もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
新たな決意を抱き、プロメスティンと黒のアリスと対峙したルカ。勝利は不可能と思われていた二人を前に、ルカのパワーが爆発する。更に仲間の想いを乗せた強烈な攻撃は、見事に二人を打ち砕いたのだった……
ルカは帰還する。魔王城へ、仲間の下に……
魔王城前……
「よくやったのじゃ!ルカっ!」
「勇者殿、見事であったぞ!」
「やりましたね!これでヴィクトリーさんも報われた筈です!」
「ああ、戦いはもう終わったんだな……」
たまもや八尾、ターブルやゴテンクス:ゼノが、魔王城前でルカを迎えた。
「うん……天使やキメラビースト達や魔物達は?」
「プロメスティンと黒のアリスの気が消えた瞬間、抵抗を止めた……」
「目立った死体蹴りも、されてねぇみてぇだぜ。」
そう言いながら現れたのは、悟空:GTだった。
「おう、おかえり!」
「そういう訳で、悪い事は起きてねぇ。安心しろ。」
「そうか……良かった……」
ルカは、ゴテンクス:ゼノ達に向いた。
「……所で、お前達誰だ?」
「ちょっ!その言い方は無いんじゃ無いのぉ?俺達はこの戦いに貢献してやったんだぜ!」
「あらら……俺達を知らねぇのか……ヴィクトリーら辺が言ってると思ってたのによ……」
「も、申し遅れました……僕はターブルで、この人は悟空さん、こっちはゴテンクスさんです。」
「そうか……」
おそらくは、バーダックと同様にヴィクトリーの寄越した戦士であろう。この人達も、骨身を削って戦ってくれたに違いない。
何はともあれ、本当に戦いが終わって良かった。ルカは、満足そうな顔で空を見上げた……
冥府の一つ手前……
「やったじゃねぇか!ルカの奴、勝っちまったぞ!」
「ああ!」
「ルカちゃん、ばんざーい!」
ヴィクトリーとアリスとアルマエルマはハイタッチを交わし、グランべリアとエルベティエは微笑んでいた。
「……強くなったな、ルカ……」
「これで、平和が……」
死神はというと、無表情のまんま水晶を見ていた。
「……信じられん。とても、勝てる状況では無かった筈だ……つくづく、謎な奴だ……」
「おそらくは、ルカの想いが無限大にも膨れ上がり、奴らを打ち砕いたのだろう……イリアス諸共な。」
アリスはそう言って、自慢げに笑った。それを聞いて、ヴィクトリーは死神に向く。
「死神さん、イリアスも死んだらこっちに来るんかな?」
「ああ……生命が尽きる時、魂は冥府に落ちる……それは、女神イリアスとて例外ではない……」
「よーし……じゃあ、仕事の時間だな!」
ヴィクトリーはそう言って、死神の横に立った。しかし、死神は無表情のまんま水晶を見続ける。
「……どうしたんだ?」
「イリアスの魂が、冥府から感じられない。」
死神がそう言った瞬間、四天王達やアリスの視線が死神に殺到した。
「な……なん……だと……!?」
「どういう……事よ……!!」
死神は、狼狽えるアリスやアルマエルマに向いた。
「イリアスは、生きている。」
そして、きっぱりとそう言った。
「何だと……!!?」
ルカ達の背後から、凄まじい気が現れた。
「!!?」
「なんだっ!?」
ものすごい爆煙が舞い、そこからエナジーが波動している。
「ま、まさか……!!」
八尾がそこまで言った、次の瞬間……その胸を、エネルギー波が貫いた。
「!!!!」
「ぐはぁあっ……!!?」
「八尾さーーーんっ!!!」
ターブルが、八尾に駆け寄る。
「今当たったのは誰ですか……?そうですか、八尾ですか……」
奴は、そう言いながら爆煙から出てきた。
全身の白く美しい肌……透き通るような羽根……体の節々でスパークするエナジー……姿は多少違えど、確かにイリアスがここに現れたのだった……
「イリ……ア……ス……!!!?」
「ふふふ、ごきげんよう……勇者ルカ。そして異世界の戦士と、醜き魔物達よ……」
「て、てめぇっ!!どうやって生き返った!」
「おめぇはルカが倒したんじゃねぇんか……!?」
イリアスは、ゴテンクス:ゼノと悟空:GTに向いた。
「ふっふっふ……いいでしょう、冥土の土産に教えてあげましょう……」
イリアスはそう言いながら、胸に手を当てる。
