もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
北の屋敷の二階、戦士達は困惑していた。現れた三体のゾンビ娘。その体力は不死身ともいっていい程。戦士達は、それらと対峙していた。
「うらぁあああっ!」
「てやぁあああっ!」
二人はゾンビ娘達に殴り込み、攻撃を乱打した。
「ううぅ……」
「男……」
「うぅあ……」
ゾンビ娘達は切られ、殴られ、打たれ、投げられ、突かれと攻撃を受けて、皆地に伏せた。だが、立ち上がり、再びルカ達に近寄ってくる。
「くっ!」
「やっぱ不死身かこいつら……!」
三人相手に乱闘する戦士達。そんな時、ヴィクトリーの体が赤く光る。
「界王拳だぁああああ!!!」
ボォッとヴィクトリーの気が吹きあがり、三体のゾンビ娘を殴り飛ばす。そして、殴り飛ばした彼女らの一人に目をつけてから飛び、そいつの背中に両膝を落とした
「あが……!?」
ゾンビ娘の体からボキボキという鈍い音が響く。そして、その彼女は床に叩きつけられた。
「かめはめ波ーーーっ!!」
そのゾンビ娘はかめはめ波によって消し飛んだ。
「よし、残るは二人……!」
ヴィクトリーの活躍により、一人を仕留めた。
よし、僕も……!!
「でやぁっ!!」
ルカはゾンビ娘をズバズバ切りつける。
「あぅあ……寒い……」
ゾンビ娘はルカを抱きかかえようと手を振るが、ルカはそれをしゃがんで避ける。そして足払いをかけ、すっ転ばせた。
「よし、いけるっ!」
そして天井によじ登り、そのゾンビ娘を天魔頭蓋斬で真っ二つにする。
「ぁ……!?」
真っ二つになったゾンビ娘から何かが消散し、そのままもの言わぬ死体となった。
「後一人……!」
僕達二人は残りのゾンビ娘に目をつけ、突進する。
「超龍撃拳ーっ!!」
「魔剣・首刈りーっ!!」
二人の技がゾンビ娘にクロスし、炸裂した。
「あが……!?」
そして、そのゾンビ娘も物言わぬ死体へと還ったのだった。
「はぁっ……!はぁっ……!」
ヴィクトリーは界王拳を解き、呼吸を整える。
「はぁ……はぁ……なんなんだ、このゾンビの群れは!?」
僕も息を切らせながら、剣を納めた時だった。
「あ〜!儂の実験体達が〜!!」
謎の少女が廊下に立っており、僕達を見て声を上げた。
「おめぇはっ!さっき目ぇ合わせた……!!」
「わわっ……!」
謎の少女は僕達を見るなり、脱兎の如く逃げ出してしまった。間違いない、さっき僕達を見下ろしていた少女だ。どう見ても、病気で死んだ少女とは違う。その雰囲気からして、おそらく人間ではなく妖魔。それに、ゾンビの事を実験体と呼んでいた……
「こらー!逃げんなー!!」
「待てっ!!」
僕達は部屋を飛び出し、謎の少女を追いかける。
階段を駆け下り、再び広間に降り立つと……さっきの少女が、一体のゾンビを従えて待ち構えていた。
「なんなのだ、お前は。なぜ、儂の研究所で暴れておるのじゃ?」
少女がギロリと二人を睨み、言った。それに僕達は答える。
「俺はヴィクトリー。並びにこっちはルカだ。」
「お前こそ何者だ?研究所って、どういう事なんだ?」
待ってましたと言わんばかりに少女は名乗る。
「儂の名はクロム!偉大なるネクロマンサーじゃ!」
クロムという少女は、ない胸を張って話を続ける。
「この場所は、かつては処刑場、その後は墓場として使われた場所なのじゃ。死体がゴロゴロしておるから、儂の研究には最適でのう……」
「研究だと……?」
「一体、何の研究を……」
「儂はネクロマンサーなのじゃから、アンデッドの研究に決まっておる。特に、この屋敷で病死した富豪の娘は良い素材でのう。それを材料に、より高次元のアンデッドモンスターとして進化させるのが儂の野望じゃ!」
「……」
処刑場、墓場、病死した少女、悪い魔導師……聞いた情報は、全部本当だったって訳か。
「……とすると、この屋敷にうろついてるゾンビもおめぇが?」
「その通りじゃ。ゴーストは勝手に湧いてきたものじゃが、ゾンビは全て儂の作品じゃぞ。」
「あれが作品だって……!?」
ゾンビを意図的に作るなんて、死者に対する冒涜だ。そんな真似をイリアス様はお許しはしない。
「あいつらは無理矢理生き返らされて苦しんでいるんだぞ……!!そいつを作品だと……!?」
「そんな事は今すぐやめるんだ!さもないと……!!」
僕は剣を抜き、ヴィクトリーは半身になり、真っ直ぐ構えた。
死者に対する冒涜も許せないが、町に近い屋敷でゾンビを量産するという行為も見逃す事は出来ない。周囲をゾンビがうろつくことになれば、罪のない一般市民にまで危険が及ぶことになるだろう。
「ふん、まだまだ儂には研究するべき事が沢山あるのじゃ!やってしまえ!フレデリカ!」
「……」
フレデリカと呼ばれたゾンビが、前へと進み出た。確かに、他のゾンビとは格が違うようだ。しかし、注目すべきはその顔だった。
「おい、ルカ……!あいつ……!」
「ま、まさか……!?」
体格は違うが、あの肖像画の少女に面影があった。
このゾンビが、まさか……!!
