「はぁっ!」

 ルカは、エルベティエに瞬剣・疾風迅雷を放った。

「ふんっ!」

 彼女はそれをいなし、彼の後頭部に後蹴りする。しかしそれを高速移動で避け、彼女の背後に回り、その背を切りつけた。

「うぐっ……!」

「はぁあっ!!」

 エルベティエは振り向く……が、振り向きざまのその顔面を、ルカの足が打ち抜いた。

「あぐっ……!」

 彼女は踏ん張り、ルカを見据える。そして手を向け、エネルギー波を放った。

「おぉおっ!!」

 ルカは魔天回帰を放って、エネルギー波を受け止める。そして押し返し、エルベティエに直撃させた。とてつもない大爆発が巻き起こり、辺りに地響きが轟く。

「ふふっ……」

 エルベティエは爆煙の中から出てきて、笑った。

「やるわね……!」

 そして、そう言いながらフルパワーのエネルギー波を連射した。

「はぁあっ!!」

 ルカはそれを次々に弾き飛ばし、彼女の方を見る。

「うしろよっ!」

 彼女は背後に回っており、廻し蹴りで彼を蹴り飛ばした。

「ぐぁあっ……!!」

「ふんっ!」

 更に猛スピードで吹っ飛んでいる彼の背後につき、蹴り上げる。

「ぐっ……!?」

 更に高速移動で、飛び蹴りした。

「うわぁあっ!」

「くらいなさいっ!」

 そして、津波のような激流の水弾──メルトシュトロームを放った。

「はぁあっ!!」

 ルカは手をヒュバババッと動かして、彼女に向けて合わせた手を突き出す。

「バーニングアタック!!」

 そして、高密度のエネルギー弾──バーニングアタックを放って、エルベティエのメルトシュトロームを押し返した。

「な……!?」

 それは彼女に直撃し、大爆発する。

「はぁっ……はぁっ……本当に……強くなったわね……」

「……」

 エルベティエは自分の体力の限界を悟って下がり、アルマエルマに目線を向けた。彼女は頷いて、ルカの前に出た。

「私もやるわ、ルカちゃん!」

「よし、来い!」

 ルカは、今度はアルマエルマと向く。二人は気を解放して、構えた。

「はぁあっ!!」

 アルマエルマはルカの懐に踏み込み、顔面と鳩尾と股間にジャブを放つ。彼はそれを掌で受け止めて、切りかかった。

「はぁあっ!!」

 彼女はそれを受け止めて、気を込めた掌底を叩き込んだ。

「あぐっ……!?」

 これは……未来に行った時のアルマエルマも使っていた──

「剛ぉおっ!!」

 更に金剛のような拳で正拳突きして、ルカをぶっ飛ばした。

「ぐぅうっ……!!」

「はぁあっ!!」

 吹っ飛んでいる最中の彼に、疾風のようなスピードで拳が飛んでくる。ルカはそれを次々と見切り、足払いした。

「きゃっ……!?」

「うぉおおっ!!」

 そして瞬剣・疾風迅雷を叩き込んで、ぶっ飛ばす。

「ぐっ……!?」

「はぁあーーっ!!」

 更に走りながら彼女を何回も切り、両足蹴りでぶっ飛ばした。

「くぅうっ!」

 彼女はぶっ飛ぶが、体勢を整える。そしてルカに向かって、飛んできた。

「はぁああーーっ!!」

 ルカは真正面から突っ込み、アルマエルマと激突する。

「ほらほらほらほらほらっ!!」

「うぉおおおおっ!!」

 そして、激しい打ち合いを繰り広げた。拳と拳、蹴りと蹴りが、超スピードで入り乱れ、凄まじい打ち合いの格闘戦が繰り広げられた。

「はぁあっ!!」

 ルカが押し勝って、アルマエルマをぶっ飛ばす。

「きゃあっ……!!」

「よし……!!」

 そして跳んで、アルマエルマに思いっきり壊斧・大山鳴動を叩き込んだ。

