もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
二人の猛攻により、クロムは逃走してしまった。
「おいルカ!追いかけるぞ……!」
「あぁ!」
まだ反省の言葉も聞いてないのに、逃がす訳にはいかない!僕達はクロムを追いかけた……が……
「み、見失っちゃった……」
「気も消してやがる……」
どうやらクロムは、何処かに隠れてしまったらしい。
……と、棺の陰に人影が見えた。
「見つけたぞ!観念しろ!」
「待てルカ!こいつは……」
棺の陰に隠れていたのは……ぷるぷると震えているアリスだった。地下墓地に迷い込んだ後、怖くて動けなくなってしまったらしい。
「……おい、アリス?」
「どうかしたんか?」
「ごめんなさい、ごめんなさい……邪神様、初代魔王様、どうか余をお救い下さい……もう悪いことはしません……きつねをいじめたりもしません……きつねの耳を引っ張ったり、尻尾を踏んだり、油揚げを奪ったりしません……」
……こいつ、どれだけきつねをいじめているんだ。きつねに恨みでもあるのか。
「アリス、ここにはゾンビを研究してる悪ぃ魔術師がいるんだ。みんなそいつが悪いんだよ。」
「そうだよ、こっちの方に逃げてこなかったか?」
「みんなそいつが悪いだと……?それは確かか?」
アリスは僕達のその言葉を聞き、目を光らせながら立ち上がった。
「そうそう、その魔術師のせいでこの屋敷はゾンビの研究所になっていたんだ。だから……」
「そいつのせいで、余がこんな目に……許さん!出てこい!」
アリスの目がギロッと光る。次の瞬間、少し離れた所にあった棺が爆発した。
「ふぎゃっ!」
焼け焦げた棺からクロムが転がり出てくる。
「な……!」
「あいつ、あんな所に隠れていたのか……」
僕達の横をすり抜け、アリスは倒れ伏すクロムの前に立つ……と思ったら尻尾で、ビシビシ殴り始めた。
「なんじゃ貴様!?何処の妖魔じゃ……がふっ!げふっ!」
「余がこんな酷い目に……」
「べふっ!あうっ!や、やめんか……あうっ!や、やめて……もう許して……」
いい加減に泣きが入ったクロムを、アリスは容赦なく打ち据える。流石に僕は見ていられなくなった。
「落ち着け、アリス!やりすぎだろ!相手はまだ少女じゃないか!」
「俺達もぶん殴ったり切りつけたりしたけどな……」
それでも、今のクロムは無抵抗の状態なのである。
「ふん、妖魔の外見と実年齢は必ずしも一致せんのだ。こいつ、余よりも百歳は年上だぞ。」
「お年寄りを足蹴にしちゃダメだよ……ほら、クロムもアリスに謝るんだ。」
「……ごめんなさい。」
よっぽどアリスが怖かったのか、クロムはあっさり謝った。
「何かを熱心に研究して、努力するのは良い事だと思う。でも、死体をオモチャのように扱うのは良くないよ。」
「それに、ゾンビを放置すんのも良くねぇな。そうでねぇと、また怖いヘビのお姉さんに怒られちまうぞ。」
「……気を付けます。」
「わかったら、とっとと屋敷から出ていくがいい!!」
「は、はいぃぃ……」
アリスに一括され、クロムは一目散に逃げてしまった。これで、少しは反省してくれるといいのだが……
そして、アリスも我に返ったようだ。
「やれやれ……結局、奴が幽霊騒動の原因だったわけか。あいつ本人やら、ゾンビやらを見た町の人間が幽霊と勘違いしたわけだな。ふん、馬鹿らしい!幽霊など実在せんのだ!」
「本当に、そうなのかな……?」
ルカがそう呟いた時だった。突然、僕達の目の前に上品そうな少女が現れたのだ。その姿は……肖像画で見た、フレデリカそのものだった。
「お、おめぇは……!」
「ありがとうございました、勇者一行様……これで、私は……いいえ、私達の魂は救われました。」
見ると、フレデリカの背後にも幽霊が何人か控えていた。
「屍がゾンビ化する事により、私達の魂もここに囚われていたのです……しかし今、それも解き放たれる事でしょう……」
「魂だけでも、帰ることが出来るのですね……私達が生まれ育った、懐かしいサン・イリアへ……」
「ありがとう、勇者一行様……あなたのお陰で、我々は救われました……」
幽霊達は口々に感謝の言葉を述べ、そして煙のように消えてしまったのだった。
「これでみんな、安らかな眠りにつくことが出来るんだな……」
「死者たちよ……安らかに眠ってくれよ……」
僕達は目線を伏せ、死者の為に祈った。
「それにしても、不思議な事もあるものだね……アリス……」
ルカがアリスに話しかけてみるが、彼女の返事は無かった。
「おい、アリス……?」
「………………」
アリスは、そのまま昏倒してしまった。
「あ、あらら……」
「お、おい……!?アリス……!?」
結局僕達は、昏倒したアリスを背負って屋敷から出るハメになってしまったのであった……
屋敷を出ると、日差しが戦士達を迎えたのだった。
「すっかり朝か……」
「それにしても、重いなこいつ……」
余裕そうなヴィクトリーと少し辛そうなルカは、ぐったりと伸びたアリスを運んでいた。
そして、サン・イリアに戻ろうとした時……
「……」
敷地内から屋敷を見上げる、不思議な女性の姿を目にした。その女性は、赤いロングヘアーをしていて、白衣を着た研究者風の女性だった。
「あの……この屋敷に何かご用ですか?」
「幽霊ならもう出ねぇと思うけど……」
「そうか、もうクロムはいないのか……」
「……!」
クロムを……知っている……?こいつ、何者だ……?
