もんむす・くえすと!の世界に降り立った1人のヒーローアバターの話   作:ジョーカー:ゼノ

57 / 227
〜前章のあらすじ〜
ドラゴンボールヒーローズで、ゴッドボスのブロリーを相手に勝ったが、力の使いすぎで死んでしまったヴィクトリー。そんな彼は、あの世で閻魔様と天国に行くかどうかで話していた時、創世の女神・イリアスが降臨する。彼女によってもんむす・くえすと!の世界に来たヴィクトリーは、魔王退治に向かう見習い勇者ルカや、奇妙な妖魔アリスと出会う。
こいつらと旅をした道中、アリスが魔王だという事が判明した。しかし二人は、彼女は邪悪な存在ではないと判断する。決着を魔王城に引き伸ばし、そのまま一緒に旅をする道を選んだのだった。
ルカ率いる勇者一行の最終目的は、魔王軍四天王のいる魔王城。四天王は世界各地で暴力を振りまき、人間達を苦しめているのだ。
しかし、今の二人の実力では歯が立たない……しかも、ヴィクトリーはサイヤ人だからいいものの、ルカは人間だから急激な成長が出来るわけでもない。
そこでルカは、四精霊の力を借りるためにゆかりの地を訪れる。ナタリア地方でシルフ、サフィーナ地方でノームの力を手に入れるルカ。それに合わせ、戦う度にグングンと強くなるヴィクトリー。
二人はウンディーネに会いに行くために、東のノア地方に向かうのだった……その旅の果てに待ち受けるものとは……



中章〜くすぶるheartに火をつけろ!〜
新たな挑戦


 砂漠の地サバサを後にしてから、もう一週間が過ぎている。

 ここは深緑の自然と神秘が残る大地、ノア地方。

「まず何処に行くんだ?」

「まずはグランドノア城に向かうつもりだよ。」

 グランドノア城……女王ノア10世が治める、ノア地方最大の城都である。

「ふむ、グランドノア城には色々なものがあるらしいな。グランドノア城のコロシアムは有名らしいが……まぁ、余にとってはどうでもいい。……しかし、コロシアムで売られている『パワーもりもり弁当』は、スタミナが溢れると評判のようだ。」

「はいはい、食べ物の話だね……」

 パワーもりもり弁当はどうでもいいが、コロシアムには大いに興味がある。

「コロシアム……天下一武道会みたいなものか?」

「天下一武道会?」

 はるばる遠い所からやってくる実力者や、都の喧嘩自慢まで様々な奴らが集まる武道大会。その中でナンバーワンを決める大会が、そっちの世界にはあるらしい。

「ふむ、似たようなものだ。」

「そうか……じゃあ、きっと世界中の腕自慢が集まっているんだろうな……俺、わくわくするぜ!」

「……」

 今の僕ならば……どうだろうか?シルフやノームの力もあるし、かなりの所まで勝ち抜けそうな気がする。もしかしたら、優勝も夢ではない気がする……

「うぇへへ……そうなったら、どうしよう……僕、もう有名人になっちゃうよ……えへへへっ……」

「き、キモッ!」

「う、ウザっ……!」

 そう言いながら、二人は旅行ガイドに目を通している。

「むむっ……遥か東方の辺境ヤマタイ村では、独特の食文化があるという。スシ、テンプラ、オソバ、スキヤキ……これは、非常に楽しみだな……」

「東方の辺境、ヤマタイ村……?用事がないところには、わざわざ寄り道しないよ。」

「ヤマタイ村……?」

 寿司に天ぷらにお蕎麦、スキヤキだと……?俺の生まれ育った環境で食ったものと一緒じゃねぇか……何かあるのか……?

