もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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サン・イリア城

 一行は、サン・イリア城へ向かう。その道中、ラミアが現れたが、何とか無事に倒した。そして、無事に目的地に到着したのだった。

 

 サン・イリア城の起源は、巨大な聖堂だった。そこから国家が発展し、大司教様が国王となったのである。

 信仰深い冒険者ならば、サン・イリア城とイリアス神殿にはぜひ訪れてみたいものだ。しかし……

「サン・イリア王ってのは、洗礼を受けてねぇ勇者にも道示してくれんのか?」

「うぐっ……」

 そう、一つ大問題があったのだ。サン・イリア王は洗礼を受けてない勇者にも道を示してくれるのだろうか。とりあえず勇者のような顔をして、僕達は門の前に立つ。辺りには、王への謁見を希望している勇者達が暇そうにたむろしていた。

「たっくさん居るな〜……この分だと、俺たちの番が来るのは相当後じゃねぇか?」

「だろうね……」

 そう喋っていたら、二人の兵士が話しかけてきた。

「む、お主たちも王への謁見を希望か。謁見許可の申請用紙に名前を記入してもらいたい。」

「は、はい……」

「あいよ〜」

 渡された用紙に名前と出身を書き込む。洗礼を受けたかどうかの欄が無くてほっとした。

 そして、書き終えた用紙を兵士達に渡す。

「我らが王は旅の勇者を歓迎する……だが、いつでも誰とも会えるというわけにもいかぬ。」

「手続きが終わる三日程度、このサン・イリア城に滞在するが良かろう。」

 その言葉を聞き、勇者二人は絶句する。

「み、三日……」

「そんなにかかるんですか……?」

「城内は自由に出入りしていいが、二階より先への立ち入りは許可が必要だ。また、城内の修道院は開かれており、寝泊りは自由となっている。」

「はい、分かりました。行くぞ、二人とも。」

「……」

「み、三日か……四天王に世界滅ぼされちまわねぇかな……」

 退屈そうなアリスと心配そうなヴィクトリーを引き連れ、僕は城の中に入っていった。

 

 目を奪われんばかりの荘厳な建築。そして、イリアス様や天使様などを描いた美しい宗教芸術。その素晴らしさに、思わず僕は目を奪われてしまう。

「ひゃ〜……すげぇ……」

「……」

 同じく感動するヴィクトリーと、美味しいものなど影も形もなく、全く楽しそうじゃないアリス。

「……すごいな、これ……」

「あぁ……」

 目に付いたのは、巨大なイリアス様の像。ルカは二人の方に向き、解説を始める。

「これが、有名な『壮麗たる女神イリアス像』だよ。」

「こんな立派な像、イリアスヴィルにも無かったぜ……」

「あぁそうか。」

 真面目に聞くヴィクトリーとつまらなそうにするアリスを横目に、ルカは解説を続ける。

「イリアス様はまず、最初の男女を形作られ……その二人を導くため、このイリアス像を授けられたんだ。それ以来、数千年……このイリアス像は、僕達人間を導き続けてきたんだよ。」

「はぇ〜……」

「所で二人とも、このイリアス像の前では、みんな腰に添えた剣の向きを気にしているだろう。」

 ヴィクトリーが周りを見ると、兵士達は剣をチラチラ見たり、動かしたりしている。

「ホントだ、どうなってんだ?」

「それはね、イリアス五戒の『神に剣を向けるなかれ』という項目があるからなんだよ。剣先がイリアス像の方を向いてしまわないように、みんな注意してるんだ。」

「あっ!ルカも剣を下に向けてんのか!」

「へへ〜ん!」

 ヴィクトリーは、面白そうに食いついてくれたが……

「ふん、下らんな。ところでこの像、気に食わんから破壊していいか?」

「いーわけねぇだろ!!」

「僕の話ちゃんと聞いてたのかよ!!」

「……ちゃんと聞いておるわ。相変わらず、人間はドアホだな。剣先をイリアス像の方に向けない……?『神に剣を向けるなかれ』とは、神と敵対しないよう戒めているのだろう。それを馬鹿正直に受け止めて、像にまで剣を向けないようにするドアホがいるか。」

