もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
六祖である魅凪と激突する戦士達。その実力は、まさに脅威と言えるものだった。あまりにも、一方的過ぎる戦いに、戦士達は絶望する。
しかし……
「フュージョンするぞ、ヴィクトリー。」
ルカが、覚悟を決めた目で、ヴィクトリーにそう言った。
「フュージョン……!?」
「ああ……今の僕達じゃ、どうひっくり返っても勝てっこない……!!賭けるしかないんだ……!!」
「で、でもよ……」
「ここであいつを倒さないと、あの村のような被害がまた出る……そんな事、させるわけにはいかないんだっ!!」
「ルカ……」
真剣なルカの眼差しが、ヴィクトリーを捉える。彼はというと、その眼差しを三秒ばかり受け……
「……へへへ……」
笑った。屈託無く、白い歯を見せて、良い笑顔で笑ったのだった。
「……僕、変な事言ったか?」
不思議に思ったルカは、ヴィクトリーにそう問うてみる。彼は、首を振って返事した。
「いや……ルカの口からフュージョンしようなんて言葉が出てくるなんてなぁ。俺、嬉しくってよ。」
「そ、そんなに嬉しいのか?変なやつ……」
ヴィクトリーはホイポイカプセルから二対の融合道具──メタモリングを取り出す。そして、その一方をルカに渡した。
「フュージョンの仕方は、何となく分かるな?」
「ああ、イリアスの時と同じだ……!」
ルカとヴィクトリーはメタモリングを腕に装着し、丁度良さげに距離をとる。
「よし、いくぞっ!!」
「ああ!」
「うぐぐ……!!」
太陽拳で目をやられていた魅凪、ようやく視力を取り戻す。そして、二人を見た。
「フュ〜……ジョンっ!!」
「……何をしているんだ、あれは……?」
二人はというと、既にフュージョンをしようとしていた。魅凪は、彼らのフュージョンのポーズに困惑気味な表情を浮かべる。ふざけてるのかと思って、邪魔する気にもなれなかったのだ。その硬直が、今の二人にとっては何よりのチャンスだった。
「はっ!!」
二人の指と指が合わさり、凄まじい気が吹き出た。そこら辺に閃光が広がり、天を衝くほどの黄金の気が立ち上がる。そして二人は融け合い、その力を一つにしたのだった……
「な……!!?」
「すぅ……はぁ……」
黄金の気の主は瞑想をして、ゆっくりと息を吐く。そして、目を開けた。
「はぁあっ!!」
光が吹き飛び、そいつは姿を現した。髪の色は黒紫、目はオッドアイ、服装はヴィクトリーの道着とルカの服装が混ざった感じだ。
「……何者だ、貴様は?」
魅凪はというと、冷静に彼を見据えていた。何となく察しては居たが、一応聞いておこうと思っての質問であった。彼はそんな彼女に向け、ルカとヴィクトリーの声が重なったような声で笑う。
「僕か……?僕はルカとヴィクトリーの融合戦士……ルクトリーってトコかな。」
「ほう……?」
かつてイリアスを追い詰めた、伝説の勇者と究極のヒーローの融合戦士──それが、今ここに再臨したのだった。
「へへへ……」
ルクトリーはそのまんま、四精霊の力と天使の力と超サイヤ人ブルーの力を解放した。あの時の力を惜しみなく開放し、万象を圧倒する蒼い気を嵐のように巻き上げたのだった。
「!!!」
魅凪は、すぐにルクトリーのパワーがどの程度のものかに気づいた。燃えるような神の気と、柔らかく熱い天使の気と、それぞれの精霊のエナジーが波動する。その背中には巨大な白翼が顕現し、直ぐに光となって霧散した。蒼髪を揺らしながら、光のオーラに包まれた彼は、真っ直ぐに彼女を見据えた。
「……こいつが、ルクトリーブルー……さぁ、決着をつけようぜ!」
「なるほど……敵に置いて、不足なしという事か……!!」
魅凪は腕をクロスし、気を全開放した。
「!!!」
その気は、ルクトリーに負けず劣らずの気である。赤とピンク色とクロの気が巻きあって、凄まじく圧倒的な気の嵐となる。それは、ルクトリーの神々しい蒼の気と対比するような禍々しく、邪悪な気であった。
