もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

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サファル遺跡

「ここが、サファル遺跡……」

「……遺跡ってのは、ホントみてぇだ。」

 一見すれば、ただの広大な砂漠。しかしよく見ると、所々に柱の残骸がチラチラと覗いてた。石畳の跡などもあり、なんらかの建築物が存在した痕跡がそこにはあった。

「……」

 アリスは柱の破片を拾い上げ、何を思ったかペロリと舐めた。

「むっ……これは、約千年前の柱だな。間違いない、精霊信仰があった時の遺跡だ。」

「そ、そんな事が分かんのか……?」

 ……なんなの、その特技?

「ともかく、ここがサファル遺跡に間違いないみたいだな。」

「……何処と無く、シルフに似た気を感じる……」

 ここの気は、精霊の森の気と似たようなものがある。どこか心安らぐような、不思議な気だ。

「……どこにノームがいるか、分かるか?」

「……そうだな……」

 ヴィクトリーは額に指を当て、目を瞑る。そのまま、しばらく黙って眉間に皺を寄せた。そして、目を開けて方角を指差す。

「……目立つ気はあった。あっちの方をちょこまかと動いてやがる。」

「目立つ気……?それとノームとどんな関係が……」

「分かんねぇ。」

 ヴィクトリーは、きっぱりと答える。

「ついでに言うと、ノームの具体的な場所も分かんねぇ。あいつ、気を消す事もできんのか……?」

「ノームはやや臆病なのだ。常に気配を消しているのだろう。」

 アリスが、ヴィクトリーを見て答えた。

「そうか……ちくしょ〜……俺の察知能力も、気を消されたらどうにもなんねぇぞ……」

「しかし、ノームは好奇心が強いと聞く。自分を探している者がいれば、向こうから姿を現すだろう。」

「成程……」

 ここから先は、自分達の足で調べるしかないという事か……

「余は、この辺で休んでいるぞ。」

 やはりアリスは動く気は無いらしく、どこぞへと消えてしまった。

 そして僕達は、ヴィクトリーの気の察知をもとに、周囲をうろつく事にしたのであった……

 

「……」

「おーい、ノームー!いるんなら、出てきてくれよー!」

 そう呼びながら、周囲を練り歩いていると……人形のようなものが、ちょこちょこと横切った気がした。

「今のは……!」

「追うぞっ!」

 慌てて、一歩踏み出した時だった。不意に足元で、流砂が発生したのだ。

「うわぁっ!?」

「何だっ!?」

 ヴィクトリーは舞空術で流砂から脱出できたが、ルカは足をとられてしまった。辺りの地面が円形に沈み込み、すり鉢状の渦となる。流砂に呑まれ、じわじわと真ん中に引きずり込まれていく僕の体。

