もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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メイアからの依頼

ルカは地図から顔を上げ、言った。

「よし、ナタリアポートへ行ってみよう!」

「例のメイアさんの依頼だな……」

「魔物に偏見を持たない冒険者」への依頼を受けに、メイアという人に会いに行くのだ。

「やれやれ、つくづく貴様らはドアホだな。旅の目的を忘れたのか?」

「魔王城に行くことだけが俺達の目的じゃねぇよ。」

「少しでも人と魔物が仲良くなれるように出来ることをしたいんだ。」

「やれやれ……」

ルカが前に出て、腕を上げる。

「さぁ、行くぞ!」

「おう!」

ヴィクトリーもそれに続いた。

「……」

気に入らない様子のアリスも連れ立ち、僕達はナタリアポートへと進路を向けたのだった……

 

そしてナタリアポートに到着した一行達。

「引き返すのは楽だったな。」

「一度通った道だもんね。」

「むぅ、『ヤマタイ煎餅』……深みのある食感だな……」

アリスは、買ってやったせんべいをバリバリ食べている。こまめにエサをやらないとうるさくてしょうがない。

さて、メイアとやらに会いに歩を進める一行。

「ここみてぇだ。」

ヴィクトリーの声で僕達は立ち止まり、その家を見る。大きくも小さくもない、ごく普通の民家。依頼主のメイアとやらはここに住んでいるらしい。

「ごめんくださーい!」

「はーい!」

元気な声で出てきてくれた女の人は……なんと、以前この町で声をかけてきた人魚だった。

「あれ……あなたは……」

「もしかして、おめぇがメイアさんか?」

「えぇ、メイアとは私の事です。あなた達は以前に声をお掛けした旅の方ですね。あの時は失礼しました……例の爆発ですっかりうやむやになってしまって……」

「いえいえ……こちらこそ……」

「いや、しょうがねぇさ。あんな非常事態、動揺すんなって事が無理な話なんだから。」

あの時はイリアスクロイツの爆弾テロのせいで、結局話が聞けなかったのだ。

こうして僕達は、メイアの家の中に導かれたのである。

 

「狭い家で申し訳ありません……大したおもてなしも出来ませんし……」

「いえいえ、お構いなく……」

テーブルの上に並ぶお茶やお茶菓子、水産の食べ物を前に僕は恐縮するばかり。

「何か知らんが余は忙しいのだ。下らん依頼など……」

アリスがそう言いかけ、ヴィクトリーがその言葉を殺す。

「アリス、おめぇは黙ってろ。」

「ほら、この昆布、味がしなくなるまでかじってろ。」

ルカはそう言って昆布をアリスの前にちらつかせる。

「こんぶ……」

食欲に負けたアリスは昆布を、もむもむとかじり出す。こいつが大人しくエサを食べている間に、依頼を聞くとしよう。

「それで、頼みというのは……?」

「実は……私は、人間の男性に恋をしているのです。」

メイアは頬を染め、いかにも幸せそうに言った。

「まさか、そのオトコと結ばれるようにして欲しいとかじゃ……」

「そういう事は、とても苦手で……」

「いえいえ……旦那様とは、もうすっかり深い仲。この家で、愛し合いながら幸せに暮らしています。今は漁の仕事で海に出ていますが……」

「おぉっ!そりゃすげぇ!」

「なんと!それは素晴らしいですね!」

僕の望みは、人間と魔物の共存する世界を築くこと。人間と魔物が愛し合う、こんな素晴らしい事は無い。

「じゃあ、何で依頼を寄越したんだ?」

ヴィクトリーが疑問を投げかけ、メイアは答える。

「実は私達、正式な夫婦では無いのです……何故なら、海の掟による婚姻の儀式が執り行えないからなのです。」

「婚姻の儀式ですか……?」

「結婚式みてぇなモンか?」

メイアは頷き、言葉を続ける。

「人魚が人間と結婚する際には、海底神殿におられる南海の女王に誓書を捧げなければならないのです。しかし、海底神殿神殿の道中には多数のモンスターが出没し、極めて危険。私はそれなりに魔術の心得はあるのですが、旦那様は私よりか弱いお体。そのような試練の道、通る力などありはしないのです。」

「へへへっ、そこで俺達の出番って訳だな。」

「つまり、僕達が海底神殿に赴いて、誓書を捧げに行ってきてほしいということですか……?」

ようやく話が見えてきた。

「ええ、その通りです。失礼を承知でお願いします。どうか、私達の代わりに誓書を捧げに行ってくださらないでしょうか。」

「……それ、代理の人間でもいいんですか?」

「こういうのって、普通おめぇらが直接行くものじゃ……」

「海の掟に、「本人でなければいけない」とは伝わっておりません。禁じられてはいない以上、問題ないと思いますけど。」

「は、ははぁ……」

いやいやいや……普通、そんなの暗黙の了解だろう。代理人が試練を受けたって、何の意味もないはずだ。

そんな事を二人で考えてると、玄関のドアが元気よく開いた。

「ただいまー!」

「あら、お帰りなさい!」

元気よく家に入ってきたのは、可愛らしい男の子だった。

「ひゃ〜……たまげたぞ……」

「まさか、もう子供が……?」

「いえいえ、この人が私の旦那様なのですよ。」

二人に電流が走る。

「えええーーー!?」

それは……少々ながら、相手が小さすぎないか?

