もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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依頼完了

 ルカの超パワーが爆発し、クラーケン娘を圧倒した。その力に為す術もなくなった彼女は降参し、決着がついたのだった。

「……あなた達が何者か、私は知りません。しかし、この命に代えてもオーブを渡すわけにはいかないのです。勇者よ、何故オーブを求めるのです?セントラ大陸の魔物を血祭りにあげるだけでは、飽き足らないとでも言うのですか……?」

「ま、まだ言ってんのか……」

「僕達は、オーブっていのを奪いに来たわけじゃないし、そんなの知らないんだから!」

「なんと……?ならば、ここへ何しに来たと言うのです!?」

「だから、結婚の誓書を持ってきたんだよ!結婚する夫婦の代わりに、ここへ届けに来たんだ!」

 クラーケン娘は、それを聞いて硬直する。

「……」

「……」

「……」

「……」

 ……何だこの空気は。

「……何でそれをもっと早く言わないんですか!」

「言ったよ!僕、最初に言ったよ!!」

「おめぇが問答無用で襲いかかって来たんじゃねぇか!!」

「やれやれ、とんだ勘違い女王だ……」

「なんと、そういう事だったとは……どうやら、ひどく迷惑を掛けてしまったようですね。」

「俺なんかぶっ殺されかけたぞ。」

 ヴィクトリーが、むすっとする。

「……では、結婚の誓書、確かに受取りましょう。して勇者よ、あなたの結婚相手は誰です?そこの銀髪の妖魔ですか?」

 それを聞いたルカは、少し動揺しながら答える。

「ち、違う……!僕じゃないよ!」

「違うわドアホめ!」

 さっき、代理人って言ったじゃないか。

「では、そこの黒髪の武闘家ですか……?」

 ヴィクトリーは、迷いなく答える。

「ちげぇよ。俺達はただの代理人だっつってんだろ。」

 こいつ、本当に誤解と勘違いがヒドイな……

「マーメイドに頼まれて、代理として持ってきたんだよ。」

 ルカは誓書を取り出し、クラーケン娘に差し出す。

「……はい、これがその誓書。」

「代理……?なぜ、本人達が来ないのです……最近の若い者は、まったく……」

 誓書を受取りながら、クラーケン娘は愚痴をこぼす。確かに、それはもっともではあるが。

「なぁ、本当に構わねぇんか?こういうのって、やっぱ本人達が来ねぇと……」

「……まぁ、構わないでしょう。本人が持ってこなければならない、という掟は無いですし。」

「……」

「おいおい……」

 本当に、それでいいのか。こんな大雑把で穴だらけの掟で、海の秩序は大丈夫なのか。

「ともかく、確かに誓書を受け取りました。南海の女王として、メイアとその夫を真の夫婦と認めます。」

 そう言うと、クラーケン娘は二つの指輪を渡してきた。

「では、この『契りの指輪』を受け取りなさい。これをいかなる時にも指に嵌め、互いに愛し合う事を誓うのです。」

「は、はい……」

「おうよ。」

 僕達は、そのペアになった指輪を受け取った。

「どんな困難の中でも、互いの事を想い、支え合いなさい。さすれば南海の女王である私が、祝福を与えましょう!」

 そこに、アリスも続いた。

「ふむ、ついでに、魔王たる余も祝ってやろう。」

 更に僕達も便乗する。

「じゃあ、勇者見習いの僕もおめでとうを言わせてもらうよ!」

「勿論武闘家の俺もだ!」

「……」

「……」

「……」

「……」

 結婚する当人達が不在では、なんともしまらない。ともかく、勇者一行と魔王と女王は、新たな夫婦の誕生を海底にて祝ったのだった。クラーケン娘がアリスの方を向く。

「ところで……貴女様は、まさか……?」

「……ふん、余は大した者では無い。偶然に通りかかった、旅のグルメだ。」

「なんと、こんな海底にまで美食を求めに来るとは……しかし、ここには大した食物はありませんよ。」

 ……おいおい、信じてるよ。しかも、さっきアリスは自分で魔王って言ってなかったか?