「折角提供してやった技術も無駄になったようだな……まぁ、下らんネクロマンサーにしては上出来か。魔王アリスフィーズを、その状態にまで追い込んだのだからな……」
「……!?」
僕達の事まで知っている……!?それに、アリスが魔王だと言うことも……!
「おい、赤髪!!おめぇ何モン……」
「声を荒らげるな、異世界の戦士……お前らに答えることは何も無い……」
「は……!?」
ヴィクトリーが異世界から来たことまで知っているだと……!?
「………………」
赤髪の女性は、驚く僕達に背を向け、姿を消してしまった。
「なんなんだ、あいつ……」
その雰囲気も、どこか普通では無かった。あいつも高位の妖魔だったのだろうか……
「……」
ヴィクトリーが視線を落とし、何かを考えている。
「どうしたんだ?ヴィクトリー。」
「いや、あいつの体から藻の匂いがした……」
「藻の匂い……?」
「あぁ……それに、放ってる気もいい気とは言えなかった……あいつ、一体何モンだ……?」
「……」
とにかく、アリスを背負ったままぼんやりしていても仕方が無い。サン・イリアに戻るとしよう……
「………………」
「ど、どうなってんだ……?」
町に着くと、町中幽霊だらけになっていた。
「おぉ、我が魂の安らげる場所……」
「皆の魂もここに集まったみたいですね……私の故郷は南の島ですが、ここは確かにいい町です……」
あの屋敷、相当数の幽霊が囚われていたらしい。
「アリスは宿屋に置いてきて良かったみてぇだな……」
「あぁ、こんなの見たら、また倒れるぞ……」
とりあえず、僕達は町を見て回る事にしたのだった。
……一通り見終わった。
どこもかしこも幽霊ばかりだった。
「……っつー訳でどこもかしこも幽霊ばっかだったぞ。」
「……」
アリスは、目を閉じたまま固まっている。
幽霊屋敷騒動はこれで解決した……のか?騒動は城内や城下町にまで広がり、悪化したと言えるのかもしれない。
僕が目指しているのは人と魔物の共存。だけど、幽霊と人は……どうなのだろう。
「わーい!わーい!」
「あははっ……!」
そんな僕達の横を、子供達と少女の幽霊が追いかけっこをして駆け抜けていく。どうやら子供達には見えているらしく、もう打ち解けているようだ。
「これも共存の一歩って事でいいんじゃねぇか?」
「そうだね……」
とにかく、あの屋敷を根城にしていた悪党は居なくなった。後はサン・イリアの人達次第なのだろう。
ふと、アリスは白目をむきながら僕達の方を向いた。
「……一刻も早くここから出るぞ。これは命令だ。」
「わ、分かったからその顔やめてくれよ……」
これ以上この町に居ると、アリスが壊れてしまいかねない。こうして、僕達はサン・イリアを後にしたのだった。
僕達はフィールドを歩きながら会話していた。
「気にかかる問題は全部解決したんじゃねぇのか?」
「そうだな……よし、じゃあ精霊の森とやらに行ってみよう!」
シルフとやらに力を貸してもらう為に、精霊の森とやらに行こうか……
「ふむ、本来の目的を果たすのだな。シルフの力を手に入れた後は、この地域を後にする事になるだろう。」
「あぁ、特にやり残した事も無さそうだしね。」
「よし、精霊の森にレッツゴー!」
こうして、戦士達はいよいよシルフに会いに向かったのだった……果たして、戦士達を待ち構えているものとは……
流血表現
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もっとする
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このままでいい
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しなくていい