もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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海底神殿到着

 ルカがクラゲ娘を撃破する数分前……

「おぉ、すいすい行けるぞ!」

 しばらくしてから止まる。だいぶ奥まで来てしまったようだ。ここはルカのペースにも合わせるため、一旦戻るか……

 そう思い、回れ右をしてから戻ろうとした時だった。

「あ……?」

 足に違和感を感じた。視線を落とすと、何やら触手のようなものが絡みついている。その触手は、どうやら海底の方から伸びているようだ。

「な、なんだこりゃ……!?うわぁっ!?」

 徐々に体が海の底に引きずり込まれていく。

「な、何だこいつ!?」

 このままじゃ、海底に引き込まれる……

「ぐ……がぼっ!?」

 導きの道を外れ、海底に引きずり込まれた。息を止め、臨戦態勢に入り、触手の主と対峙した。

「あら……若い男が引っかかるなんて。丁度いいわ、お腹が減っていたし。」

「おめぇ、イソギンチャクか……?」

 そのモンスターは、太い触手が数本生えてて、その中心に女体があった。イソギンチャク娘と言ったところか。

「私の口盤に咥え込んで、新鮮なザーメンを搾り取ってあげる。何も出なくなるまで搾り尽くしたら、丸呑みにして食べてあげるわ。とっても気持ちいいわよ……ふふっ……」

「そうかい……想像だけに留めておくぜ……!」

 イソギンチャク娘の触手が体に迫る。その触手をひょいひょい避けながら彼女に接近する。

「なっ!?」

「おりゃああっ!」

 ドムッと、その腹部に蹴りを入れる。

「ぐふっ……!?」

 揺らいだイソギンチャク娘のこめかみに、廻し蹴りを放つ。

「このっ……!」

「!?」

 その廻し蹴りが当たる寸前で触手を動かし、ヴィクトリーを岩場に叩きつけた。

「がはぁっ!?」

 肺に溜めていた酸素が口からゴボゴボと溢れ出す。その酸素を逃がしまいと、口を両手で塞ぐ。

「大人しくしない子は……こうよ!」

 また触手によって岩場に叩きつけられ、体中に衝撃が響く。

「ごぼぉおおっ!?」

 手の間から、またゴボゴボと酸素が溢れる。

 まずい……このままだとマジで死ぬ……早くこいつを倒さないと!

 ヴィクトリーは2倍界王拳を使い、猛スピードでイソギンチャク娘の顔面に膝蹴りを食らわせた。

「ぶぐっ!?」

 イソギンチャク娘は揺らぎ、鼻血を出しながらよろめく。だが、触手は足から離れず、無理矢理引き上げられそうにも無い。

 こいつ、意地でも離さねぇつもりか……!?

 そう思ってると、タイムリミットが近づいてくる。

 まずい、息が続かねぇ!!

「逃がさないわよ……絶対……」

 頼む!!導きの道まで戻してくれ!!このまんまだとマジで死んじまう!!

 そんなヴィクトリーの悲痛な心の叫びをイソギンチャク娘は無視し、また彼を岩場に叩きつけた。

「がっ……!!?」

 遂にヴィクトリーの肺の中の酸素が尽きた。

「〜!?」

「安心しなさい……降参したら人工呼吸してあげるから……ほらほら……」

 イソギンチャク娘は挑発するかのようにヴィクトリーをゆらゆらさせる。彼は激しく暴れたが、一旦冷静に戻る。そして、無い酸素を肺から押し出して、言葉を放った。

「おい、いいモンくれてやろうか?」

「え……?」

「波ぁっ!!」

「!!」

 ヴィクトリーはかめはめ波を放った。自分の優位を知り、勝利を確信し切っていたイソギンチャク娘にそれを避けられる道理は無かった。かめはめ波が彼女に直撃し、大爆発を起こす。

「か……かか……」

 黒焦げになったイソギンチャク娘は気絶した。すると、触手にも力が抜け、ヴィクトリーは解放された。

 早く戻らねぇと!!

 ルカの気を探り、一目散にそこへ向かう。

 導きの道が見えてきた……あれかっ!!

