もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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その後の物語
サキュバス幻想


 魔物とは。女神イリアスが人間を創る過程で生まれた、失敗作。そんな教えを、見事に払拭した戦士達が居た。

 ルカ、アリス……そして、ヴィクトリー。彼らは人と魔物の共存に向け、凄まじい戦いを繰り広げた。そして、長く激しい死闘の末にイリアスを討った。これで戦いは終わり、この世界に平和が戻った……かに思えた。

 しかし、戦いは続いていた。伝説の勇者『ルカ』と、総ての魔物の頂点『アリスフィーズ』は、完全な人と魔物の共存を目指し、今日も戦う……

 

 ヴィクトリーはというと、世界を流浪していた。人とも魔物とも戦い、ひたすらに自分の強さを極めていた。完全に成った人と魔物の共存の中で、自分だけの戦いをしているのだ。またいつか来るかも知れない、凄まじい敵にも備えるために。そして、ルカ達にも負けないように……

 

 ある山奥、海岸沿いの小さな村を、サキュバスが襲った。そこに、ルカ達が乗り込んだとの話だ。いつもならば、「ルカも頑張ってるみてぇだな」程度で済むのだが、この暴動は何かがおかしい。

「今になって、サキュバス達が暴動を……?アルマエルマは何してんだ……?」

 とりあえず、ただ事ではない状況のようだ。

「へへへ、面白そうだな……よし、行くか!」

 ヴィクトリーは飛び上がり、情報があった所へと飛ぶ。果たして、そこで何が待ち受けているのか。そして、この暴動の真相とは……

 

 しばらく飛んで、たくさんの気が乱れ減っているのが感じられた。

「……ここら辺か。」

 眼下を見下ろすと、そこではサキュバス達が男を貪っていた。

「ひゃ〜……すげぇ光景だ……」

 淫靡な女体が、男達を貪っている。一見すればただの乱交パーティっぽいが、男達は死ぬ寸前まで追い込まれている。嬌声と喘ぎ声が入り乱れ、訳の分からぬ状況である。

 精液がそこら辺に飛び散っており、正直近寄りたくもない。

「……」

 しかし、何処からか凄まじい気を感じる。この者の気は、真の力を解放した、たまもと互角ぐらいだろうか。しかし……

「あはっ!」

 考えていると、サキュバスの一体がこっちに目をつけた。

「!」

 サキュバスは飛んできて、ヴィクトリーにスレッジハンマーした。

「うわぁあっ!?」

 地面に激突する寸前に体制を整え、顔を上げる。既に、サキュバス達に囲まれていた。

「あはは、かわいい男の子!」

「それに、ちょっといい体してるわね……どうやって搾ってあげようかな……」

 ジロジロと、物色の目がヴィクトリーに殺到する。さっきまで男を相手にしていたサキュバスも離れ、新鮮な餌に向く。

「おめぇら、何でこの村を襲った!」

 そんな視線に臆すること無く、ヴィクトリーは言い放つ。しかし彼女達は、彼の体をじろじろ見ながら、クスクス笑う。

「答える義理なんか無いわ……」

「大人しく、搾られてなさい……」

 やはり、こちらを餌としか認識していない模様だ。

「ちっ……!」

 まずは、やるしかないようだ。ヴィクトリーは軽く準備運動してから、構えた。

「よし、来い!」

 その言葉を合図に、サキュバス達はヴィクトリーに襲いかかってきた。

「だぁあああーーーっ!!」

 ヴィクトリーは気を全開放して、サキュバス達に向かう。

「やぁあっ!」

 抱きつきにかかってくるサキュバスの腹に膝を叩き込み、頭を掴む。

 そして、別のサキュバスにぶん投げた。

「なっ!」

「怯むな、やれっ!」

 一体のサキュバスがそう言いながら、ヴィクトリーに踵落としを放つ。しかし彼はそれを受け止め、そのサキュバスの足を掴んだ。

「なっ……!?」

「だりゃああっ!!」

 そしてグルグルとぶん回し、他のサキュバスを巻き込みながら暴れ回った。

「きゃぁああっ!」

「〜〜っ!!」

「だっはーっ!!」

 そしてパッと手を離し、派手にぶん投げる。

「かめはめ波ーーーっ!!」

 そのサキュバスにかめはめ波を放って、爆撃した。

「つ、強い……!?」

「何者なの、この子……!!」

「……」

 ヴィクトリーは構え直し、周囲のサキュバスに向く。ここでふと、覚えのある気が背後で爆発した。

「!?」

 サキュバス達の視線も、そこに向く。

「羅刹の顎門、破軍に至りて邪を払う!」

 次の瞬間、サキュバス達に次々と紅蓮の斬撃が走り、断末魔も残さず消散していった。

「おお、すげぇ威力!」

「なんだ、先に来てたのか。」

 出てきたのは、ルカだった。

「随分と久しぶりだな……」

 その横に、アリスも居る。三人は背中を合わせて、サキュバス達に向いた。

「こんな山奥の村を、サキュバスが襲撃するなんて……いったい……」

「話は後だ、全員ぶちのめすぞ!」

「待ってましたァ!」

 三人は気を全開放し、サキュバス達に突撃した。

「やぁあああっ!!」

「だぁあああっ!!」

「どりゃああっ!!」

 三人は鬼神の如く暴れ回り、迫り来るサキュバス達を次々と叩きのめした。

「腕は萎えてないみたいだな、二人共!」

「冗談キツイよヴィクトリー!僕は人と魔物の共存のために、戦い続けてるんだ!」

「もちろん、余もな!」

 三人はそう言い合いながら、サキュバス達を倒し続けた……

 

