もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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南の海の代表

 海底神殿の最奥、大きな空間に来た勇者一行達。その目の前にはいかにも大物というモンスターが鎮座していた。

「おめぇが女王か……」

「……えぇ、その通り。私が、魔王様より南海の統治を任された女王です。」

 アリスの言ったとおり、巨大なイカのモンスター。こいつがクラーケン娘って奴か……

 凄まじい気を感じる……こいつが南海の代表って事は嘘じゃないらしい。

「さて、人間達がこの海底神殿に何の用ですか?」

 ここでルカが前に出て、ヴィクトリーは下がった。

「あの……僕達は勇者なんですが……」

「……勇者!?」

 クラーケン娘は、不意に目を吊り上がらせた。

「いえ、あの……本当はニセ勇者です。」

「本物だろうが、偽物だろうが問題ではありません。この神殿のオーブを奪いに来たのですね。」

「え……?」

「は……?」

「しかし……勇者などには決して渡しはしません!」

「あの、僕達は誓書を……!」

「問答無用!オーブが欲しければ、私を倒してから持っていくのですね!」

 なにやら誤解している上に、全く聞く耳を持っていない。

 どうやら、戦う他に無いようだ!

「血に飢えた勇者などに、オーブは断じて渡せません!あなたのような狼藉者は、この女王自らが裁きます!」

「いや、話を聞けよ……!」

「僕達はオーブなんて……!」

 説得している場合ではない!二人で応戦しなければやられてしまう!

「はああぁあ……!!」

 クラーケン娘は気を解放し、オーラを出す。

「ぐっ……!!こいつは確かに二人でやらなきゃダメっぽいな……!!」

「そうだな……!」

 二人も構え、気を解放する。

「ふんっ!」

 クラーケン娘は二人に触手を振り下ろした。

「わっ!?」

「あぶねっ!」

 二人は避け、彼女に突進した。

「でりゃあああっ!!」

「はああぁーっ!!」

 そして、二人の一撃がクラーケン娘に叩き込まれようとしたが、それは触手によって防がれてしまった。

「くそっ……!!」

「ぐっ……!!」

「はぁっ!!」

 クラーケン娘は腕を二人に突き出し、気合砲を放った。

「うぐぁっ!?」

「っ!?」

 それをまともにくらった二人は、吹っ飛ばされて壁に激突してしまう。

「た、たまげた……あいつ気合砲使えるのか……」

「うぐぐ……」

 次に動いたのは、ルカだった。

「はあぁっ!」

 壁を蹴って突撃し、クラーケン娘に切りかかろうとした。

「ふんっ!」

 クラーケン娘の触手が一斉にルカに迫った。その触手を掻い潜りながら、敵に接近する彼だったが……

「そこです!」

「ぎゃっ!?」

 クラーケン娘の狙い撃ちの一撃がルカに叩き込まれた。そして、彼はまた壁に叩きつけられてしまった。

「はぁああっ!!」

 そして、触手が一斉にルカに伸びた。だが、その触手達の前にヴィクトリーが現れる。

「……界王拳2倍!!」

 ドシュウッとヴィクトリーの体から赤い気が吹き出し、戦闘力が倍になる。

「ふんっ!でぁっ!たぁっ!せいっ!とりゃっ!」

 そして、次々に触手達を叩き伏せ、何とかルカを守りきった。

「な、ナイスアシスト!」

「反撃開始!!」

 ヴィクトリーはクラーケン娘の方に突進し、攻撃を仕掛ける。

「ふんっ!!」

「だあぁっ!!」

 ヴィクトリーの攻撃を、クラーケン娘が受け止めた。その時、二人を中心にこの海に衝撃が轟いた。

「わぁっ!?」

 ルカは剣を床に刺して持ちこたえる。

 こうしなければ吹っ飛ばされてしまう!