「ふふっ、気付いたようじゃな。このフレデリカこそが儂の最高傑作。さっきの話に出てきた、富豪の娘の死体を元に作った強化ゾンビよ。その娘の屍は魔素との適合率が高く、ゾンビの素材として最適なのじゃ。」
僕達は、歯ぎしりをしながらクロムを見る。
「生命を全うした少女を、こんな姿にするなんて……!!」
「おめぇだけはぜってぇ許せねぇ!!」
クロムはそんな二人を鼻で笑い、背を向ける。
「ふん、何とでも言うがいい!フレデリカ!その二人をコテンパンにしてしまうがいい!」
「了解しました……」
フレデリカは僕達の前に立つ。その後ろでクロムが扉の奥に去ってしまった。
「待てっ!!」
ルカはそのクロムを追おうとするが、そこにフレデリカの拳が飛んできた。
「うわっ!?」
「くっ!」
ヴィクトリーは瞬間移動でフレデリカのパンチを受け止めて、ルカを守った。
「……!」
フレデリカは何が起きたか理解出来なかった。ルカと呼ばれる少年を殴り飛ばそうとしたら、咄嗟にかばえる位置にはいなかった筈の派手な道着を着た少年が「見えない移動」で割り込んできたのだ。
「行けっ!ルカ!あいつをぶっ飛ばしに行くんだろ!?」
「……当たり前だ!ありがとう!」
ルカはヴィクトリーに礼を言ったあと、クロムを追ってその扉に入る。そして、この場はフレデリカとヴィクトリーの一騎打ちとなったのだ。
「……さて、おめぇの相手は俺か……フレデリカ……」
「……こてんぱん……」
フレデリカは構え、ヴィクトリーを睨んだ。その構えは、喧嘩の構え。両の拳を握り込むだけの、防御の事など一切頭にない構えだ。
「行くぞっ!!」
ヴィクトリーも拳に握力を込め、界王拳を使う。
「2倍っ!!」
そして、界王拳を2倍に引き上げる。それだけで屋敷の中に気が溢れ、突風が吹きすさんだ。
「……」
フレデリカも気を開放する。そのオーラは、ヴィクトリーよりも僅かに大きい。
二人の闘気がぶつかり合い、大気がピリピリという音を奏でた。そして、二人はぶつかり合った。
「であぁっ!!」
「……」
ヴィクトリーとフレデリカの一撃がぶつかり合い、気で床の所々がべリベリと剥がれる。
「でぇやぁあああ!!」
「……」
二人の拳と足と技がドカドカとぶつかり合い、その場を揺るがした。先に攻撃をくらったのはヴィクトリーだった。
「ぐっ!?」
フレデリカの膝がヴィクトリーの腹にめり込んだ。彼は踏みとどまり、彼女の脇腹にパンチを放つ。
「どらぁっ!!」
「っ……!」
フレデリカも負けじとヴィクトリーの顔面をぶん殴る。それに応じるように彼も彼女の腹に肘を叩き込んだ。
「ちっ!」
ヴィクトリーは一旦フレデリカから離れ、距離をとった。
……まずいな……あいつ、まるで痛みを感じてねぇ。このままじゃ俺が先に参っちまう……
そんな事を思っていたら、彼女が急接近してきた。
「うわっ!?」
巨体に見合わない、圧倒的なスピード。それに驚いていたら、今度は高速移動で自分の背後に回り込んできた。
「しまっ……!?」
振り向いた瞬間、衝撃が頬を貫いた。フレデリカの裏拳で体が吹っ飛ばされてしまったのだ。
「が……!?」
