もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話 作:ジョーカー:ゼノ
ピラミッドに到着した戦士達。二人の戦士はそれを見上げていた。
「ここがピラミッドか……」
「近くで見ると、意外とでけぇんだなぁ〜……」
この中に、姫が囚われているのだ。正面から乗り込んで、救出するより他はない。
……と、その時だった。女戦士が、ピラミッドを見上げているのが見えた。
「ここがピラミッド……予想以上に大きいわね。」
戦士達と同じような事をしながら、同じ事を言っている女戦士の姿があった。
「見ろよルカ。あいつもピラミッドに乗り込む気みたいだぜ。」
「みたいだな……」
僕達は、その女戦士に声をかけた。
「ど、どうも……」
「おっす!おめぇもここに乗り込むんか?」
「そうだけど……あんた達は?」
「あ、えーと……」
この女性も、もしかしたらサバサ王に依頼された旅人だろうか。しかし、王から釘を刺されているゆえに、直球的に事を言うわけにもいかない。
「腕試しだ。」
ヴィクトリーが、口を開いた。
「う、腕試し……?このピラミッドに……?」
「あぁ、おめぇは何しに来たんだ?」
「……あなたなんかには、どうでもいい事じゃない……まぁ、盗賊とかと勘違いされても気分悪いけど。」
女戦士は、ピラミッドの方へと首を傾けた。
「このピラミッドで、竜印の試練を受けたいのよ。私の愛する、あの方のためにね。」
「愛する人の為にぃ……?」
このピラミッド、聞けば元々はなんかの試練を受けるところと聞いていた。この女戦士は、どうやら例の事件とは別件のようだ。
「とにかく、一人で入るのは危険だよ。」
「あぁ、中には魔物がわんさかいるみてぇだしな……」
「危険なのは分かっているわよ。でも……あの方に認められるため、私は行かなきゃいけないの!」
女戦士はかなり強情で、言っても聞きそうにない。だからといって、このまま放置するのも勇者として正しい行いではないだろう。
「分かった……じゃあ、一緒に行こう!」
提案したのはルカだった。その提案に、女戦士は少し戸惑った。
「一緒に……ってあんた達が……?まぁ、仲間は居た方がいいけど……あんた達、足手まといにならないでしょうね?」
「そっちこそ……」
「……」
この女戦士の実力が、どれほどのものか不明だが……一見した感想では、まぁそこそこ鍛えている並の戦士程度。幾多の戦士が戻ってこなかったというピラミッドに入るには、少々ながら頼り無さそうだ。
「……まぁいいわ、ダンジョン探索なんて初めてだし。あんた達も冒険者なんだから、少しくらいは経験あるでしょ。そういうわけで、サポートはよろしくね。」
「では、行ってくるがいい。余はここで待っているぞ。」
アリスはいつの間にか人間に化けている。そして、仁王立ちしたまま動く気は無いらしい。
「あら?おめぇは行かねぇんか?」
「中に美味いものはありそうにない……」
「やれやれ……」
結局、ピラミッドには僕とヴィクトリーと女戦士の三人で入ることになった。
「じゃあ、行こうか……えっと、君の名前は?」
女戦士はムッとしながら二人を睨んだ。
「……無礼ねあんた。まずは、自分から名乗るものじゃないの?」
「あぁ、ごめん……僕はルカ。その……勇者見習いだよ。」
「俺はヴィクトリー。武闘家だ。」
「あたしはサラ。一流の剣士を目指して、修行中の身よ。」
こうして、僕とヴィクトリーとサラはピラミッドの中に入っていったのだった……
狭い石の通路を、三人は並んで歩く。
「所で二人とも。あの銀髪の女性、どっちの彼女?」
「そ、そんなんじゃないよ!」
「あいつは付き添いだ。」
