もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
サン・イリア城下町。そこにはフェアリーと幽霊が絶賛大量発生していた。
「フェアリー達、やりたい放題だったね……」
「ははは……」
案の定、いたずらばかりしていたのだった。この城、一体どうなってしまうのだろう。
幽霊も妖精も住み着き、立派な怪奇スポットと化してしまった。
「困ったものだな、あのいたずら者どもは……」
これも人と魔物の共存……なのか?
「わーい!」
「きゃっきゃっ!」
「あはは……!」
「わー!」
そんな僕達の横を、子供たちがはしゃぎながら駆け抜けていく。
「……どうなるんだろうなぁ……人間とフェアリーは、仲良くやっていけんのかな……」
「共存していくか、排除しようとするのか……イリアス信仰が強い町だけに、行く末が心配ではあるな。」
「結局、町の人次第という事だね。」
これからどうなるのか、僕達には先行きを見守ることしか出来ないのだ。
「ともかく、早くここを出るぞ。こんな所でのんびりしている暇では無いはずだ。」
「あぁ!」
「そうだね……」
アリスは平生を装っているが、その体はぷるぷると震えている。見栄を張って、かなり無理をしているようだ。
「じゃあ、行こうか……」
こうして戦士達は、サン・イリアを後にしたのだった。この町の様々な住人達が、共存していける事を願いながら……
「精霊っちゅうのはあと三人いるんだろ?大変だな〜……」
「そうだね……えっと、彼女達の異場所は……」
サラマンダーはセントラ大陸の北部、ゴルド地方の火山洞窟……
ウンディーネはセントラ大陸の東部、ノア地方のダンジョン……
ノームはセントラ大陸の西、サフィーナ地方に広がる砂漠のどこか……
「サフィーナってトコが一番近い事になるんじゃねぇか?」
「じゃあ、次はノームだな。まずは、西のサバサ城に行くとするか。」
セントラ大陸は一般に四つのエリアに分けられ、西のサフィーナは砂漠地帯。その中心に、最大の砂漠都市であるサバサ城が存在するのだ。サフィーナ地方に行く以上、サバサ城を拠点に動く事となるだろう。
「ふむ、今度は砂漠か……色々な珍味が楽しめそうだな。余はワクワクしてきたぞ!」
「それは本当か!?俺もワクワクしてきたぞ!」
「……」
この二人は相変わらずの食いしん坊ぶり。この旅はたべあるきグルメツアーではないと、何度言ったら分かるんだ。
呆れながらも、僕達は西方のサフィーナ地方へと旅立ったのだった。
サン・イリアを出て、すでに十日。
あと三日ほどすすめば、サバサ城に辿り着くはず。魔物も厄介だが、それよりも過酷なのは自然環境だった。蒸し暑い熱帯雨林が、行く手を阻んでくるのである。
「……あつい。」
この言葉はアリスだ。
「おめぇ、涼しそうな格好だからいいだろ。」
「僕達なんて、本当に暑いんだから……」
「貴様らも脱げばいいだろう。そうすれば襲われる手間も省ける筈だ。」
「やれやれ、他人事だと思って……ん?」
「こんなクソ暑い時に……」
がさがさと揺れる草木、接近してくる妙な気配。茂みをかき分け、一体の魔物が姿を現した。
女の上半身に、タランチュラの下半身……こいつは……タランチュラ娘か。
「ふふっ、美味しそうな人間ね……粘液で動けなくして、餌食にしてあげるわ……」
「そんな風に、旅人を片っ端から襲っているのか?人間の精以外の食事じゃ生きられないのか……?」
「草でも肉でも、何でも食べられるけど……私は、オスの人間しか襲わない主義なの。悶え喘ぐオスの顔を楽しみながら、その精を吸うのが最高なのよ。」
「なら、全力で叩きのめしても問題ないな!」
このようなモンスターは、こらしめてやらなくては!