「さ、さらにたまげたぞ……こ、子供が大人のオンナの夫……」

「ねぇメイア、この人たちだぁれ?」

「とっても頼りになる冒険者のお方ですよ。婚姻の誓しょを届けてくださるよう、お頼みしているんです。」

「そうなんだー。お願いします、旅の方。僕とメイアを結婚させてください。」

少年は、ぺこりと頭を下げた。

「その……メイアさん……もう少し、彼が大きくなるのを待ってからの方がいいんじゃあ……」

確かにこの子では、試練を受けるのは無理がある。成長を待ってからにした方が良いと思うのだが……

「でも……旦那様は、今年で25歳ですよ。」

「うえぇーーー!?」

またもや、二人に電流が走った。

「う……ウッソだろ……」

どう妥協して見ても、少年にしか見えないが……

「僕、もうおとなだよ。けっこんできるよ。」

少年(?)は何食わぬ顔で答えた。

「少しばかり、人魚の秘術で年を取らないようにさせていただきますから……」

メイアも、そう答える。

「なんで、そんな事を……?」

「だって……この方が、可愛いじゃありませんか!」

「かぁっ、ショタコン……」

ヴィクトリーは、もうドン引きしているようだ。

「そうだったのかー!おかしいと思ってたんだー!メイアー!ひどいよ、メイアー!」

「うふふふ……」

ぶんぶん暴れる少年(?)と、くすくす笑うメイア。

さて、どうしたものやら……

「そういう訳で、あらためてお願いします。海底神殿まで赴き、南海の女王に誓書を渡して下さらないでしょうか。」

「お願いします!」

僕はヴィクトリーの方を見る。すると、彼もコクンと頷く。

「……分かりました。その依頼、受けましょう。」

「ありがうございます!」

「ありがとう、お兄ちゃん!」

二人の顔が、ぱっと晴れやかになる。

「……」

昆布をかじってるアリスの眼が、僕達をじっと睨む。面倒な事を引き受けるな……その瞳に、そう書いてあった。

「ささやかながら、お礼は致します。旅のお方には、満足されないかもしれませんが……」

「いえいえ、お礼なんていりませんよ。」

人間と魔物の共存する世界が、僕の理想なのだ。愛し合う人間と魔物の絆を繋ぎ止める為なら、報酬なんていらない!

「では、これをお受け取り下さい。南海の女王に捧げる誓書と、そして『導きの玉』です。」

メイアは一枚の書画を僕に、それと透明な水晶のようなアイテムをヴィクトリーに手渡してきた。

「……なんだこいつは?」

ヴィクトリーが透明な水晶を手で転がしながら、メイアに質問する。

「この地域の砂浜で、その宝玉を掲げてください。そうすると、海底神殿への道ができる筈です。」

「なるほど……その道に進めば海底神殿だな。」

「はい、お願いします……なにとぞ、無事にたどり着かん事を祈っております。」

「頑張ってね!お兄ちゃん達!」

「おう!任せろ!」

「任せてください、では!」

こうして僕達はメイアの家を後にしたのだった……

 

「貴様らは、つくづく他人に利用されるのが好きな様だな。あんな個人的な頼み、貴様らが引き受ける理由など無いだろう。」

「そう言うなって、アリス。」

「種族の壁を乗り越えて愛をはぐくむなんて、素晴らしいじゃないか。」

「しかし、あの男は貴様のいう魔姦の禁を犯していることになるのだぞ。イリアス教信者として、その点は構わないのか……?」

とりあえず、そこは気にしないようにしよう。とにかく僕は、人と魔物の共存の架け橋になれれば十分なのだ。

「何はともあれ、海底神殿にレッツゴーだな!」

「うん!」

「海底神殿か……大した料理も無さそうだな……」

……こいつの頭にはメシの事しか無いのか。

呆れながらも、僕達は町を出たのだった……

 

「確か、砂浜で『導きの玉』だったな……」

町を出てすぐに、砂浜が広がっている。ヴィクトリーはポケットから『導きの玉』を取り出そうとした時だった。

「……」

その動きが止まり、辺りを見回した。

「どうしたんだ?ヴィクトリー。」

「剣を抜け、ルカ。」

すると、海から一体のモンスターがのそのそと這い上がり、戦士達の前に立ちはだかったのだった……

流血表現

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