「ともかく、これで用事は終わったな。長居は無用だ、帰るぞ。」

『契りの指輪』を貰った以上、もうここに用はない。今度はナタリアポートに戻ってメイア達に指輪を渡さないと。

「じゃあ、帰ろうか。」

「ま、またあの道を戻んのか……めんどくせぇな……」

 そんな二人の肩にクラーケン娘はポンと触手を乗せる。

「それには及びません。失礼を働いてしまった詫びに、私が地上へと送って差し上げましょう。」

「ほんとか!?」

「ありがとう、それは助かります……ってえっ?」

 クラーケン娘の触手が、僕達の胴体をしゅるりと巻き上げた。そして、僕達の体はボールのように持ち上げられる。

「あの……クラーケンさん……魔法かなんかでびゅーんって飛ばしてくれるんじゃ……」

「だいたい、あっちの方ですね……」

 クラーケン娘はなにやら地上を見上げ、方向を探ってる様子だ。

「おい……まさか……!」

「あの、もしかして……」

 クラーケン娘は二人に微笑みかける。

「人と魔物の仲を取り持つ行動、南海の女王として嬉しく思います。また何かあれば、この神殿に訪れなさい。では、さらばです……」

 そして予想通り……クラーケン娘は、僕の体を斜め60度の方向に思いっきりぶん投げた。

「うわぁああああ!!」

「ごぼごぼ……」

 海底神殿の窓を通って、僕達の体は海中に投げ出されてしまう。

 

 そのまま一気に海の中を突っ切り、海面から投げ出され……そして、砂浜に叩きつけられた。

「がふっ……!うぐぐ……!」

「あ、あのイカ女……思っくそ投げやがって……」

 体がバラバラになりそうな程の衝撃に、僕達は砂浜をのたうち回ってしまう。間違いなく、この一件で受けた最も大きなダメージだ。

「やれやれ、本当に大雑把な女王だな……」

「おめぇが着任させたんだろうが……!!」

「うぐぐ……!!」

 苦悶する僕達の後ろ、アリスはため息を吐くのだった。あんな大雑把な魔物が女王だなんて……アリス、魔物世界の人事には問題があるぞ……

「それはともかく、さっきは助けてくれたんだな。ありがとう、アリス。」

 クラーケン娘との戦いのさなか、間接的にだが、手助けしてくれたのだ。僕を眠らせ、潜在能力を引き出してくれたのである。

「……ふん、こういうのは、これで最後だ。今回ばかりは向こうの勘違いもひどく、放置するのもためらわれたからな。」

「本当に、今回は酷い目にあったよ……」

「全くだぜ……」

 ヴィクトリーは、ずた袋から仙豆を取り出し、それを食う。

「あ、その不思議な豆……」

「ああ、けっこうダメージ受けちまったからな……おめぇも食うか?」

「いや、自前で回復できる……」

「そうか……」

 二人はそれぞれ回復、全快した。

 とにかく、これで依頼は済んだ。後はナタリアポートで待つメイア達これを渡すだけだ!

 

 そして、メイア宅。

「……と、そんなこんなで、南海の女王にこいつを貰ってきた訳なんだけど……」

 ヴィクトリーと僕は契りの指輪をメイアに渡す。

「あ、ありがとうございます!」

 メイアは指輪を受け取り、満面の笑みを浮かべた。残念な事に、晴れて夫となった少年は漁に出掛けて留守のようだ。

 なお、アリスはしばらく市場をウロつくとかで、ここにはいない。

「これで、旦那様もさぞ喜んで下さるでしょう。さて、お礼をしなければいけませんね……」

「いいですよ、お礼なんて……」

「ケッコンできて、めでたしめでたしでいいだろ?」

「しかし私は、ただの一般市民。勇者一行様のお役に立つアイテムも、大金も持っておりません。」

 メイアは、二人の前に顔を寄せる。

「ですので……お礼として、あなた達のおちんちんをしゃぶって差し上げようかと。」

「え……」

「えええええ!?」

 突然のエロ展開に、驚愕する二人。そんな二人を見てメイアは言う。

「……お気に召しませんでしたか?私、口技には自信があるんです。どんな殿方でも、おそらく三十秒も持ちはしませんよ……くすっ。今回はお礼ですので、長くゆっくり楽しんでもらいますけど……」