「む、おめぇが行くのか。」
「あぁ。」
ヴィクトリーは、「じゃ、任せた」と言わんばかりに腕を組み、木に寄りかかった。一方、ルカは剣を抜き、タランチュラ娘に突進した。
「はぁああっ!!」
そして死剣・乱れ星を放ち、無数の斬撃を浴びせた。
「……っ!?」
タランチュラ娘は揺らいだが、その場に踏みとどまってからルカを見た。
「このっ!」
そしてルカを押し倒そうと腕を振るったが、彼は触れる寸前で消えた。
「なっ!?……がっ!?」
次の瞬間、タランチュラ娘の背中に横一文字の斬撃が走った。
「……」
ルカは、タランチュラ娘の背後に立っていた。
「そんな、私が人間なんかに……!」
タランチュラ娘の体が消散し、小さな蜘蛛の姿になった。
「暑くても、魔物は元気なんだな……」
魔物というのは、暑さも平気なのだろうか。ふと、アリスの方に目を向けてみる。
「……あつい……腹も減ったぞ……」
……そうでもないか。
「ぬうぅ、空気が乾いてきたぞ……」
「そろそろ、乾燥地域だね。」
「じゃ、もう少し進めば砂漠に入んのか。」
その砂漠の真ん中に建っているのが、目的地のサバサ城。熱砂の帝王と呼ばれた英雄サバサの子孫、サバサ9世が治める国家である。
ノームは砂漠のどこかにいるというだけで、具体的な場所は不明。サバサ城を拠点にして情報を集め、その所在地を調べる事になるだろう。
「むっ、魔物のようだな……」
アリスはそう言い、姿を消した。
「やれやれ……」
「ドコ行っても魔物っちゅうんは襲ってくるんだな……」
これじゃあ、人と魔物の共存も難しくなるばかりだ。
現れたのは巨大な斧を持った、兜を装着してる女山賊だった。
「……人間?」
「ミノタウロスだ!」
そう言われたら、確かに牛っぽいかも。頭の兜とかは牛っぽい感じがする。
「ふふん、それはそうとイキの良さそうなオスじゃないか。あたしが、たっぷり犯してやるよ。」
「さぁ……そう上手くいくか分かんねぇぞ〜?」
ヴィクトリーが、ドスの効いた声で言う。さっきは僕が戦ったので、今度は彼に任せよう……
「安心しな。おめぇ相手に界王拳は使わねぇ。」
「カイオーケン……?何だそれは……とにかく、かかってくるんならかかってきなよ!」
「それじゃ、遠慮なく……!」
ヴィクトリーはギュンッとミノタウロス娘に接近し、高速移動で消えた。
「なに……!?」
「やめとけ。今のおめぇじゃ俺には勝てねぇ。」
そう言いながら彼は、ミノタウロス娘の背後に立っていた。その声を聞き、彼女はハッとする。
「でぁっ!」
ミノタウロス娘は、振り向くと同時に斧をなぎ払った。だが、なぎ払った相手は既に残像だった。
「はっ!?」
ヴィクトリーはというと、ミノタウロス娘の頭に直立していた。
「くそー!」
ミノタウロス娘が足を掴もうとするが、それも消えた。
次の瞬間、その腹に鈍痛が炸裂した。
「ぅぐ……!?」
「……」
ヴィクトリーがミノタウロス娘の腹にパンチを放ったのだ。彼女は白目を剥きそうになるが、何とか踏ん張り、彼を睨んだ。
「この……!!」
「まだやるつもりか。」
ミノタウロス娘は斧を構え、ダンッと地面を蹴り、ヴィクトリーに突進した。
「ほらほらほらほらほらほらぁ!!」
猛スピードの斧のラッシュを、軽々と避けるヴィクトリー。だが……
「ぁ……」
「おらぁああああ!!」
ヴィクトリーの背中に木が当たった。その時、ミノタウロス娘が斧を振り上げ、そして思いっきり振り下ろしてきた。
避けるのは多分ムリ。ならば……!