界王拳を使っているのに関わらず、この威力……素でくらっていたら、おそらくこれで戦闘不能になっていただろう。
「……」
「わっ!?」
フレデリカは吹っ飛ぶヴィクトリーの足を掴み、グルグルと振り回し、壁に投げつけた。
「この……!!」
ヴィクトリーは吹っ飛ばされてる最中に体制を整え、壁を蹴り、フレデリカの頬めがけて拳を放った。
「……」
「な、何だと……!?」
フレデリカは渾身の一撃を頬に受けながらヴィクトリーをギロリと睨む。その時、彼の背筋に悪寒が走った。
次の瞬間、彼女はスレッジハンマーを振り下ろした。
「ぶっ!?」
その一撃を受けたヴィクトリーは床に叩きつけられ、ワンバウンドしてから、うつ伏せに倒れ込んでしまった。
「あが……がが……」
鼻血を垂らしながら苦悶するヴィクトリーを、フレデリカは容赦なく蹴り飛ばした。
「うわぁああっ!?」
ヴィクトリーは壁に叩きつけられた……と思いきや、その壁は粉砕し、別の部屋に投げ出されてしまった。
「はぁっ……はぁっ……」
大ダメージを受け、界王拳が解けてしまった。
まずい、次が来るぞ……!!
ヴィクトリーは目線を戻し、フレデリカの方を見る。すると、もう彼女の拳が眼前に迫っていた。
「……っ!!ちきしょうっ!!」
もうダメだと思い、目を瞑り、覚悟を決めた時だった。
フレデリカの拳が止まり、ぷるぷると震えている。
「……を……して……」
そして、何かを呟いた。
「あ……?」
ヴィクトリーは目を開け、またフレデリカの方を見た。
「……お願い……私を倒して……」
無表情で体を静止させながら、フレデリカは言った。
「これ以上……こんな事は……もう、嫌……」
「……」
ヴィクトリーは無言で足を合わせ、フレデリカの顔面に両足蹴りを放ち、立ち上がった。両足蹴りは命中したようで、それをくらった彼女はそのまま、よろよろとふらつく。
ヴィクトリーは立ち上がり、体制を立て直してからフレデリカの方を見る。だが、彼女はそこにはいなかった。
「な……!?」
まさかと思い、背後を振り返る。すると、フレデリカが肘打ちをしようと、腕を振りかぶっていたのだった。
「まずいっ!!」
ヴィクトリーは瞬間移動でフレデリカの肘打ちを避けた。
「……!?」
またあの「見えない移動」……あの子は……何処……?
「ふぅ〜……おめぇは俺がやっといて助かった……」
ヴィクトリーはと言うと、もとの部屋で気絶しているゴースト娘の頭を撫でながら腰を下ろしている。
……まずったな、あいつの強さは計算外だ。俺があいつを倒すには界王拳を3倍に引き上げるしかねぇ……だけど、3倍の界王拳は体に負担がかかりすぎる……そんな短期決着をつけられる相手でもねぇ……
「……いた……!」
そんな事を考えていたらフレデリカが現れ、また俺に目をつけた。この世界に来て史上最大とも言える修羅場を目の前に、俺は何故か笑っていた。
「……ふ、ふふふ……こんなやべぇ時だってのに、わくわくしてきやがった……!」
やはり、俺もサイヤ人。相手が強ければ強いほど、わくわくがでっかいものだ。よし、ここは腹をくくるか……!!