「よっ!」

 ヴィクトリーは、その僕を掴んでからまた飛んだ。

「大丈夫か?しっかり掴まってろ。」

「あ、ありがと……」

 ヴィクトリーはルカをおぶる形になり、戦闘態勢に入る。

 その流砂の中央を見ると……下半身がアリジゴク、上半身が女性のアリジゴク娘が待ち構えていた。

「何よその技〜!空を飛ぶなんて、聞いてないわよ〜!」

「うっせぇ!」

 そう言いながらエネルギー弾を、アリジゴク娘に放った。

「きゃっ!?」

 アリジゴク娘は地中に潜って回避した。そして、またこことは別に流砂が発生し、彼女が現れた。

「危ないわね……!」

「そこかっ!」

 ヴィクトリーは、そこにまたエネルギー弾を撃った。だが、アリジゴク娘は地中に避けた。

「うぉおおおお……!!連続死ね死ねミサイルーーーっ!!!」

 ズドドドドドとヴィクトリーは、フルパワーのエネルギー弾を連射した。

「ちょ、ちょっと!ノームの事とか考えてる!?」

「安心しろ!ここら辺にノームの気はねぇ!」

 ドドドドドドド……と放たれ続ける連続のエネルギー弾。アリジゴク娘は地中に潜って、好機を探っていた。

「ふふふ……あの攻撃が終わって、スタミナが尽きた所が打ちどころね……」

 アリジゴク娘は地中を移動しながら、そう策を練っていた。

「かめはめ波ぁーーーっ!!」

 ヴィクトリーは、流砂の一つにかめはめ波を放った。そのかめはめ波が流砂の中に入り込み、砂漠から無数の閃光が放出された。

「きゃああああっ!!」

 ボロボロになったアリジゴク娘が顔を出した。

「だりゃああああっ!!」

 ヴィクトリーはそのアリジゴク娘に追い打ちをかけるように、ドムッと腹に飛び蹴りをかました。

「が……!!かか……!!」

 アリジゴク娘はその一撃で気絶した。それと同時に、周りの流砂も止まった。

 ヴィクトリーは着地し、ルカを降ろす。

「ふう、びっくりしたぁ……」

「ふぅ……」

 僕達は一息ついた所で、辺りを見回す……すると、またちょこちょこと泥人形のような者が目の前を横切った。

「待てっ!」

 泥人形は意外と逃げ足が速く、追いつけそうにもない。

「ちぃっ!」

 ヴィクトリーが泥人形の目の前に瞬間移動し、手を大きく広げた。

「いただきーっ!!」

 そして泥人形を捕まえようとしたが……なんとそれはヴィクトリーを跳び越し、そのまま逃げてしまった。

「う、ウッソだろ……」

「ま、参ったなぁ……せめて、話ぐらい聞いてくれても……」

 そうボヤいていると……不意に、地面が揺れ始めた。

「なんだ……!?またアリジゴクか……!?」

「ちげぇっ……!もっとでけぇっ!!」

 目の前の砂が陥没し、地面にぽっかりと開く巨大な穴。そこから、巨大なモンスターがぬっと姿を見せたのだ。

「なんだ、このデカさ……!」

「で、でけぇ……!何食ったらこうなるんだよ……!?」

 覗いてる体だけでも、全長20mはありそうな巨体。女の上半身、芋虫の下半身……これは、サンドワームか……?