「だ、ダメですよ!」

「おめぇ、ケッコンしたばっかだろ!」

「私の愛は、旦那様に捧げております。ですので、これは浮気ではありませんよ。」

「い、いや……」

「そういう問題じゃねぇし……」

 やっぱり、いくら何でもまずいだろう。そんな、メイアに他人棒を咥えてもらうなんて……

「さて、どちらからにしますか……?可愛らしい剣士様からですか?それとも、男らしい武闘家様から……?それとも、両方同時に……?」

「……」

 ヴィクトリーは僕の方を見る。

「わりぃけど、急ぎの用事が出来ちまった。後は頑張れ。」

「え……?」

 そう言うと、ヴィクトリーは額に指を置き、消えてしまった。ただの高速移動なんかでは無い。どこかに瞬間移動したのだ。

「あらあら……あの武闘家様、意外と恥ずかしがり屋なのですね……」

 これで、この場は僕とメイアだけになってしまった。

「な……何だよそれーーーっ!!」

 ルカの悲痛な叫びがメイア宅にこだましたのだった……

 

 ヴィクトリーは、アリスの背後に突如現れた。

「!?」

 アリスは突然現れた気配に驚き、振り向く。

「おっす。」

「……何だ貴様か。驚かせおって……」

「へっへへ……」

 アリスは、市場のものを物色している最中で、まだ何も買ってはいないらしい。

「……接近が感じ取れなかった……貴様、何をした?」

「へっへへ〜……瞬間移動ってやつだ。」

「瞬間移動だと……?そんな便利なものがあるなら、何故さっさと使わんのだ。」

「いや、そう便利でもねぇさ。この瞬間移動ってのは、場所じゃなくて人を思い浮かべるんだ。そんでもって、そいつの気を感じ取る……だから、知ったやつのいねぇ場所とかには行けねぇんだ。」

 ヴィクトリーは人差し指を立てて、アリスにそう説明した。

「ほう……」

 アリスは少し考えてから、ヴィクトリーに言った。

「所でヴィクトリーよ、余はあまあま団子が食べたくなったのだが……」

「……取ってこいってか?」

「貴様の瞬間移動が本物だったら、取ってこれる筈だがな……」

「分かったよ……えと……サザーランドのおかみさん……」

 ヴィクトリーは指を額に置いて、方向を探った。

「……ここか!」

 そして、消えてしまった。次の瞬間、もう一度ヴィクトリーがそこに現れた。

「……ふん、何が瞬間移動よ……超スピードで誤魔化しただけに過ぎんではないか……」

「じゃーん!これなーんだ!」

 ヴィクトリーが取り出したのは、二本の串刺しのあまあま団子。どうやら、本当にサザーランドからここへ瞬間移動したようだ。

「な、なんと……どうやら、本当の本当に瞬間移動が使えるようだな……」

 アリスはあまあま団子を食べながら、ヴィクトリーを見る。

「何だか、貴様らには驚かされてばかりだな……」

「その内、俺らがおめぇにおったまげることがあるだろうよ……」

 ……それが、最悪の形で実現しなければ良いのだが。そんな事を思いながら、しばらく二人で歩いていた……

 

「……」

 ルカは無事「お礼」を受取り、うっとりとした顔で、ふらふらとナタリアポートを歩いていた。ふらついた足取りで市場の方へ向かっていると……

「おっす!」

「どうしたのだ?魂の抜けたような顔をして……?」

「げぇっ!二人ともっ!?」

 いきなり現れた二人に、僕は度肝を抜かれてしまう。

「な、なんなのだ……?何をそんなに驚いている……?なにか、悪さでもしでかしたのか……?」

「あ、あはは……」

 へらへら笑うヴィクトリーをぶん殴りたい衝動をなんとかおさえる。

 落ち着け……落ち着くんだ……別に、悪いことをした訳じゃないし、今ヴィクトリーと喧嘩しても意味がない……僕は深呼吸をして、平生を取り戻す。

「いや……何でもない。メイアさん、とっても喜んでくれたよ。」

「……ふん、どうでもいい事だ。」

「そう言うなって、アリス。人間と魔物が結ばれるのって、素晴らしい事じゃねぇか。」

 これで、人と魔物の共存する世界に一歩近づいたはずだ。それがどんな小さな一歩であろうが、僕は満足である。

「確かに、素直に喜ぶべきかもしれんな。人と魔物の絆、まだまだ断たれた訳ではないのかもしれん。」

 それを聞いたルカは、アリスに迫る。

「だろ!だろ!?……だろぉ?えへへへへ……」

「う、ウザっ!」

「うぜぇ……」

 ……こうして、メイアの依頼を無事に終わらせることができた。色々と大変だったが、その結果に僕は大きく満足したのであった……

流血表現

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