「カラダもってくれよ……!!3倍界王拳!!」
ゴゴゴと屋敷が震え、気が吹き荒れる。
「……!!」
フレデリカは止まって、ヴィクトリーを見た。
「行くぞフレデリカ……おめぇの望み通り、おめぇをぶっ飛ばしてやる……!!」
ヴィクトリーがボウッと気を開放すると、各地から何かが割れる音が響いた。どうやら、屋敷の窓ガラスがほぼ全部割れたようだ。
「だっ!!」
ヴィクトリーは高速移動でフレデリカの腹に肘を叩き込んだ。
「……!!」
メキメキとフレデリカの体が軋み、巨体がぶっ飛ぶ。
「うぉおおおお!!!」
ヴィクトリーは舞空術で低空飛行し、フレデリカの顔面に拳を叩き込んだ。
「まだまだっ!!」
その巨体が床に叩きつけられる寸前で高速移動し、フレデリカの腹を上方向に蹴り飛ばす。フレデリカの体は、天井スレスレまでぶっ飛んだ。
「……〜っ!!」
「まだまだまだまだ……!!」
そして、舞空術でフレデリカに追いつくと、空中でフレデリカを一方的にタコ殴りにした。
「でゃだだだだだだだだ……!!」
ドカドカと、フレデリカの体に拳を連打する。
「……!!」
フレデリカはたまらずヴィクトリーの顔面めがけて拳を放った……が、避けられ、その腕を掴まれる。
「だりゃあああああっ!!」
ヴィクトリーが咆哮し、フレデリカの体を床めがけてぶん投げた。彼女は思いっきり床に叩きつけられた。その床はギシギシという音を立て、亀裂が入る。
「ぅ……ぐ……」
フレデリカが起き上がると、ヴィクトリーが目の前に降りてきた。
「……!」
フレデリカはそのヴィクトリーに拳を放つが、彼はそれを跳んで避けた。そして、彼女の背後に着地する。
「そらっ!!」
そして、振り向きざまに床を蹴り、フレデリカの背中に膝蹴りを叩き込んだ。
「〜!?」
フレデリカの体はまた吹っ飛ぶが、すぐに体制を立て直し、ヴィクトリーに向かった。そして、拳に握力を込めてから彼に踏み込み、拳を顔面めがけて放つが、彼はそれをしゃがんで避け、彼女の腹に拳を叩き込んだ。
「ぁ……が……!?」
フレデリカは腹を押さえ、ヴィクトリーの方を見る。
「あぅ……」
「……?」
フレデリカがまた何か言いそうだ。
「こんなの、もう嫌……私を倒して……解放して……」
「フレデリカ……」
クロムによって安らかな眠りを邪魔され、そして意に沿わぬ体にされてしまったフレデリカ。しかも、クロムの命令には逆らえず、俺に襲いかかってくる……この戦い、一対一なんかじゃない。フレデリカの魂も、戦っているのだ!
「お願い、私を……!」
「……当たり前だ!!」
俺に出来ることはただ一つ。この忌まわしい身体をぶっ飛ばし、フレデリカを解放することだ!
「うぉおおお……!!」
ひとりじゃない。そんな感覚が体に湧き上がり、気合い闘志が爆発した。
「行くぞぉっ!!」
「……」
立ち尽くすフレデリカの顎に膝蹴りを入れ、そして廻し蹴りも叩き込む。
「……!」
フレデリカはそのヴィクトリーの蹴り足を掴み、投げ飛ばそうとする。だが、彼はもう一方の足で彼女の顎を蹴り、よろけさせる。
「ぁ……!?」
「ゾンビでも元人間……顎への攻撃は脳の揺れを起こす……」
ヴィクトリーは床につき、そしてフレデリカに急接近し、へその下辺りに正拳突きを決める。
「ぐ……ぁ……!?」
フレデリカは目を見開き、舌を出し、腹を押さえ、悶絶する。
「命を生み出すこともできねぇ体だ……気は進まねぇが……容赦なくいかせてもらう!!」
そして、昇竜拳ばりのアッパーカットを叩き込んだ。
「究極龍翔拳……!!」
「がっ……!!?」
ヴィクトリーは上方向に吹っ飛んだフレデリカの背後に高速移動し、フレデリカの背中を思いっきり蹴りつけた。彼女の背中がメキメキと軋み、背筋が伸びる。
「人間の背骨ってのは、本来はエス字に曲がってる……そして今、それを無理矢理まっすぐにした……」
ヴィクトリーはそう言うと、フレデリカに抱きつき、そのまま舞空術で浮いた。彼女の意外とスベスベとした背中に少し驚きながら、トドメの一撃に入ろうとしていた……
「ぁあ……あ……」
「そして……その状態でおめぇを垂直にブチ落とせば、流石のおめぇも全身が粉々に砕け、二度と立てなくなる筈だっ!!」
ヴィクトリーはそう咆哮し、回転しながらフレデリカの頭を床に向け、猛スピードで落下した!
「くたばれフレデリカぁああああああああああ!!!」
「ああぁ……!!」
フレデリカの頭が床に激突すると、床はその衝撃で崩れた。そして、戦士は床下のフロアに落ちていったのだった……
流血表現
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もっとする
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このままでいい
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しなくていい