 何処か……

「勇者ルカ、嘗て世界を救った英雄……」

 謎の女が、水晶を見ながらそう言う。その水晶には、暴れ回る三人を映し出していた。

「現在も人と魔物の共存のために、旅を続けているとか……」

 水晶の映像が、ルカからアリスに変わる。

「アリスフィーズ、総ての魔物の頂点に立つ魔王。今は勇者と共に旅をし、人に仇なす魔物を討伐している……」

 今度はアリスから、ヴィクトリーに変わった。

「勇者ヴィクトリー、この世界を救った異世界からの戦士……今もなお強さを極めるために、この世界で修行を続けている……」

 女は一通りそう言ってから、顎杖をついた。

「我が配下どもには、荷が重いか……」

 しかし、その目を鋭くしてから、ニヤリと笑う。

「良かろう、欲望と誘惑の世界に招待してやろう……!」

 女は気を解放して、その目を紅く光らせた……

 

「はぁあっ!!」

「つぉおっ!!」

「波ーーーっ!!」

 思い思いに、サキュバスを倒し続ける戦士達。その戦士達の体に、妙な魔力がまとわりついた。

「な……!?」

「な、なんだ……?か、体から力が抜ける……」

 急に、三人は脱力状態になってしまった。周囲から、女の笑い声が響く。

「ん……?」

 アリスは、周囲を見回してみた。そして、何かに目を付けたようだ。

「ふ、二人共!あれを見ろ!」

「なんだっ!?」

「きゃーっ!パフェだ!こ、こんなに食べきれないぞ〜!」

「……」

 アリスの目の前に、パフェなんて何処にも無い。ヴィクトリーとルカは、きゃっきゃとはしゃぐアリスの背中を見るだけだった。

「……どうやら、幻覚状態に陥っちまったみてぇだな……」

 悠長な奴だな、なんて思いながらヴィクトリーはそう言い、ルカの方を向く。しかし、そこに彼の姿は居なかった。

「……あれっ?」

 というか、アリスも居なくなった。いつの間にか、孤立してしまったのだ。

「る、ルカーっ!アリスーっ!どこだーっ!」

「うふふ……」

 ヴィクトリーの背後から、サキュバスが強襲してきた。

「ちっ!」

 一撃を腕でガードし、サキュバスを睨むヴィクトリー。

「欲望と誘惑の世界へようこそ……勇者様……!」

「うふふふ……」

「くすくす……」

 周囲から、大量のサキュバスが湧いてきた。それと同時に、体が重くなる。

「ぐっ……ぐっ……!!?ど、どうなってやがる……!?」

「必死になって……可愛い。」

 サキュバスの一体がそう笑って、ヴィクトリーに近寄る。しかし彼も、黙ってはいなかった。

「ちっ……はぁあああああっ!!」

 気を解放する。その気が高まり、髪の色が明るくなり、そして金髪になった。それと同時に、凄まじい気が嵐のように吹きすさび、波動した。

「!!」

「え……!?」

 ヴィクトリーは、金色の伝説の戦士──超サイヤ人になったのだった。先までの脱力状態が嘘だったかのように、全身から力を漲らせている。

「へへへ、体が軽くなってくれたぞ!やるか!」

 ヴィクトリーはそのまんま構えてから、サキュバスに突進する。

「だりゃああっ!!」

 顔面をぶん殴り、一体をぶっ飛ばす。

「そ、そんな……!」

「この欲望と誘惑の世界で、戦いを展開するなんて……!」

「まさか、性欲より戦闘欲の方が上だというの……!?」

 欲望と誘惑の世界──それは、あらゆる知的生命体に必ずしも眠っている欲──性欲を映し出し、その欲のままに堕落させる世界。しかし目の前に居るのは、戦う為に生まれたサイヤ人。寝るより食うより戦いが好きな、戦闘狂。世界は彼を性欲のままの堕落の渦では無く、戦闘欲のままの戦いの戦火へと導く結果になってしまったのだった。