 見あげんばかりの巨大さに、戦士達は思わず息を呑んだ。二人の体など、一呑みにできそうなほどの大きさなのだ。

「人間だ……精液、吸わせて……」

 サンドワーム娘は二人に目をつけ、静かに言った。

「こんな奴と、戦えるのか……!?」

「やってみなくちゃ分かんねぇ!」

 ……どうやら、相手の動きは鈍そうだ。そこにつけ込みながら戦うしかないか……

「うぉおおおおおっ!!」

「どりゃああああっ!!」

 二人は気を解放し、サンドワーム娘に突っ込み、ドカドカと殴ったり切ったりのラッシュを放った。

「……」

 だが、サンドワーム娘は二人を見ながらまごまごしている……どうやら、まともに攻撃しても、彼女にはあまり効果が無いようだ……

「ちぃっ!!」

「はぁっ!!」

 ヴィクトリーは界王拳を、ルカはシルフの力を使い、本当の力を見せる。

「あぅ……」

 サンドワーム娘は二人を捕まえようと、手を伸ばしてきた。

「界王拳っ……!!4倍だぁああああっ!!」

 ヴィクトリーは4倍の界王拳を使い、その手を蹴り飛ばした。

「おぉっ!!」

「ひっ……!?い、痛い……!」

 どうやら、4倍の界王拳なら効くらしい。だが……

「うぐぐ……!3倍以上は結構キツいんだぞ……!!」

 確かにヴィクトリーの体が小さい悲鳴を上げていた。

「……だっ!!」

 ヴィクトリーは飛び上がり、サンドワーム娘の頬をぶん殴った。

「ぶっ……!?」

 彼女は予想だにしない感覚に、揺らぐ……が、すぐにヴィクトリーを見て、それをはたき落とそうとした。

「ふんっ!」

 ヴィクトリーはサンドワーム娘の指を抱きかかえるように受け止めた。そして、背負い投げを敢行してみせた。

「どりゃあぁーーーっ!!!」

「うぐ……!!」

「う、うわ……!」

 サンドワーム娘の背中が砂に叩きつけられた。その衝撃が砂の大地を揺るがした。

「はぁ……!はぁ……!」

 ヴィクトリーは界王拳を解除し、ルカの横に降り立った。

「く、くそ……!今ので限界だったみてぇだ……これ以上、もたねぇ……!」

「じゃあ、僕がやるっ!」

 ルカが走り出し、サンドワーム娘に突っ込んだ。

「あぅ……」

「死剣・乱れ星っ!!」

 起き上がりかけたサンドワーム娘の顔面に、ズバズバと斬撃が走った。

「い、いたい……!」

「うわっ!?」

 サンドワーム娘は虫でも払うかのように手を払った。それだけの動作なのに、それには凄まじい威力があった。

「ぐうっ……!!」

 何とか剣でガードした。が、威力は殺しきれず、吹っ飛んでしまった。

「な、何て馬鹿力なんだ……!わっ!?」

 サンドワーム娘は、ルカを掴みあげた。

「し、しまった……!」

「いただきます……」

 サンドワーム娘が大きく口を開け、ルカを加えこもうとした時だった。

「波あぁーっ!!」

 その指にかめはめ波が直撃し、サンドワーム娘はルカを離してしまった。

「いっ……!」

「うわぁああっ!」

 空中に舞うルカを、ヴィクトリーが舞空術でお姫様抱っこする。

「き、危機一髪……!」

「あ、あぶねぇー……おめぇは、飛べねぇんだったな……」

 二人は地面に降り、改めてサンドワーム娘を見る。

「くそ……!あいつは、界王拳を5倍にしても多分倒せねぇ……!」

「じゃあ、どうするんだ……!?」

 ヴィクトリーはつばを飲み込み、目を鋭くした。

「三分……三分でいいんだ……!三分稼げれば、あいつを倒せるだけの元気玉が作れる……!」

「げ、元気玉……!そうか、その手があったか!」

 精霊の森でキメラドリアードを倒したあの超技、元気玉。しかし、今度は三分ときたか……

 そんな事を考えてる内に、まごまごしていたサンドワーム娘は襲いかかってきた。

「三分だけでいいんだっ!!集中する時間が欲しいっ!!」

「で、でも……!」

「そうだ……!ルカ、目を瞑れ!!」

「え……?」

 ルカが目を瞑ったのを確認した後、ヴィクトリーはサンドワーム娘を見据えた。

「太陽拳!!」

「っ……!?」

 ヴィクトリーの体から、眩い閃光が放たれた。サンドワーム娘はそれを直視したため、目を押さえて悶絶した。

「め、目が……!目が……!」

「離れるぞっ!」

「おう!」

 サンドワーム娘はその場で手をぶんぶん振り回す。僕達はそんな事を彼女に背を向け、距離をとった。