「ふっふっふ……さぁ、来るがいい!」
「……どうやら、とことんまで一筋縄じゃいきそうにねぇな……」
ルクトリーと魅凪は構え、互いを目に捉える。その時の睨み合いに、辺りに地響きが鳴った。二人のパワーが、この欲望と誘惑の世界を揺るがしているのだ。
「……だぁあっ!!」
「はぁあっ!!」
二人の拳がぶつかり合い、凄まじい衝撃が巻き起こった。地上でこんなパワーのぶつかり合いが巻き起こったら、大陸の大半が更地になってしまうほどの威力であった。
「流石は六祖……!!や、やるじゃねぇか……!!」
「お、お前こそ……!!」
二人は一旦離れ、猛スピードで攻防した。その格闘戦の速度は初速から人智を越えたスピードで始まり、互角にぶつかり合う。
「はぁああああっ!!」
「おぉおおおおっ!!」
攻防が加速し、二人は姿を消す。厳密に言うと、速すぎて常人には二人の姿を捉えることは不可能になったのだった。そして、この世界を揺るがすほどの衝撃が連続した。
「あだだだだだだっ!!」
ルクトリーの蹴りが、魅凪の胸に連打される。
「うぐっ……!!」
魅凪はダメージを受けて、揺らぐ。
「そこだぁっ!!」
その隙に、ルクトリーのパンチが顔面へと射出された。
「……はぁあっ!!」
しかし、パンチが着弾する前に魅凪は体勢を整え、ルクトリーの顔面に足刀した。
「〜っ!!?」
あまりの威力に、彼は揺らぐ。
「そこだ……!!」
その隙を見た彼女の手によって、ルクトリーの拳がおもむろに掴まれる。それで拘束した彼の胸に、エネルギーを込めた掌底を叩き込んだ。
「あがああぁっ!!?」
ルクトリーは、血を吐きながら水平にぶっ飛ぶ。しかし、すぐさま気を爆発させ、止まった。
「ふふ……!!」
「こっちだ!!」
ルクトリーは瞬間移動で、魅凪の背後に回る。そして、その横腹を思いっきり蹴った。
「がはっ!?」
魅凪は踏ん張り、ルクトリーに向く。それと同時に、拳を放つ。
「ふっ……!!!」
ルクトリーは見切ってそれを避け、その手にエンジェルハイロウを掴む。
「だっ!!」
「っ!!?」
振り上げの一閃により、魅凪の腕が切り落とされた。宙を舞う腕が、回転しながら浮かび上がり、そして重力に従って落ちていく。
「なに……!?」
肘から下が、綺麗に寸断されたのだ。切り口から、血液が吹き出ている。
「くらぇええっ!!」
ルクトリーはそのまんま片手に土のエネルギーを込め、魅凪の腹につける。そのまま、ゼロ距離の土魔法──魔天回帰・傾国を放った。土の力と神のエネルギーを込められたエネルギーは、魅凪の腹を貫いた。
「ぐぶっ……がぁあっ!!」
魅凪はそんな状態にも関わらず、ルクトリーに蹴りをお見舞いした。
「ぐあっ!?」
凄まじい威力の蹴りを、モロに食らってしまった。ルクトリーは一瞬だけ揺らぎ、魅凪を見る。
「……ふふ。」
魅凪は腕と腹に力を込めて、震えている。
「……な、なんだ?」
「はっ!」
魅凪の腕と腹が、再生した。ポンッと、軽々と再生されてしまったのだった。
「な、なんちゅう奴だ……」
「私は邪神様が直接生み出した六祖のうちの一人だ……
魅凪はそう言って拳を握り、ルクトリーの顔面にストレートを一閃させた。
「〜っ!!?」
速すぎる拳に直撃し、鼻血を噴きながらぶっ飛んでしまうルクトリー。
「ふんっ!」
魅凪はそんな彼の足を掴み、思いっきり投げ飛ばす。
「くっ!」
ルクトリーは体勢を整え、魅凪を見る。
「はぁっ!」
彼女は既に眼前にまで迫っていた。そして、拳を振り下ろしてくる。
「くそっ!」
ルクトリーは気を解放し、魅凪と攻防する。
「でゃだだだだだだっ!!」
「ふはははははっ!その程度か!?」
疾風のように拳が飛び交い、エネルギーが轟く。
「そこだっ!」
魅凪の膝蹴りが、ルクトリーの腹を打ち抜いた。
「おうぅうっ!?」
「しゃっ!!」
更に、そのまんまルクトリーを蹴り飛ばす。そして手を向け、エネルギー弾を連射した。
「ふんっ!」