知り合いの魔王です、とは言えない。
「所でおめぇ、恋人の為に試練を受けるっつってたな。」
「……恋人じゃないわよ、私の一方的な片思い。あの方は、剣一筋に生きる孤高の剣士。私の事なんて、覚えてもいないと思うわ。」
「ふ〜ん……」
「大変だね……」
自分の事を覚えていないかも知れない相手のために、女の身でありながら試練を受けるなんて……なかなか、頭の下がる話である。そんな事を考えながら進んでいると、二体の魔物が立ち塞がってきた。
全身に包帯を巻いたミイラ娘とコブラの特徴を持ち合わせているコブラ娘だ。
「試練を受ける人間よ……」
「試練を受けたくば、私達を倒して……」
「だぁああああっ!!」
「てやぁあああっ!!」
二人の戦士は、サラを置き去りにして、魔物の言葉が終わる前に突っ込んだ。
「……えっ」
「……なっ」
コブラ娘は一撃で封印され、ミイラ娘は蹴り飛ばされ、上半身が壁に埋まってしまった。二人の戦士は試練の魔物を一撃で倒してしまった。
「いぇーい!」
二人はハイタッチを交わす。サラは、ぽかーんと口を開けて驚いていた。
「あ、あんた達一体何者なの……!?」
「だから言ってんだろ。勇者と武闘家って。」
「そう、僕達は勇者一行。強さには自信があるんだよね……」
……どうやら、修行のし過ぎで強くなりすぎてしまったらしい。シルフを使うまでも無かった……
「ふ、ふぅん……こ、これじゃああたしの出る幕が……」
「よし、さっさと行こうぜ。早くしねぇと日が暮れちまう。」
「そうだな。行こう!」
サラに圧倒的な力を見せつける形になってしまったが、魔物は倒せたから結果オーライだ。僕達は先に進むことにした……
「あんた達って、見かけによらず強いのね。まぁ……あの方よりは劣るけど。」
狭い通路を歩きながら、おもむろにサラは言った。あの方というのは、彼女の片思いの相手だろう。
「そんなにつえぇんか?あの方ってのは……」
「そりゃもちろん、当然よ!いくらあんたが強くても、ぜんぜん比較にならないんだから。」
サラは胸に手を当てながら、目をきらきらさせる。
「今はどこで何をされているのかな……愛しのグランべリア様。」
「……なにっ!?」
「グランべリア……!?」
……魔王軍四天王の一人、魔剣士グランべリア。僕も二度ほど刃を交えた相手だが、同名の別人なのだろうか?
「その、グランべリアってのは……?」
「とっても有名な方だから、あんたも知ってるかもね。魔王軍四天王の一人で、巨大な剣を振りかざす龍人の方よ。」
……やっぱり、あのグランべリアで間違いなさそうだ。
「……」
「ひゃ〜……」
「……何よ、その変な顔。人間が魔族に恋するのは、そんなにおかしい……?」
「いや、そうじゃないけど……」
人間と魔物が愛し合う、それ自体は素晴らしい事だ。しかし、女同士というのは……どうなんだろう。
「おめぇ、一体どういう流れでグランべリアに恋するような事になったんだ……?」
どういう馴れ初めで恋をするような事になったのか。
危ないところを助けてもらった……とかは、相手が相手なだけに考えづらい。
「あれは、忘れもしない三年前の事よ……」
サラは、あの時の事を話した……要約すると、サソリ娘に襲われた所をグランべリアが助けてくれたらしい。
「……とまぁ、そういうわけよ。」
「なるほど……」
「どっひゃ〜……ベタ過ぎて二行で要約出来ちまったぞ。」
ヴィクトリーは未知のダンジョンに踏み込んでいる緊張で、意味不明な事を口走った。
「それ以来、あの方とはお会いしていないわ。でも、今度は私からあの方の元に行く……そのために、いっぱい剣の修行もしたの。三年前まで素人だったのに、今は結構なもんでしょ?」