「……俺も、そこに行きてぇ。」

「お前も、食い意地お化けだったな……行かないと言ったら………………」

 見ると、ヴィクトリーの目がマジだ。もしかしたら、ヴィクトリーの為になるのかも知れない。

「……余裕があったら、行ってみよう。」

「……あぁ、サンキュ。」

 ヴィクトリーは、ちょっと嬉しそうに笑った。

 しばらく歩いていると……

「ん?ひづめの音が聞こえないか?」

「この辺、馬車が通るような場所でもねぇけどな……」

 馬のひづめの音が、道の向こうから近付いてくる。他の冒険者と顔を合わせるのは、何日ぶりだろうか……

「……」

 アリスは、依然と魔物の姿のままである。

「おいアリス、早く人間にならねぇと。」

「いや、その必要は無い。しかし、随分と発情している奴だな……」

「え……?」

 妙な事を言い残し、アリスは姿を消した。そして、僕達の目の前に現れたのは……ケンタウロス娘だった。

「け、ケンタウロス……上半身が女なのは、見た事ねぇぞ……」

 ヴィクトリーが、そう漏らす。

「そ、そこの少年達……頼みがあるのだが……」

 ケンタウロス娘は、何やら息を乱しているようだ。もしかして、怪我や病気だろうか……?

「だ、大丈夫ですか……?」

 ルカが、ケンタウロス娘に近寄った時だった。

「あぶねぇっ!!ルカっ!!」

「えっ!?」

「ふっ!!」

 ケンタウロス娘は、大きく腕を開いてから、ルカに襲いかかった。

「っ!?」

 ルカは後退し、距離をとり、構えた。

「は、発情期なんだ……オマンコが疼いて仕方がない……お前達のモノで中をかき回して、種付けしてくれないか……?」

「そ、そんなのダメだよ!イリアス様は魔姦を禁じているんだから!」

 ケンタウロス娘は完全にとろけきった目でルカに目をつけた。

「その細身の体を押し倒して、無理矢理のしかかって……火照ったオマンコで、お前のモノをくわえ込んで……目茶苦茶に腰を動かして、徹底的に犯して……泣きわめくお前から、子種を何度も何度も搾り取って……」

 ……どうやら、会話は無駄のようだ。

 普通の精神状態じゃないようだ。

「指名はおめぇみてぇだ。行ってこい!」

「あぁ……!」

 ケンタウロス娘と戦おうとした時だった。

「……」

「ん……?」

 僕の中で、ノームが何か言いたげな様子だ。もしかして、ここで力を使えという事なのか……?

「はあぁ……!!」

 試しに、シルフを呼び出す容量でノームを呼び出してみる。すると、大地の力がルカに宿った。

「はああああ……!!」

 凄まじい力が、僕の体から溢れ出した。まるで、大地の息吹を彷彿とさせるような剛力だ。

「ふんっ!」

 大地の力で大地を蹴り、ケンタウロス娘の懐に潜り込み、魔剣・首刈りを放った。

「ぐ……!?」

「……」

 やはり、凄まじい力だ。僕はニヤッと笑い、ケンタウロス娘を見た。

「この……!」

 ケンタウロス娘は僕を押し倒し、犯そうとしてきた。

「ノームの力で……!!」

 しかし僕はケンタウロス娘を突き飛ばし、その顔面に蹴りを入れた。

「ぐわっ!?」

 ケンタウロス娘は鼻を抑え、ルカを見た。

「ぐっ……!細身の癖に、何て力だ!」

「……」

 強いぞ、ノームの力……!下手すれば、素手でも戦えるんじゃないか……?

