もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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超強敵、七尾

「……!!」

「ん、あいつは……」

 しばらく歩いたところで、通せんぼするかのように扉の前に立ちはだかる妖狐が一匹。そして、いつの間にかアリスは居なくなっている。

「何モンだおめぇ……!!」

「お前もあの妖狐の仲間か……!?」

 その魔物は下半身がキツネ、上半身が人間の女で、その尻尾は、なんと七本。見るからに強そうで、これまでの相手とは格が違うようだ。

「えぇ、私は七尾と申します。」

 ……こいつが、たまもとかいう奴じゃないのか?

「……どうなってる?ルカ……」

「……僕は君とはぐれた後、妖狐と戦ったんだけど……その時に、たまもがどうこう言ってたんだ……」

 七尾が、僕達の会話に口を挟む。

「これより先は宝物庫。ゆえに通す訳にはいきません。引き返すならよし、それでも進むというのなら……」

「あんたを倒していけって訳か……」

「望むところだ!」

 真の勇者なら、ここで退きはしない!

「分かりました……たまも様の側近、七尾の力を見せて差し上げましょう!!」

 七尾の気がボウッと吹き出し、オーラが立ち込める。

「ぐっ……!!」

「気をつけろ……!!こいつ、相当強いぞ……!!」

 圧倒的な迫力におののきながら、二人は構えた。

「だぁあっ!!」

 まずルカが、七尾に雷鳴突きを放つ。

「へぇ……太刀筋はいいですね……ですがっ!!」

 尻尾の一本が彼に迫った。

「うっ!?」

 ヴィクトリーは飛び込み、その尻尾を蹴り飛ばして七尾を見る。

「武闘家……ただの武闘家では無さそうですね……」

「俺はヴィクトリー!よろしくなっ!」

「そうですかっ!!」

 七尾は尻尾を振りかざし、ヴィクトリーに叩きつけた。

「うぐぁっ!?」

 そのままヴィクトリーは壁に激突し、倒れる。

「まずは一人……!!」

 近づいて、踏み潰そうとした瞬間、背中に斬撃をくらう。

「勇者が居ましたね……」

「ぐっ……!!」

 ルカはすぐさま飛び退き、距離をとる。ヴィクトリーも起き上がってグッと拳を握り、七尾を見た。

「……二つの月」

 七尾がそう言った瞬間、七本の尻尾の内の二本が揺らめき、そして猛スピードで二人に迫ってきた。

「っ!?」

「なにっ!?」

 二人とも、何とか回避した。標的を逃した尻尾は壁や床を粉砕し、また七本の尻尾として並んだ。

「じ、冗談じゃねぇ……あんな攻撃、一発でもくらったら即死だぞ……!!」

「くそ……!!」

「安心してください、殺す気はありませんので……その代わり、あなたたち二人を快楽地獄に堕とし、私の射精奴隷にしてしまいますよ……」

 自分の優位を確信し、ぬけぬけと放つ勝利宣言。二人は諦めずに気合を入れ直し、構えた。

「があぁっ!!」

 まずヴィクトリーが気合砲を七尾の顔面に放ち、そしてルカが七尾の懐に潜り込み、魔剣・首刈りを放つ。

「ぐぐ……!!ぐぐぐ……!!」

「……どうしました……?勇者一行……」

 どうやら、僕達の連携ですら微々たるダメージに過ぎないようだ。いったいどれだけ攻撃したらこいつを倒せるんだ……!?