「でゃだだだだだ……!!」

「はぁあああああ……!!」

 二人の触手と拳がドカドカとぶつかり合う。目にも止まらない攻防だったが……

「そこですっ!」

 ドムッとヴィクトリーの腹に、触手が叩きつけられた。

「おうぅっ……!!」

 ヴィクトリーは腹を押さえ、悶絶する。そこに触手が振り下ろされ、彼は地面に叩きつけられてしまった。

「に……2倍の界王拳が通用しねぇ……!!」

 流石は南海の代表。どうやら、生半可な攻撃は通用しないらしい……

「あなたの番はもう終わりですか……?」

「まだ終わってねぇよ……!」

 強がってはみるが、どうしようもない。

 こうなったら、界王拳を3倍に引き上げるまでだが……3倍の界王拳は体に負担がかかりすぎて、その後のしっぺ返しが凄まじい事になる。だが……

「……カラダぶっ壊れても死ぬよかマシか!」

「……?」

「な、何だ……?」

 ヴィクトリーの言葉に、二人は硬直する。暫く黙った後、彼は目を見開いて、叫んだ。

「カラダもってくれよ!!3倍界王拳だ!!」

 ヴィクトリーの界王拳が3倍になる。彼のエネルギーがこの海底神殿を揺るがし、熱風と気の嵐が吹きすさび、体からは煙のようなものが出ていた。

「な、なに……!?」

「うおおぉっ!!」

 ヴィクトリーが咆哮した次の瞬間、クラーケン娘の頭上に高速移動していた。

「は、はやいっ……!?」

「だああぁーっ!!」

「ぶぐっ!?」

 クラーケン娘は、ヴィクトリーの渾身の打拳をくらい、ダウンした。

「こ、この……!」

 だが、すくさま体制を立て直し、ヴィクトリーに触手を振り下ろした。

「ふぅんっ!!」

 ヴィクトリーはその触手を掴んで受け止め、腰を落とす。

「な……!?受け止めた……!?」

「だぁああああっ!!」

 そして、背負い投げをしてクラーケン娘をまた地面に叩き伏せた。

「がは……!」

「おりゃあああぁっ!!」

 立ち上がろうとしたクラーケン娘の顔面に飛び蹴りが入り、そのまま壁に叩きつけられた。

「ち……!!」

 クラーケン娘は数本触手をヴィクトリーに伸ばした。

「ムダだぁっ!」

 その触手を全部叩き伏せてから、今度は腹に飛び蹴りを食らわせた。

「うぐぁっ……!!」

 さらに、クラーケン娘の頭を掴み、思いっきり振り上げる。

「なっ……!?」

「だりゃあああああ!!」

 そして、思いっきり床に叩きつけた。

「まだまだまだ……!!」

 ヴィクトリーはクラーケン娘を何度も何度もガンガンと床に叩きつける。海底神殿は大きく揺れ、今にも崩れ出しそうな感じだ。そして、しばらく叩きつけた後、拳を握り、彼女を睨んだ。

「だりゃあああああっ!!!」

 拳をクラーケン娘の顔面に叩き込み、その巨体がぶっ飛ばした。

「はぁっ……はぁっ……!!」

 ヴィクトリーはその一撃を最後に倒れてしまった。

「ヴィクトリーっ!」

「す、すまねぇルカ……俺はもう動けそうにねぇぞ……」

 本当にその様子で、ヴィクトリーの体はピクリとも動かない。さっきの技、やっぱり負担がかかりすぎたんだ!

「で、でも……!後は僕が何とかする!お前の攻撃で大ダメージを与えられたから……!」

「いや、大したダメージにもなってねぇよ……見ろ……」

 ヴィクトリーの視線の先を見てみる……すると、クラーケン娘は立ち上がり、ホコリを払いながら完全にキレた様子でこちらを睨んでいた。

「そんな……!!」

「へへ……ただ怒らせちまっただけだったな……」

 クラーケン娘は青筋を浮かべ、目を鋭くし、完全にご立腹のようだ。

「この女王に地をつかせるとは……完全にキレてしまいましたよ……あなた達には絶対にオーブを渡すわけにはいかない……!!」

「ま、まだ言ってんのか……」

「だから、そんなのいらないって!僕達ただ、誓書を……!」

「テンタクルバインドっ!」

 ルカの言葉が終わる前に、触手が迫ってきた。

 狙いは……ヴィクトリーかっ!?

「うぎゃ……!」

 ヴィクトリーは為す術もなく、触手に巻き上げられてしまった。

「……さて、これから始まるのは凄惨な陵辱……あなたがどんなに無き喚こうが、容赦はしません……完全に堕ちてしまうまで……」

「ぐぎぎ……!!」

「おっと、暴れるつもりですか……?」

 ヴィクトリーがもがこうとした瞬間、触手がきつくヴィクトリーを絞めあげた。

「うぎゃああああっ!!!」

「こういうのも……悪くありませんね……」

 クラーケン娘はヴィクトリーの叫び声を聞いて、ゾクゾクとする。

「ぁ……あぁ……」

 ルカは恐ろしくて動けなくなってしまった……ヴィクトリーを助けたいが、クラーケン娘の圧倒的な戦闘力にどう立ち向かえばいいというのか……

「あ……あぅ……」

「ふふふ……」

 既にヴィクトリーは上半身を脱がされ、触手を全身に這わされてる。

「か、界……王拳!!」

「離さないと……言っているでしょう!!」

 界王拳を使ってもがいてみるも、またきつく絞めあげられる。

「うぎゃああああああ!!!」

 ヴィクトリーの体がメキメキと軋む。その叫び声を聞いて、またクラーケン娘はゾクゾクと背を震わせた。

「あぁ、何かに目覚めてしまいそうです……」

「た……たす……けて……!!」

 ルカはヴィクトリーの言葉で、ハッと我に返った。

 仲間がこんなに苦しんでいるのに、何を立ち尽くしているんだ僕は!真の勇者なら、仲間のピンチを見捨てるような事はしない!