「よし……いいか、サンドワームがあの状態で居られるのもせいぜい一分程度だ……時間稼ぎ、任されてくれるか?」

「勿論……!三分間、守りに集中すればいいんだろ……!任せてくれ!」

「頼むぜ!」

 ルカはサンドワーム娘の所へ、ヴィクトリーはその場で両腕を上げ、元気を集めた。

「海よ、空よ、大地よ、砂よ……そして、この大陸のみんな……!俺にちょっとずつでいいから、元気を分けてくれ……!」

 ルカはサンドワーム娘の前に立ち、挑発するかのようにぴょんぴょん跳ぶ。

「来い!お前の相手は、この僕だ!」

「……おいしそう……」

 サンドワーム娘は早速ルカに手を伸ばした。彼はそれを跳んで避け、彼女の手の甲に乗った。

「うぉおおっ!!」

 そして走りながら腕を切り裂き、肘の辺りから跳んだ。

「シルフっ!」

「任せて!」

 シルフの力を強める。すると上昇気流のようなものが起こり、安全な着地ができた。

「ぅ……」

 サンドワーム娘は切られた腕を、ぶんぶん振っている。ルカはその背中に狙いを定めた。

「はぁああああっ!!」

 そして、雷鳴のように突進し、その背中に突きを放った。

「ぅ……」

 サンドワーム娘は、背中に突然ヂクッという痛みが走り、蚊を叩き潰すように背中を叩いた。

「あ、あぶな……!」

 間一髪で避けたルカは、一旦距離をとった。

「はぁああ……!!」

 そして、走りながらサンドワーム娘に接近した。

「うぉおおおお……!!」

「む……」

 サンドワーム娘はぼーっとしながら、掌をルカに振り下ろした。

「これなら……!どうだぁっ!!」

 ルカは、魔剣・首刈りの容量でその掌を突き飛ばした。

「むぅ……」

 サンドワーム娘は手をぶんぶん振りながら、ルカを見た。

「出来たぞ、ルカーっ!!」

「出来た……!?」

 ヴィクトリーの方を振り向くと……なんと、右腕が青白い閃光を放っていた。そこには高密度のエネルギーがこもっているのが、はっきりと感じ取れた。しかも、威力は精霊の森で放ったのよりも、格段にアップしているだろう。

「う、うぉおおおおっ!!」

 ルカは、ヴィクトリーの方に向かって走り出した。サンドワーム娘も彼を追いかける。

「まって……」

「うぐぐ……!!」

 その時だった。風の力が、凄まじいパワーを発揮し、ルカの足に瞬足を生み出した。

「わっ!?」

 僕は一瞬で、ヴィクトリーの横を通り過ぎた。そして、急ブレーキをかけ、彼女の方を振り返った。

「ここだぁああああーーーっ!!!」

「!!!?」

 ヴィクトリーはサンドワーム娘の顔面に、元気玉を放った。

「きゃあああああっ!!!」

 サンドワーム娘の全身がバチバチと、凄まじいエネルギーに晒される。それだけでも、凄まじいエネルギーが吹きすさび、僕達の方が吹っ飛ばされそうな感じがしたのだが……

 突然、元気玉が凄まじい大爆発を起こし、サンドワーム娘を遥か上空へと吹っ飛ばした。その大爆発で、今度こそ僕達も吹っ飛ばされた。

「きゃああぁーーーっ!!!」

「うわぁっ!?」

「ぐっ……!!」

 ヴィクトリーが柱の残骸に掴まり、僕はヴィクトリーの足に掴まった。

「わ、わりぃ……!俺も、こればかりは予想外だ……!!」

「あ、あいつ、死にはしないだろうな……!!」

「じゃあ、降ってくる時におめぇが一撃くわえりゃいい!」

「そ、そうだな……!」

 しばらくすると衝撃が止み、風が大人しくなった。僕達は立ち、上空を見上げた……

「そらっ、降ってくるぞ!」

「わぁああーっ!!」

 ルカは半ばやけくそ気味に、降ってくる巨体を切りつけた。

「……すごく……いたい……」

 サンドワーム娘が地面につく寸前で消散し、ぽとりと砂虫が落ちた。

「ふぅ……何とか倒せたか……」

「こ、この世界の砂漠って、とんでもねぇのが居るな……!俺、もうあいつとだけは戦いたくねぇぞ……!」

 二人でハイタッチをした後、ふと横を見ると……あの泥人形が、物陰からじっとこっちを向いていた。そして僕達と目が合うなり、とことこと逃げていった。

「あ、逃げた……待ってくれ……!」

「あ、あんだけ暴れりゃ当然か……はは、ははは……」

 僕達は、慌ててその後を追いかけた……

流血表現

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