「なぁにボサッとしてんだ!いくぞっ!!」

 ヴィクトリーは敵陣に突っ込み、一体の顔面に踵を落とす。

「がふっ……!」

「な、なめるなっ!私達は魅凪(みなぎ)様の手下!」

「武術の心得ぐらい、積んで……」

「へぇ、おめぇらのボスはミナギって言うんか?」

 ヴィクトリーはサキュバスの前に高速移動して、笑う。

「だっ!!」

 サキュバスは、そのヴィクトリーの顔面に拳を放った。しかし彼は、その拳を掌で受ける。

「だりゃああっ!!」

 そしてそのサキュバスの股間を蹴り上げて、思いっきり蹴り飛ばした。

「〜っ!!」

「ハイーッ!!」

 別のサキュバスが、ヴィクトリーに踵落としを放つ。

「よっ!」

 ヴィクトリーは腕をクロスして、その踵落としを受け止めた。

「あはっ!!」

 別のサキュバスが、魔力を拳に込めてヴィクトリーに殴りかかる。

「でいっ!」

 ヴィクトリーはその拳に頭突きして、サキュバスの手を砕いた。

「いっ……!?」

「そんな、あの子の拳はフライパンも貫く……」

「おめぇはいつまで俺の腕に足乗っけてんだ!」

 ヴィクトリーの目が、キッと鋭くなる。すると、踵落としをしたサキュバスがぶっ飛んだ。それを確認した後、手が砕けたサキュバスに目を向ける。

「ちょ、待っ……!!」

「あだだだだっ!!でぇいっ!!」

 容赦なく腹にパンチを連打してから、顎を蹴り上げる。蹴り上げで浮かんだサキュバスの足を、掴んだ。

「な、なんて強さなの……!」

「怯むなっ!多人数でかかるのよ!」

 サキュバスのうちの一体がそう言うと、サキュバス達は一斉に襲いかかってきた!

「だりゃあああーーーっ!!」

 しかしヴィクトリーはサキュバスをぶん回して、迫り来るサキュバスを次々に弾き飛ばした。

「〜〜〜っ!!」

 未体験すぎる遠心力と連続する衝撃に晒されたサキュバスは、目や口から色々な液体を垂らしながら絶句している。

「だっはーっ!!」

 そのサキュバスを、集団になってるサキュバス達にぶん投げる。

「わっ!」

 みんなでそのサキュバスを受け止める、サキュバス集団。

「波ーーーっ!!」

 ヴィクトリーはそのサキュバス集団にかめはめ波を放って、爆撃した。

「このっ!」

 背後からサキュバスが、ヴィクトリーの首を絞めてくる。

「おっ!?」

「や、やった!」

「いや、このまま押さえつけるわよ!」

 サキュバス達は、次々にヴィクトリーに組み付く。

「くっ!」

 ヴィクトリーは完全に押さえつけられるが、すぐに笑った。

「だーーーっ!!」

 そして、体の中心から全てを破壊するような爆発──超爆発波を放った。

「きゃぁあああーーっ!!」

 サキュバス達はぶっ飛んでしまい、次々に倒れていく。

「さぁ、もっと来い!」

 ヴィクトリーはそう言って笑い、構え直す。

「はぁあっ!!」

 サキュバス達は両手にエネルギーを溜めて、ヴィクトリーにエネルギー波を連射する。

「そう来たか!」

 飛んでくるエネルギー波を、次々に弾き飛ばす。

「あだだだだだだっ!!」

「ちょ、こっちに飛んできたわよ!」

 そう、ただ単に弾き飛ばすだけではない。サキュバス達を狙って、そこに弾いているのだ。

「だだだだだだ……!!」

「はぁあっ!!」

 ヴィクトリーの死角から、サキュバスが蹴りを放った。

「いっ!?」

「このっ!!」

 そして、ヴィクトリーにエネルギー波が連打された。爆発が連続して、衝撃が轟く。

「はぁ……はぁ……」

「や、やったか……?」

「ふんっ!」

 爆煙を振り払い、ヴィクトリーが出てきた。

「お〜、いてぇ……今のは気をつけねぇとな……」

 しかも、大したダメージを受けていなさそうだ。

「え……!?」

「そんな……!」

「おかえしだっ!」

 ヴィクトリーは両手にエネルギーを溜めて、エネルギー波を連射した。エネルギー波の連射は凄まじく、サキュバス達にエネルギー波が雨のように降り注いだ。

「きゃあああーーーっ!!」

「だだだだだだ……!!」

 そして暫くエネルギー波を連射し続け……遂に、サキュバスの集団は完全に崩れた。

「っふぃ〜……ようやく片付いたぜ……」

 そう言いながら汗を拭い、超サイヤ人を解く。

「さて、ミナギって奴を探さねぇとな。何処に居るんだろうな……」

 ヴィクトリーは目を瞑り、気を張り巡らせる。

「……」

 この空間の何処か……凄まじい気を、感じる。おそらくは、例の本気出したたまもと同じぐらいの気の持ち主だろう。しかし、その力は彼女以上と見ても良さそうだ。ここまで鮮明に気を察知できる……ということは、この気の持ち主の所に近づいているって考えても良さそうだ。しかし、細かい居場所までは分からなそうだ……

 そう思い、目を開けると……

「……っ!?」

 魔王城の、演習場に居た。さっきまで、あの変な空間に居たはずだ。なのに、いきなりワープしてしまったようだ。

「くっ!」

 額に指を当て、ルカやアリスの気を探る。しかし、二人の気は感じなかった。

「無駄だ。」

 そう声をかけたのは……

「……っ!!」

「ふふふ、驚いているようだな?」

 なんと、グランべリアだった……

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