「く、くそぉ!こうなったら当たって砕けろーっ!!」

 ルカが突進し、ヴィクトリーを拘束している触手を切りつけた。

「うっ!?」

 不意な痛みに、クラーケン娘の拘束が少し緩んだ。

「うぐぐ……っ!」

 ヴィクトリーもガブッと触手に噛み付く。

「いっ!?」

 クラーケン娘はヴィクトリーを解放し、触手の歯跡に息をふーっと吹きかける。

「あ、ありがとう……ルカ……」

「あぁ……!」

「なんと、逃げてしまうとは……あなた達は往生際が悪いのですね……」

 僕はヴィクトリーの方を見る。

「大丈夫か!?」

「……ちょっと休憩すりゃまた戦える……頑張ってくれ……」

「わ、わかった……!」

 ヴィクトリーは壁に寄りかかって座った。

 僕は剣を構えてクラーケン娘と対峙する。

「今度は貴方ですか……」

「……気を抜いたら、一瞬でやられる……!」

 クラーケン娘の触手がルカに迫る。その触手を撫で切りながら、彼女に接近する。

「たぁっ!」

 そして、ようやくクラーケン娘に一撃くらわせた。

「ぐっ!」

 だが、触手によってルカの体は弾かれてしまう。何とか踏みとどまり、クラーケン娘を見る。すると、既に触手が何本かこっちに迫っていた。

「うぐ……!」

 その触手に対応しながら、クラーケン娘を見据えた。

「……ここだっ!!」

 好機を見て、雷鳴突きをクラーケン娘に放つ。その一撃で彼女は僅かに揺らいだ。やはり、ヴィクトリーとの戦いのダメージが残っているようだ。

「さすがは勇者……かなりの腕ですね。しかし、南海の女王たる私を甘く見ないことです!」

 無数の触手が、ルカに狙いを定めた。

「この技で果てなさい……」

「な、何だ……?」

「ルカーっ!気をつけろっ!あいつ、何かするつもりだぞ!」

 ヴィクトリーの言う通り、何かするつもりらしい。僕は一応、防御行動をとってみる。

「……さぁ、来い!」

「覚悟は出来ましたか……?では……!」

 無数の触手が一斉にルカに迫ってきた。

「なっ……!!」

 攻撃が早すぎて回避できそうにもない。まずい、万事休すか……!?

「ちっ!!」

 そこにヴィクトリーがルカを抱え、クラーケン娘を見る。すると、触手は二人をすり抜け、床を貫いた。

「なにっ!?」

 彼女が視線を上げると、そこに二人はいた。

「あ、危なかった……ありがとう……」

「おう……!」

「残像拳ですか……うまく避けましたね。ここまで腕の立つ勇者は、全力で葬るべきかもしれません……」

 僕とヴィクトリーは構え、臨戦態勢に入る。

「よーし、やるぞ!」

「おうっ!」

 そして、クラーケン娘に猛攻を仕掛けた。

「ぐぐぐ……!」

 その二人の猛攻を触手で対応し、反撃のスキを伺うクラーケン娘。シュンッと二人は消え、彼女の背後に現れ、その背中に拳と斬撃が叩き込まれた。

「ぐっ!?」

 クラーケン娘は振り返った。だが、そこにはヴィクトリー一人しかいない。

「ここだーっ!!」

 ルカはクラーケン娘の脳天に天魔頭蓋斬を放った。

「お、おうぅ……!!」

 クラーケン娘は頭を押さえて、ヴィクトリーを見る。

「かめはめ……!」

 ヴィクトリーは掌を合わせてエネルギーを溜めている。

「ちっ……!!」

「波ああぁーーーっ!!!」

 クラーケン娘にかめはめ波が放たれる。だが、そのかめはめ波は直撃の寸前で爆発してしまった。

「な……なに……!?」

 見ると、水の波動が魔法陣を描き、それがクラーケン娘のバリヤーになっていた。そのバリヤーでかめはめ波は防がれてしまったのだ。

「アクアペンタゴン……まさか、この技を使うことになるとは……」

「な……!」

「そんなのアリかよ……!!」

「アクアペンタゴンは、水の絶対防御。これで、私に指一本触れることは出来ません……」

 ルカがクラーケン娘に突進し、剣を振る。

「くっ!こんな壁なんて……!」

「やめろルカっ!」

 ルカの攻撃は水の絶対防御により、防がれてしまう。

「ぐっ、何だこれ……!?」

「これは、ただの防壁ではありません。使用できる者は世界で五人いないといわれる、究極の防御魔術……時空自体を歪め、物理的破壊力を消散させているのです。どんな怪力であろうとも、この法陣を壊すことは出来ませんよ。」