「とぉりゃあっ!!」

 ヴィクトリーが跳び、七尾の脳天に踵を落とす。

「痒いですね……」

「ぐ……くそ……!!」

「はぁっ!!」

 七尾は魔力を開放し、二人を吹っ飛ばした。

「ぎぃっ!!」

 ヴィクトリーはすぐに体制を立て直し、立ち上がる。そして、手を合わせて七尾を見た。

「……ん?」

「か……め……は……め……!!」

「……な、何……!?」

 七尾はヴィクトリーに異変を感じた。手の中で、膨大なエネルギーが閃光を放った時には、それが何なのか確信した。

「ま、まさか……あなたはパワーを自在に操ることが出来るのですか……!?」

「波ぁあああーーーっ!!!」

 ヴィクトリーは七尾に全力でかめはめ波を放った。

「ちぃっ!!」

 彼女は手を突き出して、かめはめ波を受け止めた。

「がぁっ!!」

 そしてそのまま爆発させ、かめはめ波を消し飛ばしてしまった。

「な……俺のかめはめ波が……!!」

「今度は私がプレゼントしますよ!」

 七尾が手を振り、エネルギー弾を放つ。

「はっ!?」

 そのエネルギー弾は彼に直撃し、爆発を起こした。

「ヴィクトリーッ!」

「あなたは自分の心配をしなさい!」

 七尾は七本の尻尾でルカを拘束してしまった。

「は、放せっ……!」

「放しませんよ……あなたはじっくりいたぶってあげましょう……」

 そう言い、尻尾をルカの股間部分に触れさせようとした所だった。

「んっ!?」

 七尾の顎にエネルギー弾が当たり、揺らぐ。

「今だっ!!」

 ルカは揺らいだ彼女を切り、脱出した。

「まだやられてねぇよ……!!」

 ヴィクトリーは爆発によって破れた道着をビリッと破り、上半身裸になる。

「……なるほど、武闘家らしくなりましたね……」

 ルカとヴィクトリーはまた並び、七尾を見据える。

「どうやら、二人ともただ強いだけではないようですね……いいでしょう……!!」

 そう言うと、七尾は木の葉を頭に乗せ、魔力を集中し始めた。

「な、なんて気だ……!!」

「……まともにくらえば……終わるね……」

 二人は身構え、攻撃に備えた。

「……覚悟は出来ましたね……?行きますよ……!!」

 七尾は魔力の集中を終え、二人に狙いを定める。

「く、くるぞ……!!」

「分かってる……!!」

「……七つの月。」

 七尾の尻尾が一斉にルカ達に押し寄せてきた。

 一の尾がルカに迫った。

「あぶねぇっ!!」

「うっ!?」

 ヴィクトリーはルカの頭を掴み、押し下げて避けた。

 二の尾が、彼に迫った。

「今度は俺かっ!」

 彼は何とか回避し、向き直す。

 三の尾が、ルカに迫った。

「ちっ!!」

 剣で受け、防御した……が、揺らいでしまう。

 四の尾が、ヴィクトリーに迫った。

「うぅっ……!」

 七尾を睨みながら地面に伏せ、回避した。

 五の尾が、ルカに迫った。

「……!!」

「あぶねぇっ!!」

 よろけている所にヴィクトリーが彼に足払いをかけ、すっ転ばせる。

 すっ転んだおかげで何とか回避出来た。

 六の尾が、彼に迫った。

「うわぁっ!!」

 当たるギリギリの所で跳び起き、回避した。

 満を持して七の尾が、迫ってきた……ルカに。

「しまっ……!!」

「ルカっ!」

 すぐにヴィクトリーがルカを抱え込む。

「なんと……この状況で盾に……!?いやっ!」

 七の尾は、二人をすり抜けた。

「残像拳!?」

「でぇい!」

「そこだっ!」

 ヴィクトリーとルカは七尾の両手に現れて、一撃を放った。

「うぐっ……」

 両胸に斬撃と打撃が叩き込まれる。二人はシュタッと着地し、彼女に猛烈なラッシュを決め込む。

「でゃだだだだだ……!!」

「うぉおおおおお……!!」

「……」

 その一撃一撃は微々たるダメージにしかならない。七尾はすぐに魔力回復をし、力を戻す。

「……月の光が無い地下洞窟だと、魔力の回復が大変ですね……」

「くそ……!!」