「ぶはーっ!!!」

「わぁっ!?魔物かっ!?」

「落ち着け!ヴィクトリーだ!」

 導きの道は、海中でありながら、酸素に満ちている。

 た、助かった……

「な、何があったんだ……!?」

 ルカが心配そうにヴィクトリーの肩を擦る。

「ふむ、おそらくイソギンチャク娘に捕まったのだろうな。」

「あぁ、それで導きの道から外れちまってよ……あともうちょっとで俺おっ死んじまう所だったぞ……」

「なるほど……」

 仲間が戻ってきた所で、また僕達は海底神殿へと潜っていく。

「海には魔物が多いんだな……」

「しかし、食べるものも多い……なかなかにいい所だ。余は気に入ったぞ。」

 アリスは、捕まえた魚を生のまま食べている。本当に、いつも何か食べている奴だ……

「珍しいな、大食いの貴様ならぱくぱく食うと思ったが……」

 アリスが、ヴィクトリーの方を見た。

「いや……寄生虫とかこえぇし。」

 アリスよりものを食う癖に、そういうのは気にするのか……

「……おい、あれ海底神殿って奴じゃねぇか?」

 ヴィクトリーはそう大きくない神殿を指した。

「あれか……行くぞ、二人とも。」

「おう!」

「……」

 何故か、アリスが動かない。

「あれ?アリス……どうした?」

 ふと見れば、アリスは導きの道の外の岩……で気絶している黒焦げのイソギンチャク娘をじろじろと眺めている。

「……あの焼きイソギンチャク、うまいのかなと思って……」

「焼きイソギンチャクならマーメイドが売ってたぞ。うまそうには見えねぇけどな……」

「おいていくぞ、二人とも。」

 僕は呆れながら、海底神殿の方へと進んでいったのだった。

 

「……ここが、海底神殿か……」

「中は普通の神殿と変わんねぇんだな。」

 ただ異なるのは、それが海の中にあるという点だけだ。

「南海の女王ってどんな魔物なんだろうな……」

 ルカのその言葉を聞き、アリスが口を開く。

「南の海を治めているのは、クラーケン族の女王だったか。該当地域の統治は、すっかり奴に任せておったな……」

 そう言いながら、貝を殻ごとバリバリと食べていた。

「あのな……煎餅じゃねぇんだからよ……」

 これには流石のヴィクトリーも苦笑い。それはともかく、アリスは魔王だから、南海の女王とやらも部下に当たるわけか。

 そしてしばらく進んでいると……

「……なぁルカ、ありゃ何だ?」

 ヴィクトリーの視線の先に、ぼんやりと光が見えた。

「あれ……何だろ……?」

「照明か?」

「いや、こんな海中に照明は無いでしょ……」

「ふむ、面白い魔物がいるな。」

 アリスは、不意に喋った。

「魔物……?あれが……?」

 僕達が眉をひそめていると、その灯りはふよふよと接近してきた。

「ルカ、おめぇの番か。」

「あぁ……」

 僕は、剣を構える。

 女の体が埋まった魚型のモンスター。そのおでこからチョウチンが下がっており、それが光を放っている。

「アンコウの魔物……アンコウ娘か。」

 アンコウ娘は、こちらにふよふよ近づいてくる。非常にゆっくりとした動作の、鈍そうなモンスターだ。

「こいつは海底付近に生息する魔物だな。頭に吊り下げた発光器官で海棲生物をおびき寄せ、取り込んでしまうのだ。相手が人間だろうが関係なく同化させられ、養分にされてしまうぞ。」

 アリスは、まだ居た。

「おめぇ、消えねぇのか?」

「こいつは目が見えておらん。視覚も聴覚も退化した魔物だからな。」

「……急いで逃げる必要もねぇって訳か。」

 そう言って、アリスは離れる。完全に離れる前に、一つ言い残した。

「……一つ忠告してやろう。そいつは体温を感知して襲ってくるモンスターなのだ。有利に戦いたければ、水温と同じ程度まで体温を下げるがいい。」

 そう言って、消えてしまった。

「そんなの出来るわけないだろ!僕は人間だ!」

「……ルカ、敵に集中した方がいいかも知んねぇぞ。」

「分かってるよ……」

 アンコウ娘は、無言かつ無表情でゆっくりとこちらに近づいてくる。その動作は驚くほどスローモー。接近してくるのを待たなければならない程だ。

 これは簡単に片付くか……?