「でもよサラ、おめぇまだまだ弱っちいじゃねぇか。」
ヴィクトリーの容赦ない一言が、サラの胸にドスッと突き刺さる。
「あんた達が化け物なだけよ!」
「ヴィクトリー……そこは嘘でも強いって言ってあげようよ……」
「むぅ……そんなに言うんだったら、事が終わった時に喧嘩でもしてやるよ。」
「ぐぬぬ……」
ヴィクトリーは余裕の笑みで、ふふふんと笑う。サラは歯ぎしりをしながらそんな彼を恨めしそうに見た。
「……それで、何でピラミッドに?ただの腕試しじゃないよね?」
サラはルカの方に、向かい直した。
「あのお方って、龍人よね。龍人について、詳しく調べてみたんだけど……どうやら龍人の種族には婚姻の掟っていうのがあるの。この竜印の試練を乗り越えた相手としか結婚出来ない掟らしいのよ。」
「ひゃ〜……めんどくせぇな〜……龍人ってのは。」
「なるほど、そういうわけか。当然、グランべリアは君が試練を受けている事も知らないんだよね?」
「もちろんよ。初対面以来お会いしていないんだから。あの方にふさわしい女になってから再開すると誓ったのよ。」
「はぇ〜……」
なんとも、一方的な話だな……グランべリアでも、勝手に婚姻の準備を進めていたら困るだろう。しかも相手は女なのだから、なおさらだ。
「あの、多分実らない恋だと思うんだけど……」
「そんな事無いわよ……種族の壁なんて、乗り越えてみせるんだから……!」
「そうだな、種族の壁の前に性別の壁を破らねぇとな。」
……このサラという娘、ちょっと変な娘なのかもしれない。
「……」
ここでヴィクトリーが、立ち止まった。同様にルカも立ち止まる。
「どうしたの?二人とも……?」
「……ルカ、気づいたか?」
「うん……風の流れが妙だね……これは……複数か?」
「いち、に、さん……あぁ、四人いる……」
ここから先に、敵モンスターがいるのは間違いない。それも、どうやら数が多いようだ。
「二人とも……?」
「僕は精霊の力……」
「俺は気の力で相手を察知することが出来るんだ……」
「なにそれ……」
「来るぜっ!油断すんなよっ!」
「おうっ!」
僕達が構えると同時に、魔物の群れが現れた。
褐色の四姉妹のラミア。それぞれが蛇の眼光で三人を見つめていた。
「ルカ、こいつらは?」
「こいつらはネフェルラミアス……こういう所に出るラミアさ……」
ネフェルラミアス達は、僕達に向かい直った。
「悪いけど、この先には進ませないわ。」
「強い人間しか通しちゃいけないって、スフィンクス様に言われているのよ。」
「つまらない人間だったら、あたし達が餌食にしちゃうよー!」
長女から順に次々と口を開く。対してサラは、剣を構えた。
「なによ、今度は大人数ね。でもこれぐらいで……きゃあっ!」
次女ラミアが、突然にサラへと襲いかかってきた。その尻尾を彼女の体に巻き付かせ、たちまち動きを封じられてしまう。
「ちょっとぉ!離しなさいよぉ!」
「こっちのお姉さんは随分他愛ないようね……」
「ふふっ、あんた達はどうかな……?」
「あ、あちゃ〜……あいつ、全然使えねぇ……」
「サラを離せ……!さもないと……!」
このままでは、サラにまで危険が及んでしまう。この戦い、負けるわけにはいかない!
二人は構え、戦闘態勢に入る。
「二対四……じゃあ二人ずつだな。」
「ちぇっ、全員俺が倒してやるのに……」
ルカは風の精霊の力を、ヴィクトリーは通常界王拳を使い、臨戦態勢に入った。
「じゃあまず一人っ!!」
「……!!」
ヴィクトリーが四女ラミアを殴り、床に叩き伏せた。彼女は、その一撃で気絶してしまった。
「なっ!?」
「そりゃっ!」
そのままヴィクトリーは次女ラミアと三女ラミアに足払いをかけ、すっ転ばせた。