「いや、まぁそうなんだけど……」

 確かに、アリスの言うことはもっとも。しかし、多くの人はイリアス五戒をずっと教えて来られたのだ。イリアス様の姿をかたどったものに、剣先を向けるなんて恐れ多くて出来やしない。

「ま、のんびり待つしかねぇか。三日もかかんだろ?王様への謁見はさ。」

「そうだね。」

「三日もこんな所で……退屈で退屈で死んでしまうぞ……もしかしてこれは貴様らの策か?魔王である余をヒマ殺し、世界を平和に導こうという魂胆か?」

「そんな事言ってないで、もう少し城内を見学しようよ。ほら、楽しいよ。」

「なんで貴様はウザいぐらい元気なのだ……」

 ぐずるアリスを引きずりながら、僕達は城内を見て回るのだった。

 

 一通り城内を見て回った後、休憩する事にした。

 僕とアリスは椅子に腰をつきながら、ヴィクトリーは腕立て伏せをしながら。

「……疲れないの?」

「動いてねぇと落ち着かねぇんだ。」

 そう言いながらイチ、ニと腕立て伏せをしている時だった。誰かが大声で僕の名前を呼ぶ声がする。

「おい、ルカ殿はいるか!?さっき、王に謁見を申し込んだルカ殿だ!」

 赤い羽飾りをつけた衛兵隊長が血相を変え、僕の名を呼んでいる。

「は、はい……ここに居ます……」

 僕はおどおどしながら、彼の前に進み出た。やっぱり、洗礼を受けてない身での謁見はまずかったか……!?

「むむっ、お主か。これより至急、王が謁見なさる。直ちに来られるがいい。」

「えっ……?」

 いったい、どういう事だ……?思ったより、王様はヒマ……などということはあるまい。

「勇者ルカ一行の武道家殿の方はおるかっ!?」

「俺もか……」

 ヴィクトリーが立ち上がり、衛兵隊長の前に進み出る。

「そうだ、お主も勇者ルカと王の間に行くがいい。」

 一体どういうことなんだ……?

 こうして僕達は、王の間へと慌しく招かれたのであった……その背に不機嫌そうなアリスを従えながら……

 

 玉座に座っている王様は、統治者というよりも偉い賢者様のようだった。柔和そうな表情に、穏やかな眼差し……しかし、何処か落ち着きの無いように見える。

「お連れしました。王様。」

「ふむ、では下がるがいい。この者に内密の話があるのだ。」

「はっ……」

 サン・イリア王は早々に衛兵を追い払ってしまった。ここには王と僕とヴィクトリー、そしてアリスの四人きり。いかに僕達が勇者を名乗ってるからって、これはちょっと不用心じゃないか……?