 七尾は余裕の笑みを浮かべ、ボロボロの戦士達を見た。

「決めました……完全に屈服させる為にこのままじわじわと力を強め、圧倒的な差を見せつけて、その上で快楽堕ちさせていただきますね……」

 七尾は構え、臨戦態勢をとる。

「ま、まずい……!!」

「諦めるなヴィクトリー!まだ僕達は戦えるはずだ!」

 二人も構え、七尾と対峙した。

「ふんっ!」

 彼女は猛スピードでこっちに突っ込んできたと思ったら、後ろに回り込み、二人の背中に肘を落としてきた。

「がっ……!!」

「うぐぁっ……!!」

 ルカは倒れたが、ヴィクトリーが踏みとどまる。

「波ぁっ!!」

 そして、振り返ってから至近距離でかめはめ波を放った。

「はっ!」

 だがそれは、片手で弾き飛ばされてしまう。

「な……なんだ……と……むぐぅっ!?」

 七尾はヴィクトリーの顔を掴むと、そのまま後頭部を思い切り壁に叩きつけた。

「む……ぐぐ……」

 彼女はニヤッと笑いった後、腕に気合いを込めた。

「あが……が……っ!!」

「つっ!?」

 ヴィクトリーは七尾の手をガブリと噛む。突然の痛みに、彼女は手を放してしまう。

「はぁ……はぁ……」

 彼女はヴィクトリーの唾液と歯跡がついた手を見てから、そこを舐めた。

「……れろぉ……唾液の味だけで力強さが伝わりますね……非常に力強く、非常に美味しい。」

「……変態っ!」

 拳を握り、頬に一撃食らわせたが……

「……」

 意に介さず、七尾はヴィクトリーを睨んだ。

「てやぁっ!!」

 ルカが彼女の背中に斬撃を放つ。

「なっ……!?あなたにもう立ち上がれる体力は無いはず……!」

 見ると、ルカは何故か全回復していた。

「僕は瞑想すれば傷が塞がるんだ!」

「る、ルカ……俺も少し休憩する……」

 ヴィクトリーは地にへなへなと腰をつき、座り込んでしまった。

 七尾はルカの方を見てから、魔力を集中させた。

「先程は仲間の救いがあったおかげで全部避けられましたが……今度はどうでしょうか……!!」

 ルカは腰を落とし、足を踏ん張り、攻撃に備えた。

「じゃあ、全部受けてやるよ……!!」

「愚策。」

 そのまま七尾は七つの月を放つ。

「うぐぐっ……!!」

 七本の尾が容赦なく襲いかかるが、それを耐える。

「でぁっ!」

 しばらくして、ルカは自分の股間に迫ってきた尾を切り伏せた。

「……これが最後の一撃みたいだな……」

「……まさか、本当に耐え切るとは……ですがっ!」

 いきなり七尾の怪しい瞳が光った。

「うっ……!?し、しまった……ぐぅ。」

 その魔眼を直に見たルカは、眠ってしまった。

「る、ルカ……!!」

「今度は回復する隙を与えませんよ……」

 そして、七尾の尻尾がルカに迫った。この時点で、ヴィクトリーはもうダメかと確信していた──

「ぐぅ……堕天舞踏……」

 ルカの姿が揺らぎ、尻尾を避ける。

「……!?」

「なんですって……!?」

「ぐぅ……アリス、雑草なんか食べちゃだめだよ……むにゃむにゃ……」

 ルカは、ぐっすり寝ている。

「今のは……偶然……!?」

「残像拳じゃねぇ……なんだ!?」

 七尾がまた尻尾で攻撃するが、それも堕天舞踏でかわされる。

「まさか、私を愚弄しているのですか……!?いや、間違いなく眠っているはず……!!」

「ぐうぅ……いっくぞ〜!九重の羅刹〜!」

 ルカの気がボッと膨れ上がり、台風のような風が吹き荒れる。

「は、はなれろーっ!!」

 ヴィクトリーはその場から離れた。すると、ルカが踊るような斬撃を繰り出した。その斬撃で壁や天井まで切り裂き、七尾に大ダメージを与えた。

「ま、まるで人が変わったように……!どういう事です!?説明しなさい!武闘家!」

「俺かよ!俺に聞かれても知らねぇよ!」

 七尾は少しうろたえた後、またルカを見る。

「ならば、これはどうです!?」

 ルカに二つの月を放つが、これも堕天舞踏でよけられてしまった。

「これは……いったい……!?」