そして、腕をクロスさせる。
「この……!!」
「生意気ねっ!!」
そんなヴィクトリーに、長女ラミアと三女ラミアの二体が突っ込んできた。
「やぁっ!!」
次の瞬間、ヴィクトリーは両腕を突き出した。突き出した両腕から衝撃波が放たれ、二体は吹っ飛んだ。
「そこだっ!」
「がっ!?」
ルカは自分の方に吹っ飛んできた三女ラミアを切り、封印した。
「これで、二対二だ!」
「ナイスだ、ヴィクトリー!」
「つ、強い……!」
「やるわね……」
長女ラミアは卑しい笑みを浮かべ、クスクス笑う。
「でも、あの二人は私達の中では弱い方よ……そんな程度でいい気にならないで欲しいわ……」
……気合砲のダメージをほとんど受けていない……生半可な攻撃は通用しないようだ……
「ヴィクトリー、長女は僕がやる。君は次女とサラを。」
「かしこまりっ!」
ヴィクトリーは、次女ラミアの前に立ち塞がった。
「ここじゃルカの邪魔になる!そんな訳で場所を変えさせてもらうぜ!」
そう言って目を鋭くし、気合砲を放った。
「ぎゃっ!?」
「きゃあっ!」
次女ラミアはサラを巻き付かせたまんま吹っ飛び、ヴィクトリーもそれを追った。
そんな訳でルカは、長女と一対一で対峙した。
「……へぇ、一人で挑むつもり……?残念だけど、容赦はしないわよ……」
「あぁ……僕もだ!」
僕がそうそう言い終わると、長女ラミアは僕の頬に肘打ちをかました。そしてドンッと地面を蹴り、吹っ飛ぶ僕の背後に回り込んだ。
「ちゃっ!」
ブンッと手刀がなぎ払われる。だがルカは難なく避け、斬撃で反撃した。でもそれをサッと避け、手や尻尾を乱打してきた。彼も負けじと剣技をズバズバと放って応戦した。
しばらく応戦した後、バンッと二人は離れ、見つめ直した。
「いてて……」
「……やっぱり、一筋縄じゃいかないわね……」
ルカは頬を擦りながら、首をゴキゴキ鳴らしてから構え直した。
「……仲間の事もある。せっかくのバトルだけど、一気にいかせてもらうよ!」
「あははっ!相当の自信ね!この私がそんな口をきかれたのは初めてよ!」
長女ラミアはクスクス笑いながらニヤァ……と笑った。
「言っておくけど、今の太刀合わせでその自信を持ったのなら、やめておきなさい。後悔するわよ……」
そして手を突き出し、ボォッと気を解放した。
「!!まずいっ!!!」
「ネフェルバズーカ!!」
パァンッとエネルギー弾が放出され、猛スピードでルカに迫る。しかし彼は、それを高速移動で避けた。
不発したネフェルバズーカは壁に当たり、大爆発を引き起こした。
ルカは長女ラミアの背後に現れ、剣を横一文字になぎ払った。しかし、彼女はそれを難なく避けた。
「しゃあっ!!」
今度は尻尾でルカを叩きつけようとしたが、当たる寸前に彼の姿は消えた。
「そこっ!」
背後からのルカの一撃を腕で受け止める。
「やっ!」
「おっ!?」
ルカは長女ラミアの腕を上方向に切り弾き、懐に踏み込む。そして、痛恨の魔剣・首刈りを放った。
「ぐ……!」
首に剣を受けながら吹っ飛ぶ長女ラミア。彼女は着地し、無数のエネルギー弾を放った。
「はぁあああっ!!」
「なにっ!?」
ルカの体を中心に暴風壁が発生し、エネルギー弾は当たる寸前で消えてしまう。そして、彼は既に長女ラミアの眼前に迫っていた……
「死剣・乱れ星!!」
ズバババババッと長女ラミアの体に斬撃が叩き込まれ、凄まじい衝撃が響き渡った。
「きゃああああっ!!!」
長女ラミアはその技で封印され、小さなヘビの姿になってしまった。
「……っふぅ……」
ルカは剣を納め、精霊の力を静める。そして、ヴィクトリー達が行った方を見た。
そうだ、まだ次女が残っているのか……!
