もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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二度目の強襲

 ヴィクトリーは腕を組み、離れていた。

「……どうした?武道家、お前は戦わんのか?」

 グランべリアは、こちらを睨む。それだけで、ビリビリと闘気が伝わってくる。

「おめぇはルカを指名したんだ。俺が立ち入る理由なんてねぇよ。」

 彼女はそれを聞き、フッと笑った。

「感謝する。ただし、こいつを倒した次はお前の番だ。」

「ふ、ふふふん……」

 ヴィクトリーは汗を垂らして苦笑いする。やはり怯えている……

「……では、行くぞ!!」

 ボウッと気が爆発し、この城を揺るがす。

「ぐっ……!」

 ルカは突進し、剣技を振るう。グランべリアもそれを剣で受け止める。剣と剣がぶつかりあい、火花を散らしながら金属音を連続させた。

「助太刀致しますぞっ!勇者様……」

「待てぇっ!!衛兵!!」

 進み出ようとした衛兵を、ヴィクトリーが止める。

「ぶ、武道家……!何故……!?」

「この戦いは剣士同士のマジバトルだ。俺達が立ち入っていい領域じゃねぇ。」

「しかし……!」

 衛兵隊長が、ヴィクトリーの隣につく。

「……どうやら今はその通りらしい……この戦い、我々が立ち入るべき戦いではない。勇者様とグランべリアの面子をかけた真剣勝負だ……」

「……そう言う事だ。」

「分かりました……」

 衛兵達は下がり、戦いを見届ける姿勢になった。

「……いいのか?お前の勇者がどんどん不利になっていくぞ?」

 グランベリアは、ジッとヴィクトリーを見る。しかし彼は屈託のない表情で笑ってみせた。

「安心しとけって。ルカはおめぇが思ってるより遥かに強くなってるからよ。」

 ……そうだ。僕はこれまでの戦いで、今までとは比べ物にならない程の力を得たのだ。倒すことは出来ないだろうが、まずは擦り傷一つでも与える事に専念しよう。

「でやぁっ!」

 ルカは攻撃を放つが、それはかわされてしまう。

「それがお前の全てじゃあるまい!」

 グランべリアは剣の柄で彼の腹を打った。

「ごふっ……!!」

 足を床につき、ギャリギャリ言わせながら後方に下がるが、なんとか持ちこたえた。そして、足を前方に踏ん張り、剣を寝かせる。

「はぁっ!!」

「っ!」

 猛スピードで接近し、雷鳴のような突きを放った。その技は剣によって受け止められてしまうが、惜しいところまではいった筈だ。

「ほう……血裂雷鳴突きか……その技、随分と使い慣れた様子だな。あとコンマ一秒反応が遅れたらダメージを負っていた……」

「ちぃっ!」

 グランべリアはルカの剣を弾き上げ、思い切り剣を薙ぎ払った。

「うぐぁあっ!?」

 ルカは壁に激突し、大ダメージを負った。

「勇者様っ!!」

「安心しろ。峰打ちだ。」

 ヴィクトリーの言葉を聞き、ルカを見る。彼の胴体は繋がっている。その様子を見てほっとする衛兵達であった。

「……っ!!」

 ルカ立ち上がり、柱によじ登った。

「ん、その技は……!」

「はああぁっ!!」

 そして、渾身の兜割りをグランべリアに放った。

「天魔頭蓋斬……そこまで癖のある技を自分のものにしているとは……」

 天魔頭蓋斬ですら、受け止められてしまった。

「ば、馬鹿な……!!」

 ルカはグランべリアから離れ、距離をとる。

「ふんっ!」

 グランべリアはそのルカに急接近し、軽く剣を振った。

「うわっ!?」

 何とか防御するが、よろめく。軽く剣を振っただけなのに、体中にビリビリと衝撃が駆け巡った。やはり四天王……圧倒的すぎる……

「さて、まだ終わりではないだろう!全てを私にぶつけてこい!!」

「はーっ……はーっ……」

 ルカは剣を構え直し、グランべリアを見据える。おそらく次が、最後の一撃になるだろう。

「……」

 ギュンッとスピードを出し、ルカは高速移動する。

「おっ……?」

 既にグランべリアの懐に踏み込み、そして剣を喉元に突き上げた。

「……ちっ!」

 グランべリアはそれを避けた。が、回避が遅れ、剣が頬にかすった。

「なにっ!?」

「や、やった……」