 そう思っていたら、サン・イリア王の話が始まった。

「勇者ルカとその仲間よ……ひとつ、無礼な質問を許してもらいたい。」

「え……?あ、はい。」

「構いません。」

「お主たち……洗礼を受けていない、という事はないか?」

「ううっ!」

 いきなり、痛いところを突かれてしまった。

「はい、確かに受けてません。それがどうかしましたか?」

「!!」

 ヴィクトリーが馬鹿正直に答え、ルカは絶句する。そして、サン・イリア王の目がカッと見開かれる。

「おぉ!やはりお主たちこそ、イリアス様のお告げにあった通りの……!」

「え、ええ……?」

 呆気にとられる僕の前で、サン・イリア王は語り始めた。

「あれは昨晩……私の夢枕にイリアス様が現れたのだ。美しいお髪に、その清らかな御尊顔……汚れない体を覆う、薄い衣服。その姿はまるで……」

「そんな事はどうでもいい。先を語らんか。」

 アリスがサン・イリア王の言葉を遮った。

「お、おい!王様に向かって何て口を……!」

 なんと無礼な奴なんだ……と思ってみたものの、こいつも王だったか。しかも魔王。

「……ともかく、イリアス様は私にこうおっしゃったのだ。洗礼無き勇者達が間もなく現れる。『祝福無き勇者』の彼らこそ、魔王を打ち倒す者なのだ、と……」

「ぼ、僕達が……?」

 なるほど、そういう事だったのか。

「では、祝福無き勇者達よ!道を示そうぞ!」

 二人はサン・イリア王を見て、言葉を待つ。

「このセントラ大陸に住む三人の賢者達を訪ねよ!そして、彼らに己が力を示し、それぞれの証を授かってくるのだ!三賢者に認められた者にのみ、これを授けよう……」

 王の玉座の隣……そこにはいかにも立派な剣があった。きらびやかに輝き、細かな装飾が施された剣だ。

「これは真の勇者が手にするべき剣、『女神の宝剣』!この剣を前にすれば、あらゆる魔物はひれ伏し、魔王さえ逃げ惑うという!」

「……」

 アリスは平然とした様子。どうやら、ひれ伏しも逃げ惑いもしないようだ。

「さぁ、三賢者から証を手に入れて参れ!そうすれば、お主にこの剣を授けよう……」

「下らん茶番だ。付き合ってられるか。」

 アリスはおもむろに、その剣の前へと歩み出た。

「……ヴィクトリー、構えろ。」

「……は?」

 アリスはいきなり女神の宝剣を掴むと、思い切りヴィクトリーに投げつけた。

「!!」

 彼は反射的に、その剣に回し蹴りを放つ。すると、剣は粉々に砕け散ってしまった。

「な、なんと……!」

「アリス……!」

「……〜っ!?」

 アリスは二人に向かう。

「見ての通りだルカよ。こんな玩具では魔王どころか四天王にも傷一つつけられない……そして、そこの脳みそ筋肉にすら擦り傷一つつけられなかった。」

「あ、あちゃ〜……こ、壊れちまった……」

 ヴィクトリーはその場に立ち尽くし、申し訳なさそうにするが、アリスは話を続ける。

「三賢者?証?こんな年寄りの妄言に従った所で、時間の浪費だ。」

「ぉぉぉ……」

 サン・イリア王の顔面は蒼白で、怒るとかそういう次元じゃない。口を開けたままガクガクと震え、目は虚空を向いてしまってる。

「ご、ごめんなさい……俺も砕けるとは微塵も思ってなくて……」

 後頭部に手を回し、汗をかきながらサン・イリア王に謝るヴィクトリー。そんな二人を無視しながらアリスはルカの方を向いた。

「ロクでもない王の代わりに余が勇者の道というものを示してやろう。四精霊の地を訪れ、彼女達の力を借りるがいい。」

「よ、四精霊……?」

「サラマンダー、ウンディーネ、シルフ、ノーム……このセントラ大陸に彼女達ゆかりの土地が現存している筈だ。そこを探し出し、四精霊の力を得るのだ。」

「その四人の力を借りるとどうなるんだ……?」

 アリスはフッと笑い、ルカを見据える。

「強大な力を得られる……彼女達に認められさえすればな……」

「本当なのか?だいたい、お前に勇者の道を示してもらってもなぁ……」

 なにせ、相手は魔王なのだ。魔王に勇者の道を示してもらうなんて、そんなおかしな話があるだろうか。

「では、このろくでも無い王の言う通りにするか?」

 目線を移すと、ヴィクトリーがサン・イリア王を揺すったり、粉々になった女神の宝剣をチラチラ見たりしている。

「三賢者という連中に認めてもらったところで、『女神の宝剣』は木っ端微塵だぞ。」

「う……」

 確かにそうだ。そもそもあんな剣をもらったところで、これでは全く役に立たなかっただろう。アリスの言う通り、三賢者に会いに行く事自体が徒労になっていた所だった。