「あがぁっ……!!う、うふふ……や、やるわね……ルカちゃん……」

 アルマエルマは、掌でルカを静止した。どうやら彼女も、降参の模様だ。

 ルカも止まり、息を吐く。

「……今度は、私だ。」

 そう言いながら、ルカの背後から声をかけた主──グランべリアは、構えていた。

「グランべリア……」

「遠慮をするな、かかってこい!」

「ああ、行くぞ!」

 ルカは剣を持ち直して、グランべリアに突進した。

「ふんっ!!」

 グランべリアは、剣でルカの一撃を止める。その斬撃は凄まじい威力で、体もビリビリするほどだ。

「ずぁあっ!!」

 しかしグランべリアは一瞬で持ち直し、そこら辺を薙ぎ払った。

「ふっ!!」

 刃が当たる寸前にルカの姿が消えて、攻撃がすり抜ける。

「こっちだ!」

「なにっ!?」

 彼は彼女の剣に乗っており、そこから蹴りを放った。

「ぐっ!?」

 そしてバク転して着地し、地面を蹴る。その勢いで彼女の顎に膝蹴りして、回し蹴りした。

「ぐぅうっ!」

「ずりゃあっ!!」

 更に体を廻して、斬撃を放った。

「ふんっ!!」

 グランべリアはそれを受け止めて、ルカの腹に蹴りを叩き込んだ。

「おぐぅうっ……!!」

「くらえ……!」

 グランべリアは、その剣に炎を宿してルカに突っ込む。

「乱刃・気炎万丈!!」

 紅蓮の斬撃が、ルカの全員に叩き込まれた。

「ぐぁあっ……!!」

 速く、重く、熱い斬撃をモロに受けて、揺らぐルカ……しかし、歯を食いしばり、持ちこたえた。

「今度は……僕からだぁああっ!!」

「!!」

 ルカは、姿を消す。次の瞬間、紅蓮の斬撃がグランべリアに何度も叩き込まれた。

「ぬぉおおっ……!?」

「これでっ……どうだぁあーーーっ!!」

 ルカは拳を振り上げながら現れ、そこに土の剛力と火を纏う。そして、グランべリアの腹をぶん殴った。

「ぐはぁあっ……!?」

 彼女はぶっ飛んで、倒れた。これで彼女も、リタイヤだろう。

「や、やるな……」

「よし、余もやるぞ……!!」

 グランべリアと入れ替わるように、アリスが出てきた。

「こうして戦うのは、初めてだな……」

「ああ……手加減するなよ!!」

 ルカとアリスは構え、駆け寄る、

「うぉおおっ!!」

「はぁあっ!!」

 闇の拳と土の拳が、クロスカウンターした。それだけで凄まじい衝撃が巻き起こり、辺りを揺るがした。

「ーーーっ!!」

「ぐぅうっ……!!」

 二人はバク転しながら距離をとって、再びぶつかり合う。

「はぁっ!」

 ルカの蹴りを、しゃがんで避けるアリス。その足に、尻尾で足払いした。

「うわっ!?」

「ふんっ!!」

 アリスは、そのルカの腹に肘打ちした。

「ぐぐっ……!!」

 しかし彼は彼女の肘打ちを、両手で受け止めていた。

「なにっ……!?」

 そのまんま、頭突きする。

「うぐっ!?」

「せぇいっ!!」

 更に彼女の懐に踏み込んで、正拳突きした。

「おぐっ……!?」

「うぉおおおっ!!」

 そして渾身の蹴り上げで、蹴り飛ばした。

「ぐはっ……!」

「はぁあっ!!」

 ルカは剣に聖なるエネルギーを込めて、二回も振り上げる。すると、剣に纏われていたそのエネルギーが飛んで、二発の衝撃が彼女に叩きつけられた。

「ぐはぁっ……!」

「はぁあっ!!」

 落ちてくるアリスに、瞬剣・疾風迅雷を放つ。しかし、彼女はそれを受け止める。