「何だか知らねぇけど、何とかなりそうだ!」

「むにゃむにゃ……おなか……いっぱい……」

 そう言い、ルカは手に魔力を凝縮させ、七尾に放つ。

「こんなものっ!!」

 七尾もエネルギー弾で対抗したが、七尾のエネルギー弾はあっさり負け、ルカの魔力が勝った。

「すぅ……すぅ……魔天回帰。」

「うぎゃあぁっ!!」

 凝縮した魔力が七尾に炸裂し、爆発した。

「こ、この魔力はいったい……!?こうなれば全力で葬り去るのみです……!!」

 七尾は手を合わせ、魔力を集中した。

「はぁあああーーーっ!!!」

 そして、ルカに七つの月を放つ。

「むにゃむにゃ……だめだよぉ……」

 ルカの体から魔力のドームが浮かぶ。七尾の尻尾がそのドームに入った瞬間、ルカは両手を突き出し、馬鹿でかいエネルギー波を放った。

「まずいっ!!」

 ヴィクトリーは目の前で腕をクロスし、備えた。

「きゃあああああああああああ!!?」

 それをモロにくらった七尾は大爆発し、黒焦げになったまんま、そこに立ち尽くした。

「ぁ……ぅ……そ……そんな……馬鹿……な……。」

 彼女はその言葉を最後に、体が消散し、狐の姿に封印されてしまった。

「……?エンジェルハイロウを使ってねぇのに……?」

 ヴィクトリーは狐を見ながら疑問に思った。でもとにかく、強敵を倒せたから良かった。これで宝物庫に行ける。

「ふぁあ……よく寝た……」

 ルカは今になって目を覚まし、辺りをきょろきょろと見渡した。

「……そうかっ!魔眼で眠らされて……それで……」

 見ると、大きな狐とヴィクトリーがいる。

「ヴィクトリー、こいつは……?」

「七尾だ。」

「……え?」

 いったいどうなっているんだ……?

 更にその場に現れたのは一匹の子狐。最初に戦った妖狐が封印された姿だ。そいつはちょこまかと地面を駆け、封印七尾の隣に並ぶ。

「……???」

 大小並ぶ狐に僕は首を傾げるのみ。

「おめぇ、全く覚えてねぇんか……?」

「というより、完全に眠っていたようだな……」

 ヴィクトリーの隣にアリスが立っていた。

「アリス、ヴィクトリー……いったい、何があったんだ……?」

 もしかしてアリスが危ないところを助けてくれたとか……無いか。

「ヴィクトリーがやったんじゃないのか……?」

「ちげぇよ……」

「眠っている方が強いとは、わけのわからん奴だ……」

 二人の話によると、僕は眠っていたまんま七尾を倒してしまったらしい。正直な所、全く覚えていないのだが……

「貴様、これから寝ながら冒険したらどうだ?その方が楽そうだぞ。」

「や、やだよそんな……」

「ムリがあんだろ……」

 いや、それはともかく……

「先に進もう!たまもってやつはその先に行ったんだ!」

 もしかしたら、もう海神の鈴を奪われてるかも知れないが……

「あぁ、行こうぜ。」

 アリスは二人を静止する。

「いや……遅かったようだな……」

「……え?」

 すると、おもむろに宝物庫の扉が開き、一人の少女が姿を現した。

 雰囲気や外見を見る限り、こいつも妖狐のようだ。七尾だった狐は少女の傍らにつき、子狐は少女の足に擦り寄ってくる。

「……ルカ、こいつつえぇぞ……!!七尾なんかとは比べ物にならないぐらい……!!」

「えっ!?」

 七尾よりは強くなさそうだと思い、安堵したところにヴィクトリーの言葉で驚く。

「ドアホめ、尻尾の数を数えてみるがいい。」

「えっと……ひぃ、ふぅ、みぃ…………九本?」

 少女の尻尾の数は間違いなく九本あるようだ。

「でも、七尾より二本増えただけだったら……」

「ドアホめ。九尾は最上位の妖狐だ。七尾とは比べ物にならん。」

「そもそも七尾相手にアレだったんだ……今の俺達にはどう頑張っても勝てる相手じゃない……」

「そう、奴こそ魔王軍四天王の一人、たまも。グランべリアと同格の最上位魔族だ。」

流血表現

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