「分かった、信じるよ……」

 僕がそう言った時、奇怪な笑い声が響いてきた。

「ふわっはっはー!おぉ、イリアス様……刻が見える……ふふふ……」

「ララァ!?」

「ふむ、壊れおったか。」

 どうやらサン・イリア王は、多大な精神的ダメージを受け、気の毒な精神状態になってしまったらしい。その笑いを聞き、衛兵隊長が部屋に飛び込んできた。

「お、王……!どうされたのですか!?」

 次に目をつけたのは、粉々になった女神の宝剣だった。

「こ、これはっ!女神の宝剣が粉々に!」

 たちまち血相を変え、ルカの方を見る。

「る、ルカ殿……これは……!?一体何が……!?」

「え、えっと……これは……その……」

 ルカは少し悩み、答えた。

「……僕は何も見てません。」

 思わずウソをついてしまった。

「そ、そうなのですか……!?しかし……」

「突如魔王が現れ、その剣を破壊してしまったのだ。」

 代わりにと言わんばかりに、アリスがそう答えた。

 アリス……自分でやっておいて……

「ま、魔王が……!?確かに、この剣を破壊するには魔王程の力が無ければ不可能なはず……!大変だ、すぐに防御を固めなければ……!!」

 たちまち城内は大騒ぎとなる。

「や、やべぇっ!ずらかるぞおめぇらっ!」

「ふん……」

「い、言われなくても……!」

 そのどさくさに紛れ、僕達は王の間を後にした……

 

「大変だ、魔王が襲撃してきたぞ!王の間まで踏み込み、逃げ去ったようだ!」

「なんと!王は無事なのか!?」

「怪我はされておらんようだが、ショックが激しいようなのだ……」

 衛兵達の会話が飛び交う。どうやら、城内は完全にパニックのようだ。

「アリス、もうちっとやり方無かったんか?」

「おかげで王様が壊れちゃったじゃないか……」

「ふん、寝言ばかり抜かすから、目を覚ましてやっただけだ。」

 当の本人は平気そうな顔をしている。とにかく、この城からずらかるとするか……

「!!」

 急にヴィクトリーが立ち止まり、構える。それに合わせ.僕達も立ち止まった。

「どうしたんだ?ヴィクトリー。」

「でけぇ気がこっちに来る……!!」

 辺りを見ると、そんな様子でもない。衛兵達が警戒しながら、会話する声が少しするのみ。

「それにしても静かすぎないか?魔王が入り込んだ様子など微塵も無いのだが……」

「もしかしたら誤報かも知れん。関係者を集め、状況の把握をした方がいいんじゃないか……」

 げっ、それはまずい……

「ルカっ!入ってくるぞ!!」

 ヴィクトリーがその言葉を放った瞬間、城内が揺らいだ。

「な、なんだ……!?」

「大変だ、魔族の襲撃だ!」

 衛兵が部隊の所に駆け寄ってくる。

「それは分かっている!魔王が攻めてきたというのは誤報じゃなかったようだな!」

「違う!攻めてきたのは魔王じゃない!魔王軍四天王のグランべリア……」

 そう言いかけて、一人の衛兵は昏倒してしまった。

「なんだっ!?がっ……!?」

 もう一人も昏倒してしまう。そして僕達の前に姿を現したのは……なんとグランべリアだった。

「グラン……やっぱおめぇか……!!」

「いったい、ここに何しに来た!?」

 ルカは剣を抜き、構える。ヴィクトリーも構えた。

 グランべリアは相も変わらず、凄まじい威圧だ。

「ほう……確かに二人とも見違えたな……イリアスベルクで会った時とは覇気も技量も別人のようだ。」

「そいつはどうも……」

「……」

 構えを見ただけでそこまで分かるのか……褒めてもらって、ちょっと嬉しい……とか、喜んでいる場合じゃない。

「イリアスベルクの次はサン・イリアか……?暇なヤローだなぁ……」

「冗談を言うな武道家。虚飾の城に興味が無ければ、潰す価値もない。」

 グランべリアは、ルカの方を向く。

「今日は、お前と剣を交えるためにここまで出向いたのだ!」

「ぼ、僕と……!?」

「お前の腕が、魔王様や他の四天王買いかぶりなのかどうか……我が剣にて確かめる!」

 グランべリアは構え、ルカと相対する。

「いざ、尋常に勝負!」

「ぐっ……受けて立つぞ……!」

 今の僕に勝てる相手だとは思わないが……ここは戦うしかない!

 突如強襲した四天王、グランべリア……果たしてどうなる……!?




ラミア「物語が新生された影響で、カットされたわ……」

流血表現

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