ルクトリーは持ち直し、エネルギー弾を弾きながら魅凪に迫る。そしてエンジェルハイロウを手に、その懐に瞬間移動した。
「なにっ……!?」
「魔剣・首刈りっ!!」
渾身の魔剣・首刈りが、魅凪を打ち上げた。
「がふっ……!?」
突き上げたのは、喉ではなく顎。顎に凄まじい衝撃をくらったことで、魅凪は脳震盪を起こしていた。
「よっしゃーっ!!」
ルクトリーは剣にエネルギーを込め、ぶん投げる。すると剣が高速回転し、魅凪を切り裂き続けた。それでもなお、彼女を斬り続ける。
「ぐぁああっ!?」
「くらえぇっ!!」
怯む魅凪に、ルクトリーは超かめはめ波を放った。超かめはめ波は彼女に直撃し、大爆発する。
「……どうだ!?」
「はぁあっ!!」
魅凪は、ダメージを負っているようだ。こちらの攻撃は、ちゃんと効いている。
「がぁあっ!!」
拳を固め、ルクトリーに攻め込む魅凪。しかしその背後で、剣がブーメランのように舞い戻り、彼女の背中に突き刺さった。
「がはぁああっ!?」
突然のダメージに、魅凪は硬直してしまった。彼女に確かなダメージを負わせた後、剣はルクトリーの手に瞬間移動する。
「はぁああっ!!」
ルクトリーは魅凪の顔面を掴み、思いっきり地面に叩きつけた。凄まじい衝撃が巻き起こり、立ち込めた砂埃すらも吹っ飛ぶ。
「がはぁっ……!!?」
「どうした魅凪!!伝説の六祖ってのは、こんなものなんか!?」
「ぐぐぐ……図に乗るなァアアアッッ!!!」
魅凪は体中のエネルギーを暴発させ、爆発波を放った。
「ぐぁあっ!?」
その爆発波に直撃し、ぶっ飛ぶルクトリー。しかし体勢を整え、地面に着地する。その目の前に、魅凪が高速移動してきた。
「はぁああっ!!」
拳にエネルギーを込め、金剛のような拳を固める。それを、ルクトリー目掛けて打ち放った。
「滅びろぉっ!!」
彼は対抗するように拳を固め、そこに神のエネルギーを込める。
「はぁあああっ!!」
そして、それを魅凪に打ち放った。
両者の鉄拳が激突し、ぶつかり合った。衝撃が巻き起こり、一帯が消し飛ぶ。それでもなお、二人のエネルギーが噴き上げ続ける。
「はぁぁぁぁああああああああああ!!!」
「うぁぁぁぁああああああああああ!!!」
バチバチとエネルギーが散り、凄まじい突風となって吹き荒ぶ。
「だぁああああああああああーーーッッッ!!!」
ルクトリーは気を全開放し、魅凪を押した。
「なに……!!?」
「どりゃあああっ!!」
そして、顔を思いっきり蹴り上げた。
「がふっ……!!」
「おぉおおりゃああああっ!!!」
胸の中心を、拳のストレートで打ち抜く。
「おぐぅっ……!!」
魅凪はそれを受けながら、ルクトリーの腕を掴む。
「なっ!?」
「せぇえいっ!!」
そして、思いっきり背負い投げをした。
「ぐはぁあっ……!!」
「せいっ!!」
追い討ちに、ルクトリーの足を踏みつけようとする。しかし彼は避け、魅凪にタックルした。
「にっ!?」
「うぉおおっ!!」
そのまんまマウントポジションを取り、その顔面にパンチを連打する。
「オラオラオラオラオラオラオラ……!!」
「くそっ……!!」
魅凪はルクトリーの顔面を掴み、エネルギーで爆破した。
「がはっ……!?」
「はぁあっ!!」
今度は、逆に彼女がマウントポジションを取る形となった。その構図は、奇しくもサキュバスが男を搾るための画であった。
「そぉらそぉら……!!」
自分の股と、ルクトリーの股間を艶めかしく擦り付ける。
「くっ……!!」
「おっと!」
抵抗しようとするルクトリーの顔面を、思いっきりぶん殴った。
「がはっ……!!」
「大人しくしていろ……じきに夢中になってしまうのだから……!!」
魅凪が指を鳴らすと、魅凪の包帯がルクトリーの全身を締め上げた。
「ぐぁああああ……!!?」
ギチギチと全身が締めあげられ、骨が軋み、内臓が圧迫される。拘束は相当の強度になっており、火と土の力を全開にしても解けそうになかった。
「く、くそっ……!!」
「まだ抵抗するか……こうなってしまえば、何もかも無駄だと言うのになぁ……!!」