 次の瞬間にはグランべリアの薙ぎ払いをくらい、突き飛ばされていた。

「おぐっ……!?」

 ルカは吹っ飛び、地面に倒れた。

「……魔剣・首刈り……そう言えば初めて会った時もこの技を使ってきたな……」

 グランべリアは、かすった所を親指で拭う。

「しかし、踏み込みの鋭さ、スピード、威力……そのどれもが格段に増している。相当な修練を積んだと見た。」

 そう言い、剣をしまった。

「なるほど、お前の技は見せてもらった。まだ未熟なれど、確かに光るものはある……面白い。その命、しばし預けておこう。」

「え……?」

 剣を納めた彼女に、ルカは戸惑うばかり。

「くれぐれも、私を失望させるような事はするな。下らん魔物に不覚をとるなど、許さんぞ……」

 そう言うと、立ち去って消えてしまった。嵐のように現れ、嵐のように去っていったのだ。

「やった……!何とか追い払ったぞ……!」

「すげぇじゃねぇか!四天王に一矢報いたぞ!」

 向こうはまるで本気を出していなかったが……それでもグランべリアを撃退したのには違いない。アルマエルマの時に続き、四天王を破ったのは二回目だ!……どっちも、まるで本気を出していなかったのは置いておいて。

 ルカの背後に、アリスが現れた。

「グランべリアが、二度までも敵を見逃すとは……貴様、相当気に入られているようだな。」

「気に入ってるんなら、剣を振り回して襲いかかって来ないで欲しいんだけど……」

「そういう付き合い方しか知らんのだ、あいつは。」

「グランはヤンデレって奴なんか?」

「多分それとは違うと思う……」

 ここでルカは、気になることをヴィクトリーに聞いてみた。

「……そのグランってのは何なんだ?グランべリアの事を指すのは分かるけど……」

「グランべリアなんて長くて呼びづれぇじゃねぇか。」

「お前の名前の方が呼びづらいと思うぞ……」

「そ、そうかな……でへへへ……」

 昏倒していた衛兵達が、起き上がる。

「い、いてて……」

「どうなったんだ……?」

 何れも、命に別状は無いらしい。そう言えば、イリアスベルクの時も決して勇者達を殺そうとはしなかった……グランべリアは悪いやつでは無い。でも、人間達に迷惑な行いをしているのも事実だ。

「アリス……四精霊とやらの力を手に入れれば、強くなれるってのは確かなんだろうな?」

「あぁ、彼女達に認められ、その力を己がものとすればな。」

「分かった、信じるよ……それで、その四精霊ってのは何処に居るんだ?」

「そこまで余に聞くのか?魔王を打倒する方法を魔王に聞くなど、恥を知れ。」

「いや、別にアリスを倒したい訳じゃないけど……」

 とは言え、確かにアリスの言う通り。何もかも、魔王の世話になるというのも勇者として問題がある。

「分かった、自分で調べるよ……」

 そこでヴィクトリーが二人に言った。

「なぁ、二人とも。そんだったらこの地下にでっけぇ図書館あったから、そこで調べりゃいいんじゃねぇか?」

「こ、こいつ……余が言おうとした事を……」

「な、なるほど……」

 しかし、大図書館は誰にでも開かれた場所では無い。認められた学者でなければ、立ち入りは禁止されている筈だ。

 僕は、怪我人救護などを支持していた衛兵隊長に声をかける。

「おぉ、ルカ殿。御用があれば何なりと。我ら一同、全身全霊をもってルカ殿の力となりましょう。」

 彼らの前でグランべリアを撃退した事によって、随分と待遇が良くなったようだ。

「ええとですね……四精霊というものが居ましてね……」

「よんせいれいですか……はぁ……」

「その……何処にいるか調べたくて……」

 ヴィクトリーがそのやり取りを見かねたのか、ルカの隣に出てくる。

「図書館貸してくれ。」

「む……貴方は確か……」

「魔王を倒せるかも知んねぇんだ。頼むよ。」

「……分かりました。通常なら一週間程度かかりますが、特例として許可しましょう!」

「……ありがとうございます。」

「サンキュー!」

 ヴィクトリーが、ルカの方を見てニッと笑う。何だか彼に負けた気分だ。

 それはともかく、僕達は地下の大図書館に通されたのだった……

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