もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
冥府の一つ手前まで来てしまったルカ。そこで黒のアリスとプロメスティンの強さに打ちひしがれ、挫折を迎えていた。しかし、そこに居た四天王達やアリスによって叩き直され、決意を新たにしたのだった。
覚悟を固めたルカは、早速現世に戻ろうとする。
しかし、そこに強大な気の持ち主が降りてきたのだった……
「こ、この気は……!!」
「まさか……!!」
「ん?ルカとアリスじゃねぇか!それに、四天王まで!」
ヴィクトリーだ。アルカンシエルに殺されたはずのヴィクトリーが、確かにそこに居たのだ。
「ヴィクトリー……っ!!?」
「う、ウソでしょ……ホントに、あのヴィクトリーちゃん……!?」
「これは……幻……!?」
グランベリア、アルマエルマ、エルベティエの順で、驚いた顔を見せる。そんな彼女らに対して、ヴィクトリーはいつもと変わらない様子で応接した。
「なぁに言ってんだよ。本当に俺だよ……」
「ヴィク……トリー……っ!!」
ルカは涙を浮かべながら、ヴィクトリーの前に来た。
「何だよルカ……情けねぇ
「ぼ、僕は……お前を……お前を守れなかった……!!僕が、僕が弱いせいで……!!」
ルカは、その場に泣き崩れてしまった。ヴィクトリーは、そんな彼の肩を叩く。
「そうか……俺の事を心配してくれてたんだな……ありがとうな。」
「ううっ……!!」
「それに、ごめんな。俺もあの時は、ああするしかねぇと思ってたんだ……」
「ほ、方法ぐらいは選べ……このドアホめ!!」
アリスも震えながら、ヴィクトリーにそう言った。どうやら、みんな彼の事を心配してくれてたらしい。
ルカはふと、彼の左腕を見た。
「……お前、左腕……」
そう、アンフィスバエナとツクヨミとの激闘で失っていた左腕が、元通りになっていたのだ。
「ああ、これか!最近死神さんの仕事手伝ってんだけどよ、なかなか大変でさ!片腕だけじゃ仕事が追いつかねぇから戻してもらったんだ!」
「そうか……」
ルカは顔を上げて、ヴィクトリーに向いた。ヴィクトリーはルカの顔を見て、笑顔を向ける。
「ルカ……おめぇ、強くなったんだなぁ!見ただけで分かる。びっくりしたぞ!」
「そうかな……?えへへ……」
次にヴィクトリーは、思い出したような表情になった。
「……それで、なんでおめぇらこんな所にいるんだ?」
「ああ……実は……」
ルカは、ヴィクトリーに今までの事を説明した……
「そうか、あいつらがか……あいつら、人の細胞使ってめちゃくちゃしやがって……」
ヴィクトリーはそう言いながら、下を向いた。
「残念だけど、俺は死んじまってるから向こうには帰れねぇんだ……どうしたモンか……」
「うん……でも、僕は頑張るよ!お前に助けられた命、無駄にはしたくない!」
「ああ……」
ヴィクトリーは立ち上がり、首を鳴らした。
「……ルカ。」
「ん?」
「せっかくこうして出会ったんだし、いっちょやりあって見ようぜ!おめぇがどれぐらい強くなったのか、見てみてぇんだ!」
「……!!」
「それに、もうこんな機会は二度とねぇかも知れねぇんだ。いいよな?」
確かに、そうだ。ヴィクトリーは、もう死んでしまっている。もう僕が死なない限りは、彼と出会うことは無いだろう。
「……分かった。でも、やるなら全力でやるぞ!!」
「ああ……元より、そのつもりだ!」
二人は、対峙した。空間が揺らぎ、二人のエネルギーがバチバチと散る。
「余達は邪魔になる。離れるぞっ!」
「はっ!」
アリスの指示で、四天王達も離れる。死神はアリスの横に瞬間移動し、二人を見つめた……