魅凪はルクトリーの股間を素股で擦りながら、顔を近づける。
「この……!!」
急に
「ふふふ、必死な顔も可愛らしいなぁ……」
「黙……れぇえええーっ!!!」
ブチ切れたルクトリーは、界王拳を使った。
「10倍界王拳ーーーっ!!!!」
凄まじい気が大爆発し、自身を拘束する包帯を吹っ飛ばす。
「なっ……!!?」
「うぉおりゃああああっ!!!」
そのまんま、一気に魅凪に猛攻する。
「うぉっ!?」
魅凪は何とかガードするが、あまりにも苛烈な猛攻により、どんどんガードが崩される。凄まじいパワーと圧倒的なスピードに、彼女が追いつけないのだ。
「ぐ……ぐぐ……!!?」
「そこだぁあっ!!」
ルクトリーは魅凪のブロックを崩し、腹にストレートを一閃させた。
「おぐぅううぅうっ!!?」
「どりゃあああーーーっ!!!」
更に思いっきりハイキックをして、魅凪を遥か上空へと蹴り上げる。
「ぐはぁあ……!!?」
「はぁあああっ!!シルフ、ノーム、ウンディーネ、サラマンダー!!来いっ!!」
右手に風と土の力を、左手に水と火の力を込める。そして両手を合わせ、そこに神の力を流し込んだ。
──そう、これぞ聖魔の力を得てからサイヤの力を得た女神を追い詰めた、最強の必殺技。ルカとヴィクトリーの究極技が合わさった、究極合体奥義。そしてその威力は女神を追い詰めた時の10倍。
「くらぇえええっ!!!10倍ゴッドカドラプルかめはめ波ーーーっ!!!」
ルクトリーは、魅凪にとてつもなく強大なエネルギーを撃ち放った。それは10倍界王拳を使用した事により、更に凄まじい威力となっていた。
「!!!」
見事に魅凪に直撃し、天を覆うように光が拡散する。そして、ものすごい大爆発が巻き起こった。
「はぁっ……はぁっ……!!」
ルクトリーは界王拳を解き、魅凪を見る。爆煙が晴れ、魅凪の姿が覗いた。
「ぁが……が……!!!」
魅凪は、ボロボロの状態で浮かんでいた。どうやら、ギリギリで回避しようとしたらしいが失敗したらしい。
「ハァッ……ハァッ……!!」
「ぐ……ぐぐぬぬ……!!け、消し飛んだ組織が多すぎる……!!」
魅凪は自身を再生しようとはするが、あまりにも大きいダメージに再生が追いつかないようだ。
「く、くそ……!!ここは……!!」
「うぉおおっ!!」
ルクトリーは、すぐさま魅凪に殴りかかる。しかし、拳が当たる寸前で魅凪は消えてしまった。
「ぐっ!?」
すぐに、周囲を見回す。しかし、魅凪は現れなかった。そしてあの強大な気も、完全に消え失せていた……
「……ちっ、逃げられたか……」
ルクトリーは臨戦態勢を解き、通常状態に戻る。そして座ってから倒れ、息を吐いた……
「……おい、起きろ!起きろ、二人共!」
アリスの声で、目が覚めた。空はとっくに夜明けを迎えており、朝日が差している。
「う、う〜ん……」
「いででで……」
「全く、何をやっているのだ……貴様らが寝ぼけている間に、全てのサキュバスを片付けておいたぞ。」
アリスの言う通り、周囲にサキュバスの気は無い。どうやら、マジで全員ぶちのめしたらしい。
「大丈夫か?貴様らがサキュバスの術に掛かっている間、ずっとうなされていたのだぞ……」
「そっか……」
「ありがとう、アリス……」
二人は立ち上がり、朝日に向かう。
「……久しぶりだな。僕とお前がこうやって、同じ方向を向くのも。」
「ああ……」
「……ふふっ。」
ルカとアリス、そしてヴィクトリー。彼らは、何とかサキュバスの大軍を押し返したのだった。しかし今回の件で、三人は確信した。「まだ、戦いは終わってはいない。」と……
何処か……
「……」
魅凪が体を再生させながら、水晶で三人を見ていた。
「勇者ルカ……勇者ヴィクトリー……お前らがますます欲しくなったぞ……」
ここで、ようやく魅凪の右腕の傷が再生した。魔力も筋肉も張り、更に強靭な腕になっている。彼女はというと、その右手の指を鳴らしながら笑っていた……
「次の……宴は……っふっふっふっふ……」