「波ぁっ!!」
「ぃっ!!?」
ヴィクトリーはミノタウロス娘の斧が当たる寸前で、かめはめ波を放った。それは彼女に直撃し、爆発した。
「あが……か……!」
ミノタウロス娘はそのかめはめ波で倒れ、気絶してしまった……
「ふぅっ……今のをまともにくらったらやばかったぞ……」
「ふむ、終わったか。」
アリスがヴィクトリーの背後に現れ、僕もヴィクトリーの横についた。
「ヴィクトリー、貴様には悪い癖があるな……」
アリスは、ふとそんな事を言う。
「ん?」
「自分の力を過信しすぎだ。半分遊んでいるのがバレバレだぞ。」
「そうかな……へへへっ……」
「なぜ界王拳を使わない?あの力を使えばあんな奴一撃で沈められた筈だ。」
「い、いやぁ……実はそうもいかねぇんだ。」
ヴィクトリーは、そう言って苦笑いする。
「この界王拳……性能はすげぇけど、体の負担が大きいんだ……下手すりゃ俺の方が参っちまう……」
「そうなのか……」
そう言えば、アリスは界王拳の詳細を知らなかったか。
界王拳とは、体中のエネルギーをコントロールし、倍増させる技だそうだ。だが、その力の代償は大きく、まさに諸刃の刃。彼も界王拳を使う時は3倍に抑えているようだ。余計な力を使わずに戦っているだけで、遊んでいる訳では無いそうだ。何だか難しい奴だな……
「さぁ、行こうぜ。早くしねぇと夜になっちまう。」
「そうだな、行こう!」
会話もそこそこに、僕達は先に進むのだった。サバサ城まで、まだまだ遠い……
それからしばらく足を進め、周囲はすっかり砂漠。思った以上の熱気と乾燥が、僕の体から容赦なく水分を奪っていく。
「うう……暑い……」
覚悟はしていたが、これほどとは……照りつける太陽は、まるでフライパンで僕を焼いているかのよう。
「何だおめぇだらしねぇな。」
ヴィクトリーは顔に汗を垂らしているが、まだまだ余裕がありそうだった。そう言えば、彼は山籠りの経験があるとかないとか言ってたな……こんな極限環境には慣れているのか……?
「ぼ、僕は君と違って普通の田舎育ちの人間なんだぞ……野生児のお前なんかと一緒にするなよ……」
……環境がすっかり変わった以上、襲いかかってくるのも砂漠特有のモンスターばかりなのだ……
黒い甲殻、大きい尻尾、女の上半身……こいつは……サソリ娘か。
「さっき俺が戦ったから、次はおめぇな。」
「が、がーん……」
ヴィクトリーは下がり、腕を組む。僕はサソリ娘と対峙した。
「ここを人間が通るとは珍しいわね……オスのエキス、吸い付くさせてもらうわ……」
「退いては……くれないよね。」
向こうから襲いかかってくる時点で、戦う気マンマン。こうなった以上、退いてくれるわけはない。
よし、ここは一つ……
「来いっ!シルフ!」
ルカの体を中心に、砂漠に似つかわしい涼やかな風が吹き荒れる。
「へぇ……!それじゃあ……!」
サソリ娘は尻尾をルカに突き刺そうとしたが、突風がそれを阻止した。
「なに……!?」
「雷鳴突き!」
ルカはサソリ娘の腹に、雷鳴突きを放った。ドスッと突きが炸裂し、彼女を揺るがせた。
「ぐっ……!」
サソリ娘は尻尾でなぎ払うが、ルカはそれを避けた。
「ふっ……!」
「この……!!」
次に両手を広げながら、ルカに襲いかかった。
「がぁっ……!?」
この声はサソリ娘だった。ルカがいつの間にか彼女の背後に回り、背中を切りつけていたのだ。
「い、いつの間に後ろへ……!?」
「終わりだ……!!」
ルカが跳び上がり、まずサソリ娘を縦一文字に切った。
「ぐはっ……!」
「うおぉおお……!!」
そしてズバズバと彼女を切り裂き、今度は縦一文字に切り上げた。
「まさか、人間ごときに……!」
サソリ娘の体は宙に浮きながら消散し、小さなサソリの姿になった。
「ふぅっ……」
ルカは風の力を納め、剣をしまった。
「……その風の力、防壁にしか使えねぇんか?」
ヴィクトリーが、僕に問いかけてきた。
「あ、あぁ……」
「……以前アリスが言ってた事を覚えてっか?動きに風を宿すだのどうのこうの……」