「ぐぐ……!」

「……」

 ルカは剣の柄を、ケンタウロス娘の腹に叩きつけた。

「おぐ……!!」

 彼女は腹を押さえて揺らぐ。その間に、ルカはグッと剣を振り上げる。そして、凄まじい威力の薙ぎ払いを放った。

 彼女は吹っ飛び、ザウッと地面に倒れた。

「く……!!」

 何とか立ち上がり、ルカを見る。その時には、彼は眼前に迫っていた。

「雷鳴突きっ!!」

 そしてケンタウロス娘に、突きの一閃を放った。

「な、何だこれは……!?」

 その一撃で、ケンタウロス娘は子馬へと封印された、

「ふぅ……今のがノームの力なのか。」

 予想以上の剛力が、全身から湧き上がってきた。それはまさに、大地の力そのもの。あの力が無ければ、ケンタウロス娘に押さえ込まれた際に抵抗できなかっただろう。

「ノームの力があれば、拘束を強引に振り解けるんだな。」

「あの強引に力を振りほどいた時の力を攻撃の時に出せりゃ、文句なしだな。攻撃する際に、増加パワーが半減してたのを感じたぞ。」

「そこが問題なんだよな……」

 アリスはルカの背後に現れ、肩を叩いた。

「だが、今の貴様では難しい筈だ。フルパワーを出せば、大地の力に振り回され、敵に当てることさえ困難になる。」

「うん……多分、そうだろうな……」

 初めての使用で不慣れだったこともあるが、やはり制御は難しい。拘束を振り解くのなら、思いっきり暴れればいいだけだが……その剛力を剣に乗せて命中させるとなると、かなりの慣れが必要な筈だ。

「これから、修練あるのみだね。」

「まぁ、せいぜい努力するがいい。」

「俺も今日から修行に手伝おうかな。」

 なんと、それはありがたい。思えば、僕と違ってヴィクトリーは実戦で強くなるタイプだ。修行で強くなるタイプの僕の相手をしていた方がいいと思っていた。

「ところで、そろそろ日も暮れるな。今晩は、ここで野営するとしよう。……ルカ、食事の準備だぞ。」

「やれやれ、アリスは食ってばかりだな……」

 僕がそうボヤくと、アリスは不意に眉を吊り上げた。

「なんだと……?まるで、余がタダ飯食らいのような物言いだな。……よかろう、今回の夕食は余が作ろうではないか。」

「えっ……!?」

「おめぇ、料理できんのか……!?」

「任せろ!魔王に不可能はない!」

 不安だ……

 

 そして、アリスは食事の準備を始めたようだ。

 なんだか、実に嫌な予感がする……

「大丈夫なんだろうな、アリス……」

「当然だ、余を誰だと思っている。」

「ほ、ホントに大丈夫か……?」

 心配する二人を、アリスは睨んだ。

「ええい、うるさい!料理が出来上がるまで、何処かに消えていろ!」

 とうとう、二人は調理場から追い払われてしまった。

 調理場から二人を追い払ったアリスは、おなべと向かい合った。

「よし、やるぞ……!」

 ……そうは言うものの、アリスはその一言で硬直してしまった。だが、その次の瞬間に覚悟を決めた。

「まずは、ジュージューになるまでやってくれるわ!オメガブレイズッ!!」

 アリスは指をクンッと上げ、おなべに灼熱の業火を巻き起こした。おなべは、その攻撃で燃えカスとなってしまった……

「……」

 

「おなべをやっつけた。」

「あぎゃっ!」

「なんで、そんな自信満々の顔なんだ……」

 戻ってきたアリスに、ヴィクトリーはずっこけ、僕は頭を抱えた。おかげで、今日の夕食はほしにく。わびしいこと、この上ない。

「……仕方ないではないか、料理など教わった事がないのだ。余が学んだのは帝王学のみ、花嫁修業などしておらん。」

「て、帝王学……」

「誰に教わったんだ……?」

「……たまもだ。奴は、魔王である余の教育係だったのだ。」

「……って事は、アリスの方がたまもより年下なのか?」

「そもそも、アリスは何歳なんだ?百歳ぐれぇか?」

「ドアホめ!余は今年で22だ!」

 僕は、思わず驚いてしまった。

「えぇっ!そんな若かったの!?」

「貴様らよりは年上だ、敬え。」

 僕とヴィクトリーは、ほしにくを齧りながら話を続ける。

「それにしても……たまもがアリスの教育係だったんだな……」

「あいつ、トシいくつだ……?」

「……知らん。四天王で最年長なのは間違いない。」

 アリスも、ほしにくを齧りながら話す。

「余の母上の教育係も務めたのだが、その頃からの姿だったと聞いている。噂では、五代連続で魔王の教育係を務めたとか……」

「……」

 なんだか、恐ろしい話を聞いてしまった気がする。

「……さて、話はここまでだ。今晩も戦闘の訓練を行うぞ。シルフやノームの力、一刻も早く使いこなせるようにならねばな。」

 ヴィクトリーはルカの肩を叩く。

「俺はもう一人で得るものは得られたと思う……こっからは、おめぇと二人で修行する事にするぞ。」

「あ、あぁ……!」

 こうして、今夜はアリスに加え、ヴィクトリーも一緒に修行する事になったのだ。

 