「よーし……」
ヴィクトリーは息を吐き、腰を落とす。
「はぁあっ!!」
そして、気を高めていく。その気は体の内側で高まり、そして光となって滲み出てくる。そんな光が彼の全身を包み、さらに眩く光る。それがひび割れ、崩れ……蒼色の神──超サイヤ人ブルーとなった、ヴィクトリーが出てきた。
「なにっ!?」
「か、髪が……蒼く……!?」
「それに、気も感じない……」
「あれが……あのヴィクトリー……!?」
アリスや四天王達は、驚いたような表情でヴィクトリーに視線を殺到させた。
「はぁああああっ!!」
一方のルカは、四精霊と天使の力を全開し、その身に圧縮した。
「……いくぞ!!」
「おぉっ!!」
ルカとヴィクトリーはそのまんま、激突した。
「だぁあああああっ!!」
「はぁあああああっ!!」
拳と拳が疾風のように飛び交い、互いの体を打ち合う。
「だりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ……!!」
「うぉおおおおお……!!」
そして二人は空中戦に発展し、尚も殴り合いを続けた。それはどんどん加速し、やがて二人は消える。そして、不気味に戦闘音と衝撃だけがこの空間に響いた。
「だぁあっ!!」
ヴィクトリーがルカの頬を打ち抜いて、ぶっ飛ばした。
「くぅううっ!!」
しかしルカは踏ん張って、エネルギー波を放つ。ヴィクトリーはすかさずそれを弾き飛ばし、彼の方を向いた。
「だぁあっ!!」
ルカは拳を握り、ヴィクトリーに殴り掛かる。しかしヴィクトリーも拳を握って、その拳にぶつけた。凄まじい衝撃が轟き、気の嵐が巻き起こった。
「ぬぉおっ!」
「ぐ……!なんて気だ……!!」
「す、凄い……人間が、こんな力を出すなんて……!」
「バケモノよ……どっちも……」
アリスと四天王達は吹っ飛ばされそうになりながらも、ヴィクトリーとルカの戦いを見据える。
「ぐうぅっ……!!」
「にひひ……!!」
二人は離れて、両腕にエネルギーを込める。
「だぁああああーーーっ!!!」
「あだだだだだだだだだ!!!」
そして、猛烈な気弾の打ち合いが始まった。爆発が連続し、軌道のずれた気弾がそこら中に拡散し、また爆発する。
「あだだだだだだだだだ……!!!」
ヴィクトリーは、気弾を連射し続ける。
「うぉおおおっ!!」
しかしルカはバリヤーを纏った猛突進──魔閃烈衝壁を使って気弾を弾き飛ばし、ヴィクトリーに突進してきた。
「なにぃっ!?」
「はぁあっ!!」
ルカは引き続き、タックルしにかかる。
「だぁあっ!!」
しかしヴィクトリーは拳を握って、魔閃烈衝壁をぶち破った。
「な、なにっ……!?」
「でりゃああっ!!」
そして、ルカをぶん殴る。
「ぐっ……!!」
「かめはめ波ーーーっ!!」
更に渾身のかめはめ波を、撃ち放った。
「うぉおおっ!!」
ルカは気を解放して、魔天回帰を放った。かめはめ波と魔天回帰は相殺され、エネルギーがゼロへと消える。
ルカは、ヴィクトリーの方を見た。しかし、彼はそこには居ない。
「こっちだ!!」
「な……!?」
ヴィクトリーは瞬間移動でルカに肘打ちして、ぶっ飛ばす。そして追いついて、猛烈なラッシュを繰り出した。
「くぅうっ!!」
ルカは体勢を整え、猛烈なラッシュに立ち向かう。
「うぉおおおおおおっ!!!」
「だぁああありゃあああっ!!!」
凄まじい拳の打ち合いが繰り広げられ、辺りに気の嵐が吹き荒ぶ。
アルマエルマはそれを見て、気付いた事があった。
「ルカちゃん……剣をあまり使ってない……!?」
「なにっ!?」
ルカは、拳でヴィクトリーと渡り合っている。しかし、決して手加減をしている訳では無い。彼は拳で、ヴィクトリーを感じていたのだ。