あぁ、そう言えばそんな事も言ってたような言ってなかったような……
「多分、その「動きに風を宿す」ことが出来なきゃ、完全に風を使いこなすのは難しそうだぜ。」
「そうなんだよなぁ……」
「しょんぼり……」
僕の中で、シルフも何だか落ち込んでいるようだ。そう言えばこの子も、風を盾にするか真空波を出すかぐらいしか出来なかったっけ。
「シルフでさえ知らない風の使い方か……」
風そのものの精霊であるシルフが出来なかったという事は……魔力の問題ではなく、戦闘センスの問題なのだろう。
「まぁ、修行あるのみだな!俺も暇だったらおめえの修行に付き合ってやるからさ!」
「あぁ!それにしても……」
あ、暑い……暑すぎて死にそうだ……
「ふむ、遅くなってすまなかったな。」
ここで、アリスが戻ってきた。
「このあたりは暇だな。うろつく場所もない。」
「じゃあおめぇ何してたんだ……」
「虫を捕まえていたのだ。」
何だか自信満々に虫カゴを見せてくるアリスだが、その中には……
「うわぁぁぁぁぁっ!!」
「ルカっ!?」
カゴの中をカサカサと這い回っていたのは、大量のサソリだった。ヴィクトリーは平気な模様だが、僕はぞわぞわと鳥肌が立った。しかも、妙に誇らしげな様子のアリス。お前は、カブトムシを捕まえてきた子供か!
「アリス、こんなモン捕まえてどうすんだ?食うのか?」
「ご名答だ……」
「食えるかっ!!」
うんざりしながら、僕とアリスとヴィクトリーはサフィーナ砂漠を進むのだった。サバサ城まで、後少し……
サバサ城を目指して砂漠を進む戦士達。その一人、ルカにあるものが目に付いた。
「ん……なんだ、これ?」
サバサ城まであと数時間という地点まで来た時、妙なものを見つけた。砂漠の真ん中に、服と荷物が落ちているのだ。
服は上下、帽子にスカーフ、下着……大きなリュックさえ転がっている。
「なんだ?旅の途中で行き倒れたか……?」
アリスもそれを見て、言った。
「それにしても、本人がいないよ。」
身ぐるみが剥がされた人間が転がっているならともかく、まるで逆。荷物や衣服のみが残り、中の人間が見当たらないのだ。
「追い剥ぎ……じゃあ無さそうだな。」
ヴィクトリーも、ルカの肩を掴んでそれを覗き込んだ。
「ああ、追い剥ぎならそもそも何も残らないはず……何があったのかな……」
ルカはそう言いながら散乱しているそれを見ていると……
「ん……これは……?」
ふと、高価そうなランプが目に付いた。こんな骨董品が、砂漠の真ん中に転がっているのは奇妙だ。
「何だそれ……?」
「知らないよ……何でこんなものが……」
ルカはそれを拾い、汚れた表面を掌で擦ってみる。すると、ボワッという音と共に煙が吹き出し、魔女が現れた。
「うわっ!?」
「な、なんだぁ!?」
ランプを放り出し、二人は構えた。
「よくぞ私を呼び出しましたね。それでは、あなたの願いを一つだけ叶えてあげましょう。」
「え……?」
「ね、願い……?」
突然の事態に、二人は驚きを隠せなかった。二人とも似たようなおとぎ話は知っているが、これにはどう対応したらいいか……
「どういう事だろう……アリス……」
「あいつなら、とっくに消えたぞ。」
「あぇ……」
ヴィクトリーの言う通り、アリスは消えていた。
「さぁ、願いをどうぞ。どんな願いでも、叶えて差し上げましょう。」
「う〜ん……」
「ん〜……」
どうでもいい事だが、なぜかランプの魔女は胸をさらけ出していた。なんだか、目のやり場に困ってしまう……
「ギャルのパンティおくれーっ!!」
「こらこらこらこら待て待て待て待てぇい!!」
ヴィクトリーが突然腕を上げて咆哮したので、僕はエンジェルハイロウの剣身で彼の頭をガツンと叩いてしまった。
「は……ぎゃるのぱんてぃ……?」
流石のランプの魔女もこれには困惑したようで、目をぱちくりさせてる。
「ストップ!今のなし!」
「い、いってぇな……!何すんだよ……!」
「僕の台詞だ!」
勇者たる者、ギャルのパンティなどという邪なものを願うなんて、言語道断だ!