「行くぞっ!」

 まずは一撃切りつけてみる。すると、アンコウ娘腹部に突き入れた剣先から、異様な感触が伝わってきた。まるで半粘状の物体でも切りつけたような感触だ。

「え……?」

「……」

 更に、突き入れた剣がずぶずぶとアンコウ娘の体に沈んでいく……まるで、自分の体に取り込んでいくように……

「う、うわぁっ!」

 僕は慌てて剣を抜き、そして距離を取っていた。

 よく分からないが、アンコウ娘の体は危険だ。おまけに、ダメージも全く入ってない。

「……」

 そんな事を思ってると、アンコウ娘がぎろっとルカの方を向いた。どうやら、彼の体温を察知したようだ。

「ルカ、正面がダメなら背後から攻撃すりゃいいんじゃね?」

「そ、そうか……!」

 僕は素早く身を翻し、アンコウ娘の背後をとった。

「そこだっ!」

 そして、ダァンッと地を蹴り、アンコウ娘の背中を切りつけた。その攻撃で彼女の背中はズバッと切れて、ダメージが入った。

「よし……!」

 背中側なら、攻撃は通じるようだ!

「……」

 アンコウ娘は顔色一つ変えずにふよふよとルカに接近する。

「こっちだ!」

 ルカは高速移動でアンコウ娘の背後に周り、ズバズバと切りつける。

 一気に勝負が決まる……かと思われたが、アンコウ娘はルカの方に振り向き、そして急にスピードを上げて体当たりしてきた。

「うわ……!?」

 その不意打ちとも言える体当たりのような攻撃を受け、ルカの体はアンコウ娘にめり込んでしまった。

「ふわあぁ……」

「な、何だそりゃ……!?」

 アンコウ娘の中は、異様な程柔らかい。まるで、とろけたチーズにでも浸かってる気分だ。

「うぐぐ……!!」

 ルカは必死に、もがいた。しかし、どんどん腹部に体がめり込んでいく。

「ひぃっ……!」

 取り込まれながら、安らかな快感が体に走った。僕はその事実に、生理的嫌悪を抱いてしまう。

「ルカっ!助けが必要か!?」

「た、頼む……!」

 このままだと本当に同化させられて、栄養分として取り込まれてしまう。もう一対一がどうこう言ってられない。なのでヴィクトリーに助けを求めたのだった。

「波ああぁーっ!!」

 ヴィクトリーのかめはめ波がアンコウ娘の顔面に炸裂する。彼女は大きく揺らぎ、ルカを解放した。

 僕は直ぐにアンコウ娘に向かい、構えた。そこで、ヴィクトリーが僕の肩を叩いた。

「ルカ、下がってろ。選手交代だ。」

「で、でも……」

「見ろよ、あいつは俺に目をつけたらしいぜ。」

 見ると、アンコウ娘はまたふよふよとこちらに接近している。だが、接近している方向は僕ではなくヴィクトリー。どうやら、怒りの矛先が彼に向いたらしいのだ。

「わ、分かった……!無理するなよ!」

 ルカは下がり、今度はヴィクトリーがアンコウ娘と対峙する。

 アンコウ娘はふよふよとヴィクトリーに近づいてくる……

「……おめぇの体力はもうそれほど残ってねぇ。だから、一気に終わらせるぞ……」

「……」

「おっと、耳は聞こえねぇんだったな……」

 ヴィクトリーは界王拳を使い、辺りを揺るがした。

「行くぞっ!!」

 そして、アンコウ娘に急接近し、背後に高速移動してから殴り飛ばした。

「……」

「まだまだぁっ!」

 殴り飛ばしたアンコウ娘に追いつき、今度は背中を蹴り上げた。

「……」

 アンコウ娘の体がメキメキと軋む。しかし、全くのノーリアクションだ。しかし、手応えはある。ヴィクトリーはそれを確認してから、一旦離れる。

「とどめっ!!」

 そして猛スピードでアンコウ娘の背中に飛び蹴りを放った。ヴィクトリーの飛び蹴りを食らった彼女は、ルカの方に飛んでくる。

「うわっ!?」

 ルカはそのアンコウ娘を、撫で斬った。

「……」

 アンコウ娘の体が消散し、アンコウの姿へと封印された。

「や、やった……!」

「よし……!」

「……」

 喜ぶ僕達の目の前を、アンコウがふよふよ泳いでいく。まるで、自分が封印されたのも気付いていないかのようだ。そのままアンコウは、マイペースでどこかに泳いでいった。

「ふむ、片付いたか。」

 例の如く、いつの間にかアリスが二人の背後に居た。

「少し先へ行ってみたが、女王のいる間まではあと少しだ。魚も流石に食い飽きた。とっとと行って、とっとと終わらせるぞ。」

「あぁ、そうだな……」

 この奥に、南海を統べる女王が居るのだという。

「遂に南の海で一番つえぇやつとご対面か……」

「戦うわけじゃないよ……」

 僕は少しばかり緊張しながら、ヴィクトリーは目を期待の色で染めながら、足を進めたのだった……

流血表現

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