「私は黒のアリスに飲み込まれることで、邪神の力と女神の力を併せ持った完全存在になろうとしました。それで、わざと黒のアリスに飲み込まれたのです。見事にそれは成功。私の細胞には再生能力と、極限の生命力が宿りました。しかし、ここからは完全に予想外でしたよ。何せ、プロメスティンが細胞単位でサイヤ人に変異する薬を飲んでいたり、ましてや黒のアリスがそのプロメスティンの細胞を吸収し、この細胞にサイヤ人の特性まで併せ持ってしまったのですから……ルカの知っての通り、黒のアリスはカドラプル・ギガで粉々に打ち砕けた……しかし、私の細胞が一つだけ残っていたのです。決して、狙ってそうした訳ではありません。単に私の運が良かったのですよ……こうして私は異形ひしめく醜い姿では無く、この戦闘向けの美しい姿となって舞い戻ってきたのです。しかも、大幅にパワーアップして……!!これは、サイヤ人の死の淵から救われた事でパワーアップするという特性が、成した業なのでしょう……」
次にイリアスは、額に指を当てた。
「しかも私はこの細胞のヴィクトリーの記憶から、瞬間移動まで使えるようになってしまいました。ふふふっ……勇者ルカ、そして武闘家ヴィクトリー……あなた達は私を倒すどころか、色々とプレゼントをしてしまったようですね……」
「うぐっ……ぐっ……!!!」
「………」
不意に、たまもの気が膨れ上がった。
「うがぁああああああッッッ!!!よくも八尾をぉおおおおーーーっ!!!」
「!!?」
たまもは真の力を解放し、玉藻となり、凄まじい気を波動させた。
「お、おいっ!!行くんじゃねぇ!!」
悟空:GTの静止を無視して、彼女はイリアスに迫る。
「うぉおおおおおっ!!!」
そして、九烈死葬を放った。全てを焼き尽くす紅蓮の炎が、イリアスに叩きつけられる。
「うぁああああーーーっ!!!」
更に、エネルギー波を連射した。凄まじい大爆発が連続し、衝撃が響き続ける。
「ぐっ……!?」
「た、たまも……!!」
「ふ……」
イリアスはエネルギー波に被弾しながら、玉藻に迫った。
「なにっ!?」
「しゃあっ!!」
そして、こめかみに足刀した。鈍い音が響き、玉藻はぶっ飛ぶ。
「っ!!?」
「消えなさい、玉藻っ!!」
イリアスはそう言いながら、指先からエネルギー弾を放った。
「たまもさんっ!!!」
しかし、ターブルが玉藻の前に出て、手を広げる。
「ば、馬鹿っ!!ターブ……」
悟空:GTがそこまで言った、次の瞬間だった。次の瞬間、ターブルにエネルギー弾が直撃し、凄まじい大爆発が巻き起こった。
「ぐぁああああっ!!」
「うわぁああっ!!」
彼は胸に大きな風穴を開けて、倒れる。そしてその体が消散し、カードとなってしまった……
「く、くそぉおっ!!」
「このっ……!!」
悟空:GTとゴテンクス:ゼノが、イリアスに突進する。そして、一撃を放った。
「ふんっ!」
しかしイリアスはそれを受け止め、衝撃波で二人をぶっ飛ばした。
「ぐぁあっ!!」
「くそぉっ!」
悟空:GTは持ちこたえ、イリアスを見る。
「こ、これでもくらえぇっ!!」
そして、10倍かめはめ波を放った。
「小賢しいですね……」
しかしイリアスはそこに指先を向け、極太ビームで10倍かめはめ波を消した。
「!!」
そのビームは、悟空:GTの胸を貫く。
「そ、そん……な……!!」
彼もカードとなり、落ちてしまった。
「くっそぉおおっ!!」
ゴテンクス:ゼノが剣を振りかぶり、イリアスに振り下ろす。しかし彼女はそれを受け止め、彼の胸に手を添え、笑った。
「な……!!?」
次の瞬間、ゴテンクス:ゼノは凄まじいエネルギー波で消し飛んだ。そこからも、カードが落ちる。
「うふふ、では……」
イリアスは、玉藻に目を向けた。
「あぅう……ぅぐ……!!」
玉藻は倒れたまんま、うめき声をあげている。先程の一撃が、かなり効いている模様だ。
「……放っておいても、死にそうですね。では……」
イリアスは、ルカに向かい直した。
「勇者ルカ……あなたはこの計画の重要な駒。私を取り込んだ黒のアリスを、討ち滅ぼす役割を担った存在……あなたは、それを見事に成し遂げてくれました。それゆえに……あなたには、御褒美を差し上げましょう。」
「そんなもの、いるもんか……!!」
ルカの怒りが、ふつふつと沸騰する。そして……
「お前だけは、絶対に許す事が出来ない……!!この手で、倒してやる!!」
「その言葉、後悔しないように……」
ルカは四精霊の力と天使の力を解放して、イリアスに向いた。
「来なさい、ルカ……自分の無力を知りたいのならば……」
イリアスはそう言いながら、手を広げる。そして、目を鋭くしてルカを見下ろした。
「はぁああっ!!」
ルカは剣に気を込めて、イリアスに切りかかる。彼女はそれを、腕でガードした。次の瞬間、大爆発が巻き起こった。
「っ!!?」
イリアスの腕が消し飛び、バチバチとエネルギーが散る。
「どぉおおっ!!」
ルカはそんな事に気を取られている彼女の腹に、前蹴りした。