「……さ、さぁ、どんな願いでも叶えて差し上げますよ。あなたが望むのは富?名誉?それとも……至高の快楽でしょうか?」
「……」
「そんなモン望んじゃいねぇさ。」
ヴィクトリーが、前に進み出た。
「どうせ大した願いも叶えらんねぇ癖にでしゃばんなよ。消えろ。」
「な……!」
「……」
ランプの魔女はムッとした表情を浮かべる。
「お、おい……!流石に喧嘩売りすぎだぞ……!」
「どうせ次の戦闘のローテーションは俺なんだ。」
「……」
ランプの魔女は、ムッとした目でヴィクトリーを睨みながら口を開いた。
「どうやら、貴方には強者と戦いたいという願望があるようですね……」
「バレちまったか……?ふふふ……」
二人の間で闘気がぶつかり合い、バチバチという音が響く。
「……それに、あなたにも快楽の願望がある……胸の奥に僅かだけ……」
「……」
「いや、あなたは快楽を恐れているようですね……まぁ、すぐに虜になりますよ……」
そう言って、ランプの魔女は全裸になった。ヴィクトリーはさっきまで笑顔だった表情を真顔に変え、青筋を浮かべて構えた。
その瞬間、僕の背筋がゾクッとする。あんなヴィクトリーは見たこと無い……
「行きますよ!」
ランプの魔女はいきなりヴィクトリーを犯しに押し倒そうとしてきた。その時、彼の体が赤く光った。
次の瞬間、ズンッという鈍い音がその場に響いた。
「……ぁ……が……!?」
「……3倍界王拳……」
ヴィクトリーの拳が、ランプの魔女の腹に埋まっていたのだ。
その一撃で彼女は口から唾を散らしながら白目を向き、失神してしまった。
「ルカ、封印を。」
「あ、あぁ……!」
僕はヴィクトリーの言葉ではっとして、失神したランプの魔女を切る。そして、彼女は古びたランプへと封印された。
「……」
ヴィクトリーは界王拳を解除し、元の表情に戻る。
「……っふぅ!威張ってた割には大したこと無かったな!行こうぜ!」
「……あぁ。」
いつの間にか、アリスが僕の背後にいた。
「……あいつ、ヴィクトリーの触れてはならん領域に触れたようだな……」
「え……?」
「誰でも、触れてはならん領域というものがある……それに触れたのならば、当然の結果だろうな……」
確かにそうだ。誰にだって地雷はあるが……ヴィクトリーの触れてはならない領域とは……?
「なぁにボケっとしてんだ!サバサ城はもうすぐなんだろ!?行こうぜ!」
「あ、そうだな……進もう!」
ともかく、サバサ城まであと少し。
今晩は、久しぶりに柔らかい布団で眠れるだろう……
……と思ったんだが、すっかり夜になってしまった。
どこかで方向を間違えたらしく、まだサバサ城に着かない。おまけに、もう食料もないという悲惨な有様だ。
「ううっ……こんなものを、料理する羽目になるとは……」
「ひ、ひゃ〜……」
「余に感謝するがいい。」
ルカが唐揚げにしているのは、アリスの捕まえてきたサソリ。旅の書によれば、サソリは揚げれば食べられるらしい。普段なら断じてお断りだが、それでも餓死するよりはマシである。
二人はその揚げたサソリをムシャムシャ食べている。
「んっ!力がつく味だな!」
「ふむ、いけるではないか。さすがはルカ、何を作らせても最高だな。」
「……こんなの、褒めて欲しくないよ……」
僕は嘆きながらも、サソリの唐揚げをもそもそと食べる。まぁ、見た目はさておき、味は悪くない。ルカはそんな状況に涙してしまった。
「うぅ……今頃はサバサ城に着いてるはずなのに……」
「な、泣くなよ……」
こうして僕達は、思わぬ野営を強いられたのだ。まさか砂漠越えが、こんなに大変だったとは……
流血表現
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もっとする
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このままでいい
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しなくていい