「うぉおおおおおおおっ!!」
ヴィクトリーの体に打ち付ける、拳の雨。こうして戦っている今、痺れ続ける拳のみが友達との絆なのだ。
ヴィクトリーは純粋に、ルカの成長に驚き、歓喜していた。
「もっと力出せぇっ!!そんなもんかぁあっ!!」
そう言って、ルカの腹に渾身の拳を叩き込んだ。
「あぐぅううっ!!そっちこそぉおおっ!!」
ルカは応えるように、ヴィクトリーの腹に拳を叩き込む。
「おぐぅううっ!!」
「もらったぁあっ!!」
そして、ヴィクトリーの顎にアッパーする……しかし彼はその勢いを利用したサマーソルトキックで、ルカを上空に蹴り上げた。
「ッッ!!?」
「でやああぁっ!!」
そして、そんなルカの所にまで飛び上がり、スレッジハンマーで叩き落とした。
「ぐはぁあっ!!」
ルカは地面に叩きつけられ、ダウンする。
生きていた頃より何倍も強くなっているヴィクトリー。恐らく彼は、死んで肉体を貰ってからも、修行を続けていたに違いない。なんなら今のヴィクトリーは、時を越えた先で出会ったヴィクトリーよりも強い。それほどまでに、圧倒的すぎる。
「うっぐ……!!」
「……」
ダメージに悶絶するルカの前に、ヴィクトリーは立った。
「……さぁ立てルカ!おめぇが世界のみんなを守るんだろ?」
「……!!」
彼の言葉で、ルカはハッとする。
そうだ。僕は、皆から希望を託されているのだ。アリス、グランべリア、アルマエルマ、エルベティエ……そして、目の前のヴィクトリーからも。だから……!!
「僕は……倒れないっ!!」
ルカはそう言いながら気を解放し、起きあがる。
「そうだ、その調子だ……!!」
ヴィクトリーも気を解放して、ルカに迫った。
「はぁあああーーーっ!!」
次の瞬間には、ルカの腹にヴィクトリーの飛び蹴りが炸裂していた。
「ぐっは……!?」
勢いよく水平に吹っ飛んでいく。そんなルカに、飛びかかる影があった。
「あだだだだだだだだだ!!!」
ヴィクトリーだ。ヴィクトリーが吹っ飛んでいるルカに追いつき、拳でラッシュした!
「でゃあだぁあああっ!!だだだだだだ!!」
「はぁああっ!!」
ルカは彼の一瞬の隙を見て、その腹に拳を叩き込む。
「おぐぅううっ!!」
「はぁああっ!!」
そして手を向け、エネルギー波で爆撃した。
「ぐぁああっ!!」
「はぁあああっ!!」
ぶっ飛ぶヴィクトリーに追いつき、ルカは何度も斬撃を叩き込む。
「ぐぅううっ!!」
「だりゃあっ!!」
そして顔面に両足蹴りして、更にぶっ飛ばした。
「ぐぅううっ!!」
ヴィクトリーは、この空間の地平線の彼方にぶっ飛ぶ。しかし、すぐさまルカに迫ってきた。
「うぉおおおっ!!」
その右腕に、燃えるような蒼い気を纏う。
「はぁあああっ!!」
ルカは右腕に土の剛力を込めて、ヴィクトリーを見る。
そして、二人にクロスカウンターした。蒼いエネルギーと土の魔力がクロスして、大爆発を巻き起こした。
「ぐぁああっ!!」
「ぐぅううっ!!」
二人はぶっ飛び、姿を消す。次の瞬間、この空間に凄まじい戦いの衝撃が連続する。
「だりゃりゃりゃりゃりゃ!!!」
「うぉおおおおおおっ!!!」
二人の怒号が、空間に響き渡る。
四天王達とアリスは目の前の、人が繰り広げる人ならざる領域の戦いに困惑していた。
「は、はやい……!!?」
「全く見えないわ……アルマエルマは?」
「わ、私も全く……!!」
「アルマエルマが見えん速さだと……!?」
「……」
死神だけが、冷静に二人の激戦を見ていた。
「この空間そのものが、揺らいでいる……奴ら、どういうパワーでぶつかり合っている……?」