「っ!!」
「ずぁあっ!!」
そして顔面に頭突きして、剣の柄で腹を打ち抜いて、ぶっ飛ばした。
「……少しはやるようですね。」
イリアスの腕が、再生した。次に瞬間移動で、ルカの背後に回る。
「なっ!?」
「ごぁあっ!!」
そして、肘打ちでルカをぶっ飛ばした。
「ぐはっ……!?」
「罪人に、雷霆の裁きを……裁きの雷霆!!」
イリアスがそう言うと、上空に雷の刃が現れた。そしてそれは、ルカに向かって降り注いだ。
「がぁあっ!!」
ルカは剣を構えて、雷霆を全て弾き飛ばした。彼の周辺にも、雷霆は突き刺さる。
「……」
イリアスがニヤッと笑った、その時だった。周りの雷霆が光り、エネルギーが上昇する……
「なっ……!!?」
刹那、ルカを中心に凄まじい大爆発が巻き起こった。
「うわぁああああーーーっ!!!」
爆風が、魔の大陸全土に響き渡る。
「ふんっ!!」
ぶっ飛ぶルカの首根っこを、イリアスが掴んだ。
「うぐぅううっ!!」
ルカは何とか力を込めて、イリアスを大地に叩き伏せる。
「あはっ!!」
しかしイリアスは笑い、ルカの腹に両足蹴りした。
「おぐぅううっ……!!?」
ルカは上空へと打ち上げられ、宙を舞う。イリアスは飛び、その体を掴んで、大地へと叩き落とした。
「ッッッ!!!」
彼は地中奥深くに埋まり、血を吐く。
「ずぁあっ!!」
そんな彼にイリアスは両腕にエネルギーを込め、ぶん投げた。
「ちぃいいっ!!」
ルカは魔天回帰を放って、そのエネルギーを相殺した。
「なにっ!?」
「がぁあっ!!」
更に一気にイリアスの前に飛び上がって、スレッジハンマーした。
「ぐぁあっ……!!」
イリアスは着地して振り返り、ルカにエネルギー波を放つ。それは見事に直撃し、爆発した。
「うぐうぅっ……!!」
「ふふふ……」
戦況は、最悪だった……
冥府の一歩手前……
「が、頑張れっ!!絶対に負けるでないっ!!」
「ルカーっ!!負けるなーっ!!」
「ルカちゃんっ!!」
「ルカ……!!」
アリスと四天王達が、ルカに激励する……たまもやカードの戦士達が倒れた今、全ての希望はルカに託されているのだ。
「……負けるぜ、ルカは。」
ヴィクトリーは汗を垂らし、歯軋りをしながらそう言った。
「な、なんだと……!!?」
「僅かにルカの方が負けてる上に、イリアスは今も強くなり続けてる……ち、ちくしょう……完全に俺のせいだ……!!俺さえこの世界に来なければ、こんな……!!」
ヴィクトリーはそう言いながら、拳を握って震える。その拳から、血が垂れた。
「ち、ちく……しょう……すまねぇ、皆……!!こんな筈じゃなかったんだ……!!こんな、こんな……!!」
「……はっきり言ってやろう。」
死神は、ヴィクトリーやアリス達を見る。
「貴様らの世界は、終わりだ。」
「そ、そんな……!!」
「ここまで来て……全部、無駄だと言うのか……!!?」
「う、恨むわよ……!!自分の非力を……!!」
どうしようもない、絶望が皆に走る。もう、ダメなのか……
そう思った時だった。
「ばばーん!」
急に、白い兎耳の女が死神の横に現れたのだ。
「うわっ!?」
「な、なんだ!?」
「誰だっ!?」
「白兎……」
死神は、白兎に向く。
「いったい、何をしに来た……?」
「んー?暇だし、何か面白そうな事になってるから見に来ただけー。」
白兎はそう言いながら、水晶を覗き込んだ。
「あーあーあー、こりゃ完全にぱらどっくすっちゃってるね〜……」
「ぱ、ぱらどっくするってなんだよ……」
「誰のせいなのかな〜?」
意地悪な笑みを浮かべて、白兎はヴィクトリーに向いた。
「ぅ……」
「あらあら、そんなにしょんぼりする事無いじゃないか……それにしても、キミが異世界から来た戦士だよね。これ、どうすんの?」
「ほ、本当にすまねぇと思ってる……」
白兎は、しょんぼりするヴィクトリーの肩を掴んだ。
「全部、キミのせいだ……キミが、責任を取ってもらうよ。」
「え……!?」
「行ってきなよ。ただし自分の死体は見ないでね。その瞬間にここに戻る事になるから。」
「い、行ってきなよって言われても……俺はもう死んじまってるから……」
「だーかーらー、24時間だけ生き返らせてあげるから、とっとと何とかしてってよ〜!ていっ!」
白兎はそう言って、ヴィクトリーの額を叩く。すると、ヴィクトリーの頭に天使の輪っかが浮かんだ。
「おぉ……!」
ヴィクトリーは、一時的にではあるが帰還できる状態になった。異世界の戦士は生を吹き返し、再び現世に舞い戻る事になったのだ。
果たして、イリアスを倒せるのだろうか。そして、この世界の命運はどうなるのか……