「なにっ!?」

「はぁあっ!!」

 そして、腹をぶん殴った。

「あぐっ……!」

「そぉいっ!」

 更に裏拳してから、肘打ちでルカをぶっ飛ばした。

「ぐぁあっ……!!」

 高速移動でそこに回り込み、尻尾で彼を打ち上げる。

「はぁあっ!」

 そして、指をクンッと上げた。次の瞬間、煉獄の火炎がルカに巻き起こった。

「うわぁあっ!」

「はぁあっ!!」

 更に彼の所に高速移動して、顔面をぶん殴った。

「ぐっ!!」

 まともにくらってしまい、よろめく。

「はぁっ……!!」

 アリスはそのまんま、揺らいでる最中の彼を叩き落とそうとした。しかし、彼はすんでの所で意識を取り戻し、その攻撃をガードした。

「なにっ!?」

「こっちだ!」

 そしてアリスの背後に高速移動して、蹴り上げた。

「うぉおっ!!」

 そんな彼女に猛スピードで迫り、追い討ちにぶん殴った。

「ぐはぁあっ……!!」

「いくぞぉおっ!!」

 ルカは剣を寝かせて、アリスに瞬剣・疾風迅雷を放った。

「ぐはっ……!?」

「まだまだぁっ!!」

 更に何度も瞬剣・疾風迅雷を叩き込み、ダメージを刻んでいく。

「ぐぐっ……!!」

「はぁあっ!!」

 そして腕に土の剛力を込めて跳び上がり、アリスの顔面を打ち下ろした。

「ッッ!!?」

「はぁああっ!!」

 そのまんま、地面に叩きつけた。土の剛力で衝撃が轟き、地面が揺らいだ。

「はぁ……はぁ……」

「ふふ……やるではないか。」

 アリスはそう言って、ルカに微笑んだ。これで、気合いも入れ直せたはずだ。

「……」

 ルカも笑い返し、剣を納めようとする……

「あ、そうだ……」

 ふと、思い出したように死神に向いた。

「たまもはどうしたんだ?まさか、本当に死んだんじゃ……」

「いや、一応は生きている。しかし、エネルギーの使い過ぎで今は休息しているようだがな……」

「そうか、よかった……」

 ルカはそう言って、剣を納めた。そして、決意を固めた表情になる。

「じゃあ、元の世界に戻る方法とか無いかな?」

「私の力があれば、元の世界には戻れる。今すぐ、行ってしまうのか?」

「ああ、僕には時間が無いんだ……一刻も早く、黒のアリス達を倒さなきゃ……!」

 死神はそれを聞いて頷いた後、目を瞑る……

「……?」

 そしてしばらく経ったあと、目をゆっくりと開いた。

「……今、黒のアリスとプロメスティンは争っているようだ。」

「ふん、好都合だ。どうせならばどちらかが潰れた後に行ってやろうではないか……」

 アリスの言葉に、死神は首を振った。

「いや……両者共に、究極の生命力と強化細胞を持ち合わせている……どちらかが敗れても再生し、また再戦している……このまんまでは、永遠に(らち)が開かないぞ……貴様らは、まだ死なせる訳にはいかない……どうしたものか……」

「そ、そんな……」

「……だが、二対二で勝てるような相手ではあるまい。しかも、四天王達と余とで力を合わせようが奴はそれを上回るパワーアップをしてくるだろう……」

 どうしたものかと、その場に居た全員が考え込む。

「……ん、もうそんな時間か……」

 死神は天を見上げ、呟いた。

「……!!?」

 不意に、強大な気がこの空間に現れた。

「こ、この気は……!!」

「まさか……!!」

 その気の主は、ルカ達の前に降り立った……

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