「どぉした!?ルカぁ!動きが止まって見えるぜ!」

「はぁ……!はぁ……!」

 ヴィクトリーと僕が一騎打ちをし、それをアリスが監修する形をとっていた。

「相変わらず、シルフの力を全く使いこなせておらんな……その動きに風を宿し、疾風のように動けと言っているだろう。」

「そ、そう言われても……」

 そんな抽象的な事を言われても、実践は難しいのだ。

「それに、既に気づいているかもしれんが……貴様はまだ、シルフとノームの力を同時に使えないようだ。風の力を使えば、土の力が消えてしまうといった具合にな。」

「どっちか一方の力しか使えねぇのか……不便なやつ……」

「なるほど、そうなのか……戦闘じゃ、気を付けないとな……」

 今のところ、シルフとノームを同時に呼び出す事は不可能らしい。つまり、敵に応じてどちらを呼ぶかを判断しなければならないのだ。

「ウンディーネやサラマンダーの力を得るとなると、更にややこしいな。四体のうちから、相手によって適切な精霊を選ばなきゃいけないなんて……」

「腕を上げれば、四精霊を同時に使う事も出来るはずだ。その動きに風を宿し、その身に土を宿し、その心に水を宿し、その技に火を宿す……これが出来ねば、精霊の力など宝の持ち腐れだぞ。」

「それ、前にも聞いたけど……なんだか、胡散臭いんだよな。」

「それ、誰が言い出したんだ?」

 アリスはにやりと笑い、ルカを見た。

「ドアホめ。そんな口を叩いていいのか……?この口伝を残したのは、伝説の勇者ハインリヒなのだぞ。」

「ええっ!!」

「な、なに……!?」

 ルカは飛び上がり、ヴィクトリーは驚いた。

 ハインリヒと言えば、ルカの憧れの勇者。そんな奴がこんな言葉を残してたのか……

「ほ、本当なのか、それ……何でアリスがそんな事を知ってるんだ……?」

「むしろ、勇者を志す貴様が何故それを知らんのだ。ハインリヒはこの心構えをマスターし、当時の魔王を討ち滅ぼしたのだぞ。『黒のアリス』と呼ばれ畏怖された、暴君アリスフィーズ8世をな……それでも、貴様は胡散臭い口伝だというのか?」

「そ、そうなのか……それなら、話は別だ!よし、さっそく僕も実践するぞ!」

「よ〜し……負けてらんねぇな……」

 二人は気合を入れ直し、また対峙する。

「ヴィクトリー、例の界王拳とやらは何倍にまで引き上げられる?」

 アリスは、突然そんな事を聞いてきた。

「え?多分、4倍が打ち止めかと思うけど……」

 それを聞いて彼女は、「ふむ」と頷く。

「最低、6倍には引き上げられるようにした方がいいな。」

「ろ、6倍!?」

「6倍!?無理だ、そりゃ無理だ!そんなに引き上げたら、体が吹っ飛んじまうよ……」

 アリスはまたにやっと笑い、口を開いた。

「いい事を教えてやる。今の貴様らのレベルが25だとしたら、四天王のレベルは60だ。流石の貴様らもまともに修行していたら、一生追いつけんだろうな……」

「ろ、60……」

 圧倒的すぎる差に歯噛みしそうになったが、俺は笑っていた。俺はサイヤ人だ。相手が強ければ強いほど、わくわくがでっかいんだ!

 やる気満タンの二人は、互いに構えあった。

「えっと……動きに風を……身に土を……なんだっけ?」

「まずは、その動きに風を宿すがいい。単に素早く動くのではなく、その身を疾風と化すのだ。」

「ウォオオオ!!僕はやるぞぉおおお!!」

「俺も全力だ!!」

「やれやれ……」

 二人は途端にやる気を出したが、意気込み虚しく大した進歩はなかった……

流血表現

  • もっとする
  • このままでいい
  • しなくていい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。