「行かなきゃ!」
僕は急いで奥の通路へ走っていった……
数分前……
「いい加減……離せっ!!」
「きゃあっ!?」
次女ラミアの吹っ飛んだ方向に瞬間移動し、尻尾を蹴りつける。その一撃で彼女は、サラを解放してしまった。
「きゃっ……!」
体が宙に浮くサラ。ヴィクトリーは跳び上がり、彼女をお姫様抱っこして着地した。
「……」
「ぁ……」
ヴィクトリーはサラをお姫様抱っこしたまんま次女ラミアを見据える。彼女は思わず、彼の真剣な顔に見とれてしまった。
「……く、くそ……!舐めた真似をするわね……!」
「へへへ……」
ヴィクトリーはサラを下ろして、肩をぽんと叩いた。
「下がってな。おめぇじゃ役に立たねぇ。」
「なっ……!わ、私だって戦えるんだから!」
ヴィクトリーは少し黙った後、笑ってから構えた。
「じゃあ、足引っ張んなよ!」
「言われなくても!」
「ふ、ふふふ……」
次女ラミアは凄まじいスピードで接近し、ヴィクトリーの眼前に現れた。
「わっ……!?」
サラは驚いて少し下がったが、ヴィクトリーはそのまま笑いながら次女ラミアと対峙していた。
「……教えてあげるわ……私達を舐めているとどうな……ぶっ!?」
ヴィクトリーは次女ラミアの言葉が終わる前にその顔面を殴りつけた。
「どうでもいいけど、おめぇら油断しすぎなんじゃねぇのか?」
「こ、この……!」
二人は、シャッと消えた。
「え……!?」
突如として消えた二人に、サラは戸惑うばかりだ。
「こ、これがヤムチャ視点……!?」
サラは二人の激戦を目の当たりにしたパニックにより、意味不明な事を呟いた。
ドォンッドォンッと不気味に戦闘音だけが鳴り響く。二人は通路の真ん中に現れ、バンッと距離をとった。
「やっぱり長女から下は大した事はねぇみてぇだな。」
「な、なに……!?」
「ぶっ飛ばされねぇ内にとっとと帰れ。無駄な戦いはしたくねぇんだ。」
「む、無駄な戦い……!!?」
その言葉が頭にカチンと来て、次女ラミアは気を解放した。
「わっ……!?」
「本当に大した事無いか見ものね……私のスピードはピラミッド一って評判なんだから!」
「へぇ……」
ヴィクトリーがニヤニヤと笑いながら、次女ラミアを見る。
「見てなさい!大技に混乱しながら避けた所を背後から仕留めてあげる!」
次女ラミアはその手に凄まじいエネルギーを込め、エネルギーボールを作った。
「ネフェルブレイカー!」
そしてそれを、ヴィクトリーの方に飛ばした。
「……」
だが、ヴィクトリーは動かない。動く気配も無さそうだ。
「ちょっ……!?ヴィクトリーっ!?」
「怖じ気付いたかしらっ!?ふふふっ……!」
ネフェルブレイカーがヴィクトリーの制空圏に入った瞬間、ヴィクトリーは腕を振りかぶり、思いっきり振り、それを弾き返した。
「なっ!?」
「はっ!?」
次女ラミアはそれを避け、再びヴィクトリーの方を見た……が、そこに彼はいなかった。
「なっ……!?あいつ、何処へ……はっ!?」
「よう。」
振り返った眼前に、ヴィクトリーはいた。
「こ、混乱しながら避けた所を背後から……」
サラは、次女ラミアの言ったことを復唱していた。皮肉な事に、次女ラミアがそうなってしまったのだ。
「ば、馬鹿な……!このピラミッドに私より速い者が来るなんて……!」
「じゃあ今日からピラミッド二だな。」
「くっ……!ほざきなさい!!」
ついに逆上した次女ラミア。凄まじいスピードで拳と尻尾を乱打してきた。だが、ヴィクトリーはそれをひょいひょいと避けた。
「見せてやろうか!?スピードだけじゃないって事を!」
ヴィクトリーはそう言って、次女ラミアの顎を蹴りあげ、上方向に吹っ飛ばした。
「ぐぶっ!?」
「はぁっ!!」
そして、舞空術で飛び、次女ラミアの更に上に回り込んだ。
「なっ……!?飛んだ……!?」
「やああぁーっ!!」
ドカッと、次女ラミアのうなじに肘打ちが叩き込まれた。
「が……っ!!?」
次女ラミアは、猛スピードで床に叩きつけられようとしていた。しかし、地面に叩きつけられる寸前で止まった。
ヴィクトリーが回り込み、彼女の腹をピザでも持つかのように止めていたのだ。そのまんま、床へと放った。
「……ふぅっ……」
「……」
次女ラミアは戦闘不能になり、気絶してしまった。
「か、勝っちゃった……あたしの出番が……」
「……」
サラはヴィクトリーの後ろ姿を見つめていた。この男は一体何者なのだろう……?まさか……人の形をした……
「おーい!何ボーッとしてんだ?」
「あっ……ゴメン……」
……いや、今はやめておこう。
二人は通路の脇に腰をかけ、ルカを待った……
流血表現
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もっとする
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このままでいい
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しなくていい