そして、そう呟いた……
「ルカーーーっ!!」
ヴィクトリーの拳が、ルカの顔面を打ち抜く。
「ヴィクトリーーーっ!!」
ルカの拳が、ヴィクトリーの頬をぶん殴った。
両者は息を切らしながら、互いを見る。もう、この戦いは長くは続かない……
「ルカーーーっ!!今の俺の最高の技だーーーっ!!」
ヴィクトリーは手を合わせ、そこに神の気を流し込む。
「だったら、僕もだぁあーーーっ!!」
ルカは両手にエネルギーを溜め、ヴィクトリーの方に突き出す。そして、そこに水の力を流し込んだ。
「取っておきを見せてやるっ!!ゴッドかめはめ波ーーーっ!!!」
ヴィクトリーは、神の力を込めたかめはめ波──ゴッドかめはめ波を放った。
「我が母は明けの明星、曙の子……地に投げ堕ちた星、勝利を得る者……!!!明けの明星ーーーっ!!!」
ルカは、水の力と天使の力を込めたフルパワーのエネルギー波──明けの明星・無謬を放った。
二人のエネルギーはぶつかり合い、押し合いが始まった。
「ふんっぐぐぐぎぎぎぎっぎ……!!!」
「うぉおおおっおっおぉっ……!!!」
しかし、両者は一歩も退かずにエネルギーの押し合いをする。そんな拮抗した戦況の中、二人は思いっきり息を吸う。
「フルパワーだぁあああああーーーッッッ!!!!」
そして、二人のエネルギーが一気に増大した。凄まじいエネルギーは光となり、辺りを包んだ……
「そこだぁあっ!!」
「うぉおおおっ!!」
ヴィクトリーとルカは駆け寄り、拳を一閃させる。一閃が、交差した。次の瞬間、二人のエネルギーは大爆発した。
「ぐっ……!!?」
「ふんっ!」
死神は羽衣を広げ、バリヤーを展開してアリス達を守った。
「あ、ありがとう……」
「……どうなった?」
死神はアリスの礼を横目に、二人を見る。二人は、静止していた。そして……
「……がはぁあっ!!」
「ぐはぁあっ……!!」
そして同時に吐血して、墜落する……
「ちっ。」
死神は羽衣を伸ばし、二人を受け止めた。
「ルカっ!」
アリス達は、ルカに駆け寄る。
「うぐっ……ぼ、僕……強くなれたかな……?」
「ああ……!」
「あのヴィクトリーを相手に、凄いじゃないか……!」
「良かった……」
ルカは、満足そうな顔で笑った……
「へ、へへへ……俺はここでそうとうの修行を積んだってのに……ルカは、それに負けねぇパワーを得たってのか……!」
「……嬉しそうだな。」
死神はヴィクトリーを起こしながら、その顔を見つめた。
「へへへへ……!」
ヴィクトリーも、満足そうな顔で笑った……
「……もう行っちまうのか?」
「ああ、僕には時間が無いからね。」
ルカは準備を整え、遂に現世に舞い戻ろうとしていた。
「余達は、ここで待っていようと思う。」
「今の私達が行っても、足でまといになるのがオチだからな……」
アリスとグランべリアはそう言って、座る。アルマエルマとエルベティエも、そうするつもりらしい。
「ああ……僕一人で終わらせられるのなら、それが一番いい。」
「……」
死神はその手に禍々しい鎌を生み出し、それを持つ。そして、時空を断裂させた。
「……さぁ、行くがいい。貴様の為すべきことをなせ……」
死神の横で、ヴィクトリーが親指を上げる。
「……またな!」
「ああ……!」
ルカは、次元の断裂の中に入っていった……次元の断裂は閉じて、また無へと還る。
「……さて。」
次に死神は水晶を生み出して、それを丁度いい所に浮かばせる。
「見せてもらうぞ、この激闘の果てにあるものを……」
アリスと四天王達とヴィクトリーと死神は、座りながら水晶を囲んだ。
果たして、この戦いの先にあるものとは。そして、この世界の運命は……!?