「そ、そんな……」

「ボタモみてぇな能力持ちやがって……」

 ……ボタモの場合は、衝撃そのものを異空間に送ってるとかいう原理だが、今はどうでもいい。迫り来る触手を避けながら、接近する。

「ルカーっ!!ちっとは頭使えーっ!!」

「頭を……!?こうかっ!?」

 ルカはクラーケン娘に頭突きをした。だが、水の絶対防御によって防がれてしまう。

「そういう意味じゃねぇーっ!!」

「あふんっ!」

 ルカは触手でべしっと叩かれ、吹っ飛ばされてしまう。

「剣技がダメなら……この技ならどうだ!」

 ヴィクトリーは拳に気を込めて、クラーケン娘に殴りかかる。だが、それも防がれてしまう。

「……やっぱ無理か……!!」

 クラーケン娘の触手を避けて、距離をとる。水の魔法陣に阻まれ、攻撃が届かない……そもそも、これは時空をねじ曲げる防御魔術……物理でどうにかなるものじゃないのだ。

「ふふふ……勝ち目が無いことを理解しましたか……?それでは、トドメを……おや?あれは……」

 右端に不審な人影が見える……あれは一体何スフィーズ16世だ?すると、そいつは魔力を込めた目でルカを睨んだ。

「あ、アリス……?」

「な、何を……?ぐぅ……」

 ヴィクトリーは、ルカが寝たのを確認する。

「……ま、まさか……!!」

「今の人影はいったい……?……ともかく、トドメを刺してあげましょう!」

 ルカに触手が迫った。が、彼は堕天舞踏で避ける。

「な……!寝ながら避けたというのですか……!?それに、この奇妙な雰囲気……まるで、人が変わったかのような……」

 ルカはぐっすり眠りながら、クラーケン娘の前に立つ。

「かべ……?こわれろ〜!」

 そして、ルカの刃がクラーケン娘に一閃する!その威力は時空を裂き、水の絶対防御を破壊した。

「そんな……!物理攻撃で多次元隔壁が破れる道理がない……!時空の理にでも干渉しない限り、このような芸当は……!」

「じゃあ、時空の理に干渉したんだろうよ!」

「どういう事です!?説明しなさい!」

「だから知らねぇっての!!」

 そんなこんな言ってる間にも、ルカは大きく手を広げてから、クラーケン娘に向かって突き出した。その瞬間、凄まじい気がそこに集約した。

「な……!!?」

「……明けの明星」

 ボォッと凄まじい魔力がクラーケン娘に放たれ、爆発した。イメージはベジータのファイナルフラッシュだ。

 その爆発で海底神殿の約半分が消し飛び、海の形が変わってしまった。

「ぐっ……なんと凄まじい魔力……!こんな力を、何故人間が……!?」

 クラーケン娘はボロボロになりながら、立ち上がる。

「た、立つなクラーケン!!ふせろーっ!!」

「え……?」

「……ぐぅ……」

 ルカは消えてから、クラーケン娘に背を向ける形で現れた。そして、ゆっくりと剣を納める。次の瞬間、壁や床、クラーケン娘やらがズバズバと切り裂かれた。

「ま、まさか……このような悪夢が……!この私が、まるで歯が立たないなど……!」

「あ、あぶねぇ……!!」

 このまま一気に決まるか……?

 そう思っていた時だった。

「その勝負、待った!下らん戦いもここで終わりだ!」

 アリスはまた、魔力が篭った目でルカを睨む。すると、彼は目を覚ました。

「あれ……?僕は何を……?」

「いったい、何がどうなっているのです……?」

「わ、分かんねぇよ……まだやるか?」

「待ったと言っておるだろうが、ドアホめ。」

 クラーケン娘は肩を落とし、脱力してしまう。

「……どっちにしろ、私に余力はありません……私の負けみたいです……」

 ……何が何だかさっぱり分からないが、どうやら僕達はクラーケン娘を倒してしまったようだ。

流血表現

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